枢軸国(第二次世界大戦)

登録日:2011/11/25(金) 14:47:36
更新日:2024/04/09 Tue 08:52:10
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枢軸国(すうじくこく)とは、第二次世界大戦におけるドイツ、日本、イタリアとそれに組みした国家。及びその組織。
英語ではAxis Powers。

1936年、イタリア首相のベニート・ムッソリーニ
「ローマ・ベルリンを繋ぐ線は、世界の中心となる枢軸である」と発言したのがきっかけ。


■主な国家

以下の7ヶ国が枢軸国とされ、敵国条項の対象となっている。つまり、現在も国連のブラックリストである。なお一般に枢軸国として扱われるのは主に日独伊の3ヶ国だけで残り4ヶ国は完全に空気。

  • ドイツ国 Deutsches Reich
総統閣下「ユダヤ人・スラブ人は◯すか奴隷!我らが生存圏を東方に!」

ちょび髭伍長率いるナチス・ドイツ。
第一次世界大戦でボッコボコにされ、再起不能かと思われたが、メフォ手形をキメまくりとんでもないスピードで復活した。
英仏がソ連を警戒しているのを良いことに、再軍備したりオーストリアやチェコスロバキアを食べたりしていた。
目指すは神聖ローマ、帝政ドイツに次ぐ第三帝国。ユダヤ人を追い出してスーパーアーリア人国家を作ること。

陸、空軍は世界トップレベル。機甲師団と航空隊を活用した戦術、「電撃戦」は教科書に載るほど有名。
一方海軍は前大戦の教訓を活かしきれなかったりしたが、ビスマルク、シャルンホルスト、Uボートなどがそれなりに有名。

しかし米ソを両方を相手に戦う事は出来なかったようだ。国家は西と東に分断され、暗い時代が始まる。

ナチ党を有名にした(=ナチス関係や卍のタブー化の原因になった、という意味では、ある意味他の国以上に世界中に大きな影響を残している。

  • イタリア王国 Regno d′Italia
ドゥーチェ「あのちょび髭マジで良い加減にしろよ……。」

ファシズムの発祥地。それ相応には強いよ!でもヘタレ。
良くも悪くも国力以上でも以下でも無かった。

第一次世界大戦では多大な犠牲を払いつつ、勝利に貢献したのに、領土を余り拡大できなかった。この事に国民の不満は爆発、ファシズムの台頭を招く。
エチオピアを侵攻した事により、英仏に見放されたので、ドイツと組む事になった。が、独ソ戦以降終始ドイツに振り回されっぱなしであった。

陸軍はかなり見劣りするが、海軍、空軍はそれなりに優秀。ただ、海軍を動かす石油が無かった…。
それ以前に国の生産能力が世界大戦に到底追い付けるものでは無かった。

1943年に連合国に上陸され、イタリア王国は降伏するも、北部がドイツの傀儡「イタリア社会共和国」となり、内戦状態に。
戦後はファシストと癒着していた国王を追放し、共和国となる。


  • 大日本帝国 Japanese Empire
大本営「ああ逃れられない!(対日禁輸)」

我等が祖国。今日も元気な軍部がうるさい。
つい最近まで鎖国していたのにロシア相手に良い勝負したりと、極東の強国として世界に名を轟かした。
でも日中戦争したり、満州国作ったりして調子に乗っていたらアメリカ様が石油をくれなくなっちゃった☆
「石油くれよーう」って軽く小突いたらマジ切れされちゃった☆☆そんな祖国。

目指すは大東亜共栄圏!
その建前を示すためインド独立運動の一派「自由インド仮政府」と対イギリス戦で共闘したり(ちなみに戦後政権を握った国民会議派は反枢軸国だったため日本には組せず)、インドネシア等に「独立させるよ!」と口約束をばらまき、戦後その約束を守るため残留した日本兵が多数現れた。

海軍力は非常に高い。空母の集中運用で真珠湾攻撃をかましたり、
イギリスのプリンスオブウェールズ、レパルスの最新鋭戦艦2隻を航空機の巧みな運用で撃沈したりと、大艦巨砲主義の時代を終わらせた。
ただ、コロコロコミックと同じ速度で空母作ったり、ジャンプと同じ速度で駆逐艦作ったりする国を相手にするのは無謀過ぎた。

イタリア・ドイツが降伏した後も戦争を続けるも、2度の原爆投下とソ連軍の侵攻開始で限界を迎え、「天皇制の維持」等を条件にポツダム宣言を受諾し降伏。
戦後はドイツに比べれば明るかったかもしれない。比較的早くに復興し、再び世界トップレベルの大国へとなった。
しかし今現在も米軍基地が多数存在する現状から(他の旧枢軸国にも駐留しているし、双方にとっての「守り合い・助け合い」が建前だが)、「これで独立国か?」「アメリカの傀儡国家(または衛星国)」という指摘も国内外にある。


  • ハンガリー王国 Magyar Királyság
名前こそ王国だが設立から滅亡まで一度も王様が即位せず摂政が代わりに統治していた国。

第一次世界大戦で敗北。失地回復のために利害の一致しているドイツ、イタリアに接近した。独伊に次ぐ古株で日本が参加してくるまでは「枢軸三ヶ国」と言えば独伊とハンガリーのことだった。
対ソ戦ではドイツの優秀なサポートとして活躍した。
更に、1942年辺りには敗戦を見据えてドイツと距離を取り始めるなど、先見性も兼ね備えている。しかし、それを察知されてドイツにクーデターを起こされ傀儡にされてしまったが。
他の六ヶ国と違い連合国に降伏しなかった。理由はドイツの傀儡の状態で本土決戦をしたので政府機能そのものが瓦解したため。そのため連合国側が立ち上げた「臨時政府」が終戦時における諸々の書類にサインした。
戦後はソ連の衛星国となる。


