超時空要塞マクロスⅡ-LOVERS AGAIN-

登録日:2012/01/10(火) 13:35:33
更新日:2022/10/08 Sat 22:46:59
所要時間:約 10 分で読めます





マクロスシリーズ』生誕10周年記念に制作されたOVA作品。バブル崩壊後の1992年にOVAとして発売された。
良くも悪くも作画は90年代アニメの良さが出ている。

超時空要塞マクロス』を作った「スタジオぬえ」はほとんど制作に関わっておらず、アニメ制作はAICが担当。
監督も『天地無用!』『ストライクウィッチーズ』シリーズなどで知られるAIC所属の八谷賢一が担当。
メインでバリと石田敦子が関わっているため雰囲気がスパロボ系になっているなど、これまでのシリーズと気色が違う。

これを疑問に思った河森正治や板野一郎ら「スタジオぬえ」スタッフが数年後に作ったのが、『マクロスプラス』や『マクロス7』である*1
もっとも元々河森氏はマクロスの続編を作る気がなく、スポンサーから『マクロスIII』の話さえ出たほど売り上げを出し、
マクロスシリーズのテーマの明確化と自由度をあげた本作の存在はシリーズとして非常に重要だと語られている。

結果的にマクロスシリーズは『プラス』『7』の流れが主流になったため、今作は長年パラレルワールドとして扱われるようになっていた。
しかし、「視聴者が見ているマクロスは、作中世界の人々が後年資料に基づいて作ったドラマである。そのため資料の解釈によってストーリーが異なることがある*2」という設定が生まれ、
パラレルワールドを許容するようになったため、この設定の誕生以降は年号にもきちんと入れられるなど、ようやっと公式にも認知してもらえた。
1993年には再編集バージョンでテレビ放送をした。
また、2010年にはBS11の「ANIME+」でも放送され、これをキッカケに本作を知った近年のファンもいると思われる。

2014年にはめでたくBlu-ray BOXが発売。黒歴史というイメージも徐々に払拭されつつある……はずである。
ちなみにその際公式サイトに「なぜ『マクロスII』は「黒歴史」と呼ばれたのか?」というコーナーが設けられ、
(2090年代という遠い時期を扱う作品のため)シリーズ各作における「過去の事件や史実をまとめたマクロス年表」では、「マクロスⅡ」との関わりを記すことがなくなり、
それがあたかも「歴史から抹消された」かのような印象を与え、いつしか「『マクロスⅡ』は黒歴史である。」と言われるようになってしまった。
と解説されている。

マルドゥーク軍のキャラ名や艦隊は全て神話が由来になっている。


【あらすじ】


西暦2090年代、太陽系、木星軌道に未確認艦隊が現れる。
地球統合軍はオペレーションミンメイを発動し未確認艦隊を迎え撃つが彼らには『歌』が通用せず逆に敵艦隊から発せられた歌を聴き凶悪化した敵に返り討ちに。

その戦いを取材していた神崎ヒビキは敵艦に潜入、艦内で眠っていた謎の美少女、イシュタルと出会う。
その後イシュタルを連れ地球へ帰還する。

同時期、連れ去られたイシュタルを探すため敵が動きだす――。


【登場人物】


◯主要キャラ


神崎ヒビキ(Hibiki Kanzaki)
声:高山勉
主人公。TV局SNNに所属するレポーター。
ぶっちゃけイシュタルのストーカー
視聴率を取るために無茶な行動を取る事が多い。原チャリ感覚でバルキリーのライセンスを所持しており、バルキリーに乗って取材することも
地球統合軍に持ち帰った映像記録を統合軍が勝利したように編集された事に不満を感じる事に。
性格は一条輝と似ている。
イシュタルやシルビーとの出会いにより一流の報道者として使命感に目覚める事となる。ジャーナリストのため歴代の主人公の中で
パイロット能力は低くバルキリーにもあまり搭乗しない。キャラデザがバーニィと似ている。


イシュタル(Ishtar)
声:笠原弘子
歌巫女(イミュレーター)の一人。マルドゥーク人。綺麗な水色の髪を持つ絶世の美少女で神秘的な雰囲気をしている。
性格は一見すると大人しそうに見えるが実は積極的でありヒビキにちょくちょくアタックを仕掛けている。だが暴力を振るわないだけマシ。意外と胸がでかい。
当初はヒビキからストーキングをされまくっていた
異星人のため地球の言葉を知らなかったが、ピアス型の翻訳機で地球の言葉を理解できるようになった。
その独特な歌によりゼントラーディを洗脳させる役目を勤めていたが、ヒビキに発見され地球へ導かれた。
そこで地球の様々な文化を体感し歌の素晴らしさを感じ取りマルドゥーク軍を説得する為にヒビキ達と協力する事になる。

