マキナ(鉄のラインバレル)

登録日:2012/03/21 Wed 12:59:49
更新日:2023/11/07 Tue 14:10:04
所要時間:約 13 分で読めます




マキナとは、『鉄のラインバレル』に登場する巨大兵器の一種の総称の事。
ここではそのマキナについて解説する。


《概要》

マキナとは『鉄のラインバレル』に登場する巨大兵器の事で、いくつかの決まった原則をもった機体。
大きく分けて3つの原則をもっている。

【原則1】
マキナは他の機動兵器とは違い、現代の他の兵器に比べ遥かに高度な電脳とナノマシンを持っており、ある程度の自己行動力と判断力と高度な自己修復力を持っている。

【原則2】
マキナのパイロットは原則一人であり、そのパイロットにマキナが固有ナノマシンを渡す事でパイロットを超人的な体力と回復力を付加させる事ができる。
また、マキナが己の固有ナノマシンを渡した相手を「ファクター」と呼ぶ。

【原則3】
マキナはファクターの許可無しに人を殺害する事はできない。
仮にマキナが万が一に人を傷つけ殺害してしまった場合、殺害した人を優先的にファクターに選ぶ事になる。


以上の原則と能力は通常兵器の枠をオーパーツの様に遥かに超えている為、非常に危険な上に現代の技術で再現する事が不可能に近い。

しかし、JUDAは性能こそ大きく劣るもののマキナを解析した技術から試作品を製造しており、加藤機関はアルマ(鉄のラインバレル)と言う『兵器としての部分』だけのコピーに成功した機体を開発・実用化している。

ちなみにマキナには共通点として、
  • 『かかと』部分が存在しない
  • 目のようなデザインの丸いコックピット
  • ボディのどこかに家紋のような意匠
といったものがある。


《マキナの起源~人類絶滅》

マキナは元々本編の時代から実時間で数百年以上前、城崎天児によって実用化された医療用のナノマシン技術、それを利用した人工筋肉、人工血液、陽電子頭脳などの様々な技術が兵器へと転用され、兵士用の外骨格を経て生まれた軍事兵器であった。

マキナの優秀な兵器であり、世界中で研究開発が進められ様々なマキナが造り出された。
同時に優秀すぎるマキナの電脳が反乱を起こすことを防ぐため国際条約でいくつかの制約を設けることが義務付けられた。これが上記の原則である。
やがてナノマシン技術によって人々の生活は安定し、戦争もマキナにによる代理戦争へと移行し世界は平和を得ることとなった。

しかし、ナノマシンにより人間の「死」が取り除かれた結果、人類のDNAに刻まれた自滅スイッチが発動してしまい人類はほぼ絶滅してしまう。

同時に「人間のために造られた存在」であるマキナたちは、その存在意義を失い取り残されてしまった。
そこでマキナたちは自分たちの中から仕えるべき主を生み出すため、人間を人間足らしめる「想像」を獲得すべく、「想像」の原動力となる「死への恐怖」を認識しようと考え、無人状態のマキナたち同士の"殺し合い"が繰り広げられた。
結果、一部のマキナたちは「死への恐怖」を認識し「想像力」の獲得に成功。概念的にではあるが彼らは「人間となった」。
この人間になったマキナを「ヒトマキナ」と呼ぶ。

その後ヒトマキナたちは独自の人類の再生を開始し、月に拠を移したうえで計画の一部として想像力を得られず人間になっていなかったマキナたちを地上へと降下させた。
こうしてマキナたちはヒトマキナによって再構築された世界へと降り立ち、ファクターを得ていくこととなる。



《地上に現存しているマキナ》

それなりの数が降下しているが、そのほとんどは加藤機関によって破壊されており、現存するマキナは11体のみ。
それぞれのマキナについて、原作の漫画版に登場した順に紹介していく。


【ラインバレル】

『マキナの原則』に囚われ無い特別なマキナ。
白亜の鬼の様な見た目をした機体だが、『オーバーライド』を発動すると黒く染まる。
意匠は左三つ巴。
実は現存する11体に含まれない12番目のマキナ。
ラインバレル早瀬浩一の項目も参照。


【ヴァーダント】

ラインバレルの量産型とされる機体。
意匠は月輪。
他の機体の様な特殊能力は持たないが、その分武装は多い。
森次玲二の項目も参照。


【ハインド・カインド】

全長25.8m
頭長高23.2m
重量73.1t

JUDA特務室の所属マキナで長距離戦の得意な機体。
意匠は入り山形。
体はずんぐりとしており、ヴァーダントの様な他のマキナに比べ一回り巨大。
専用の長距離砲やリフレクターコアと言う特殊なスキャナーを持った支援機体だが、バレットアームと言う槍の様に伸びる腕による接近戦も可能。
最終盤では推進力を得るため脚部を無限軌道に改造、完全に戦車と化した(番外編のネタである「ハインドタンク」)。
ファクターは山下サトル。