  • フィンランド共和国 Suomen tasavalta
カール・グスタフ・エミール・マンネルヘイム「ドイツのことが嫌いだったんだよ!」

シモ・ヘイヘと名将マンネルヘイム他、最強精鋭のフィンランド軍で有名な北欧の中小国。
第二次世界大戦以前に、ソ連軍と冬戦争を行い敗北、領土を奪われる。
後に、敵の敵は味方理論でドイツと接近、ソ連に対抗するも、「冬戦争で奪われた領土を奪回するだけで、それ以上は侵攻しない」と言う潔い精神を見せた。
1944年には単独でソ連と講和、国内からドイツを追い出すラップランド戦争を行った。
敵国であるソ連が連合国側であったので戦後は枢軸国認定されていたが、フィンランドの主張ではあくまで国土回復を目的としたソ連との単独戦争(冬戦争から地続きの戦争)であり、枢軸や連合といった陣営に与する意図は無かったとのこと。
戦時中の行動から見てもこれは真実であると思われるが、戦勝国かつ凋落したヨーロッパになりかわり世界第2位の超大国となったソ連と対立してまでフィンランドを庇う国は存在しなかった。
そういった経緯で枢軸国扱いされているのでリアルでフィンランド人と歴史の話をする機会があっても枢軸国扱いは避けるべきだろう。
イタリアやハンガリーのようにドイツ軍の占拠は防ぎ、更に戦後共産化されることなく独立を保った点は見事な立ち回りである。


  • ルーマニア王国 Regatul României
イオン・アントネスク「おいドイツ、何とかしろ。」(他力本願)

国力・軍事力では日独伊に次ぐ規模だったが影が薄い国
当時の欧州では希少な産油地帯があったため枢軸国側に引き入れられた。
ソ連に割譲させられたベッサラビアを取り返すために独ソ戦で参戦。
空軍は独自開発した国産戦闘機を投入するなどして善戦したが陸軍はほとんど機械化が進んでおらず、スターリングラードの戦いではソ連軍の攻撃に耐えられず潰走、第六軍降伏のきっかけを作った。
その後1944年に連合国側に寝返り参戦、ソ連の同盟軍としてチェコやハンガリーまで進撃するもソ連軍がベルリンに迫る頃には用済みと判断されソ連の侵攻を受け降伏。
戦後は王政を廃止されソ連の衛星国となる。


  • ブルガリア王国 Царство България
ボリス3世「ボリスフラッシュ!」

ドイツやハンガリーと同じく第一次世界大戦の敗戦国。ギリシャに割譲された領土を取り返すために参戦。
が、イギリスやアメリカには宣戦布告するも目の前のソ連には宣戦布告しないという日和見日本と同じ態度を取った。
実戦もユーゴスラビア侵攻やギリシャ侵攻を除けばルーマニアの産油地帯目指して飛んでくるアメリカの爆撃機を撃ち落とすだけだった。
ソ連相手には戦争末期のぎりぎりまで中立を維持しようとしたがそんな言い訳は通用せずあっさり攻め落とされる。
戦後は王政を廃止されソ連の衛星国となる。


  • その他
他にもクロアチア、スロバキア、ビルマ、タイなどが枢軸国として扱われる事が多く、枢軸3国下の「傀儡国」(満州国や汪兆銘政権、ヴィシー政府など)も一部として扱われた。
戦後クロアチアはユーゴスラビアに併合、ビルマはイギリスに再占領された後軍のクーデターによって独立と混乱し、タイのみ中立よりの外交姿勢と領土の一部割譲で難を逃れた。


■全体として

枢軸国と銘打ったが、全体として余り統制はされず、特に日本と独伊の間での連携軍事作戦はほぼ無かった。
日本が真珠湾攻撃する事をドイツは知らなかったし、ドイツがソ連を攻める事を日本は知らなかった。
日本はソ連を、ドイツはアメリカをそれぞれ「ヤバい」「敵に回すのは避けよう」と考えていたため、知っていれば極端な話開戦しなかった可能性もある。
定期的に潜水艦による情報や技術交換はあったが、「共闘関係」では無く「協力関係」と言うのが正しいだろう。
まあ日本遠いし、仕方ないね。


■各国の指導者の死後の扱い

スペースの関係もあるため、ドイツのヒトラー、イタリアのムッソリーニ、日本の東条英機の3人のみとさせてもらうが、その扱いは天と地のほども開きがあるといえる。

  • ヒトラー…もはや説明不要。ドイツ国内に限らず欧米諸国では徹底したタブーとして扱われており、特にドイツでは公的な場でナチスやヒトラーを賛美する発言をすれば逮捕・処罰すらされる。
    グローバル化した現代では日本などの規制が緩い国でも好意的な発言・描写をしたり、下手すれば登場させるだけで問題になり得るため、創作で扱う際にも細心の注意が必要である。
    一方で現在でもネオナチと呼ばれるナチスやヒトラーを賛美する者がおり、海外を中心に問題となっている。
  • ムッソリーニ…イタリアの法律では公的な場でファシズム賛美とそれに類する行為は禁止されているが、国民は好意的に扱う者が多く墓には花が絶えないという。
  • 東条英機…特に規制などは行われていないが、靖国神社に合祀された後にはその事実に昭和天皇が不快感を表し天皇家が公式な参拝を行わないという事態になっている*1


シベリアやグレートプレーンズで日本とドイツが握手する夢を見る人は追記・修正をお願いします。

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最終更新:2024年04月09日 08:52

*1 東条英機に対してというよりはA級戦犯に対してということであるが。