登録日:2012/03/21(水) 17:33:54
更新日:2024/03/18 Mon 23:09:44
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アンプとは入力された電気信号を増幅(Amplify)し出力する機器。
スピーカーとは似て非なる代物で(詳しくは後述)、ここでは
エレキギター用アンプについて説明する。
ギター用アンプの場合、エレキギターをケーブルで接続して音を出す。
エレキギターは、アンプがあって初めて楽器として成立するのである。
ギター用アンプの特徴として、音を歪ませることができる。
諸兄らは、iPodやパソコンで音楽を聴いている時、音量を上げすぎて音が割れたりジャリジャリになった、という経験のある人はいるだろうか。
要は、この現象を意図的に起こしているのであり、ギターのギュイーンとした特有の音はこうした歪みによって作られているのである。
簡単な説明に留めるが、歪んだギター音は単に音量が大きいだけでなく倍音成分が大幅に増えるため音の存在感が飛躍的に向上し、また音の長さ(サスティン)がよく伸びるようになるという特徴がある。
が、些細な刺激にも敏感に反応するようになるため細かいコントロールが利きにくくなり、全体的な音量の起伏も(飽和しすぎて)平坦化し、場合によっては低音成分が軽くなるという弱点も存在する。
もちろんノイズも多い。
この現象は当初はイレギュラーなものであり、「音割れなんてしない方がいいだろJK」という考え方が主流であったが、もはやそんなこと言ってられず、とにかくアンプをパワー全開にしてジャンジャン演奏しまくらなければならないような状況が何度も発生し、ミュージシャンもそれに適応していったため、いつしか手法として定着した。
常識に囚われないのがRockであるというのがよく分かる話である。
かつて、なんとかして音割れを起こさないために幾つもエフェクターが発明され、機種によっては今なお歪ませることを想定していないアンプも存在するので、そこのところは注意が必要である。
歪ませ具合で音色の呼び名が変わり、
全く歪ませない音をクリーントーン
少し歪ませた音をクランチ
そこそこ歪ませた音をオーバードライブ
深く歪ませた音をディストーションorハイゲイン
と呼ぶ。
内部はプリアンプとパワーアンプに分かれている。大まかに言うとプリアンプで音色を作り、パワーアンプで大きな音にした後、スピーカーで音を出す。
まあ、殆ど一体化していて、それぞれの境目なんて分からないような機種も多いのだが。
また、リバーブなどのエフェクターはプリアンプ部分に付いていることが多い。
通常、エレキギターの録音はアンプの前にマイクを立てて行う。
諸事情でこれが出来ない人のために発明されたのが
アンプシミュレーターである。
■アンプの操作■
アンプとは基本的にツマミの多さに定評があるものである。
その中でも、大体のアンプに共通する操作部を解説する。
音量を調整する。電源を切る時には必ず0にすること。
歪み具合を調整。歪ませたければGAINを上げ、クリーンにしたければ低めにする。ただし0にすると音が出ない。こちらも電源を切る時は0にする。
VOLUMEとGAINの二つの兼ね合いこそが重要なのである。
上げるとキンキンした音に、下げるとモコモコした音になる。
上げると迫力のある音に、下げるとすっきりとした音になる。
上げると低音の効いたズンズンな音に、下げると軽い音になる。
最近は複数のアンプが一つになったものも少なくない。
それぞれのアンプにはチャンネルが割り当てられており、チャンネルの切替えをフットスイッチで行う。
■アンプの分類■
☆スタック、コンボ
ヘッドと呼ばれるプリアンプ&パワーアンプ部と、キャビネットと呼ばれるスピーカー部が分かれているのがスタック型で、一体化しているのがコンボ。
☆真空管、トランジスタ
音の増幅や整流に真空管(チューブ)が使われているか、トランジスタ(ソリッドステート)が使われるかの違い。
一般に真空管の方が倍音多めの暖かい音が出て、トランジスタはクリアな音が出ると言われる。
ゲインを上げたときの歪みの音色も違ってくるようだ。
☆ワット数(ワッテージ)
ワット数が大きい程音が大きくなる。
30Wくらいあればライブで充分使える。
15Wくらいまでは自宅練習やギグ(小さなスタジオでのセッション)用。
…まあ大抵自宅練習じゃ2Wでもロクに鳴らせないけど。
☆スピーカーの大きさと数
