変異種/Morphling(MtG)

登録日:2009/05/27 (水) 21:16:33
更新日:2022/12/08 Thu 21:24:10
所要時間:約 5 分で読めます




トレーディングカードゲームマジック:ザ・ギャザリングに登場するカード。
のクリーチャ-。ウルザズ・サーガに収録され。レアリティはレア。

以下カードテキスト。

変異種/Morphling (3)(青)(青)
クリーチャー - 多相の戦士(Shapeshifter)
():変異種をアンタップする。
():変異種はターン終了時まで飛行を得る。
():変異種はターン終了時まで被覆を得る。(このパーマネントは呪文や能力の対象にならない。)
(1):変異種はターン終了時まで+1/-1の修正を受ける。
(1):変異種はターン終了時まで-1/+1の修正を受ける。
3/3

古の青の最終兵器。青使いにしてみれば最大の相棒、それ以外の色のプレイヤーには(場合によっては青使いにとっても)正に青い悪魔。
パーミッションタイプのデッキに変異種を出されてしまえば、そのターンにどうにかしないとほぼ詰みである。

まず5個もあるその能力に目がいくが、その能力1つ1つが強力。
マナさえあれば毎ターン実質5/1、飛行、警戒、被覆が殴りかかってくることになる。

破壊しようにも呪文や能力の対象にならないし、対象をとらない
神の怒り等で対処しようとしてもカウンターが飛んでくるのが落ちであり非常にやっかい。

5番目の能力はパワーが0になっても使用できるので、マナさえあればいくらでもタフネスを上げることが出来る。
ただしそれ以降はパワーはマイナスの値になってしまうので、一旦タフネスをしこたま上げても4番目の能力を使ってパワーを6以上にすることは出来ない。

昔はマスティコアと並び古今無双のクリーチャーとして名を馳せていたが、最近はクリーチャーが強さのインフレを起こしている為か影が薄くなってきている。

イラストを見ると、同じ人物が向かいあっているように見えるが、よーく見てみると違いがわかる。
クリーチャータイプは多相の戦士。
多相の戦士といえば、別のクリーチャーのコピーになるカードが多いのだが、ルールが非常に複雑になるためしばらく登場しない時期があった。
変異種は多相の戦士の特徴をよく表現した応用の効くクリーチャーである。
ウルザ・ブロックが最盛期の時はキーカードとして、多くのデッキのフイニッシャーとして採用された。



―と、以上のように、基本セット2010に伴うルール変更以前はエターナル等の下の環境でもしばしば見られる程優秀なクリーチャーであった筈が、基本セット2010と共に導入された

  • 戦闘ダメージはスタックを使用しない

このルールにより大幅に弱体化。
どういうことかというと、以前は

「4つ目の能力でパワーを5まで上げ相手のクリーチャーをブロック(6まで上げるとタフネスが0になり墓地に落ちる)」
「「相手に5の戦闘ダメージ与える」「自分が相手のパワー分のダメージを受ける」ことがスタックに乗る(ブロック解決)」
「5つ目の能力で相手のパワー以上にタフネスを上げる」
「スタックが解決され、相手からの戦闘ダメージを受けるが耐え切る」

といった具合に「戦闘で互いの受けるダメージを決める」ことと「実際にダメージを受ける」ことの間に能力を使うことの出来るタイミングがあったため、マナさえあれば実質5/∞の大型クリーチャーとして振舞うことが可能だったのだが、

「戦闘ダメージがスタックに乗らない=ブロック解決後に5つ目の能力を使うタイミングがない」
ということになった。
大型クリーチャーのブロック自体は変わらず出来るが、
致死量のダメージに耐えつつ相手のタフネス5までのクリーチャーを討ち取る、ということが不可能になったのである。
その為に現在では、往年を偲ぶクリーチャーの代表格としてファイルの中に眠る以上の役割を望む事は難しくなってしまった。
青使いとしては悔しい限りである。


非常に強力なため、リメイクが多く作られている。
各色ごとに存在するリメイクはメガ・メガサイクルになっている。青担当はもちろん本家変異種である。


Pemmin's Aura / ペミンのオーラ (1)(青)(青)
エンチャント — オーラ(Aura)
エンチャント(クリーチャー)
():エンチャントされているクリーチャーをアンタップする。
():エンチャントされているクリーチャーは、ターン終了時まで飛行を得る。
():エンチャントされているクリーチャーは、ターン終了時まで被覆を得る。(それは呪文や能力の対象にならない。)
(1):エンチャントされているクリーチャーは、ターン終了時まで+1/-1または-1/+1の修整を受ける。

