サクラ大戦(TVアニメ)

登録日:2012/04/22 Sun 12:52:35
更新日:2024/03/23 Sat 23:06:58
所要時間:約 5 分で読めます




本作はTBS系にて2000年4月8日~9月23日まで放映されたTVアニメで全25話(正確には26話分)。

監督:中村隆太郎(serial experiments lain
TV版キャラクター設定・総作画監督:守岡英行(さよなら絶望先生傷物語三部作)

ゲームの第一作をベースに独自の物語が描かれている。
なお、映像ソフト化に当たって『サクラ大戦TV』という名前で発売された(『ギャラクシーエンジェル』の2期以降における「Z」「A(AA)」「X」のようなものだが、シリーズ他作品との区別のためにこちらの名が使われる)。

ゲーム本編と異なるのが
  • さくらが主人公。
  • 大神はあくまで脇役で、彼と隊員の恋愛はない。淡いエピソードも0という徹底ぶり。中村監督は理由として「彼も含めてみんな重いもの背負っているのに、物語はそれ以前の大問題でしょう」と話している。
  • 一部キャラクターの性格変更。
  • 飽くまで「葵叉丹(=山崎真之介)が」ラスボス。悪魔王サタンは出ない。
  • 脇侍や魔操機兵のデザインが全くの別物。
等々がある。
また生身での戦闘が多いのも特徴。
さくらだけでなく、大神達も生身で脇侍を撃破する実力を持つ。
おい、光武に乗れよ。

根幹のコンセプトは
「原色・記号的表現はできるだけ使わず、生命感・重量感あふれる動きのある映像作り」
「その場のシチュエーションありきではなく、心理描写を敵味方共にまんべんなく掘り下げながら進むドラマ重視の物語作り」
「メインのモチーフは江戸川乱歩氏の作品群・荒俣宏氏の『帝都物語』」を心掛けて制作した。

それ故に怪奇色が強いのも特徴で、生物的な脇侍・【羅刹那】等、敵の容貌もおぞましい物が目立つ。
非常に重い展開が多く、民間人や隊員の死等も容赦なく描いている。

コミカルさもあった原作とは違い、「あんな世界で能天気に笑っていられるのがよっぽどおかしい(意訳)」というアニメ制作陣*1の意向から、
既に上がっていたシナリオを中村監督主導で全面的に書き直し、差し戻されてもなお引き下がらず、
第1話の絵コンテ・全体のプロットを持ち出してまでゲーム制作陣を説得し、広井王子氏に改変の許可をもらった。
アニメ制作陣ロック過ぎやしませんかね…


【登場人物】
帝国華撃団
詳細は上記リンクを参照。以下は原作との違いのみ記します。

真宮寺さくら
本作の主人公。
原作以上に戦闘でも女優としても未熟さが強調されている。
序盤から帝劇での生活について行けず、吐いて逃げ出すという事までした(尤もこれは周囲の人間にも非がある)。
仲間達や帝都の人々との交流を経て、逞しく成長していく。

大神一郎
本作ではあくまで脇役。
性格は硬派な熱血漢だが、自分に辛辣に接するマリアにも柔軟に対応する等、未熟さはうかがえない余裕のある性格となっている良き兄貴分。
合宿ではカンナと同じく怪物級の身体能力を見せ、蹴りで岩を砕いてみせた。
叉丹との最終決戦では応援に徹した

神崎すみれ
原作と比べると、序盤は苛烈な気性が目立つ。
未熟なさくらには辛辣に接していたが、徐々に認めて行く。

マリア・タチバナ
基本、原作通りだが、本作の空気に馴染み過ぎて、より冷徹になっている。
当初、大神の甘さに突っ掛かり、対抗心をむき出しにする事さえあったが、少しずつ認めて行った。
大神とは頻繁に絡み、彼を主人公として考えるとヒロインポジである。

イリス・シャトーブリアン
本作で一番改変された人物。
原作の天真爛漫さは皆無で、非常に物静かな性格。
原作でも仄めかされていた家族との確執や、世界観の本質を考えると、
この性格になるだろう可能性も承知できるが、原作ファンからの評価は悪い。
一方でぎこちないながらも周囲の思いを知り、誕生日エピソード等で仲間と触れ合い、年相応の感性を取り戻し、
やがて自発的に仲間と関係性を深めて築き上げていく過程を評価する声もある。
その様はメインスタッフ守岡英行氏宜しく「もう『アイリス大戦』でいいんじゃ…」と評される程。

李 紅蘭
基本、原作(ry。
本作では憧れの山崎真之介が叉丹である事を知り、衝撃を受け、一時戦線離脱してしまう。

桐島カンナ
基本、(ry
気は優しくて力持ちな感性がより強調され、すみれとの言い争いはあまりなく、突っ掛かる彼女をスルーしたりする。
中村監督宜しく「欠点らしい欠点があまりにもないキャラなので、どう転がすか苦労した」とのこと。

米田一基
本作随一の漢。
原作以上に花組の若きメンバーを気遣う描写が目立つ。
彼女らを死なせまいと単身叉丹に挑むが、果たして?

