シルエットガンダム

登録日:2011/11/15(火) 23:24:22
更新日:2024/01/20 Sat 19:45:15
所要時間:約 4 分で読めます




シルエットガンダムとは、「機動戦士ガンダム シルエットフォーミュラ91」に登場するMS。
改を含めた両機ともデザインは大河原邦夫氏が担当。F91に比べて角ばったデザインや所々に目立つ機械の線の多さは「AEの解釈するガンダムF91」という感じを漂わせている。

型式番号:RX-F91
頭頂高:15.4m
本体重量:8.5t
全備重量:21.7t
出力:4,570kW
総推力:92,080kg
装甲材質:ガンダリウム合金セラミック複合材

武装(配置位置):
バルカン砲×2(頭部左右一対)
メガマシンキャノン×2(肩口襟元左右一対)
ヘビーマシンガン×2(左前腕袖口上下一対)
ビームスプレーガン(右腕外側設置)
ビームサーベル×2(背部専用ホルダー左右一対)
ヴェスバー/ビームキャノン×2(背部左右一対)
ビームシールド(左腕外側設置)
ビームライフル(携行装備)

パイロット:
トキオ・ランドール(正規パイロット)
レイラ・ラギオール (臨時搭乗者)


アナハイムの小型MS開発計画「シルエットフォーミュラプロジェクト」の一つの到達点として開発された。
外観はF91に似ているが、それもそのはずサナリィからデータを盗んで開発したのである*1

バイオコンピュータは当時サナリィ側にも実機はF90Ⅱ搭載の試験型しか存在しない為再現出来ず、高性能教育型コンピュータで代用している。これを用いた「MACSS(MAneuver Control Support(Sampling) System」によって、試験運用時にマニューバーデータのサンプリングを行いデータを蓄積。無駄挙動や危険行動を制限する、次期主力量産機の一般兵用マニューバプログラムを生成する機構が備わっている。データ収集またはプログラム未成熟の為か、コンソール上には通常コンピュータが自動設定する機体バランスをマニュアル設定するタブがある。
熟練パイロットに対しては一般兵用プログラムは一種のリミッターとなってしまう。MACSSを切って完全手動設定にすれば機体本来の俊敏な機動性を取り戻せ、その時の瞬発力は当時最大級とされるが、パイロットの負担も大きい。
このため、アイリスは「機体性能が不安定なほど機敏になる」と語った。
また機体の素材は既存品(フレームはヘビーガンの物の流用改造品)で作られたため、重量はF91を上回っている。
一方でジェネレーター出力は勝っているため、カタログスペックはF91と同等の性能を持っている。
またあくまで実験機であるためか推進剤は多く搭載されておらず、稼働時間は短い。

模倣元であるF91と比較するとサイコミュ機能的な上乗せ部分は無いが、堅牢な機体構造や高いジェネレータ出力など、先進性よりも堅実性に振った設計であるといえる。

F91の模倣という目的で開発された機体ではあるが、一方でF90と同様に、技術開発用の検証機としての側面もあり、仕様変更が容易な構造で、各種予備・追加パーツ等も用意されており、拡張性は高い。シルエットガンダム改への改装後は、アナハイム内部における小型MS開発のスタンダードとして活用されたといわれている。


【武装】

◆60mmバルカン砲
頭部に装備している近接防御火器。

◆メガマシンキャノン
胴体側の両肩口(襟元)に装備している実体弾射撃火器。
バルカンと似た用途の装備だが、より大口径でより強力。

◆ヘビーマシンガン
左腕の袖口付近に上下一対二基装備された実体弾射撃火器。1/100の模型ではこの部分は正面側がただの窪みの為銃火器とは思われない事が多く
スラスターだのアポジだのと言われがち*2。Gジェネ等では左右非対称パーツでもあるせいか再現されていない。

◆ビームスプレーガン
右腕部に装着された小型ビーム射撃兵器。
F90Vタイプのメガガトリングガンの模倣と思われる武装で、よく本装備がメガマシンキャノンやヘビーマシンガンと間違われる。
漫画版では作画時の負荷になる為か最初から装備されていない。

◆ビームサーベル
近接白兵用ビーム兵器。グリップ部にハンドガードの付いた本機独自の仕様となっている。
バックパックの専用ホルダーに左右1対2基装備。

◆ビームキャノン併設型V.S.B.R
バックパックに左右一対二基接続された可変速ビーム射撃兵器。可動肢があり、フレキシブルに可動する。
盗用技術に不安を抱いていた*3ためかヴェスバーには大容量メガコンデンサ用のスペースにビームキャノンを同軸併設しており、また機体にはクランクアームで接続した固定火器となっている。
そのせいでサナリィ純正であるF91用のヴェスバーよりも射角が広く、着脱機構を持たない分喪失しにくくなりエネルギー供給も安定、ブレが抑えられているおかげで射撃精度も高くなっているので一概にデッドコピーとは言えない。
ほぼ可動式バインダーのようなものなのでAMBAC肢としての性能が高く、改装後には増設バーニアが組み込まれてスラスターユニットとしての機能が高められた。
エネルギー供給が安定している為かサナリィ純正のF91のヴェスバーでは貫通出来ない「Iフィールド*4を貫通可能」と一部資料で記されている。