作画監督によって顔の落差が激しいのはご愛嬌。

マクロス30 銀河を繋ぐ歌声』でミーナ・フォルテと呼ばれる外見がよく似たキャラが登場するが血縁関係があるかどうかは不明。
時系列的に(マクロス30は2060年、マクロスⅡは2090年なので)ひょっとしたらイシュタルの先祖なのかもしれない。


シルビー・ジーナ(Silvie Gena)
声:冬馬由美
統合軍のエースパイロット。階級は中尉。17歳には見えないが実際の設定ではそうであるとのこと。
実はメルトランディの血筋を引いているが、地球人の血が濃いためメルトランディ的な特徴は少ない。
ポジ的にはロイ・フォッカーであろか。
エクセグラン総指令との密着現場をしつこくスクープされる。彼女は根っから真面目のため、チャラいタイプのヒビキを嫌っている。
しかしヒビキやイシュタルと出会い事あるごとに協力し、最終的にヒビキとくっつく事になる。


◯フェアリー・リーダー


九條沙織(Saori Kyujo)
声:原亜弥
シルビーの指揮部隊「フェアリー・リーダ」の一人。顔立ちからして初代マクロスの早瀬未沙の子孫であろう。
普段は大人しいが、戦闘時になると豹変する。


ナスターシャ・トート(Nastasha Todt)
声:引田有美
シルビーの指揮部隊「フェアリー・リーダ」の一人。アクティブな性格をしている。


エイミー・ロック(Amy Rock)
声:國府田マリ子
シルビーの指揮部隊「フェアリー・リーダ」の一人。メンバーのまとめ役。


◯地球統合軍


ネックス・ギルバート(Nexx Gilbert)
声:島田敏
シルビーの同僚。大尉。声はシロッコだが外見はジェリド
顔合わせれば女性ファンがサインを求めるほどのイケメンだがかなりのナルシストで自己愛が強い。シルビーに片思い中。
「太陽系バルキリー操縦選手権」で優勝した経歴を持つ。同じ飛行機乗りのイサム・ダイソンと競わせてみたい所である。
シルビーに好意を抱いており男らしい所を見せようと頑張っている。


エクセグラン・ジリ(Exxegran Giri )
声:坂口芳貞
地球統合軍の総司令。シルビーの理解者であり良きパートナー


バルゼー(Commander Balser)
声:渡辺猛
旗艦グロリアを指揮する艦長。髭のおっさん。第12艦隊を率いてマルドゥーク軍を殲滅するが、自身が突っ込んで自滅するぐらい無能な艦長。


◯マルドゥーク軍


イングス(Lord Emperor Ingues)
声:置鮎龍太郎
イングス艦隊総指令官。思い通りにするためには手段を選ばない冷酷な人物でありマルドゥーク軍の力を誇示するために
幾多の星を滅ぼしてきた厄介な人物でかなり独善的。マクロス世界の中ではかなりの悪人の部類。イングス家の34代目(ファーストネームは不明)。
自己中な考え方を持ち、抵抗者には容赦なく処刑する。アニメ版ではサイボーグであり、基艦と接続している。
マクロス世界のキャラにしては無機質であり、異質な雰囲気を持つ。
最期は反乱を起こしたマルドゥーク軍の砲撃によって艦ごと玉砕された。


フェフ(Fefu)
声:古谷徹
イシュタルに好意を抱いており、連れ去られたイシュタルを奪還するため地球に派遣される。専用の真紅のギガメッシュに搭乗する。
見かけは完全なおっさんだが声自体は若い。当初は地球人を見下しており、嫌っていたが、最終的には認めた模様。
恐らく古谷徹がマクロスキャラを演じる最初で最後のキャラ。なお制作サイドが何故、強面のおっさんキャラに古谷徹を起用したかは不明である。


◯民間人


デニス・ローン(Dennis Lone)
声:大友龍三郎
戦場カメラマン。ヒビキと共に敵艦内に侵入するが脱出の際に爆発に巻き込まれて命を落とす。
ヒビキが報道の道を進む原点だったドキュメントの撮影者でもあった。
真実を伝えるための報道をヒビキに語りヒビキを成長させた。
家族は誰もいないらしい。


マッシュ(Mash)
声:草尾毅
ヒビキの友人のオカマ。外見は色黒の青年。面倒見の良さでヒビキから信頼されている。
小説では父との確執から基本的に男嫌いでフェミニスト


ウェンディー・ライダー(Wendy Ryder)
声:佐藤幸世
地球人のアイドル歌手(下町アイドル)。実は美人。統合軍のプロパガンダ活動の一翼を担い、月面フェスで屈指の名曲『バルキリーで誘って』と『今は友達』を歌い平和を願うお姉さん。
所謂ミンメイ的なポジであるが出番は少なめ。


