ガイア幻想紀

登録日:2010/02/05(金) 01:20:54
更新日:2023/10/29 Sun 05:19:53
所要時間:約 3 分で読めます




1993年11月27日にクインテットとエニックス共同の元で制作、発売されたSFC用アクションRPG。
同社開発の「ソウルブレイダー」、「天地創造」と合わせて『クインテット三部作』と呼ばれる。そのニ作目である。

キャラデザは少女漫画家の萩尾望都。
このゲームのイラストを見る機会はあまりないが、実にお耽美である。


主人公の武器がという無謀なゲームだが、
闇の騎士フリーダンと究極生命シャドウ(敵みたいな姿)に変身できるので、謎解きやバトルのバリエーションが楽しめる。


<システム>
トップビューの2DアクションRPG。
周囲の敵を全滅させることでステータスアップ上昇アイテムが入手できるるが、
ダンジョンをクリアした時点でステータスは固定値まで上昇するため
ボスを倒せるだけの能力があるならわざわざ敵を探し回る必要はない。
アクションの難易度はやや低めで、謎解き要素のほうが強め。

主人公テムは各所にあるセーブポイントにおいて闇の戦士へと変身することができる。
闇の戦士はテムよりも戦闘力が高く、テムにない能力を持つ。
逆にテムにしかできないこともあるので、変身しないこともまた重要。

<ストーリー>

北天の大星座である白鳥座の方角にある彗星の光は、古来から生命体の進化を促進させていた。
古の時代にはこれを応用して、動物や魔物といった生物を創造した。
だが、その魔物により世界は壊滅寸前にまで陥ることとなる。
人類は「光と闇の戦士」を生み出すことにより、魔物を撃滅することに成功した。それから幾年もの月日が流れた。

<登場人物>

  • テム
サウスケープに住む少年で、本作の主人公。ちょっとした念動力やテレパシーが使える。
1年前、父であるオールマンの指揮する探検隊に同行しバベルの塔へ入り込むが遭難。テムだけが奇跡的に帰還となった。
愛用の笛から聞こえてきた父の声に導かれて、世界中の遺跡に散らばっている土偶「ミステリードール」を集める旅に出る。髪の毛がサラサラ。

攻撃力・射程ともに最低だが飛び込みながら攻撃する「ジャンプ攻撃」
特定の障害物を壊せる体当たり攻撃「サイコダッシュ」
回避性能も優れるスライディング攻撃「サイコスライダー」
高速回転ダブルラリアットしながら猛スピードで突撃する「スピンダッシュ」
など、無敵時間があり機動力に優れた特殊技を覚え、主にダンジョンの謎解きに大きく貢献する。

  • フリーダン
テムが変身する闇の戦士。長剣を武器とする金髪長髪で鎧姿の騎士。
攻撃のリーチが長く攻撃力も高いため戦闘力はテムを大きく上回る。
特殊技も戦闘向きで、遠距離攻撃が可能な「ダークフライヤー」は彼の十八番。
テムの能力が必要ない場面では基本的に彼に変身するのが吉。
敵の動きを止める「アースシェイカー」はクリアに必須ではなく、使う機会に恵まれないが特定のボスに対して異様に効果を発揮する。
あと「オーラバリア」もクリアに必須ではない。

  • シャドウ
終盤に変身可能になる究極の闇の戦士。
揺らめく人型の影のような姿をしているが、その正体は形を持たない精神生命体であり、自在に形を変えられる。
テムやフリーダンのような特殊技を持たないが代わりに基礎能力は最強であり、ガードは全方位をカバーできる。
「オーラの玉」を使うことで液状化し、少しの間無敵化したり床のひび割れを通り抜けたりできる。

  • カレン
エドワード国王の娘。最近の国王の横暴ぶりに反発して家出。
テムと行動を共にする。序盤は世間知らずでわがままな部分が目立つが、綺麗ごとだけで済まされない世界の現実を見るうちに成長していく。
真っ赤なウソをついたり、「髪が伸びたんじゃない? 2ドットくらい(笑)」とメタ発現*1も。
後半テムと恋仲になる。ツンデレ。