変異種になれるオーラ。カード名は「I am Superman」のアナグラム。
一度つければどんなクリーチャーでも本家同様凶悪な性能になるがこのオーラ自体には一切の耐性がないので注意。


炎異種/Torchling (3)(赤)(赤)
クリーチャー - 多相の戦士(Shapeshifter)
():炎異種をアンタップする。
():クリーチャー1体を対象とする。それはこのターン、可能ならば炎異種をブロックする。
():炎異種だけを対象とする呪文1つを対象とし、それの対象を変更する。
(1):炎異種はターン終了時まで+1/-1の修正を受ける。
(1):炎異種はターン終了時まで-1/+1の修正を受ける。
3/3

茨異種/Thornling (3)(緑)(緑)
クリーチャー - エレメンタル(Elemental) 多相の戦士(Shapeshifter)
():茨異種はターン終了時まで速攻を得る。
():茨異種はターン終了時までトランプルを得る。
():茨異種はターン終了時まで破壊不能を得る。
(1):茨異種はターン終了時まで+1/-1の修整を受ける。
(1):茨異種はターン終了時まで-1/+1の修整を受ける。
4/4

それぞれに変わったリメイク。
後に完成した変異種サイクルの共通点として、
  • 《○異種/△△/ling》というカード名
  • 3つの色マナ1つを要求する起動型能力
  • 無色1マナでP/T変更する起動型能力
を有する。

色が変わったためかなり攻撃的な能力に。
前者はスタンダード登場から退場するまで日の目を見ることが無く、残念な子扱い。
後者は枚数こそ積まれないが徐々に使用率を上げつつあったが、結局主軸になることはなくスタンダード落ち。

20年の時を経て変異種サイクルが完成したが、茨異種だけイラストが本家リスペクトでないのが残念*1


霊異種/Aetherling (4)(青)(青)
クリーチャー - 多相の戦士(Shapeshifter)
():霊異種を追放する。次の終了ステップの開始時に、これをオーナーのコントロール下で戦場に戻す。
():このターン、霊異種はブロックされない。
(1):霊異種はターン終了時まで+1/-1の修正を受ける。
(1):霊異種はターン終了時まで-1/+1の修正を受ける。
4/5

最も直接のリメイク。
1マナ重くなった代わりに一回りサイズが大きくなり、能力が4つになった。
単純な能力は1つ減ったが、一番目の能力で出来ることは擬似的な警戒、一時退避によるほぼ最強の除去耐性などと非常に多彩。更にサイズが大きくなった事もあり下手したら本家以上にしぶとい。
なお、能力が4つになったのは一番目の能力が多芸な事に加えて、ルール文章の隙間がなかったため。
本家同様青系コントロールデッキのフィニッシャーとして活躍した。当時のコントロール同士の戦いは長丁場になりやすかったため、「対処できそうにない状態でこのカードが着地したらすぐ投了」という、文字通りのフィニッシャーだった。
イラストが一応2人の人物が描かれているものの、この能力と合致しているかと言われると…ちょっと微妙なところ。

Brightling / 光異種 (1)(白)(白)
クリーチャー — 多相の戦士(Shapeshifter)
(白):ターン終了時まで、光異種は警戒を得る。
(白):ターン終了時まで、光異種は絆魂を得る。
(白):光異種をオーナーの手札に戻す。
(1):ターン終了時まで、光異種は+1/-1か-1/+1の修整を受ける。
3/3

霊異種から5年の時を経て登場した新規のリメイク。今度は白になった。
P/T増減能力が1つに纏められて能力が4つになっている他、小粒クリーチャーに優れる白に移ったおかげか2マナも軽量化している。
特殊セット出身のためスタンダードでは使えないのが残念だが、白ウィニーデッキの新たな一員としての活躍が期待される。
主にレガシーの「デス&タックス」などで用いられていたが、最近は評価を落としているようだ。


Endling / 終異種 (2)(黒)(黒)
クリーチャー — ゾンビ(Zombie) 多相の戦士(Shapeshifter)
(黒):ターン終了時まで、終異種は威迫を得る。
(黒):ターン終了時まで、終異種は接死を得る。
(黒):ターン終了時まで、終異種は不死を得る。(このクリーチャーが死亡したとき、これの上に+1/+1カウンターが置かれていなかった場合、これを+1/+1カウンターが1個置かれた状態でオーナーのコントロール下で戦場に戻す。)
(1):ターン終了時まで、終異種は+1/-1か-1/+1の修整を受ける。
3/3