【登場メカ】


VF-2SS バルキリーⅡ
VF-1の発展機として開発されたバルキリー
地球とゼントラーディの技術を融合させた宇宙用の機体、SAP(スーパーアームドパック)装備が前提の為、本体は軽装。
デザインは大張色が強くシャープなラインとなっており先鋭的なデザインである。そのせいか河森などの同業者からの受けは良くなったらしい。
OPで右肩部の物干し竿レールガンから謎ビームを放つ。


VF-2JA イカロス
こっちはVF-1Jの発展期として開発された大気圏用で、バルキリーⅡより一回り大きい。
そらのおとしもの』のイカちゃんとは無関係。


メタルサイレーン
統合軍の新型モデル最新鋭機。
近接戦用装備のプラズマスピアをはじめ、バトロイド時には有視界のコクピット、従来の3形態に加え純攻撃モードのガンドロイドに変形するのが特徴。
このガンドロイド、ファイター形態よりも加速力が高くV-MAXクラッシュ・イントルードにも似たエフェクトで飛び回る。
いかにも主役っぽいデザインだが別にシルビーも、ましてやヒビキも乗らない。

バルキリーかと思った?残念!ネックス機でした!


ギガメッシュ
マルドゥーク軍の主力機。ギルガメッシュではない
近接格闘戦に特化した作りとなっている。
フェフ機は赤をパーソナルカラーとした色になっているが、通常の3倍の速さで動き回るわけではない。
某金ピカ王武器マニアとは無関係。


SDF-1 マクロス
80年前に活躍した戦艦。
現在はブービートラップを解除させずに時折現れるゼントラーディ達を迎撃していた。
後にヒビキ達が乗り込みマルドゥークを迎撃するために再浮上、全砲門を展開しイングス艦に向け発射するが効果なし。老朽化には勝てなかったよ……
最終的にイングス艦からの反撃を受けて艦橋部だけになってしまう。この不遇が後に黒歴史化する原因を作ってしまったのではないかと言われている。
デザインは『愛・おぼえていますか』の流用だが微妙に装備が異なり要塞型となっている。また歴代の中で一番動く回数が多い。


【歌】

【主題歌】


OP
2億年前のように静かだね
歌 - 金子美香

ED
De・ja・ve~そばにいて
歌 - 金子美香

最終話ED
約束
歌 - 笠原弘子

【挿入歌】


恋のバナナムーン
歌 - 佐藤有香

バルキリーで誘って
歌 - 佐藤幸世

今は友達
歌 - 佐藤幸世

あなたを感じている -ミア・センテス・レン-
歌 - 笠原弘子

もういちど Love you
歌 - 笠原弘子

ト・ア・ウィ アラブル・レン -もういちど Love you-
歌 - イシュタル(笠原弘子)
※全巻購入者特典CD『イシュタルからの伝言』に収録。


【用語】


マルドゥーク
自らの文明を神聖化する種族。
「下等な文化」に汚染されることを嫌い、接触する異文明を容赦なく滅ぼす。
戦場では、洗脳したゼントラーディやメルトランディの兵士を歌巫女の発する「戦の歌」で操る。マクロス史上初めて歌を武器にした勢力である。
後にマクロス7でも『洗脳』が使用された。


ミンメイ・ディフェンス
ホログラムから歌や映像を流し歌に免疫がないゼントラーディやメルトランディ達を圧倒する戦術。
いわばミンメイ・アタックそのもの。


フェアリー・リーダー
シルビー率いるバルキリー隊で軽口を戦闘中に叩けるほどメンバーの仲は良い。ポジ的には初代マクロスの柿崎
隊員はエイミー・ロック、ナスターシャ・トート、九條 沙織。共に階級は少尉。
後のVガンにおける『シュラク隊』の原型となったのは言うまでもない。


【ゲーム作品】


○超時空要塞マクロスⅡ
3つのコースと『残機無限で時間内に規定点数を獲得すると面クリア』
といったシステムを備えたアーケード用横シュー。開発はNMK。


マクロスアルティメットフロンティア
ゲスト参戦としてイシュタルと一部機体が登場。
きっとはぶられると思っていたファンは参戦すると聞き驚いたそうな。
続編のトライアングルフロンティアでは正式に参戦。神崎ヒビキもきちんと参戦を果たした。





追記・修正はマクロスⅡを黒歴史と思っていない人がして下さいね。



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最終更新:2022年10月08日 22:46

*1 ただし「恋のバナナムーン」など一部の曲は『7』で再使用されている。

*2 例えばTV版と映画版でストーリーが違う事。