【アパレシオン】

隠密任務や強襲に特化した狙撃機体。
意匠は丸に霞。
当初は暴走し名前がわからず「ハグレマキナ」と呼ばれていた。
矢島英明の項目も参照。


【ディスィーブ】

全長56.2m
頭長高54.0m
重量117.5t

遠藤シズナ・イズナの姉弟が操るマキナであり、本来のファクターは弟の方なのだが改造により二人乗りにしている。
意匠は丸に三つ鏡。
本機は戦闘用の機体では無いが、かわりにナーブクラックと言う変幻自在な触手の様なコードを所持している
このナーブクラックは接続したモノに精神や電気信号に直に作用する事で、嘘の情報を与えて幻覚や機体の誤作動を誘発させられる事が可能になる。

本来の使い道は、仲間のマキナのナノマシンを活性化させることによる自己修復サポート。

ちなみに見た目は顔が付いた空とぶ金槌そのもの。

よく「ディスティーブ」と間違われるが「ディスィーブ」である。意味は「欺くもの」。


【シャングリラ】

全長1011m
全幅502.4m
全高390.2m
満載排水量3771000t

加藤久嵩のマキナ。
意匠は蛇の目。
その巨大なサイズやスペックの書き方を見てもらったら解る様に、この機体は唯一の戦艦のマキナである。
大型な機体で本体の司令塔の付属品の壱・弍番艦のユニットには大量のアルマを配備している。
また、グラン・ネイドルを接続しブースターにする事も可能。
ちなみに、アニメオリジナル設定では『フラッグ』と呼ばれる追加装備の様な物が存在した。


【グラン・ネイドル/ネイキッド】

都市殲滅型マキナ。
意匠は亀甲に蛇の目。
巨大な空飛ぶ卵のようなグラン・ネイドルの中にネイキッドという人型の制御ユニットが収容されている。
ちなみに「グラン・ネイドル」のほうには電脳もコクピットもなく、厳密にはマキナであるのはネイキッドの方。しかし、武装の大半がネイドルに依存しているため、「本体」と言うとネイドルの方を指すことが多い。
菅原マサキの項目も参照。


【タリスマン】

全長:20.2m
頭頂高:19.0m
重量:49.6t

意匠は変わり二つ守。
白銀の西洋甲冑のようなデザイン。リアアーマーが武器「テールオブキングダム」と呼ばれる槍で構成されている。
この槍にはプラズマ発生装置が組み込まれており、その威力はマキナの人工筋肉を焼き切る等、かなりのもの。
また、デザインはアニメ・漫画共に変わらないが、ファクターの扱いが全然違う所為で、アニメ版では両断されたりする。
中島宗美の項目も参照。


プリテンダー

プリテンダーの項目参照。
変形して飛行が可能なディスィーブの後継機で、正式名称「ディスィーブIV」。
意匠は丸に右違い鷹の羽。


【ジュダ】

全スペック:不明

石神邦生が操るマキナであり、JUDAの社名の由来になった機体。
意匠は糸輪に覗き桔梗。
『事象を教える』力を持ち、望んだ結果を導く為に必要な物を教えてくれる機体。
手持ちの武器は七枝刀のみ。
ちなみにアニメには出ていない機体の一つである。

正体は、ヒトマキナが人類再生のために創造したシミュレーターであり、後に彼らを裏切り「正義の味方」を作り上げるため暗躍したヒトマキナにして、石神の共犯者。


【ペインキラー】

全長17.3m
頭長高17.0m
重量40.9t

九条美海の操るマキナであり『拠点制圧用』のマキナ。
意匠は九枚笹に蛇の目。
その本領は随伴機『バルド』『ロック』と言う動物の様な無人機動兵器を操る連携にあり、一人で敵を強襲する事にかけては他の機体以上の力を持っているマキナ。
自身は変幻自在な鞭を武器に戦う。
ちなみにアニメには外装形態のみの登場。
ナイフを武器とする防御の得意な機体として描かれた。


