張五飛

登録日:2010/08/09(月) 23:52:46
更新日:2023/10/20 Fri 18:10:08
所要時間:約 9 分で読めます





正義は俺が決める!



新機動戦記ガンダムW』の登場人物。

年齢:15歳
身長:156cm
体重:46kg
人種:中国系
乗機:
シェンロンガンダム/アルトロンガンダム
ウイングガンダムゼロ
声優石野竜三


張五飛で「チャン・ウーフェイ」と読む。
その名の通り中国系人種。
名前の由来は数字の「」+三國志の張飛


ただでさえ協調性のない本作のガンダムパイロット達の中でも特に我が強く扱いづらい人物。
喋り口調こそ理知的であるものの、性格はかなりの直情径行であり、自分なりの「正義」への拘りが非常に強く、「悪」と見なした物を徹底して憎み、コロニーを落とす「本来のオペレーション・メテオ」に反発して地球に降下した。
本作におけるガンダムパイロットは基本的に皆リアルファイトが強いが、彼に至っては作中最強クラスの武術の達人であり当然のように生身でもめちゃくちゃ強い。

そんな彼だが、かつてはあまりに武術が強すぎたがゆえに却って興味をなくし学問に没頭していたギムナジウム通いのインテリ坊っちゃんだった。なんと当時は眼鏡キャラでもある。
正義や悪といった個人の思想にも一切興味はなく、歴史の流れは誰にも決められないと冷めきっており、
当時老師Oが組み立てていたガンダムを「クズ鉄」と言い切るなど、現在からは考えられないような性格だった。

そんな折、一族のしきたりとして、竜老師の孫で自らを「ナタク」と名乗る妹蘭という少女と結婚する事になる。
お互いに納得のいかない結婚を原因として手合わせに発展し、当時既に武術の達人だった五飛は妹蘭を一蹴。

「あの女が竜一族の守り手では心許ない」として、老師Oの開発したガンダムに「シェンロン」と名付けた。

しかしある日、OZにより竜一族のL5コロニーが襲撃されるという事件が起きる。
予備パーツで組上げられたトールギスで妹蘭は出撃するが、トールギスのもたらす凄まじい負担に倒れる。
その後、見かねてシェンロンに乗り込んだ五飛に救われ、二人は一面の花畑の中で初めて等身大の少年少女として素の一面を見せ合ったのも束の間、力尽きた妹蘭は五飛の隣でそのあまりに短い命を散らしてしまう。

この妹蘭の死により、五飛は彼女の夫として正義に生きる事を決め、愛機シェンロンに「ナタク」と名付けるが、
本来のオペレーション・メテオによりL5コロニーが地球に落とされると知って竜老師らに反発。独自にオペレーション・メテオを実行に移した。



…………と、なかなか悲劇的かつ5人のガンダムパイロットの中でも屈指のドラマチックな出自なのだが、これらの前日譚はTVアニメ版の劇中では全く触れられておらず*1、放映時はそんな事情は作中の登場人物も視聴者も知らないし(というかそもそも放送当時はあらゆる媒体で描写されていないのでガチのマニアでも知り得なかった)、
パッと見だとやたら正義を連呼したり、勝手に突っ走っては落ち込んだりするというエキセントリックな人物に見えてしまい、そのフリーダムっぷりから本作品随一のネタキャラ扱いされてしまうことも。
また他の4人と比べ、共闘あるいは同道する機会が少ないため、必然出番が最もないが、代わりに独自の見せ場も存在する。
敵の考えを読むという面では5人の中で最も頭が冴えており隠れ頭脳派の片鱗を見せているのだが、本人の一匹狼気質もあり協調性に関しては序盤のヒイロ並か、下手するとそれ以下である。
但しヒイロと違って他人に迷惑かけることはほとんどないし、トロワに匿われ、あまり美味くはないコーヒーをご馳走になった際にはきちんと礼を言うなど礼儀は通せる性格でもある。
また、名前を打ち込む際に本来の読みである「うーふぇい」では変換できないため「ちょうごひ」と打ち込む必要があり、結果ファンからは「ごひ」の愛称が定着した。

