ウイングガンダム

登録日:2010/05/06 Thu 20:24:26
更新日:2024/02/22 Thu 13:30:24
所要時間:約 9 分で読めます






任務、了解……



ウイングガンダムとは『新機動戦記ガンダムW』に登場するモビルスーツ(MS)。

+ 目次

■諸元

型式番号:XXXG-01W
開発:ドクターJ
頭長高:16.3m
重量:7.1t
装甲材質:ガンダニュウム合金
武装
バルカン×2
マシンキャノン×2
バスターライフル
ビームサーベル×1
シールド

  • アビリティレベル
ファイティングアビリティ:130
ウエポンズアビリティ:140
スピードアビリティ:150
パワーアビリティ:120
アーマードアビリティ:130





■機体解説

A.C.195年に発動された「オペレーション・メテオ」に投入された5機のガンダムの一機。
赤・青・白のトリコロールカラーに巨大なライフルとシールド、そして背面に生えた大きな二枚一対の翼状バインダーが特徴。
機体名の「ウイング」は、その特徴的な翼から名付けられたもの。
同時に本作品のタイトルネームにもなっており、形式的には5機のガンダムの中でもメインとなる主役機(一応)。
OZからは「ガンダム01(ゼロワン)」のコードネームで呼ばれる。


全てのガンダムタイプの元となったウイングガンダムゼロの特徴を最も色濃く受け継いだガンダム。
「バード形態」への変形や、主兵装である「バスターライフル」など、ゼロの特性をそのままに全体をデチューンしたような性能を持つ。
しかしデチューンしたとはいえ、OZの使用するリーオーやエアリーズなどのMSとは基本スペックを初め、あらゆる全てで一線を画す性能を誇る。
とりわけその飛翔・飛行による移動能力はオペレーション・メテオで地球に降下した五機のガンダムの中でも随一。
輸送機などを必要とせず、単独で長距離飛行を行ったうえでの強襲戦闘などにも対応している。

なお、前身となったトールギスやゼロと同様、機動性のほとんどがバックパックと一体化した背部スラスターに集約されている。
このユニットは単純に揚力を発生させるのみならず、高い防御性や、宇宙空間における動作制御(宇宙世紀系におけるAMBAC)などの性能を持つ他、
バード形態のイメージが強いが、MS形態のままでも飛行可能。
これはTV版に限らず、『敗者たちの栄光』(EW)版でも共通で、その『敗者たちの栄光』では、
回収したガンダニュウム合金を抱えたまま長距離飛行を行ったり、トールギスや真ゲッターばりの直角機動で攻撃を掻い潜ったりしている場面がある。
翼の角度・配置変化と大推力によって、機体を失速寸前の機動やホバリングから極超音速機動まで可能。
そのため機体本体の運動性能も高く、空中・陸上を問わず非常に高い白兵格闘能力を発揮し、
さらには変形による速力の上昇や超長距離飛行も可能でOZの高速スペースシャトルを瞬時に振り切る速度で機動しながら、
そのまま予備動作なしで一瞬で180度反転という、凄まじい動きも可能。

加えて弾数制限はあるもののMS用の火器としては常識外れの威力を誇るバスターライフル、
ガンダニュウムの特性による桁違いの威力を持つビームサーベルと同様の素材による強固なシールド、
OZ製のMSを一瞬で微塵にするマシンキャノン、ヘッドバルカンなど、
高威力で遠近両方に対応した武装構成となっており、本体の機動性と合わせてあらゆる環境でその威力を発揮する汎用性の高さも持っている。

反面、非常に高度な技術で造られているため、修復作業を行う場合などには相応の技術や設備を要する。*1

前述したMS形態においてもトールギス級の機動性にガンダニュウム合金の防御力、
バスターライフルの高い破壊力を以てOZのゼクス・マーキス特佐に初めて「ガンダムの脅威」を味わわせたガンダムである。