【ロストバレル】

全長22.0m
頭長高20.2m
重量53.3t

『現存している』最後のマキナであり、全てのマキナの祖である機体。
意匠は左二つ巴。
基本的にはラインバレルの試作品であり、オーバーライドと自己修復力以外はラインバレルそのものと言っていい機体。
ただし試作品らしく性能は非常にピーキーな一面もある。
武器は両脇にマウントされている二本のビーム刀。
登場時期の関係でアニメには一切出ていない機体。


《その他のマキナ》

過去の世界に存在していたマキナたち。

【ディスィーブⅡ】

過去回想に登場した機体。ディスィーブの発展機の一つであり有線式ナーブクラックを持つ。


【量産型マキナ】

プロトタイプ・ラインバレルに酷似した機体。


《ヒトマキナ》

先述の「人になったマキナ」たち。
自身を人間と定義しているため、原則の縛りを無視した行動が可能となっている。
多くのヒトマキナは本体である電脳をボディから取り外し転送を利用した遠隔操作で機体を操っており、死の恐怖を得ていながら自爆特攻などの死を恐れぬ行動をとることができる。

また極一部ではあるが電脳を人間型のボディに乗せ、戦闘時には「外骨格」と呼ばれる戦闘用マキナボディに乗り込むという、従来のマキナとファクターに似た方式を採用している者もいる。

【ヒトマキナ丙型】

全長270m
人の乳児を模した個体。とにかくバカデカいのが特徴で、頭に無数の穴を開けてビームを乱射するという破壊行動を取る。その外見と行動から、対人類用に生み出された個体であると推測されている。

【ヒトマキナ乙型】

全長22m
最も一般的なヒトマキナ。天児が計画していた次世代型マキナがヒト化したもので、頭部の円盤型ユニットが特徴。
円盤には転送フィールドの発生装置があり、この状態で接近してから機体を転送し、白兵戦を行う。
手と口に存在するビーム砲と収納型の直刀が武器。性能は低いが数がとにかく多く、ジャミング施設破壊作戦ではプリテンダーを行動不能に追いやった。

【ヒトマキナ甲型】

スペック不明
通称「トライポッド」。三脚で歩行する特殊なタイプで、ビーム兵器を操る。
要するに攻城兵器。

【空母型】

正式名称不明。円柱状の体にヒトの顔がついているという不気味な外見をしている。
大規模な転送フィールドを開くポータルとしての役目を持っているが、切り札を転送する前にラインバレルに顔面をえぐり取られ破壊された。

【終焉(デス)】

ヒトマキナ強硬派の切り札とされる超巨大な個体。全部で三機存在する。
1機は転送途中に空母型が破壊されたことで顔面部を切り離されて死亡、残る2機が最終作戦で投入された。
肥大した腹部、細く長い腕、ケーブル型のテールスタビライザーが特徴だが、最大のポイントは大きさ。
なんと、浅瀬とはいえ海の中にいるのに足首までしかつからず、頭部にある目玉状のパーツがグラン・ネイドルとほぼ同じ大きさ、というバカデカぶりである。
本来の役目は攻撃ではなく、他のヒトマキナを大量転送するポーターであり、腹部には月面の本拠地に通じる転送フィールドが開かれている。
だが、ラヴバレルのビーム攻撃とミサイルを抱えての特攻により主要電脳が破壊されてしまい、他の個体共々機能停止した。

【エイブラハム・リンカーン】

ヒトマキナ穏健派の筆頭。アメリカ合衆国第16代大統領の姿を模している。真来梓を地球に送り込んだ張本人で、彼女からは「お爺ちゃん」と呼ばれている。
現在の大統領にヒトマキナの代表を名乗って会談を申込み、さらにその直後に沢渡とも接触。
意味深な行動を繰り返しつつ最終的には自らの外骨格で浩一らと対決。その中で浩一に対してヒトマキナの計画の全貌を明かし、自らは「人類の敵」に徹してあえてラインバレルに討たれた。

【レイル・スプリッター】

全長17.3m
頭長高17.1m
重量38.1t
リンカーンの戦闘用外骨格。マキナとしては最新鋭の機体。
脚部を持たない浮遊する半人型で、センサーの精度はアパレシオンの電磁迷彩をやすやすと看破するほど。
最大の武器は股間部分のスリットから射出し、背中のドリル状のパーツでコントロールされるナノマシン群で、敵対者を完全に分解してしまう最強の矛にして盾。
その特性上物理的手段では防御不可能であり、戦って倒す方法は存在しない。
最後にはリンカーンの意志により、あえてラインバレルの攻撃を受けることで破壊された。

