筋萎縮性側索硬化症

登録日 :2011/07/20(水) 13:30:26
更新日 : 2017/08/13 Sun 21:55:40
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「きんいしゅくせいそくさくこうかしょう」
と読む。

長ったらしいので、ALSと略して読むのが一般的。

この病気に罹患していた、1920年代後半から30年代にかけて全米的な人気を誇ったメジャーリーガーのルー・ゲーリックにちなみ、
「ルー・ゲーリック病」とも言われる(実は別の病気だったのではないかという説もある)。




どんな病気かというと、
我々の体内に存在する神経の中でも脳や脊髄からの命令や刺激を中継する、
末梢神経 の中の、特に 運動神経 に起こる病変である。
(神経系については中学校理科レベルの話なので省略するが、
運動神経というのは大ざっぱに言うと、 脳や脊髄からの命令を筋肉に伝える役割を持つ神経 を指す。)

この運動神経が何故か、どういう訳か破壊されていくのがALSという病気である。
また不思議なことに基本的に運動神経のみが破壊され、その他の神経は影響を受けない。


まぁもっと手っ取り早く言うと
だんだん体が動かなくなっていって、最終的には球麻痺症状(※1)、呼吸筋麻痺により死亡する病気である。

この病気、原因は 不明 で、発症は40〜60歳代に多い。
10万人に2〜6人の割合で発症し、性差は♂>♀となっている。
発症の家族性については、欧米で5〜10%ほどであるが、日本ではこれよりも低い。


 <主な症状>

  • 体全体の筋萎縮、筋力低下
  • 筋繊維束性攣縮(fasciculation)
  • 意識した運動(随意的な運動)がスムーズに行えない
  • 構音障害(要は上手く喋れなくなる)
  • 嚥下障害
  • 舌の運動障害
  • 舌の萎縮
  • 呼吸筋麻痺

である。

初期症状は、上肢から始まる症例50%。
下肢から始まる症例25%。
球麻痺から始まる症例25%。
となっている。

四肢の筋萎縮などの症状は、片側の遠位(指先側)から始まり、次第に両側へ進行していく。
我々が無意識にしている呼吸も中枢神経からの命令によるものなので、 最終的には呼吸さえ行えなくなる。



<治療法>

無し。
発症したが最後、後は緩やかに(3〜5年)死を待つのみとなります。
が、この病が発症してから9年以上生きている人もいる。

また、原因は確かに不明だが有力視される要素もあり、治療薬は存在する模様。
ただ特効薬はまだ見つかっていない。



創作や現実世界でも「突然体が動かなくなる難病」として時折取り上げられるため、略称であるALSと併せて知名度は低くない。

有名な所ではブラックホールの研究で著名な物理学者ホーキング博士は長いことこの病に侵されているが未だ健在である。

またハリー・ポッターシリーズ日本語版の出版で有名な静山社は、元々はALS関連の書籍を数多く出版する社会派の出版社として知られた。(訳者兼会社代表の松岡佑子氏の夫が創業した会社だが、この病気の患者の書籍出版に関わって以降、社としてもALS関連本の出版に注力し、創業者(夫)個人としても患者団体の結成に関わったりしていた。彼ががんで亡くなって以後、佑子氏が跡を継いだが、その中でハリー・ポッターと謎のプリンスの翻訳権を射止めた)

マーティ・フリードマンの相方であるギタリストのジェイソン・ベッカーもこの病気を発症し、
現在は目のみしか動かせなくなったが、コンピューターなどを使って音楽活動を続けている。


創作においては奇病難病がバーゲンセールな手塚治虫の漫画『ブラック・ジャック』では、
末期のALS患者の男性が未来に希望を託して恋人とともに冷凍睡眠に入る話がある。



(※1)
球麻痺とは、要は延髄の麻痺のこと。
延髄の見た目が球っぽいので球麻痺と言うそうです。



追記、修正お願いします。

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