◆ビームシールド
AEでは技術を解析しきれない新技術であった事やF90Vで問題視されていた動作の確実性を重視した為か、
ビームシールドを「発生範囲の広いビームサーベル」として解釈し発生器を大型化し、シールドビーム発生域も二分割された狭い範囲の物としている。
その上で実体部である発生器自体を小型の実体盾として使用出来るレベルに装甲化し、更に基部をリング型コネクタとする事で回転させ肩アーマーなどとの干渉を防ぐギミックを付けている。
文章設定では「しかし後にこの形式の利点も発見されている」とされているが具体的内容は不明。
ビームシールドはフォーミュラ戦記版ベルガ・ダラスゾロアットの様なビームカッター機能に転用し易く、
発生器自体も小型実体盾としての強度がある為、実体盾としての使用や殴打兵器としての転用も可能など解釈が出来る為、これ等の点が利点の内に入っている可能性は有る。
漫画版では途中の整備時に外された様な描写が有って以降、装備していない。

◆ビームライフル
ヘビーガンやGキャノンの使用する当時の連邦一般規格ビームライフルを改造したと思しきワンオフデザインのビームライフルを装備する。
Eパックらしきパーツは銃機関部後ろの上に付いている。


[劇中での活躍]
前半の主役機として登場。漫画版では右腕のビームスプレーガンは最初から最後まで装着されず、ビームシールドは途中で外されて以降装備していない。
実験機という面が強調されており、予備パーツが無いから丁寧に扱ってくれとの嘆きも聞かれた。また前述の瞬発力も発揮し、トキオはこれを乗りこなしている。
ダーク・タイガー隊のデナン・ゲーを撃墜する際にビームライフルとヴェスバーの同時撃ちを披露している。
ガレムソン達との決戦ではネオガンダム2号機にトキオが乗り換えた為、無人状態だった機体にレイラが成り行きで乗り込み、
この際ビームライフルはエイジャックス内に置き忘れた為か固定武装のみの状態となり、
その状態でガレムソンが乗るネオガンダム1号機と戦い、トキオ達との共闘でネオ1号機を叩き斬り、両親の仇を討った。
レイラ操縦時の描写から察するにMACSSは切られたままの状態と思われる。


[バリエーション]
◇シルエットガンダム改

型式番号:RXF-91A
頭頂高:15.4m
本体重量:9.2t
全備重量:21.4t
出力:4,890kW
総推力:91,480kg
装甲材質:ガンダリウム合金セラミック複合材

武装:
バルカン砲×2
メガマシンキャノン×2
ヘビーマシンガン×2
ビームサーベル×2
ビームシールド
(ここまでは改修前と変わらず)
ヴェスバー/併設ビームライフル×2
ビームライフル/アドオン式グレネードランチャー(ビームグレネード説有)
グレネードランチャー

パイロット:トキオ・ランドール


小説版ではトキオがシルエットガンダムでダークタイガー隊の包囲網を単機突破する一幕があり、
この時損傷したシルエットを月のAEグラナダ工場で改修した機体(なので、一番著名な漫画版では登場しない)。

胸部からコクピットまで増加装甲の追加、ジェネレーター出力の向上、新型ヴェスバーへの換装など徹底した改修がなされた。
総合性能ではネオガンダムに劣るものの、リミッター解除時の瞬発的な性能では勝る部分もある。

【武装】

(変更の無い点は先述の改装前の本機のデータを参照)

◆グレネードランチャー
右腕のビームスプレーガンを換装する形で装備。徹甲弾や多目的弾の多い機銃とは性質の違う榴弾系の実体弾火器が追加され火力種の幅が広がった。

◆グレネードランチャー付きビームライフル
現実のアサルトライフルのアンダーバレルモジュール火器の様に銃身部に追加されたランチャーが付いたビームライフル。
実体弾のグレネードとビームグレネードの二説が有り現状は結論不明である。

