統一球(プロ野球)

登録日:2011/11/13 Sun 22:29:30
更新日:2024/04/02 Tue 11:45:47
所要時間:約 4 分で読めます




統一球とは、2011~2012年に日本プロ野球に導入されたボール。

正式名称は「低反発球」で、その名の通り反発力が低く従来のボールより飛ばないとされている。

WBCなどの国際大会で使用される飛びにくいボールに対応するために導入されたとか。

このボールにより、野手陣の打撃成績にどのような影響が出るかと注目された………




しかし蓋を開けると………


  • 投手防御率1点代が両リーグ合わせて5人
  • 逆に本塁打数が30本を越えたのは両リーグ合わせてもたったの2人

など、本塁打を始めとした長打の減少だけでなく、ストライクゾーン改訂による投手の与四球数減少も合いまり、完全な「投高打低」のシーズンとなった。

このようなことから統一球は賛否両論で、
「空中戦の方が面白い」
「やっぱりホームランが見たい」
などという反対意見や、
「投手戦こそ野球の醍醐味」
「対応するのがプロ」
といった統一球を肯定する意見もある。



【以下2011年活躍した主な投手】

  • 田中将大(楽天)
2011年に「神様」稲尾に次ぐパリーグ歴代2位の防御率1.27という驚異的な数字を記録し、
見事に防御率・勝利数・勝率の投手三冠に輝き、沢村賞も受賞した。

田中に次ぐ防御率1.44・18勝、276奪三振は両リーグトップと、絶対的なエースとして日本最強右腕の底力を見せつけた。

  • 吉見一起(中日)
中日ドラゴンズのエースとして抜群の安定感を発揮し、田中と同じく投手三冠を獲得した。

イケメンセットアッパー。2011年は79試合に登板し、防御率0.41と異常なまでの安定感を見せ、中継ぎ初のMVPを無事獲得した。

  • 内海哲也(巨人)
これまではエースと呼ぶにはやや物足りない成績だったが、二年連続の最多勝に輝き巨人のエースとして恥じない活躍を見せた。

  • 西口文也(西武)
2008年以降はパッとしない成績が続き2011年も序盤こそ相変わらずだったものの、シーズン中盤に復活。
6年ぶりに完封勝利するなど11勝を挙げ、全盛期を彷彿とさせる活躍で文字通り完全復活を果たした。


しかし彼らは2011年以前も素晴らしい成績を残しており、この期間の好調も一概に統一球の影響とは言い難い。
問題は打撃陣である。


  • 小笠原道大(中日)
2011年はケガの影響もあって、89試合の出場にとどまり、打率2割4分・5本塁打・20打点と悲惨な成績に終わった。
単純に加齢から来る衰えもあるだろうが、それにしても急激すぎるものであった。

  • T-岡田(オリックス)
2010年の本塁打王だが、以前なら入っていた打球がスタンドまで届かないなど極度の不振に陥る。
2軍落ちも経験し、4番としてはかなり物足りない成績となってしまった。
その後の成績も芳しくない。

  • 岩村明憲(楽天)
メジャー帰りの強打者として期待されたが、出場77試合で打率1割台・9打点、
本塁打に至っては0本と全くの期待はずれに終わってしまった。
ただしメジャー時代に膝の靭帯を断裂する大怪我を負ってから成績が急激に悪化していたため、統一球のみの影響と言えるかは微妙。

  • 鉄平(楽天)
2010年以前は首位打者のタイトルを獲得するなど主軸として活躍していたが、2011年以降は打率が急降下。
統一球廃止後も輝きを取り戻すことは叶わず若くして引退した。

これらは極端な例だが、実際殆どの選手は軒並み成績を落としている。

これも統一球の影響と言えるだろう。
理由として、真芯に当たらないと詰まるため俗にいうドームランのような詰まったホームランが激減した。

ちなみに左打者の成績低下が顕著であるのは、打ったときにしっかりと押し込まないと力負けをするためと言われている。
右利きで左打ちの中距離打者タイプは利き手でしっかり押せないため不利とされている。

逆にブレイクした打者を挙げると

  • 畠山和洋(ヤクルト)
4番としてチームを牽引。後半は調子を落としたものの、打率は.269、本塁打は23本を記録した。

  • 長野久義(巨人)
2年目にして打率.316をマーク、首位打者に輝いた。中盤では怪我で離脱したラミレスに変わり、4番にも座った。

  • 松田宣浩(ソフトバンク)
他者が統一級に苦しむ中、前テギュンなる打法(本人談)により成績を伸ばし、打率.281の25本塁打を記録。チームのリーグ優勝にも大きく貢献した。


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「現に飛んでるんで」


  • 中村剛也(西武)
いち早く統一球を打つコツを掴み、両リーグ唯一の40本塁打、2位に15点以上差をつけての打点王など、
1人だけ次元の違うバッティングを見せつけた化け物スラッガー。
彼がいる限り他のバッターは統一球を言い訳に出来なくなる。
飛距離120mのホームランが100mになりホームランにならなくなった他の選手に対し、
おかわり君の場合飛距離140mのホームランが120mのホームランになっただけ、と語られることも。
だが反動で手首がボロボロになり、ケガでの離脱が非常に多くなってしまった。








ところが、2013年から統一球で苦しんでいた選手たちが復調したり、他選手たちからも「何か去年までと感触が違う」という報告が続出。
調べてみたところ、実際に前年までとは異なるボールだったことが発覚。
「あまりに飛ばないものだからこっそり飛ぶボールに変えた」とマスコミが煽りだし隠ぺい問題だとして騒ぎになった。

が、実を言うと前年までのボールは「統一球としての基準を満たしていない不良品」だったのだが大人の事情でそれを使いきらざるをえず、
2013年からようやく「本当の統一球」が使用されていたというお話。つまり選手たちの技術とか云々以前の問題だったのである…。
当たり前だが現場の選手、監督達はこれに怒りを露わにした(調整・指導・契約など様々な問題と絡む為)。
余談だが2012年にシアトル・マリナーズの番記者がNPBの統一球について触れた際、「野球ボールの代わりに濡れたスポンジを使っていた」という痛烈な皮肉を書いており、MLBに詳しい有識者からの視点でもこの時期のNPBの球は異常だったことがうかがえる。

そして、2014年のボールは当初は「飛ぶボール」が使用されたものの、反発係数が基準値を下回っており4月末に見直しを行い新統一球となった。本塁打自体は前年より増加している。

また超が付くほど投手有利に働いていたことから、これによってメッキが剥がれ急激に成績を落としたいわゆる「統一球投手」と呼ばれる投手も多数現れた。
2010年以前から活躍していた投手も統一球に適応し変化した結果、元に戻らなくなったりしてやはりそう呼ばれるようになったりもしている。
ベテラン投手はこの傾向が顕著で、これによって復活してその終焉と共に成績が残せなくなり引退していくことも多かった。

ただし落合博満は中日監督時代、この統一球の影響について「ただの言い訳だよ」と突き放していた。


追記・修正は統一球を打つコツを掴んでからお願いします。

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最終更新:2024年04月02日 11:45