バトリング(装甲騎兵ボトムズ)

登録日:2011/08/20(土) 18:55:17
更新日:2023/11/27 Mon 01:15:34
所要時間:約 6 分で読めます






※推奨BGM:炎のさだめ


予告

かつて、あの重々しき歌に送られた戦士たち。
故国を守る誇りを厚い装甲に包んだアーマード・トルーパーの、ここは、墓場
無数のカリギュラたちのギラつく欲望に晒されて、
闘技場(コロッセロ)に引き出されるウドの街の拳闘士。
魂無き最低野郎(ボトムズ)たちが、ただ己の生存を賭けて激突す。

次回、『バトリング』



回るターレットから、キリコに熱い視線が突き刺さる。











装甲騎兵ボトムズシリーズに登場するアーマードトルーパー(AT)を用いた架空の競技。
TV版ではあまり大きく取り上げられなかったが、OVA『ビッグバトル』や外伝小説『青の騎士ベルゼルガ物語』、各種ゲーム作品などバトリングを題材とした作品が多く製作されるなど人気は高く、後の作品に少なからず影響を与えた。


◆背景

アストラギウス銀河全体を巻き込んで繰り広げられた百年戦争ではギルガメス・バララント両陣営により多数のATが生産され戦場へと投入された。
やがて百年戦争が終戦を向かえるとそれらは必然的に余る事となり多くのATが廃棄、もしくは民間に払い下げられる事となった。そのような状況下においてATを活用した娯楽として考案されたのがバトリングであり、長きに渡る戦争により既存の娯楽の殆どが廃れた事もあり見世物・賭博として瞬く間に人々の間に浸透していった。
その発生や起源には諸説あるが発祥地は惑星メルキアにあるウドの街と言われている。


◆ルール・試合形式

基本的に勝敗は相手の動きを封じるかATの破壊、もしくは搭乗者の戦意喪失(死んでも負け)により決まる。
死合試合形式は使用可能な武器の種類により以下の三つに分けられる

◇レギュラーゲーム

アームパンチのみを用いて戦う形式。各種射撃武器は勿論クローやパイルバンカーといったアームパンチ以外の白兵戦用武器の使用は一切禁止されている。三つの形式の中ではもっとも安全な物であり(それでも死ぬ時は死ぬが)、新人選手は大抵このレギュラーゲームでデビューする。
通常の戦闘ではあまり見られない体術技が披露されるのが見物といえば見物か。

◇ブロウバトル

アームパンチに加えクローパイルバンカーといった白兵戦用武器の使用が解禁される形式。場合によってはAT用の剣や槍、チェーンソーが用意される事もある。

◇リアルバトル

実弾入りの銃火器の使用が許可される試合形式。要するに文字通りの実戦。選手のギャラや賭けの配当も上記二つの形式とは比べ物にならないくらい高額だが選手の死亡率も一気に跳ね上がる
他の二つの試合形式にない特徴として観客席に流れ弾が飛んでくる事があるという点がある。一応観客保護用のバリケードはあるにはあるが大抵の場合役に立たないので流れ弾や巻き添えで観客に死傷者多数なんて事もザラにある。
が、百年間ドンパチを続けてきた銀河全体が世紀末なアストラギウス銀河の人々にはその方がスリルがあっていいと好評であり、最も盛り上がる。


尚、試合は1対1で行われる事が多いが、場合によってはハンディキャップマッチやバトルロイヤル形式で試合が行われる事もある。

ちなみにどちらか一方がATでありさえすればいいのかAT対地上戦艦AT対生身(機甲猟兵)*1といった変則マッチが組まれることもある。


◆選手とマッチメーカー

バトリング選手は民間人出身もいない事は無いが、大半は何らかの理由により軍からあぶれた元軍人である。その為コミュニティによっては軍時代の階級が重視される事もある。
そういった人材を発掘し自らの専属選手とするのがマッチメーカーである。マッチメーカーは各地の街の商工会に所属し選手の発掘・育成だけでなく試合交渉や取組の決定、場合によってはATや武器その他の調達を行う。
その仕事柄闇商人出身で各方面に顔が利く者が多い事もあり一般的にはすぐに人を騙す連中というイメージが強く、あまりいい印象は持たれていない。実際選手を騙したりや強引な手段を用いる事が多く、中には人間が出来ているマッチメーカーもいるが選手を食い物にする悪質なマッチメーカーもまた少なくない。
シリーズに登場したマッチメーカーとしてはボトムズ本編のレギュラーキャラ「とっつぁん」ことブールーズ・ゴウトや『Case;IRVINE』に登場した若き女マッチメーカーのイシュルーナ等がいる

