フルメタル・パニック!アナザー

登録日:2011/08/25(木) 05:09:52
更新日:2023/05/20 Sat 11:19:35
所要時間:約 7 分で読めます





『フルメタル・パニック!アナザー』は、富士見ファンタジア文庫のライトノベル
原案・監修:賀東招二
著作者:大黒尚人
イラスト:四季童子



言わずと知れた人気SFミリタリーライトノベル『フルメタル・パニック!』の十数年後を描いた外伝作品である。
原作者の賀東招二は監修に回っているが、作者の大黒尚人の文章力は新人としては十二分に高く、
フルメタファンなら安心して読めるレベルの作品に仕上がっている。

その大黒さんは、メキシコのプロレスラーだとかフロリダの巨漢だとか、
黒人の少年だとか果ては賀東本人だとか噂されているが、れっきとした日本人作家である…多分。
なんでも、賀東氏が審査員を担当した富士見ファンタジアのコンテストの最終選考で落ちたが賀東氏は熱心にプッシュしていたらしく、氏本人が蓬莱学園のアンソロジーでデビューしたため「こういう形でとデビューもアリだろう」としてオファーしたとの事。


本作は本編以上にメカ主体であるらしく(というかそもそも執筆の発端がメカやるためらしい)、多数のバリエーション機が出る予定とのこと。
最初はただのオマケてきなファンサービスなノリだったのだが、なんやかんだで皆が暴走してここまで大きな企画となったとか。

ちなみに時系列は『十数年後』だが、具体的には本編開始時が1998年、最終決戦は2000年、そして本作は2011年(ようは現代)である。
つまり、“あの戦い”から11年。我らが大佐殿は29歳ということになる。
がっくりくるか興奮するかは貴方次第。

因みに前作に起きたミスリル周りの事件や技術は殆ど世に伝わらなかったようだが、噂や都市伝説が残滓として残っている。


【あらすじ】
『あの戦い』から十数年……。ソ連は崩壊し、冷戦も終結した2011年。
市之瀬達哉は都立陣代高校に通う、機械いじりが大好きで、
父親の会社『市之瀬建設』で人型作業用重機『パワー・スレイブ(PS)』を扱うことにも慣れた普通の高校生。

ある日、竜哉は工事現場で作業中に突如現れたアーム・スレイブ〈九六式改〉に襲われてしまう。
PSでは抵抗することも敵わず、今まさに命を奪われようというその時、目の前に現れたのはAS〈シャドウ〉を駆る謎の美少女アデリーナだった。

しかし大怪我を負っていた彼女は、善戦虚しく敗れてしまう。
達哉は妹のいる旅館の方へ向かって行った九六式改を止める為、触れたこともないASに乗り込む決断をする。

それが彼の運命を大きく変質させていく事に―。




【主な登場人物】
市之瀬達哉
主人公。
陣代高校に通う3年生。進路選択の時期にあるが、本人は父親の会社を継ぐつもりでいる。
幼い頃からPSを玩具にしており、免許を取る前からベテラン並の腕前。

学校の成績は基本悪いが、美人の英語教師とのデートの約束の為だけに猛勉強し、
TOEICで900点を取るという快挙を成し遂げた為、英語の成績だけずば抜けて良い(約束はすっぽかされたが)。お陰で英会話もこなせる。
因みに彼の担任は前作の主人公のかつての同級生、小野寺孝太郎(小野D)。
初めて乗ったASで荒削りながら非凡な才能を見せる。
年上美人が好み。だが本人曰く初恋を4回やって全部撃沈している。


◆アデリーナ・アレクサンドロヴナ・ケレンスカヤ
ヒロイン。ロシア人で、愛称は“リーナ”。 金髪ポニテ。ぽに男がアップを始めたようです。
民間軍事会社『D.O.M.S.』勤めで10代半ば程度の年齢ながら、ASの模擬戦で陸自を圧倒する程の技能を持つ。
実直な性格で感情に乏しいように見えるが、天然でもあり、『社長』に命じられた数々のコスプレも何の疑問もなく着込む。
重度のマヨラーであり、ピザステーキ、果てはアイスにまでマヨネーズをかけて食う。
またASの事になると途端に饒舌な説明したがりに。

