ワルサー WA2000

登録日:2011/09/02 Fri 10:12:15
更新日:2023/12/10 Sun 01:02:07
所要時間:約 5 分で読めます



ワルサーWA2000とは、ワルサー社が開発した狙撃銃である。


○諸元

全長 905mm
銃身長 650mm
重量 6950g
口径 7.62mm
装弾数 6
発射形式 セミオート
有効射程 1000m
製造 ワルサー社(ドイツ)



○開発経緯

1972年に起きたミュンヘンオリンピック事件で犯人を取り逃がすという大失態を犯してしまった西ドイツ当局。
理由は様々なものがあるが、その一つは当局の狙撃手*1が使用した狙撃銃スコープもついていない普通のアサルトライフルだったから*2と言われている。
二度とこのような失態を犯すべからずと当局はドイツ国内のメーカーに「オートマチック式でかつ命中精度の高い狙撃銃」の開発を依頼する。
その依頼を受けて開発されたのがワルサー社の狙撃銃WA2000である。



○特徴

ブルパップ方式の採用で銃の全長を抑えつつも銃身を長くすることに成功している。
先述した要求の通り、自動排莢の為のシステムや部品間のクリアランスなど考えなければいけない点が多く、命中精度が第一の狙撃銃では当時珍しかったセミオート式を採用。
高精度の部品を使う事でボルトアクション並の命中精度を実現し、一撃目を外しても次弾を素早く撃つことができる。

他にも二脚とハンドガードをバレルの上下に通っている二本の金属レールに取り付けることで、バレルとの干渉を極力減らすよう工夫されている。
バレルの表面には溝が掘ってあるので、表面積が増え放熱効果が高まり、連続発砲時の銃身の歪みを防いでくれる。



○実際どうなのさ?

結果から言うと不採用。採用されたのはH&K社のPSG-1

H&K PSG-1と比べて
+二脚が標準装備
+銃身長は同じだが、全長が30cm程短い
+1kgほど軽い
+フラッシュハイダーがある
+仕様弾薬が多い(3種類)
−短い割にごつい。
−それまでの銃とは大きく異なる構造なので、新しく操作を覚えなければならない

どちらも値段が高いのは同じでコンセプトも同じである。命中精度も非常に高く、性能は甲乙つけがたいのだが…
実際、操作性の問題は案外大きいと思われる*3。あとは斬新すぎる見た目だろうか?



○前期型と後期型

【画像跡】
前期型。一見フラッシュハイダーが無いようにも見えるが、これはハイダーにさらにカバーを被せているため。

【画像跡】
後期型(上の画像)
フラッシュハイダーの形状変更、グリップが肉厚になり、ストック後方下部に出っ張りが付いた*4
機関部にも手が加えられたとの噂があるが、詳細は不明。



○登場作品

  • 007リビング・デイライツ
オープニングにてジェームズ・ボンドが狙撃の際に使用。

アニメ一期第9話にてエッタが使用。

S.A.C.2ndGIG14話にて若き日の少佐が使用。
ショートバレル化してあるらしい。

警官が犬を…(´;ω;`)ブワッ

パトラが砂漠迷彩の物を使用(作者オリジナル)。

  • MGSPW
後半になってから開発できる狙撃銃。
ただ同時期に開発できるSVDナイトビジョンなどと比べ特段精度が良いわけでもなく、むしろ徹甲弾が使えない点で劣る。

衛宮切嗣が対魔術師仕様にして使用。

全てのモードで登場。
スペシャルオプスで敵のギリースーツ兵が装備している他、マカロフの隠れ家の武器庫にサーマルスコープが装着されているものが置かれている。

ゾンビモード以外のモードで登場。
キャンペーンでは主人公メイソンがベトナムで使用した。
ちなみに本作はキューバ危機ベトナム戦争の時代を舞台としているので、本来なら1970年代に開発されたWA2000は存在しない*5

「SIEGER300」という名で登場。
高倍率スコープ、サプレッサー、マークスマン(一時的に時間の流れを遅くする能力)を所持しており非常に使い勝手が良いが、
ある程度ゲームをやり込まなければ(具体的には、特定ミッションのマスターレベルをかなり上げるなどしなければ)入手できない。

初期から実装されている☆5ライフル。
素のステータスが高く、スキルで射速を大幅に高める事ができるので、ライフル系に共通する弱点である射速の遅さを補う事ができる。
結果として、初期からの実装キャラであるにもかかわらずライフル系で最強の一角に居続けているイレギュラー的な存在。

  • BLACK
「アタコーヨ!」「間違えた」などの空耳で知られる、PS2時代の良作FPS。
使用できるステージが限られるが、爆発物を除けば最高の威力を持ちどんな敵でも一撃で倒せる。
なお、マガジン交換の動作を見せるためにブルパップ方式ではなくトリガーの前側にマガジンが接続される構造に改変されている。
ちなみに敵の狙撃兵も一部ステージでこの銃を使うのだが、敵が使うと「射撃の瞬間、自分と敵の間に遮蔽物がなかったら100%被弾する」という恐ろしい仕様になっている。


○余談

  • ミュンヘンオリンピック事件の後、イスラエルはレバノンに侵攻している。この侵攻が第四次中東戦争を引き起こした間接的な理由とも言える。
    そして日本ではトイレットペーパーが買い占められる…

  • 不採用の煽りか、市場価格が9,000~13,000ドル(元々は7,000)と跳ね上がる。
    勿論売れるわけはなく、1985年から1989年まで150挺程度が製造されるに留まったらしい。

  • エアガンでは、過去にはアサヒファイアーアームズが電磁弁式のガスガンを販売していたことがある。
    その後、日本のGENETH、香港のARESからも発売され*6、さらに後に
    台湾のBESTGUNがエアコッキング式を発売したが、現在ではこれらすべて絶版となっている。





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最終更新:2023年12月10日 01:02

*1 もっとも「狙撃手」といっても単に射撃の成績が良かった一般警察官であり、専門的な狙撃の訓練を受けていなかったのだが

*2 よく言われる「狙撃銃がボルトアクション式だったから」というのは誤り。対応に当たったミュンヘン警察は一応高度なボルトアクション式狙撃銃を持っていたが、それを使うための狙撃手の訓練がなされていなかったために事件への投入は見送られている

*3 この銃を使うような特殊部隊は徹底的に訓練するため、一般兵士や警官よりはハードルは低いであろうが

*4 この出っ張りはバイポッド使用時に左手を添えるためのグリップ。

*5 この銃以外にも年代的に本来なら存在しないはずの銃器が登場している

*6 これらはアサヒ版のコピーモデルとされる