◆カスタムATとリングネーム

戦場と異なり短期決戦が基本となるバトリングでは軍用ATとはまた違った調整や改造がATに施される事が多く、ロールバーの追加や前面装甲だけを極端に厚くしたり稼働時間を犠牲に出力を向上させたりより激しい動きを可能にしたりする。
選手によっては有力なスポンサーや軍がバックに付く事で高品質な部品や様々な武器が提供され、結果的に高性能カスタム機となる事もある。
選手の中にはリングネームを持つ者もおり、その場合『青の騎士(ブルーナイト)』や、『メルキアの銀狐』など搭乗する機体にちなんだ物が多い。


◆新兵器とバトリング

軍やその他の組織にとっても新兵器の貴重な実戦テストの場としてバトリングは重宝されておりウドの街では秘密結社が、ア・コバの街ではバララント軍がそれぞれバトリングを利用しパーフェクトソルジャー(PS)の調整を行っていた。


前者はメルキア軍から奪取したPS第1号プロト・ワンをテストし、ウドの街の人々からは「ファンタム・レディ」と呼ばれ死神として恐れられた。後者は新型ATエクルビスの試験を兼ねてバララントPSラダァ・ニーヴァを投入。こちらはリングネーム『デンジャーメロン』を名乗るバトリング選手として名を馳せていた。
『青の騎士ベルゼルガ物語』に登場したクリス・カーツも専用ATシャドウ・フレアの実戦調整にバトリングを利用していた。



◆選手や観客からの評価

『青の騎士ベルゼルガ物語』では「実戦以上の緊張感を強いられる戦い」と評されているが、対照的に映像作品においてはキリコ・キュービィーやル・シャッコ、アービン・レスター等に「所詮遊びだ」と評されている(選手同士が馴れ合っていて殺気がないところからそのような印象がある模様。もっともリアルバトルはその限りでは無い様だが)。
またアストラギウス銀河の人間も全てが全てバトリングを好ましく思っている訳では無いらしく、『機甲猟兵メロウリンク』のヒロインであるルルシー・ラモンはバトリングを嫌悪してるとも取れる台詞を言っている。


◆後の作品への影響

ゼノギアス』には同名のロボットを用いた競技が登場している他、『ARMORED CORE』シリーズのアリーナ、『FRONT MISSION』シリーズの闘技場(コロシアム)、『フルメタル・パニック!』の闘技場(アレーヌ)など、名前こそ違えどバトリング同様の競技が存在する作品もある。
ただしこのバトリングは「自営業者(この場合傭兵)が国家規模のバックアップ無しで巨大人型ロボットを興行や宣伝に使っている」
というある種異様な社会状況が必要で、そこの描写はシナリオライターの腕の見せどころ。


スパロボシリーズでの扱い

初参戦となった『第2次Z破界編』では、世界観設定の都合上、エリア11のシンジュクゲットーがウドと同じ役割を果たしており、そこでもバトリングが栄えていた。ブリタニア騎士も観戦しに来ているという。
AT対KMF戦も日常的に行われているらしく、紅月カレンはそこで実践経験を重ねたおかげで「イレヴンの赤い悪魔」と呼ばれるようになる*2

第3次Z時獄編』ではメキシコのア・コバで『ビッグバトル』の原作再現+地上戦艦対人型戦艦戦が行われたほか、『フルメタ』でのナムサクがバトリングの盛んな場所となっている。

T』ではバトリングに真ゲッター1(全高55m)を新型ATと言い張って出場させようとしたが、案の定観客からブーイングを受けた。変則マッチじゃなかったからね、仕方ないね。


◆余談


当初制作側はボトムズをバトリング中心の作品にする予定であったが、前作『太陽の牙ダグラム』のヒットもあってスポンサーのタカラ側からよりミリタリー色を強くして欲しいという要望が出た為変更された。
高橋良輔監督はこの初期構想を基に短編小説を書いており、後の『機甲猟兵メロウリンク』第5話の原型となった。

青の騎士ベルゼルガ物語』の著者はままさのり氏はTV版第4話『バトリング』の回を見逃したという逸話がある。






所詮遊びだと思う方は追記・修正を頼む……
ただし、殺(や)るか殺(や)られるか。この気配を嗅ぎとれる奴に限る。


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最終更新:2023年11月27日 01:15

*1 ガンダムファイターのような超人でもサイボーグでもない、普通の人間である。

*2 原作ではこの呼び名の設定はない。