「武術の達人」という設定だが、ヒイロ・ユイ始め変態揃いな他のガンダムパイロットを見ていると特別すごいものではないのでは?という見解も一部では存在するようだが、武術の他にも自分の意思で仮死状態になれる技能を持つなど十分おかしい人である。
そもそも「みんなめちゃめちゃ強い」というだけで、生身での単純な戦闘力なら5人中最も長けていることは確かであろう。
というか、5人の中で唯一ゼロシステムに惑わされることがなかった点を見れば、最も常軌を逸した人物とも言える。

キャストは当初は高木渉氏が内定していたらしく、当時のアニメ誌やムック掲載の企画書などでも確認できる。理由は不明だが石野竜三氏になったようだ。ちなみにヒイロ役の緑川光氏も五飛のオーディションを受けていたことを明かしている。
ここで高木氏で通していたら、後番組の主人公の評価も色々変わっていたかもしれない。

特に一部のスパロボシリーズ(主にF完)では、機体の扱いにくさやらシナリオ上の扱いにくさやら本人の扱いにくさやらでネタ扱いになることが多い。
基本的に序盤は敵軍におり、某黒い森と同様原作を知らない人にとって誤解を生みやすい(どうみてもガンダムではあるが)
ついでに「バグナタクにすら乗れなくなる」「女性蔑視発言で顰蹙を買う」「ズール皇帝こそが正義だ!」「重要な会議の席で半月刀持って暴れる」「条件を満たすまで何度も復活するため、稼ぎのために物凄い勢いで撃墜されまくる」「クロスオーバーで馴染み過ぎて完全に別作品のキャラ化(しかもやたらかっこいい)」「お前が再び道を誤る時が来たら、俺がお前を討つ→続編で自分が迷走しました」「隊長に就任したら部下が異様に濃ゆい野郎揃い」「張五飛(ちゃん・うーふぇい)」とネタは多岐にわたる。
その上ゲーム外でも攻略本の備考欄ではボロクソな評価を書かれるわ、4コママンガ劇場では(どのキャラも大差ないが)自身の拘りをネタとして思いっきりイジられるわと、ネタ扱いに拍車をかける。
※但し、攻略本での評価についてはむしろ他のキャラの方がボロクソに書かれていたりもするため、彼だけをネタとしてあげつらうのはフェアではないので注意が必要であるし、作中の彼の女性に対する言動についても妹蘭の件のトラウマから来る「女性に戦場に出てほしくない」という彼なりの不器用な優しさであり、悲痛な心からの訴えでもあるため、そこを理解せずにやれ女性蔑視だと責めるのはむしろ短絡的と言わざるを得ないし、仮に客演先でそう取られても仕方のない台詞があったとすれば、それはライターの落ち度だとも言える。

なお、乗機が相当カッコいい+中二心をくすぐるギミック系という事で、プラモは結構売れたらしい。

その良くも悪くも純粋で割り切ることの出来ない性格を気に入っている熱狂的なファン及び理解者も多くいる。
また、奮闘するデュオとカトルを助けに来たり、土壇場でヒイロにツインバスターライフルを渡すという美味しい役割をかっさらう五飛は掛け値なしにマジでカッコいい。



□劇中の活躍

地球降下後は単独行動をとる場合が多い。
OZ基地を襲撃し宇宙に上がるはずだったノインの教え子達を、寄宿舎ごと爆破しノインの怒りを買った。このとき、直立の状態から10mくらいのジャンプを披露。中国拳法ってすげー!

女と弱者は無闇に殺さないという信条なのでノインは見逃しているが、前述の通り寄宿舎爆破や他のMS乗ってた敵兵は目に付いた奴は皆殺しだった。
これをツッコミどころとする人もいるようだが、そもそもそういう作戦であったため当然と言える。
プロ意識が高い人間でもあるため与えられた任務ならば非武装の人間も殺害し、「弱者」であろうと戦士として戦場で立ちふさがるのであれば容赦はしない、といった考えなのだろう。
女性を殺さない理由に関しては完全に妹蘭ののトラウマから来てるものなので殺さないというよりも殺せないといった方が正しいかもしれない。