◆ビームライフル併設型V.S.B.R
ヴェスバーはネオガンダムのGバードの技術を活かした物*5となっており、それ自体が可動式多方向スラスターユニットの機能も有しているためさらなる高機動化が果たされた。
併設同軸火器はヴェスバーの再現が成功した為、必要出力や威力が過剰なビームキャノンから適切な出力・威力に抑えたビームライフルへ変更されている。
ビギナ・ギナⅡのフレキシブルウィングノズルやビギナ・ゼラのヴェスバーに近い仕様となっている為、ゼブラゾーン事件後にブッホ側の技術提供も受けてこのフォーマットになった可能性も有る。

◆ビームシールド
一応文字設定では「ビームシールドの小型化に成功、改めて装備した」という内容が記されているが1/100の模型ではシルエットガンダムのビームシールドそのまま。
ただ、この文字設定記述や関連機体の情報を鑑みるならばネオガンダムかジェムズガンジャベリン仕様のビームシールドに近い物も装備されていた可能性が高い。
シルエットガンダムのビームシールドは先述の通りコネクタ式になっており、設定画稿でもコネクタ基部やビームシールド接続部の設定画がある為その規格に準じていれば付け替えが可能だったと思われる。

[補足]
この機体はアナハイムがサナリィからデータを盗用して作ったとされるものだが、サナリィもまたキャノンガンダムに見られる高級カスタム路線を売り込みたがっていたことが発覚、これに不信を覚えた連邦はアナハイムにデータを意図的に流し、ある意味では連邦にとっての保険として作られた機体とも言える。
ちなみにサナリィは大規模なMS製造設備を持たずGキャノンについてアナハイムに製造を委託していたが、極度の秘匿体質からジェネレーター等の技術開示を拒否、このことがアナハイムとの確執を深めることに繋がり、また連邦からの不信を買う原因となった。




[ゲームでの活躍]
◇Gジェネ
性能はそれなりにあるものの、F91に比べると使い辛い面が目立つ。
ハリソンを乗せなくてもヴェスバーが通常で使えるなどの利点はあるが、燃費が良くないうえにヘビーマシンガンでは物足りない所がある。
そもそも右腕のアレはヘビーマシンガンではなくビームスプレーガンなのだが…。
ビームライフルが使えたら…という声が大きかったのか「OVERWORLD」では使えるようになった。
代わりにヘビーマシンガンがなくなったが(より漫画版の表現・戦歴に近いイメージになったとも言える)…。ただ、それと同時に燃費も改善されている。
改になると多少性能は向上し、特に魂ではヴェスバー(強)が撃てるのが大きい。
それと作品によっては開発していけば本家F91が作れるため将来的にはクロスボーン・ガンダム系統やヴィクトリーガンダム系統に発展できるし、
なによりG-バードしかないがあるネオガンダムに派生するので、使う価値は十分ある。

但し、何を思ったのかWARS以降、改はリストラ……。

□立体化


展開当時に1/100キットが発売された。
ただし商品名は何故か「ガンダムRXF91」。
このネーミングのため、シルエットフォーミュラを知らない人からはF91の強化版だと勘違いされがち。
(余談だが、近い年代に展開された某チートライダーと名前も似ている)

改のキットは改装前のパーツが全て入っている為コンパチで作る事が可能。
基本的には当時の水準のクオリティでヘビーマシンガン部の再現の甘さ位しか悪い所は無い。
2020年代以降の再キット化の際の課題は設定通り左腕ヘビーマシンガンを再現したりビームスプレーガンを着脱可能にしたり等のギミック再現や色分けなどがメインだろうか。


○その他

SDガンダム外伝では、第三期シリーズである『聖機兵物語』にて登場。
ただし何故かF91の強化形態扱いになっており、円卓の騎士の一人「灼熱騎士(バーニングナイト)ガンダムF91」が「幻影騎士(シルエットナイト)ガンダムRXF91」にパワーアップする。
一方のSD戦国伝では、『伝説の大将軍編』にてF91こと「衛府弓銃壱(烈光頑駄無)」とは別人の「月光頑駄無(烈破頑駄無)」として登場。元ネタのシルエットという名前からか忍者キャラである。


追記・修正は次世代機のデータを元にお願いします。

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最終更新:2024年01月20日 19:45

*1 盗用されたのはF90VのデータなどF91開発初期のデータであり、厳密にはF91そのもののデータではない。なので良く見るとF91には余り似ておらず、F90の方が似通った部分が多い。

*2 よく見れば機銃系火器を示すデティールである排気スリットが周辺に見えるのだが

*3 当時の最新技術の粋を集めた兵器なので、サナリィでもヴェスバー開発失敗に備えてF91のバックキャノンタイプでは既存のビームガトリング仕様が用意されていたほどである

*4 F91の物の解説の為おそらくラフレシア搭載の物

*5 このためかヴェスバーには「G-BRD」のマーキングが記されている。