パイロットはコロニーの伝導者の名をコードネームに持つ少年「ヒイロ・ユイ」。


■バード形態

本機の特徴である変形機構。
腰部と頭部を180°回転させバックパックにバスターライフルを接続したシールドの先端を前に向けた状態で装着、
肩アーマーを後方にたなびかせる様な配置角に変更し手部を引き込むと共に前腕部のクローを展開することで鳥型の戦闘機形態となる。
バスターライフル無しでもシールドがあれば変形可能でまたクロー部を引っ込めればMS形態の手部を展開する事も可能。
A.C.における航空戦力は基本的に航空機によって賄われており、
空陸両用MSのエアリーズなどもジェット戦闘機を遥かに超える速度での戦闘機動が可能だが、爆撃機などに比べ火力は低く置き換わる物ではなかった
(ちなみにエアリーズは飛行能力を空力形状と軽量化によって賄っている部分が多いが、それでも5機のガンダムの機動性・速力には対抗出来ず破壊されている)。

ガンダムはその出力の余裕から来るその推力によりMS形態で空中戦闘も可能でウイングガンダムは更に変形して機体特性を変更する事で、
どの航空機も比較にならないドッグファイト能力や空対空、空対地、航続能力などを得ている。
MS一機をぶら下げたまま長距離飛行が可能なことからも、この機体の推進力が窺い知れる。

なお、「シールドが無いと変形できない」のはΖガンダムと同じだが、あちらと違ってこの辺をツッコまれることは殆ど無い。
まぁ単純にシールドが太く、チートなガンダニュウム合金製かつ変形したまま機首で体当たりするなんて場面が無いせいだろう。


■武装

  • バルカン砲
頭部に内蔵されたバルカン砲。主に牽制や迎撃用。
EW版には装備されていない。

  • マシンキャノン
肩部に内蔵された大型機関砲。
他機体(他世界観機体含)のマシンキャノンがガトリング方式の為勘違いされがちだが、
本機の物はゴッドガンダムの肩部のそれと同じく「砲身回転ではなく多砲身の砲身毎の発射間隔をズラす事で連射する方式」である。
リーオー数機からの射撃の雨の隙間を掻い潜る空中機動しつつ一瞬の斉射だけでリーオー数機を撃墜してしまえる威力を誇る。

  • バスターライフル
本機の特徴とも言える長砲身の特殊ビームライフル
高エネルギーを物質化寸前まで縮退させた状態で銃身後部にある三基のカートリッジに充填しており、
カートリッジ一基のエネルギー総量は中規模都市の1日分のエネルギー消費量に相当する。

放たれるビームもそれ相応の威力で、最大出力ではビーム光軸を中心とした周辺を一瞬でイオン化させる
その場合、半径150mは激烈なプラズマ過流が起き、灼熱の奔流が数十kmにも及ぶ程で、
例え目標に直撃せずとも、その余波だけで消滅させられるという、戦略兵器級の威力を持つ。
また、このビーム自体が複合的な層を持ち、高速で貫通力の高いビーム帯を中心に、低速で破壊力の強い粒子束が覆っている。
その様はビームで目標を「撃ち抜く」のではなく「呑み込む」と言ったほうが良く、劇中でもビルゴ大隊を展開しているPDごと一撃で消滅させる程。
本機の機動性も併せ、予備カートリッジを用意する等的確な補給ができれば戦略兵器としての運用も不可能ではないとされる。

しかし、発射するためのエネルギーはカートリッジ依存なので、戦闘中に再充填することは出来ず、
一度の戦闘では、予めカートリッジに充填しておいたエネルギー分しか使えない。
特に最大出力では1発でカートリッジ一つ分のエネルギーを消費するため、その威力では最大3発しか放てない。
設定で威力調整可能で劇中でも一般ビームライフル程度の出力での射撃が見られる(30,33話、他エピソードでも)。

高い威力を持つガンダムのビーム兵器の中でも桁違いの威力を持つが、
これでもデチューンされており、原型となったツインバスターライフルはこれの2倍以上の威力がある。
また、カートリッジ式で動力経路が完全にライフル内で完結している構造であるため、
MS本体側の供給機構の有無にとらわれず射撃可能であり、劇中ではカトルエアリーズで使用した他、
ドクターJがコロニーからバスターライフルそのものだけを設置し、砲台のように使用した事もある。

遠距離戦闘における本機の主武装だが、サイズが大きいうえにMS形態ではマウントできる場所もないため、
接近戦に移行する際には地面に投げ捨てられることが多い。威力の割に扱いが雑過ぎる
離脱時には大抵バード形態となって飛行移動しているので回収していると考えるのが妥当だろう。