オペレーションデイブレイクの目的を5人のガンダムパイロットの中で唯一見破り、トレーズを補足する事に成功する。トレーズを守ろうとするレディ・アンリーオーを破り、客船の船室に立つトレーズを発見。シェンロンガンダムを降りて生身で相対し正々堂々の一騎打ちを挑むが、結果は一蹴され、消えない敗北感を刻み付けられてしまう。
反面、そのトレーズからの印象は良く、その真意を完全に理解しているわけではなくとも、本人から「最大の理解者」、「友」と呼ばれ評価されている。
これはトレーズ自身が自らを「悪」だと認識しており、そして五飛が揺るぎない信念から徹頭徹尾トレーズを「悪」と断じ続けたことも要因の一つと考えられる。
また、トレーズに敗北した際に「(弱者しか相手にできなかった)俺は卑怯者だ」とこぼし思い悩む場面があり、彼の責任感の強さや実直さといった本来の性格が感じられる。

その後しばらくは自分の正しさに確信を持てなくなり戦いから遠のくが、サリィや彼女の故郷での一件で自分の持つ強さを見つめ直し再起。
デュオカトルと共に宇宙へと上がり、ツバロフを欺き月面基地でシェンロンをアルトロンへと強化し脱出する。


その後、妻との思い出が遺る竜一族のL5コロニーに潜伏していたが、OZの襲撃によってコロニーは自爆を選択。五飛が何より守りたかった妹蘭が愛した花畑も、五飛が自ら作った妹蘭の墓も失われてしまった。
その光景を目の当たりにした五飛は自分の正義を信じ戦うことを改めて決意し、途中出会ったゼクスやノインの誘いを拒否し、独りで戦い続ける。
その後再会したサリィに同行していたヒイロからウイングゼロへの搭乗を勧められ、ゼロシステムの見せた「未来」の中で自分の倒すべき敵=トレーズやゼクスの姿を捉え、彼らを倒すことを決意した。
そして遂にヒイロ達4人のガンダムパイロットとの共闘を始める。

最終決戦では再会したトレーズとの一騎打ちに臨み、トレーズの乗機のトールギスⅡを撃破する。
だが、トレーズへの詰問に素で答えられ、それどころか直接手を下したのは他ならぬ自分である連合軍人ブントまで
トレーズは「自分のために犠牲になった」と認識していることを知ってショックを受け、
更に最後の攻防でトレーズが手を抜いたと考え(実は勘違いでトレーズも本気で五飛を殺すつもりだったのだが、彼がそれを知る術はない)、彼に「勝ち逃げ」されたと思い込み敗北感を拭い去ることはできなかった。

それゆえに、彼の戦争は終わらなかった。


□各種ボイスカセット

全編コメディチックに進む作品では、

「トレーズに負けたことで落ち込んでいたところを、口論で勝てば勝機が見えるとデュオに乗せられて話術の修行をし始める」
「ヒイロからカトルは女かもしれない、と聞かされてことあるごとにカトルを庇ったりする」

など、後のスパロボでの扱いを予言していたかの如くいじられキャラになっていた。
詰め寄られて椅子から落ちる五飛落語家のごとくマシンガントークを繰り広げる五飛はある意味必聴。



前作から一年後、一人だけガンダムを廃棄せず、反乱を起こしたマリーメイア軍に与する。
これは前述したトレーズへの敗北感に加え、トレーズとゼクスが目論んだ戦いの愚かしさを見せつけた直後ですら、地球に住む人々が平和を求める積極的な姿勢を見せなかったことで、
自分たちが戦い目指してきたはずの「犠牲の上に成り立つ平和という名の正義」に疑問を覚え、
犠牲の一端を担った一人の戦士としてその意味を確かめたいと考え、またある事件で知り合い、そして死別した戦友ブローデンの思想に感銘を受けて
あえて「悪」として立ちはだかるという、ある種かつてのトレーズと似た道を選んだため。実際ヒイロもノベライズ版で「五飛はトレーズになろうとしている」とド直球で評している。

そのためにかつて共に戦ったガンダムパイロットたちと敵対し、終盤には軌道上でヒイロのウイングゼロと激しい戦いを演じた。
ていうか、エピオンより押していた気がする。*2
最終的にヒイロの「俺達は後何人殺せばいい?」という言葉に自分が妹蘭の悲劇を繰り返そうとしていた事を悟り、そして平和の為に「武器を持たずに戦う人々」の姿を見た事で、ようやく戦いを捨てることを決意。その人々の前に愛機と共に現れ、憑き物が落ちたように穏やかな表情で、自身の中に立ちはだかり続けていたトレーズに別れを告げた。