  • エドワード国王
主人公の持つ水晶の指輪の力を手に入れようと企む王様。指輪の力の実態については全然知らない。
テムの最初の敵であり、しかもカレンの父親という重要で因縁的な役どころの割には、最初にちょっと出てくるだけで以降一切登場しない。

  • ペギー
カレンの飼っているペットの豚。
ただ、いつも一緒に行動しているわけではない。後半まさかのトラウマ要因に。

  • リリィ
花の妖精とも呼ばれる「イトリー族」の少女でお転婆娘。
タンポポの綿毛に変身して空を飛べる。実は押しに弱いと思われる。テムが気になるが……。
テムが変身できることを見ており、ダンジョン攻略に二回ほどついてきてくれる。

  • ロブ
テムの友人で、一本気な元気少年。その為、リリィとはよく衝突する。
バベルの塔で行方不明になった探検隊員には、彼の父も含まれていた。何気に勝ち組。

  • モリス
眼鏡の内気なテムの友人。
初期にテムたちと渡海中、いきなりリバイヤサンに船を襲われ行方不明に。しかし、彼は強かった。

  • エリック
テムの友人。泣くと凶暴になるやせっぽちなチビ。
サウスケープで一番裕福で大きな家に住んでいるが、夜はトイレに一人で行けない。
ダンジョンの攻略によっては、テムの変身能力を知るが内緒にしてくれる。

  • ニール
テムの従兄弟で発明家。両親はローレック株式会社という巨大な貿易会社を経営している社長夫妻。

  • オールマン
テムの父で、バベルの塔にて遭難した。自身の名を冠した探検隊の隊長である。
たまにテムの笛にはまっている水晶の指輪を通して、テムに助言してくれる。

  • ジェム
自称・七つの海を股にかける宝石商。
各地に点在する「赤い宝石」を集めると景品をくれる、いわゆるメダル王ポジション。
変装の名人とのことで、各地で姿が全く違う。時には等身すらも変化する。

+ 赤い宝石を50個集めると手に入る「私の秘密」とは…?
正体はクインテットの前作『ソウルブレイダー』に登場した最初のボス『ソリッドアーム』。
遠い昔、ソウルブレイダーに敗れた彼は力を赤い宝石に分割され封印されてしまった。
宝石商というのは自らの力を取り戻すためのカモフラージュである。
実は作中の大きな問題の1つである奴隷取引の元締めでもあり、奴隷を使って赤い宝石を探し求めていたが、テムが宝石をすべて集めて力を取り戻したことで正体を現し襲い掛かってくる。

本作の隠しボスであり、まともに戦うとかなり強い。
上記の通り『ソウルブレイダー』では1面ボス程度の強さでしかないのだが、今作ではステージが狭い、動きが早い、攻撃が強くていやらしい、あと自キャラの大きさが違う、など強化要素がいっぱい。
普通に攻撃すると腕を振り払ってガードされてしまうため、サイコスライダーで背中に抜けるように攻撃することでダメージを与えていきたい。

なお、赤い宝石の隠し方はかなりガチで、攻略本なしで全部集めるのはほぼ不可能。
特に「低確率で最初の町の住人が釣り上げる」はとてつもなく鬼畜。
最初の町に限らず、ストーリーが進むと戻れなくなる場所ばかりなので取り返しがつかない。
全50個あるが、30個集めるとフリーダンのダークフライヤーの範囲が大幅に広がるので、ここまでは頑張ろう。

本作の世界が『ソウルブレイダー』の遠い未来であることを示しているなど、何気に世界観上では重要人物なのだが、如何せん正体を知る難易度が高すぎた可哀想な隠しボスである。


  • ガイア
『闇(ヤミ)の空間』に佇む存在。要は回復ポイント兼セーブポイント。
曰く、「生命の源」とのことだが、顔だけで宙に浮いているので女神なのか何なのか、何ともわからない。
別に本人は噓をつく気は無いのだが、実際のゲームのシステムや操作が説明に対して間違っていることが結構ある。