近接白兵用のビーム剣。普段はシールド内に格納されている。
ガンダニュウム製材質の使用による発生デバイスの桁違いの高出力化と複合ビーム層を形成する事で水中での減衰率を低減している為、
水中で使用しても威力が落ちない(これ自体は『W』におけるガンダムの使用するビーム兵器共通の特徴である)。
尤もウイングは水中でビームサーベルを使った事は無いが。

  • シールド
高い防御性能を持つガンダニュウム合金製のシールド。
ビームサーベルを格納しており、使用時にはシールド中央がくの字に曲がり下半分側の内部からグリップが突出し引き抜かれる。
また、先端部が鋭利な形状になっているためシールド自体も打突兵装としても使用可。
バックパックに懸架も可能だがMS形態ではバード形態とは逆の方向に装着する事も可能。
バード形態時には機首およびカウリングを形成し、先端部には小さめの光学センサーが配されている。

第一話で地球に降下する際に使用した突入艇。
機体の偽装のための装備で、バード形態になったウイングガンダムを上部に格納し機体を隠している。
超高高度の大気圏内では機動性に欠けるため、熱圏より下へ降下後はバラバラになってウイング単体での飛行に切り替える。
固定火器として側面にガンポッドを備えている他、機首部分の装甲を開くことでバスターライフルを発射することも出来る。


■劇中での活躍

◇TV版

番組タイトルを冠した主役ガンダム……の筈なのだがとにかく扱いが悪い。
オープニングだけでも、他のガンダム4機が華々しく決め演出を見せる中、1機だけトールギス相手に左腕と左目を失い、
挙句リーオーの軍勢にボコボコにされる中バスターライフルを一発撃つという何とも言えないもの。
なお、オープニングそのものが未完成状態の時は冒頭に本編の変形シーンが入っていたのだが完成版では削除され、
代わりにサビ部分で新規の変形シーンが挿入されるようになった。


本編ではオペレーション・メテオで地球に降下するも、第一話でゼクスの駆るリーオー(量産機)によって墜落し海底に沈む。
続く第二話で鹵獲防止用の自爆装置が作動して危うく爆発しそうになり、何とか居合わせたデスサイズに自爆装置を止められ引き揚げられるが、
直後にパイロットであるヒイロが放った魚雷の直撃を受け破損し海底に逆戻り。
デュオに再度引き揚げてもらいデスサイズの部品をガメたヒイロに修理され他4機に遅れてOZ施設への破壊任務などに当たるようになるが、
それから間もない第十話でとうとうヒイロ諸共自爆
装甲の頑丈さもあって外観はある程度残ったものの、内部機構の殆どを失い頭や手足もバラバラになってスクラップと化した。

その後、残骸を回収したゼクスがヒイロとの決闘を望み修復するのだが、
途中ロームフェラの監視を誤魔化すためトールギスの予備パーツから作ったダミーのウイングを爆破する際、本物は川底に沈められていた。
なんとか修復は完了するのだが、当のヒイロは「ここまで施しが過ぎると戦いの気持ちが鈍る」として、
敢えてウイングではなくヘビーアームズで決闘に臨んだ。
ただしこの時は「ヒイロから借りを返してもらう」とトロワに乗ってもらえたが。
また、ボンボン版だとちゃんとヒイロに乗ってもらっている。よかったね、ボンボン版のウイング。

そしてヒイロが宇宙に出る際、他4機と違い唯一宇宙空間でも変わらず運用できるのにもかかわらず
目立ち過ぎるという理由で地球の海底に置き去りにされ(ヒイロ曰く「地球に捨てて来た」)、そのまま十話以上も放置プレイを食らい、
サリィに引き揚げてもらえたと思ったら今度は輸送機諸共に海に沈み、OZによる回収を妨害するためとはいえサリィとノインのパイシーズが放った魚雷を撃ち込まれてまたまた海底へ。
そうして散々な目に遭いながらようやくヒイロの下に戻り、サンクキングダム防衛戦でOZの部隊を壊滅させる。
ここからウイングガンダムの大躍進が始まる!
と思いきや数話後にはヒイロの意志で最激戦区のルクセンブルクで大量のモビルドール化ビルゴ部隊を相手にすることになり、
袋叩きにされて脚部を破壊され、遂に無造作に乗り捨てられた。
ちなみにヒイロとウイングガンダムが一緒にいたのはこれが最後である。
なお、これまたボンボン版だと他の4機同様に宇宙空間で運用できないと説明されており、地球に捨てざるを得なかった展開になっている。