藤枝あやめ
基ほ(ry。
本作では叉丹が山崎である事を早期に知り、苦悩する姿が目立つ。
本作では『退場』せず、最後まで『人間』として生存する。

加山雄一
御存じ、月組隊長。
本作では早期に大神に立場がバレる。
あまり飄々とした態度は見せない。
刹那によって一時期精神崩壊寸前まで陥ったが復帰。
戦闘では銃器を使うが、花組と比べると見劣りする。
「海はいいなぁ」の精神攻撃で刹那を撃破した。なんだかんだで彼も脇侍を生身で撃破出来る。


◆黒之巣会

◇脇侍
原作とは違い、生物的な外見となり、攻撃すると臓物を垂れ流す。汚い。
生身のさくらや大神らに無双される等、どこぞの戦闘員程度の強さしかない。

◇葵叉丹
本作のラスボス。
元対降魔部隊の山崎真之介少佐の成れの果て。
サタンではなく帝都の怨念を吸収した事によりチートな強さを手に入れた。
終盤まで花組相手に無双しまくる。
米田やあやめとの因縁や一馬の忘れ形見のさくらとの激突や狂気に墜ちるまでの過程も描かれる等、ある意味裏主人公と言える扱い。

◇蒼き刹那
原作とは違い子供っぽい。
加山がお気に入り。

◇白銀の羅刹
原作とは違い、獣のような唸り声しかあげない狂戦士。
そのパワーは光武すら上回る。

◇紅のミロク
原作通りの人物……かと思いきや、すみれに敗北した後、おぞましい変貌を遂げる。

◇天海
厳密には登場していない。
肉体・意識・魂こそ既にこの世から消滅したものの、力は天封石に封じられており、
それを解き放つ事で、帝都を破壊するのが叉丹達の目的。

【その他】
◇真宮寺一馬
敵の配下になどならない。
降魔戦争で殉死しても尚、その存在はさくらの心の支えになっている。

ソレッタ・織姫レニ・ミルヒシュトラーセ
ゲスト出演。
星組の戦闘記録に登場。


【道具等】
◇光武
御存じ、帝国華撃団・花組が誇る最強の霊子甲胄。
……のハズが生身で脇侍を無双する花組メンバーのお陰で防具程度の有り難みしかない。脇侍とのつばぜり合いすら一苦労。
中村監督は「素晴らしい性能だけど、実際は非効率的。霊力の強い人間がいないと動かないから」と指摘し、
「如何にもな専用機ではなく、戦車の構造を意識してほしい」と注文したために、四肢が太く、大柄になった。
モチーフはドイツ製の水陸両用偵察用四輪駆動車「シュビムワーゲン」
紅蘭がさくらに見せた光武の設計図は、原作ゲーム版の設計図である。


◇魔操機兵
叉丹が製作した黒之巣会の主力兵器。
脇侍を筆頭に非常にグロい。
原作を知る視聴者から見ると、ダリナンダレベル。
中村監督は「もし山崎が新しく兵器を作るなら、光武は過去の失敗作とするんじゃないか?」
「少なくとも脇侍は『人間の死体さえあれば量産できる生体兵器』として捉えるのではないか?」と考察している。
コンセプトは「鎧をまとった落武者」「フレッシュゴーレム
後半、降魔の素材を使ったことを示唆する脇侍が出現する。


◇穢土城
帝都の地底に封じられていた巨大な城にしてラストダンジョン。
中枢には天海が封印された天封石がある。
まともに乗り込むと2、3話使いそうなデカさだったが翔鯨丸でショートカットされた。

◇破邪の陣
本作の花組の切り札。
特定の陣形を組む事で各々の霊力を爆発的に高める事が出来るというよく分からないフォーメーション。
光武のキャパシティーを上回る為、発動後は機体がオーバーヒートする弱点があったが、紅蘭の努力で解消された。
当初、大神も加えて7機で行ったが、「俺じゃ力不足だから」(最後羅刹を単独で撃破したのに……)と大神自ら辞退し、6機で安定させる事に成功した。隊長ェ……。
最終話では必殺攻撃のオンパレードを披露。
叉丹を圧倒した。

◇必殺攻撃
桜花放神やらなんやらの事。
原作ではプレイヤーがお世話になる存在だが、本作では最終話しか使われない


大神「さくら君、すみれ君、マリア、紅蘭、カンナ! ……そしてアイリス」

「追記・修正の陣!!」


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最終更新:2024年03月23日 23:06

*1 特に企画が来た段階で中村監督は「色とりどりの面白さがあるが、堅実さをつけなければ」と意気込み、助監督・鈴木利正氏は「ゲーム・OVA・舞台で手段が出尽くして方向性が固まってしまったので、それこそテレビシリーズでしか見られない要素を用意しなければ。だったらいっそのこと『中村隆太郎監督作品』としてのサクラ大戦が見たい」と希望し、メカニックデザインの福島秀樹氏は「自己主張が多いキャラばかりなのに、すんなりチームとしてまとまるのがおかしい」と様々な批評的な思想を持ち、三者はその猜疑心が見事に一致したことで一気に意気投合した。

*2 記者発表ではシリーズ構成を務めることになっていたが、放送時にはクレジットされていない。

*3 金巻兼一氏・成田良美氏・玉井豪氏。金巻氏は自身のサイトで「(通常脚本会議に出席するはずの)監督とは一度も会わずじまいだった」と記述しており、中村監督が自身の世界観に固執するあまり(広井氏をもってして「頑固な人」と言わしめた)、ライターとのコミュニケーションを欠いていたことをうかがわされる。また、既述のように自身で書き直したシナリオを基に絵コンテを描いて原作者にお伺いを立てるのも(いくら監督と言えど)本来であればルール違反に等しい行為である。

*4 鈴木達也氏・あべけん氏・土井佐智子氏はあかほりさとる氏のアシスタント、現・ufotable所属の佐藤和治氏はトライアングルスタッフで設定制作や脚本を務めていた。いずれも『サクラ』以前に数本脚本を書いた程度である。後に多くの作品でシリーズ構成を務める吉岡たかを氏も『サクラ』参加時はゲームからアニメのシナリオに進出したばかりだった。