直径12インチか10インチのスピーカーがよく使われる。
(1in=2.54cm)
よくあるスタックアンプのキャビネットは直径12インチのスピーカーを4つ並べてある(この場合12インチ4発と表現する)。
AC30等の小さめなコンボアンプは大体12インチか10インチ以下が1発。
JC-120等の横長のアンプは12インチ2発が多い。
■代表的なアンプ■
赤字は真空管、青字はトランジスタ、黒字は分類不能。
Marshall社製。大抵のスタジオにはコレかJCM2000が置いてある。
歪み系アンプのスタンダードで、大体のジャンルの歪みはコレで十分。
けいおん!一期4話「合宿!」で兄弟機種のJCM900が登場。
某曲に「重いマーシャル運んでいた時の腰の痛みまだ覚えているの?」という歌詞があるが、この重いマーシャルというのはこいつのこと。
ローランド社製。通称ジャズコ。こちらも殆どのスタジオにある。
コーラスをかけたクリーントーンが綺麗。
非常に普及率が高い一方で、サウンド自体はそんなに汎用性が高くないことはよくネタにされる。
VOX社製。家具のような見た目が特徴。
THE BEATLESが用いていたことで有名で、ブリティッシュサウンドと言われる。
あまり深くは歪まない。
あの
God knows..のレコーディングにも使われた。
Mesa/Boogie社製。アンプの歪みとしては規格外の超ハイゲインサウンドで、メタラー御用達。
Hughes&Kettner製。青く光る高級感溢れる見た目で、お値段も高め。
あまり自己主張はしない音で、バンドサウンドに混ざり易い。
各種設定やチャンネル切替はMIDIコンで制御でき、便利。
FENDER社製。全く歪まないクリーンアンプ。
名前のとおりリバーブが搭載されている機種が多く、
スプリングリバーブなどは極めてふつくしい魅力がある。
↓自宅練習用にお勧めのアンプ
VOX社製。様々なアンプを模した音を出せる「モデリングアンプ」の一つ。
VTは「Valvetronix」の略で、プリアンプにのみ真空管を使いフルチューブアンプの音を再現する技術。
30Wのもので一万円程度とお手頃。
アンシミュ本家のLINE6社製のモデリングアンプ。VTよりは割高。
画像は上位機種「Spider Valve」で、オールチューブのモデリングアンプである。
Roland社製の軽さと電池駆動に定評のあるモデリングアンプ。2Wから80Wまで揃う。
汎用アンプの「Street」はストリートミュージシャン用のド定番で、駅や街中で一度は見たことがあるはず。
小型チューブアンプでは最近人気の★。
スピーカーが大きめなので低出力の割に音に迫力がある。
2006年あたりに2chを初めネットで騒がれたEpiphon製の5Wのチューブアンプ。
諭吉一枚と少しで本格的なチューブサウンドが得られると話題になり、昨今の小型チューブアンプブームの火付け役となった。
現在は輸入代理店がないため、店頭で買うことは不可能。
FENDER製の小さな5Wチューブアンプ。
ツマミがボリュームのみという男らしすぎる仕様なので、色々な音色を使いたい人には向かない。
Marshall社製。
平沢唯ちゃんが自宅練習で使っているモデル。JCMシリーズとは大分音が違うので注意。
VOX社製の小さなヘッドフォンアンプ。アンプとアンプラグドを掛けたネーミング。
ギターのジャックに直接刺し、ヘッドフォンで聴く仕様で、そのお手軽感からヒット。
けいおん!とのコラボで各キャラのモデルが何度か発売されており、最新版は平沢唯、
秋山澪、
中野梓の三種で、
それぞれの持ち楽器(
レスポール、ジャズベース、
ムスタング)向けにチューンされている。
画像は初期の唯ちゃんモデル。
余談だが、冒頭で述べた通り、本来アンプは電気信号を増幅する機器のみ指すので、「アンプ付きスピーカー」と表記するのが正しい。
が、ギター用のものは何故かスピーカーを含めて「アンプ」と呼ぶ。
追記、修正は各ツマミを0にしてからお願いします。
- 文中に出てくるamPlugの「けいおん!」モデルは、コストパフォーマンスが良くて評価は結構高かった。キャラクターによって音の特色が微妙に違うっていうのは面白い試みだったと思う。 -- 名無しさん (2013-09-15 17:21:33)
- SWRのヘッド買って3年経つけど未だに理想の音が作れないや。もっと研究しなきゃな -- 名無しさん (2013-10-11 00:14:06)
最終更新:2024年03月18日 23:09