【大場真来梓】

CV:潘めぐみ(スーパーロボット大戦X-Ω)
ミドルティーンの少女の姿をした哨戒偵察型ヒトマキナ。リンカーンによって「人類を救う方法」を探すために地球に送り込まれ、調査活動を続けていた。
だが、ヒトマキナの侵攻が本来の計画と違ったものであったことから、彼らを止めるため「正義の味方」として独自に戦っていた。加藤機関のことはテレビを真に受けて悪の組織だと思っており、協調をかたくなに拒んでいた(しかもいちいち独特の例えを持ち出して)が、説得を試みて通信をつないだ森次に一目ぼれ、そのまま加藤機関に参入した。
ヒトマキナと戦いつつ日常を過ごす中で、激太りした降矢と関わり、戦闘の中で彼にかばわれたことで好意を抱くも、自覚が出来ず悩んでいた。
そして最終作戦の中、その感情と、「人類を救う方法」の答えは「愛」だと結論、終焉に向けてラヴバレルで特攻をかけ電脳を破壊した。
その攻撃で死亡したと思われていたが、実際にはラヴバレルを失った状態で月面に到達、残る主要電脳を捜索しており、月面に攻め込んできた加藤機関に回収されている。

【ラヴバレル】

ヒトマキナ乙型の改造機で、真来梓が使用する戦闘用外骨格。
当初は通常のマキナだと誤認されていた。
打撃武器として使用できる尾部の他、基本的な武装は乙型と同様。ちなみに顔面部はマスクで、デウスエクスマキナ以外で唯一人の顔を持つ機体。
ちなみに名前の「ラヴ」は「Love」ではなく「Rove」で、意訳すれば「ハグレバレル」。

【デウスエクスマキナ】

CV:玄田哲章(スーパーロボット大戦UX
ヒトマキナ強硬派の首魁にして最強のマキナであり、すべての元凶たる存在。
人型の顔に二本の角、マントを伸ばすショルダーアーマーにカタツムリのようなジェネレーターユニット、そしてラインバレルに酷似した手足を持つ機体。
転送フィールドを自在に操るほか、切っ先のない直刀を武器として使用。
現在の人類ではマキナを必要としないため、自分たちが必要とされる世界を作るためもう一度世界をリセットしようと試みていた。
最終決戦ではレイル・スプリッターのナノマシンをベースに改良された転送妨害ナノマシンが散布されたことで転送を封じられ、さらに浩一との論戦の中で、執拗に彼を否定しようとするのが「浩一に対する理解の足りなさ」から来る恐怖だと看破され角を片方切断される。
そして、ラインバレル・オーバーロードを発動させた浩一の力と意志の前に、彼こそが人類の未来を託すに足る「正義の味方」だと確信し、真っ二つに分断された。
機体デザインは原作の原作にあたる読み切り「鋼鉄の華」に出てきた「マキナ」をそのまんま流用したものだが、実は浩一に斬られた角は「マキナ」が登場した際に折れていたものと同じ。

ゲーム『スーパーロボット大戦UX』では大幅に前倒しされる形で決戦が行われており、原作と異なり転送能力をフルに生かした完全状態でUXに襲い掛かって来る。
しかし、ショウと浩一の連携で転送フィールド戦術を破られ、最後には浩一の渾身の一撃を受けて敗北。UXを見送ったのち、崩壊するヒトマキナの世界と運命を共にした。
なお、こちらでは「鋼鉄の華」の「マキナ」と同一の存在であることが示唆されており、セリフ回しにもそれを思わせる部分が散見される。

【マキナ】

全長23m
頭長高19.1m
重量53.92t
意匠:右一つ巴
アニメ版の最終話において、次元坑道を漂流するラインバレルとすれ違った謎のマキナ。
「鋼鉄の華」の主人公機であり、その世界の浩一と絵美を乗せて何処かに向かっていた。
「鋼鉄の華」においては、滅亡に瀕した未来世界における二大派閥の一つ、過去への移住を試みる「強硬派」に対し、それを阻止しようとする「穏健派」が送り込んだカウンター兵器。自意識を持っており単独行動が可能だが、操縦者である生体サイボーグ「R335」がいなければ真の力を発揮できない。
そのR335とは、操縦者探しを託した早瀬浩一その人であり、彼が期限内に「人を好きになれるか否か」が起動の可否を決めていた。結果として浩一は絵美に好意を寄せてその想いを伝え、それをトリガーに高校の地下から出現、侵略を開始した強硬派の戦力を一蹴した。

なお、右の角は何者かに切断された痕跡があるが詳細は不明。一部ではデザインを流用されたデウスエクスマキナと同一の存在なのではないか、とも推察されている。



追記・修正はマキナのファクターになってからお願いします。

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