「このアマ!」
「私はアマ(チュア)ではない、プロだ」←判り難いボケ

一連の事件の後、D.O.M.S.に体験入社した達哉の指導教官をする事になるが……。


◆市之瀬由加里
達哉の妹で、陣代高校の一年生。可愛いものに目がない。
死んだ母親の代わりに一家の家事を取り仕切っており、会社の職人のおっちゃん&兄ちゃん達からも人気が高い。割とブラコン
料理の腕は確かだが、時折珍奇な食材や使ったり調理の工夫を行ったりして、味覚が保守的な兄を悶絶させている。


◆メリッサ・マオ
民間軍事会社『D.O.M.S.』の社長。皆のマオ姐さん。ギリギリ30だ(バキューン
相変わらず素敵な姐御で、達哉をスカウトした張本人。今回は母親もやっている。
旦那は登場しないが、『3回結婚して3回とも別れた』とことんめんどくさい仲の残念なイケメンと言えば……?
…というか、フルメタ短編集の最新刊でマオの子供の父親はクルツだと明言されてるのでネタにすらならない。
なお、彼女の前でそのドイツ人の金髪野郎の話題は禁句。次にいつ帰って来るか、会社内で密かに賭けの対象になっていたりする。


◆クララ
『D.O.M.S.』の訓練所に出入りする少女。口は悪いが、射撃において天賦の才(ギフト)を持つ。
間違いなく父親譲りである。そして外見は母親譲り。
可愛いもの好きの由加里にあちこち弄られ、手篭め(?)にされるシーンの挿絵は中々にエロい。来いよアグネ(ry


◆ベルナール・ベルトラン
『D.O.M.S.』の社員で、戦術分析課所属。メガネのイケメンだが、皮肉屋で毒舌家。


◆ダグラス・バクスター
『D.O.M.S.』の社員。AS教導課第三班班長。
ガタイの良いスキンヘッドの強面黒人だが、眼はグリッとしていて優しい。ベルナールと比べてフランク。


◆カルロス・メンドーサ
口が悪い『D.O.M.S.』の噛ませ犬。勇気と芸人根性をベルナールから認められた(笑)


◆ユースフ・ビン・ムハンマド・ビン・カーリム・アル・ケートリー
中東の新興国家ラシッド王国の王子。
フルネームが長すぎるため、文中では「ユースフ・アル・ケートリー」と言われる事が多い。
容姿端麗かつ頭脳明晰で、兵士としての能力も高く、料理もこなせる完璧超人だが、やや空気が読めなかったり、やたら様式日に拘ったりとやっぱり残念なイケメン。
11歳の妻と深い愛情で結ばれている、ロリコンの敵。


◆ハッサン・ジャスィーム
ユースフの側近。
強い忠誠心を持つ一方、諌める時はきちんと諌める出来た人。


◆サミーラ・ビント・ハッサン
ハッサンの娘。ユースフのメイドを務める。
ムスリムなのに露出度やや高めのメイド服姿なのは突っ込んではいけない。
ほぼ常時無表情だが、意外とボケも出来る。


◆ステファン・イリイチ・ミハイロフ
ロシア人のテロリスト(本人は傭兵としてやってるつもりらしいが)。
冷静沈着な性格で、兵士としての能力もかなり高い。
自信と互角に渡り合えるくらいの強敵に対しては関心を示すこともある。


◆三条菊乃
ミハイロフの片腕であり、本作屈指の残念な美少女。
一応日本人だが外国暮らしの方が遥かに長い。
筋金入りの戦闘ジャンキーだが、「初めて殺す相手は好きな男がいい」との理由から不殺主義を掲げる。
戦闘に関する事を性的な表現で述べる一方、処女だの童貞だのという言葉は「はしたない」とするなど基準がよくわからない。


◆三条旭
菊乃の双子の弟であり、同じくミハイロフの片腕。
菊乃が拘るような事には特に関心が無い普通の兵士(勿論価値観的な意味で)であり、変人な姉に振り回される苦労人。
名前は「あきら」と読むのだが、7巻では何故か「あさひ」に変わっていた。