その後、OZに回収・修復されるが乗り手がおらず持て余されてしまい、
EVE WARS開戦直前に意識を取り戻したレディ・アンがトレーズを救う為に搭乗し宇宙へ飛び立つが、
再登場したかと思ったらすぐさまリーブラの主砲で頭と胴体と左肩以外をもぎ取られて大破
レディ・アンは無事だったもののウイングガンダムはそのまま放棄され、今度こそ完全退場。
……あんまりである。

作中キャラは敵陣営は一貫して「(ガンダム)01」、味方陣営は「ヒイロのガンダム」などと呼称しており、
ヒイロですら機体名である「ウイングガンダム」という名前を呼んだことはなかった。*2
先述のレディ・アンの衝突の際に当機を視認したトレーズが「ウイングガンダム!?」と呼んだのが最初で最後。

ガンダム史上、ここまで扱いの悪い主役ガンダムがいただろうか。
しかもパイロットにも機体にも充分な人気があったにもかかわらずである。
そのパイロットであるヒイロも、他の四人と違ってこの機体に愛着を見せた場面は皆無
デュオに「俺のMSは他人に触ってほしくない。それだけだ」と発言したぐらいで、むしろリーオーの方が好きなレベル。
脚本家が執筆した小説でも、「リーオー好き」の方が後付で補強されてしまった。
中盤でウイングゼロが登場し遠からずお役御免になることが予測されてはいた*3が、それにしても扱いが酷い…酷すぎる…
同じく地球に放置されたヘビーアームズは、後にきっちり改修され活躍したというのに…
ぶっちゃけOZの量産機の方が活躍している気がする。

ちなみに反OZが開発した4機のガンダムは強奪される可能性も鑑み、コクピットを少年達の大きさに合わせて開発しており、シートを動かすことも出きない。
(何故5機ではなく4機かというと、ヘビーアームズは元々大人がパイロットなのでこの制約はないはずである。)
つまり大人には乗れないはずなのだが、レディは普通に乗った。
彼女が小柄*4なので乗れたかもしれないが、
ゼクスによる修理時に(もしくは乗り捨てられた後に)コクピットを大人が乗れるよう改修された可能性がある。
なお、ボンボン版では出撃前に「コックピットをなおし宇宙用ブースターをつけた*5」として、
バードモードの翼の上にトールギスと同型のブースターを載せる地味な改修を受けている。

…きっとヒイロがぞんざいな扱いをしていたのは鹵獲されても乗れないから、というこの機体に対する信頼を表して…いないか。

ここまで不遇ばかりを書いているが、なぜこのような扱いになっているかというと、
『W』のテーマ的に、MSをカッコイイヒーローロボットではなくただの戦争の道具として見ているからと思われる。*6
後にMDの思想をトレーズが否定するが、彼の台詞を借りれば「扱うのは人間」であり、MSが主人公ではないのだ。
人によっては相棒に恵まれなかったという意見もあるが、主人公の戦いに対する考え方を表現していたという意味ではしっかりと前期主役機の役目を果たしたといえよう。

そもそも前期主役機の対抗馬がアナザーではシャイニングガンダムしかなかったので、それと比較するとことさら酷く見えるのは致しかたないだろう。
他のガンダムと比較しても酷く見えるって?言ってやるなよ。
EndlessWaltzとかを見るにヒイロはウイングゼロに対しては結構労っている?それも言ってやるなよ。



ウイングガンダム(Endless Waltz版)

OVA『Endless Waltz』の世界観に合わせ、ウイングゼロ(EW)から逆算してカトキハジメがデザインしたウイングガンダム。
初出は『劇場版EW』のパンフレットイラストだが、後に漫画『敗者たちの栄光』で正式登場。
他四機と共に俗に「アーリータイプ」と称されていたが『敗栄』などの発表以降は「ウイングガンダム(EW)」といった表記が多くなった。

