軌道エレベータ

登録日:2011/03/07(月) 00:13:53
更新日:2024/01/17 Wed 18:15:18
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※宇宙エレベータ、軌道塔、同期エレベータ、静止軌道エレベータ等とも言う


惑星の表面(地上)から静止軌道上をエレベータでつなぐ輸送機関。
地上から静止軌道までを塔やケーブル(大抵はケーブル)といった構造物で繋ぎ、それに沿って運搬機を上下させる。

因みに、静止軌道は人工衛星がある場所(高度)で、地球に落ちないけど離れもしない絶妙なポジション。


これにより、低コストで宇宙に行けたり物を運べる省エネ機械。
単純計算でも、ロケットに乗るよりも千倍近く安く済むらしい。
他にもデブリの発生が少なくなるなどの利点がある。

類似の措置として「マスドライバー」が存在する。軌道エレベータと違いケーブル等もなくただ荷物を第一宇宙速度を超えた超スピードでぶん投げるだけという簡易的なものである。


しかし、現実の世界では実現が不可能と言われる。


その理由は大きく分けて四つある。


①素材の問題
そもそも、軌道エレベータ本体の自重を支えられる素材が存在しないと言われてきた。
地球の場合、地上から静止軌道まで約4万kmなのに対し、鋼鉄でも数十km、最強クラスの強度のケブラー繊維でも千km、更には例えダイヤの繊維でも2万kmが限界だとされている。
エレベータを宇宙から吊り下げる形で支える方法もあるが、これはこれで「何百万トンもある小惑星を引っ張ってきて地球の静止軌道に載せる(時速11000km/hでぶっ飛ばさせる)」という超危ない作業が必要なので事実上無理。

しかし、近年では世界最強と言われる繊維「カーボンナノチューブ」であれば、軌道エレベータに必要な条件(強度や重量)を理論上実現できるという研究結果が発表された。
余談だが、これを実用化したのは日本人。流石変態国家。日本スゲー

ところが、カーボンナノチューブにはコストが高いという致命的な欠点がある。

カーボンナノチューブの製造費用は、大雑把に見積もっても静止軌道上から地上までの距離の糸一本作ろうとしただけで積み重ねて月まで届く枚数の一万円札が必要と言われる始末。

それでも、低コストで大量生産する方法は研究が続けられており、いずれ現実的な価格になるかもしれない。
他にもカーボンナノチューブはイギリスのとある研究チームのマウス実験でアスベストに似た発癌性(主に肺癌)を有しており健康面について懸念されてる部分もあるなど、実際に使えるかはまだまだ検討が必要である。


②建造にかかる費用の問題

前述のカーボンナノチューブの件でも触れたが、建設するだけでもとんでもない費用が必要となる。
もちろん建造した後の維持費や運用経費も莫大なものである。
現状ではその費用を回収できる見込みが無く、技術の進歩で諸々のコストが下がるのを期待するほかない。
単なる物の運搬手段だけではなくいっそ交通手段にしてしまうという手もあるが、今度は多くの人々が宇宙に住めるのかという問題に直面してしまう。


③軌道エレベーターの存在理由

軌道エレベーターがあればロケットより安く物資を宇宙へ運べる。
……と言われるが、上記の通り軌道エレベーターの建造そのものに莫大な費用と資源が必要。

素材が解決した以上現状最も大きい問題はここである。ぶっちゃけ、現状想定される使い道では省エネなロケットを作る方が安く済むという本末転倒な結論が出てしまう。
「エレベータにできて、ロケットにできない事」に価値を見出せるかがキモだろう。
SF作品の様に宇宙空間でしか採掘できない有用な資源が見つかれば変わるかもしれないが現状皆無である。



④テロに弱い

最近危惧されるようになった問題点。
昔のSFにおける軌道エレベータは未知の金属等の新素材でできた巨大建造物だったので破壊にはそれなりの火薬量が要ったが、
科学的考察の結果「思ったより柔らかいものになりそう」という見識が広まった。戦闘機のミサイルならもちろんの事、下手すれば手持ちの爆薬一個で台無しになりかねない。
莫大なおカネが関与する建造物がそんなもんで簡単に吹っ飛ぶなら、テロリストが喜んで壊そうとするであろう。危険すぎるのである。




因みに、SFフィクションに出る軌道エレベータのほとんどは、謎の新物質により軌道エレベータが出来るという設定がある。 

なお、SF作品のフィクションではよく登場し、便利な所を強調しているが、リアルではかなり微妙な部類の機械だったりする。
良いんだよロマンがあれば!
この違和感を解決するためSF製作者は今日も軌道エレベータ実現するに値する設定を今日も考えているのである。
宇宙でしか手に入らない有用資源や宇宙に住んでいる人がいるための交通機関などなど。



余談

タグのうさみみデリバリーズ!!は、とある条件を満たすと入れる『べるの先生の青空授業「なぜなに軌道エレベーター」』の事を指す。
初心者でも解る程丁寧に軌道エレベータについて説明され、下手しなくても授業で使えんじゃね?と言われるくらい。

発売して既に八年近く経つが、科学技術が飛躍的に伸びている現在でも十二分に使えると色々凄い。
興味がある人は見てみては?


後、星空へ架かる橋とは一切関係ない。



■軌道エレベータの登場する作品

楽園の泉(アーサー・C・クラーク、軌道エレベータモノの元祖にして最高峰)
南極点のピアピア動画(野尻抱介、ニコ厨としても有名)
∀ガンダム
機動戦士ガンダムSEED ASTRAYシリーズ(ただし頂点部分しか完成していない)
機動戦士ガンダム00
Gのレコンギスタ
宇宙の騎士テッカマンブレード
劇場版 仮面ライダーカブト GOD SPEED LOVE(実写映画で軌道エレベータが登場した世界初の作品)
トップをねらえ!
超時空世紀オーガス
交響詩篇エウレカセブン
ロックマン10
ロックマンX8
スターオーシャン ブルースフィア
星ぼしに架ける橋(上記のエロゲとは全く異なるので注意)
夜明け前より瑠璃色な
FRONT MISSION SERIES GUN HAZARD(最終決戦の舞台が軌道エレベータ)
トリニティ・ブラッド
ガンハザード
アクセル・ワールド
バイオメガ(大陸係留索)
ゼノサーガ エピソードIII
ゼノブレイド2
無限航路
銀河英雄伝説
ARMORED CORE 2及びARMORED CORE 2 ANOTHER AGE
メタルマックス3(無重力を利用して医療品の生成)
銃夢
とある魔術の禁書目録劇場版
爆走兄弟レッツ&ゴー!!MAX
エースコンバット7
勇者警察ジェイデッカー(倒壊事故への対処を前後編で描く)




追記、修正は軌道エレベータの終点からお願いします。

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最終更新:2024年01月17日 18:15