<余談>
  • 主人公テムは世界中を旅するのだが、その旅先がムー大陸だったり万里の長城だったり、
    アンコールワットだったりナスカの地上絵だったりピラミッドだったり、実在の遺跡がモデルのダンジョンが多くかなりロマンをくすぐられる。

  • あるダンジョンにて、本来は条件を満たして臨まなければ越えられないポイントを、強引に精密操作だけで越すことでゲームの進行が不可能になる技が存在する。

  • 可愛らしいキャラクターと序盤の雰囲気からは想像できないが、奴隷売買・食人・ロシアンルーレットなどトラウマ描写が多く、ストーリーもかなり暗い。
    しかも奴隷商人に逃げた奴隷の居場所を教えないと手に入らないアイテムがあったり精神的にきついイベントもあったりする……
    そういった現実の厳しさを少年少女の目線から描くことで子供たちに訴えつつ陰湿になりすぎないようにまとめあげているシナリオは評価が高い。




以下ネタバレ











  • テムの父親は亡くなっていて、魂の姿になってバベルの塔でテムを待っている。

  • モリスはリバイヤサンそのものに変化する。しかしバベルの塔では魂になっている。……死んだのであろうか。

  • 実はニールの両親は殺されている。殺したのは「月の種族」と呼ばれる幽霊のような存在。
    しかし何故殺したのか、そもそも彼らはどういった存在で、何が狙いなのかは一切不明で、出番もここで終わる。それとグラフィックは「ソウルブレイダー」のエネミーの使いまわし。

  • 可愛いペギーはテムたちを守る為、自ら『おいしそうな』焼豚になる。
    これが本当にペギーを調べると表示される。トラウマの多い本作でも屈指のトラウマシーンである。
    フラグ管理がミスってるのか、イベント終了後でも何度もカレンとエリックが旅立つ。

  • 序盤で話だけ登場した殺し屋ブラックパンサーは、すっかり忘れた終盤で突然登場する。すぐに退場するが、彼の退場シーンも妙にリアルでなかなかえぐい。

  • ロブの父親は生きていて、精神的ショックがあったのかロブは幼児退行してしまった父親の介護の為に離脱。
    その際にロブとリリィはくっつく。ロブ……お前……。

  • テムの正体は、古代人が彗星を破壊するために作りだした生物兵器「闇の戦士」の末裔で、
    対の存在である「光の戦士」の末裔であるカレンと心を1つにすることで『対彗星兵器ファイヤーバード』として完成する。
    何故父は闇の戦士として覚醒せずテムだけが闇の戦士の力を持つのかなどは不明。

  • 本作の舞台は、彗星ダークガイアによって歪められた偽りの歴史を辿った地球である。
    彗星による急激すぎる進歩は人の精神の進歩を遥かに追い越してしまい、人間は彗星の力を兵器として使うことで魔物が生まれ、一度は破滅寸前にまで行きついてしまった。
    古代人たちは進歩を止め、彗星由来の進んだ技術を手放すことで破滅を回避したが、それだけは破滅の先延ばしにしかならない。
    光と闇の戦士とは魔物殲滅の最終兵器であると同時に、いつか彗星の影響から地球を解放するため、古代人が遺した最後の希望なのである。
    ミステリードールは光と闇の戦士を生んだ道具そのものであり、彗星を倒すためテムを成長させることがオールマンの目的であった。

  • 彗星の力によって地球そのものも歪んでしまっているが、ダークガイア*2を倒すことで世界は本来の姿を取り戻し、今まで冒険してきた世界は歴史ごと消え去ることになる。故に「幻想紀」というタイトルなのだ。


追記・編集をお待ちしております。

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最終更新:2023年10月29日 05:19

*1 大海原でテムと遭難中の発言。ただしメタ発言はここだけで、殺伐とした状況を和ますためのスタッフの遊び心なのかもしれない。

*2 ちなみに『天地創造』のラスボスもやはりダークガイアという名称だが、関連性はそれぐらい