ウイングゼロ(EW)の存在を前提にデザインされているため、トリコロールで白の比率が高くなっている以外ボディデザインはほぼ同じ。
一方で背面のウイングバインダー部分は鳥の羽毛を思わせるものではないが、直線的で複雑なディテールになっており、ある意味ゼロより情報量の多いデザインとなっている。
当然バード形態への変形も可能であり、この変形機構は後にウイングゼロ(EW)のネオバード形態に逆輸入された。
バスターライフルは威力と三発の制限はそのままに銃身が細く、全長が機体全高よりはるかに長くなり、遠距離攻撃用であることがさらに強調されている。
後部には装甲が追加され、変形時に頭部を覆うようにもなった。
また、『敗栄』では連合の施設からエネルギーを盗み用意した予備のカートリッジを両腕に計6個追加装備し、実質最大出力で9発撃つ事ができる。

更にルクセンブルク戦直前には追加装備「メッサーツバーク」が登場。
これはバスターライフルに3基装着して火力を増強させるもので、単体でも強力なビーム砲として使える。
バスターライフルに接続したドライツバーク・バスターの状態での射撃ではOZの大部隊を消滅させたあげく成層圏まで届く超極太のビームを放つことが可能。
それを目撃したノインはそのあまりの威力は顔面蒼白でドン引きしていた。
ゼロシステム内部のデータから複製したものを運用していたが、ガンダニュウム合金を使用していないため本来の威力よりも低い上に一発撃つと自壊してしまった。


以上のように色々と追加要素が与えられTV版以上の能力を発揮できるようになっているが、『敗栄』のストーリー自体は基本TV版と同じ……なので、
このウイングも魚雷で沈んだり自爆したり乗り捨てられたりし、やっぱり最後はレディ・アンが乗って大破した。



■他作品での活躍

機動武闘伝Gガンダム

最終決戦のガンダム連合の中に歴代ガンダムに交じり本編にさきがけてカメオ出演。
本編と同色の機体と色違いの機体の2機が登場しており、シルエットはそのまんまである。
ただし他同様背景みたいなものなので、さらに色違いの方は撃墜されているような描写まである。すでに運命は決まっていたのか…
(なお同色の方は最後まで生き残っているのが確認出来る)

ガンダムビルドファイターズ

2013年放送の『ガンダムビルドファイターズ』においては、主人公のイオリ・セイが、
まだ完成していないビルドストライクの代わりとして、ススムのギャンとのガンプラバトルで使用するが、あっさりボコボコにされた。
21世紀になってもウイングガンダムは相変わらずだった。しかもHGACでウイングガンダムが発売された直後なのに、である…。
スタッフもネット上の反応をみて悪ノリとしてやってるとしか思えないが。
というか、「こいつならこの扱いでも許されるだろう」という事で宣伝を兼ねてあの展開になったらしい。
分からなくもないが、嫌な宣伝の仕方である。

しかし、今までガンプラで戦う漫画(プラモ狂四郎・超戦士ガンダム野郎・プラモウォーズetc…主にコミックボンボン)に触れてきたおっさんユーザーならともかく、
地上波アニメではガンプラ系のメディアに慣れ親しんでない視聴者や古くからガンダムに慣れ親しんでいた古参のファンのほうが圧倒的に多い。
そこでガンプラバトルという「性能は組み上げたキットの出来とプレイヤーの腕で勝敗が決まる」「原作の性能は参考にならない」
すなわち「制作技術は高くても操縦技術は拙いビルダーが組んだ主役機のガンプラ」が、
「そこそこの制作技術とそこそこの操縦技術を持つ脇役機体のガンプラ」に言い訳の余地を残さず一方的にやられるという展開を見せつけることによって、
言わばガンプラバトルのチュートリアルの役目を果たしたと言える。

「それならわざわざウイングガンダムじゃなくても…」と思うだろうが、このポジションは原作で特別なシステムを積んでいる他のアナザー系主役機では、
「セイが∀を使えば勝てた」「MFだから負けた」などの言い訳の余地を残してしまうため不適格。*7
そして他の宇宙世紀系主役機では各種スピンオフなども含めて旧型機が新型機に勝つ展開もありインパクトに欠けるため不適格。
仮にセイがガンダムMk-Ⅱを使ってギャンに負けたとて、さほどのインパクトはないだろう。
かといってザクやジムといった量産機では「原作ではギャンより弱い設定だから」「量産機だから、かませ犬になるのは必然」という理由を与えてしまうため尚更不向き。
原作で特殊なシステムが変形くらいしか搭載されていなくても超高性能っぷりを見せつけたウイングガンダムだからこそ出来る演出だろう。
このあたりは後のジェガンvsデビルガンダムにも通じる見せ方である。