最後にモダンホライゾンで登場した黒版リメイク。このカードの登場により、変異種サイクルが完成した。
黒らしくゾンビになっている他、白ほどではないがウィニーに優れる為か1マナ軽量化。
スタンダードでは使えないが、モダンでは使える。


Greater Morphling (6)(青)(青)
クリーチャー — 多相の戦士(Shapeshifter)
(2):Greater Morphlingは、バンド、武士道1、二段攻撃、畏怖、飛行、先制攻撃、速攻、好きな土地渡り、好きな色1色からのプロテクション、挑発、ランページ1、シャドー、トランプルのうち、あなたが選んだ1つをターン終了時まで得る。
(2):Greater Morphlingは、ターン終了時まであなたが選んだ1色の色になる。
(2):Greater Morphlingは、ターン終了時まであなたが選んだ1つのクリーチャー・タイプになる。
(2):Greater Morphlingのエキスパンション・シンボルは、ターン終了時まであなたが選んだ1つのシンボルになる。
(2):Greater Morphlingのアーティストは、ターン終了時まであなたが選んだ1人のアーティストになる。
(2):Greater Morphlingは、ターン終了時まで+2/-2か-2/+2の修整を受ける。
(2):Greater Morphlingをアンタップする。
5/5

銀枠で出たパロディ。起動コストが全部不特定2マナだが得られる能力が異常に多い。が地味に耐性能力はプロテクションしかない。
銀枠らしくアーティストとかエキスパンション・シンボルといった普通にマジックする分にはどうでもいい部分も変えられる。
ちなみに能力が多すぎてイラストが非常に狭い。もっとも、銀枠なのでこの辺は序の口なのだが…




余談だが、全盛期の変異種のシングル価格は一枚3000〜5000円
と非常に高く学生プレイヤーには敷居が高いカードだった。
日本人のMtGプレイヤーは青を好む傾向にあるらしくそれが原因だろうか。

因みに筆者は、パリンクロンで妥協してました(パリンクロンも高かったけど)。


Sphinx of Jwar Isle / ジュワー島のスフィンクス (4)(青)(青)
クリーチャー — スフィンクス(Sphinx)
飛行
被覆(このクリーチャーは呪文や能力の対象にならない。)
あなたはあなたのライブラリーの一番上のカードをいつでも見てもよい。
5/5

時は流れ、ゼンディカー。時のらせん~ローウィンでやらかしまくった青の弱体化が図られる中、ひっそりと注目を浴びたカードがあった。
変異種より1マナ重いが、「マナをつぎ込みまくった変異種」を思わせる完成態のようなカード。「タフネスを6以上にできない」「アンタップできない」という弱点こそあるが、こちらは「被覆を得たり打点をつぎ込むのにマナがいらない」「素のタフネスが高いのでマイナス修正に強い」など、普通に運用する分にはむしろ初期投資1マナだけではおつりがくるほどである。
《変異種》は当時レガシーの青単BTBなどでも用いられるカードだったが、ここにきて役目を終えた感がある。何せ《変異種》は往時の名カードということもあり値段が張るが、こちらはフェッチランドのオマケのような扱いで非常に安く手に入ったのだ。
甲乙つけがたいと言われることがあるが、登場時期のレガシーを基準で考えたら入手性も含めてこっちに軍配が上がる。
ライブラリーの一番上のカードを見るというのも、デッキをシャッフルするタイミングなどを見据えることができるので地味ながら役に立った。当時はその物珍しさから、気心の知れた相手とやるときはわざとらしくライブラリートップを見たりしたものである。うーん、負けそうじゃ…

ただ結局このカード、「単に強い」だけであり、《変異種》最大の魅力である「マナをつぎ込んでガチャガチャやる面白み」がないのが最大の難点。
その後、青単BTBの衰退や、環境に増えてきた取り回しのいい全体除去、そしてインフレを受けて、今やこのカードを覚えている人間もすっかり少なくなった。


追記、修正はご自由にどうぞ

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • MtG
  • クリーチャー
  • ウルザズ・サーガ
  • レア
  • 過去のエース
  • 青い悪魔
  • 最強のクリーチャーの一角
  • ルールに殺された
  • 変異種
  • Morphling

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2022年12月08日 21:24

*1 当時のMtGは開発の裏話として、イラストの流用をよく話していた(野生のナカティルなど)。おそらくこのカードも、そういった都合でこのイラストになったのだろう。