【用語】

《D.O.M.S.》
『ダーナ・オシー・ミリタリー・サービス』
マオが社長を勤める民間軍事会社。本編終了後にマオとその旦那が中心となって起業したらしい。

軍事会社ではあるが、主に正規軍のアグレッサー(訓練の敵役)や、
民間人の護身術のレクチャー等を業務としており、実戦は基本的に業務外。
描写を見るに結構儲けている。社員は変わり者が多く、顔はいいが性格に少々問題がある“残念なイケメン”も多いらしい。

ちなみに、“ダーナ・オシー(ディーナ・シーとも)”とはアイルランドに伝わる妖精で、
トゥアハ・デ・ダナーン(ダーナ神族)”の生き残りが小さくなった姿という説がある。
オーラバトラー?なんのことです。

最近、とある理由でとられてしまい・・・


《パワー・スレイブ》
通称PS(プレステではない)
ここ十年程でじわじわと普及しつつある人型重機。
ASの技術を応用しておりASと同じ『セミ・マスター・スレイブ・システム』で動かすため、
PSの操作に慣れればASも動かせる(戦うとなると話は別だが)。

ただし、ASとは違ってマッスルパッケージ(人工筋肉)を使わず駆動系は油圧式。

全高はASより一回り小さく6m程。
日本では国産の機種〈ダイダラ〉が大きくシェアを占めており、市之瀬建設もこれを使用。
自走用のタイヤ可変機構があるが、市之瀬建設のものは故障したまま、
お金がないからほったらかしにしている(漫画版では故障しておらず、自走形態が登場している)


《アーム・スレイブ》
人型兵器。

◆Zy-99M シャドウ(輸出仕様)
ロシア製ASシャドウの輸出モデル。
大分目立っていたアニメではともかく小説では殆ど出番のなかったシャドウだが、事実上1巻の主役機に大抜擢。

主役化したためかなりイケメンになっている。
政治的な理由からオリジナルよりダウングレードされているが、
D.O.M.S.仕様はツテで純正パーツを集めて中身はオリジナルとほぼ同じかそれ以上になっている(普段はリミッターで性能を落としている)。


◆九六式改
米軍のM6ブッシュネルを元にしたAS『九六式』の改良型モデル。
現在陸自のASはほぼ全てこちらになっている。冒頭の事件でパイロット共々暴走したのはコイツ。


M9 ガーンズバック(米軍仕様)
かつてミスリルが主力運用していたM9の米軍仕様。
生粋のエース用だったミスリル仕様に対し、交戦規定の縛りにより装甲厚やMPの材質の変更等によりノロマ化。

M9の開発に携わったマオ曰く「こんなの本物じゃない」。
通称『がっかりM9』『これじゃナイン』。マオによりがっかりしてもらうために頭部は一つ目でわざわざがっかりデザインにしてある。
もはや原型を留めていないフォルムと化した重武装M9等も登場している。


AS-1
日本初の純国産AS。主役機だが一巻の時点では表紙とラストにちらっと登場するだけ。日本製らしく見た目は武者鎧っぽい。
正式名称は後に読者募集(つまりはメサイア)のアシンメトリカルドッキングにより『ブレイズ・レイヴン』と決定された。
ガトー曰く、この機体のイメージ(戦い方)にぴったり。
因みに応募された名前にはダイ・ガトーとかオシリーナとかあったらしい…。

サムライ・イレブンでは断じてない。
1号機がロボット魂で発売決定。
2号機もロボット魂製が五巻とのセットでアニ○イト限定発売予定。

ちなみに二号機改は火力重視のバリエーション機体でペットネームは『ブラスト・レイブン』


◆M9A2SOP ガーンズバック『シグマ・エリート』
一般には名前だけが知られているのみの、特殊部隊向けの最新鋭モデル。コレジャナイン卒業。
現時点では、米国の各特殊部隊にのみ極少数が配備されているらしい。
パイロットはまさかのあの人。


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