その後、一人密かに、愛機に、そして亡き妻に別れを告げ、アルトロンガンダムの自爆スイッチを押した。

以降は、サリィの誘いでプリベンターとして働くようになる。



□台詞集

「弱いものがウロウロするなっ!」

「俺は五飛。逃げも隠れもしない。この戦い、すぐに決着をつける!」

「正義は俺が決める!」

「女か。だから甘い!」

「女だからさ」

「今俺を殺さなければ、何度でも貴様を狙うぞ!」

「俺にはナタクに乗る資格はない…」

「正しいのだ、俺達は!正しい者が強くなくてどうする!」

「ありがとう。お優しい技師長どの……」

「何かがあった時の為に、今出来る事をしているだけだ」

「俺は俺の道を行く……誰の指図も受けない」

「トレーズ……今度は勝ち逃げかっ……!」

「俺は貴様と戦ってみたかった」

「貴様らは正しいのか!?貴様らは正しいのかと聞いている!」

「俺はリリーナ・ピースクラフトを認めない!兵器を捨て、兵士を封印すれば平和というのは間違っている!」

「俺と貴様は同類だ!戦場でしか、己の存在意義を見出だす事ができんのだ!」

「ちがぁう!俺は今でも!奴と戦っている!」

「戦いは兵士で決するものではないのだ。これで俺も戦いを捨てられる。……さらばだ、トレーズ」

「狂った時代は終わったぞ、ナタク……どうか安らかに眠ってくれ」

「へぇ~い皆ー!なにシケた顔してんだよ!俺と一緒に人生をエンジョイしようぜぇ!」

「私は今まで、人生の半分を無駄にしていたと気付いた!話をすることがこんなにも素晴らしいこととは思ってもみなかったのだ!
あぁ…たった今私の目の前に広がる可能性と言う名の海が君たちにも見えるか!」



ゲーム作品
最初は敵役として鉄のラインバレルの加藤機関の一員として登場する…が、妙に彼らに馴染んでいるだけでなく、
正義を翳して暴走する早瀬浩一に辛辣な言葉を浴びせ、ファイナルフェイズのシーンで浩一を正義の味方として認めたりとラインバレル組との絡みが目立つ。
そのため、『ナタクのファクター』とか言われたり。
偶然だが原作では加藤機関の5番隊隊長は欠番である。
また今回加藤機関にいるのは別に彼らに同調したわけではなく、プリベンターの任務として潜入しているだけである。
実際に彼らが町を攻撃する際はあえて建物のない場所を狙っていたりと、彼も平和の為に戦っている描写が見受けられる。

こんなにガンダム以外の作品に馴染むキャラは彼くらいの物だろう。

EXVSMBでアルトロンガンダム参戦に伴い登場。
他作品との掛け合いが多い本作でも彼は一切ブレず、相手の行いが正義か悪かをひたすらに問い、時には断じてくる。とはいえハマーン様一辺倒だったり女性ガンダムファイター相手だと戸惑う時もあるようだ。
基本的に自分の意志を貫き通す相手には寛容的で、武力による戦争根絶を掲げる組織には珍しく寛容で、拳で殴り合う常識外のプレイスタイルの作品にも肯定的。
一方で不殺を掲げる者を軟弱と唾棄したり、フランクな男には厳しい態度をとる。
しかしよりにもよって正義の名を冠するガンダムに乗ったアスランから、「正義は誰かに決められるようなものでは無いはずだ!」と言われている。ごひェ……

他の面子が2機以上持ち機がいるのに五飛だけ1機のみと若干だが不遇である。ただしEXVS2ではウイングゼロ搭乗のカトルが消されたため、彼共々愛機単体の参戦にはなった。




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最終更新:2023年10月20日 18:10

*1 ※設定自体は決して後付けというわけではなく当初から構想されており、本編でも語られる予定だったが路線変更や尺の問題等で結局ストーリーそのものがカットされてしまった。その後、小説等でしっかりと描写され補完されてはいるが、そこまで押さえているファンは珍しく、結果的に長い間マイナーな裏設定に留まってしまっていた。

*2 実際ゼロシステムはツインバスターライフルを使わなければ勝てないとすら判断していた。