改造機のウイングガンダムフェニーチェも登場。
こちらはフェリーニの愛着も相成って唯一無二の相棒として大切にされている。


□プラモウォーズ

原作本編での不遇っぷりを払拭するがごとく、劇中に登場した改造ガンプラでは屈指の多さを誇り、
そのほとんどを主人公の創勇斗が手掛けたもの故、白星も多い。アニメ本編よりプラモの売り上げに貢献している。
そして割りをくったのがデスサイズとサンドロック。*8

以下登場したウイングの改造プラモ。
  • ファルコンガンダム
BB戦士隼頑駄無などで改造。
  • サンダーウイングガンダム
『雷』をキーワードに改造した攻撃力重視の機体。
  • タイフーンガンダム
『風でめくれたスカート』をヒントに改造した機動性重視の機体。
  • バーニングガンダム
『炎』をキーワードに改造した火力重視の機体。変形はできない。
勇斗がウイングガンダムに固執してた時期とはいえ素体がウイングである必要が正直ない。
  • Xウイングガンダム
ウイングガンダムとガンダムエックスの合体機……ではなく、
1/100ウイングガンダムの腰に1/144ウイングガンダムのバックパックを付けて塗装変更しただけと非常にシンプルな機体。
名前の由来は背中の翼を上向きにするとXの字に見えるため。
ただ、シンプルな分ウイングガンダムのポテンシャルを引き出しており、狭い場所も通れるガウォークホバーモードや、
バスターライフルとシールドなしでの裏ワザ変形となる戦闘機形態も披露。ぶっちゃけ宣伝のための機体。
  • ガイアガンダム
これだけは有悟機。重装甲でパワー重視の機体。
こちらも変形はできないがサポートメカとしてウイングバードを持ち、巨大剣ガイアブレードにできる。



■ゲーム作品での活躍

散々な劇中での扱いのせいかゲームでも軒並み性能は低く、そもそも呼ばれない事も多い。
劇中での扱いとか以前に似た様な色合い・デザインで尚且つ強烈すぎる性能を有するゼロの存在も大きすぎる…。

ちなみに、OPで被弾し、宇宙での戦闘シーンがOP以外に存在しないという異例のガンダムでもある。

スーパーロボット大戦シリーズ
新スーパーロボット大戦で初登場。条件を満たせば宇宙編終盤で加入する。
開発が放送中だったのでウイングゼロが登場しないため、ヒイロ唯一の乗機である。

以降の作品は大抵ウイングゼロも登場しているため、ゼロ登場までの繋ぎになってしまう。前期主役機の宿命である。
更に設定上改造が引き継がれないこともあるので使いにくい。
『F』『F』完結編のように、敵として出てきても、似たような性能でもっと厄介なヘビーメタルとかいるので、微妙にインパクトに薄い。
といっても、登場したばかりのゲーム序盤では、長射程高威力のバスターライフル(何故か「バスタービームライフル」名義)を持ち、
リアル系の運動性にマジンガーZを上回る装甲を持っているので、かなりの脅威ではあるが。

第2次スーパーロボット大戦αでは改修されて再登場し、ヒイロが愛着を持っている描写がされた。
……ただしアーリータイプ。悲しくなってきた。ただ、変形するとバスターライフルが小隊攻撃になるため、かなり優秀。

しかし『第2次スーパーロボット大戦Z 破界篇』では、ゼロが出ないのでずっと参戦しているうえ、
ヒイロが最初から「ヒット&アウェイ」を習得しているので、射程が広く高威力のバスターライフルで大活躍できる。
……続く再世篇では途中で鹵獲されて以後消息不明だけどな!

一部作品では終盤のレディ・アン搭乗も再現されている(ほとんどイベントのみだが)。

ガンダムVS.シリーズ
プレイアブルとして登場していない。
ガンダムvs.ガンダムNEXTではTV版歴代主役機の中で、この機体だけが出ていなかった。

機動戦士ガンダム Extreme vs. MAXI BOOSTで遂に参戦。
但し、トールギスⅡのアシストとしてであり、パイロットはレディ・アンではあるが。
ビームサーベルで突撃か、変形しつつバスターライフルを三連射してくれる。
ビームサーベル突撃はスタン属性なのだが、ウイングガンダム全身にヒット判定を有しているのでぶつかるだけでスタンする。
バスターライフル三連射も誘導が良かったので、トールギスⅡの異例ともとれる強さを助長することとなった。
更に覚醒技でも登場。
上空から放たれたリーブラ砲からトールギスⅡを逃す原作再現の動きをしてくれるが、もちろんウイングガンダムは消失する。
ちなみにこの時、トールギスⅡの回避が何かしらの被弾や壁際などで避けられない場合は、トールギスⅡもリーブラ砲の攻撃をモロに受ける。レディ涙目である。



■立体化

ガンプラ

放送中に手首を外すだけで変形できる1/144、差し替え無し変形、各部にゴールドメッキパーツを配し、
バードモード用に風を切るかのようなクリアーグリーンのエフェクトパーツがつくHG1/100が発売された。

MGプラモデルもカトキ版であるver.kaのみが発売され、もはやバンダイ的に黒歴史なのか……
と思いきや、MGでまさかの発売。バンダイに色褪せない熱い思いを身体中で伝えたい。
しかし前述した不遇さ、またMGという高額商品故に売れ行きには不安があり、
ファンの間でも「ゼロなら買った」「前期主役はトールギスだろ?」等々心ない意見が飛びかっている。

だが待って欲しい、(一応)主役機であるコイツが売れない事にはバンダイ的にWが切られてしまう可能性が充分あるのだ。
ファンの皆、MGウイング買おうぜ!
後のキット達の為に……!*9

その後敗者たちの栄光のタイアップでVer.Kaの成型色違いのMG『ウイングガンダム(Endless Waltz版)』が発売された。
おまけとしてアクションベース対応パーツと新規デカールがつく。
だがVer.Ka自体がだいぶ前のキットであり現行キットと比べると見劣りしてしまう感は否めない。

そしてガンダムビルドファイターズの関連企画、オールガンダムプロジェクトの第一弾としてHGACが発売された。
……が、その結果が上記である。ウイングは泣いても良い。

RGではEW版が先行して発売。トールギスも続く形でEW版の発売がされたため、TV版の発売は絶望的だと悟られていた……のだが、2021年6月に一般販売でRGの発売が決定。
オリジナルギミックとして、胴体をコの字に折り曲げ翼を上下に広げる形態が追加された。
バードモードを『戦闘機』とするならこちらはより『鳥』に近いが、多くのユーザーは「????」となった。
ウイングの形状はHGACともMGとも違い、Blu-rayBOXに描かれたものと似通っている。




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最終更新:2024年02月22日 13:30

*1 自爆後にOZで修復された際には「大型のビーム砲とビームサーベルを自在に扱える右腕を完全再現するだけで新しいMSを一から作るくらいの時間が必要になってしまう」とメカニックに評され、結局貴重なトールギスのパーツを移植せねば充分な復元が出来なかった程

*2 一応五飛も「シェンロン」「アルトロン」と呼んだことはないが、その代わりに一貫して「ナタク」という思い入れのある名前で呼んでいる彼を引き合いに出すのは流石に失礼だろう。

*3 他四機は名前こそ変わってもあくまで改修されただけであり、後半でメインパイロットを別機体に持っていかれたのは五機の中でウイングガンダムだけ

*4 ちなみにレディの身長は161cmで、トロワの身長160cmと殆ど差がない。

*5 前述の通り、ボンボン版のウイングは宇宙戦に対応していないため。

*6 わざわざ人殺しをしていることを意識させるために人型にしているという徹底ぶり

*7 サテライトシステム、月光蝶、トランザムなど、このあたりの特殊システムは『W』以降殆どの主役機が前期後期問わず搭載されている。『ビルドファイターズ』における主役機であるビルドストライクのベースとなったストライクガンダムもフェイズシフト装甲が搭載されている他、「相応に高い完成度でないと、原作で持っている特殊なシステムをバトル上で再現できない」という縛りも、製作技術が大人顔負けのセイには無関係である。

*8 作中でこの2機をベースにした改造プラモは一体もない。

*9 実際、MGのWシリーズはTV版はこのウイングガンダムで終わっている。EWもデスサイズヘルは一般販売で出たが以降はプレバン限定になっていることを考えると、買わなければ商品展開が続かない事をよく表した一連の流れといえる