ロスト・シップ(ロスト・ユニバース)

登録日:2011/07/02(土) 09:46:13
更新日:2024/04/07 Sun 22:32:38
所要時間:約 7 分で読めます




本項目では、ロスト・ユニバース作中に登場する、先史文明の遺失技術により建造されたロスト・シップを取り扱う。

概要

有史以前、現生人類が誕生する遥か昔。銀河全域を支配した先史文明が存在した。
価値観の違いからやがて大きな二つの勢力に分かれ、銀河を二分した大戦争が始まった。

やがて、片方の陣営が、特定の精神波や視覚認識によって起きる脳内電気とパターンを干渉させ合うことで、生体エネルギーのやりとりを阻害する生体殲滅システムの開発に成功。
そのシステムとそれを搭載した機体には伝説で語られる魔族の王「闇を撒くもの(ダークスター)デュグラディグドゥ」になぞらえ、
「システム・ダークスター」と「デュグラディグドゥ」と名付けられた。
システムダークスターの無差別広範囲の生命殺害能力から乗員を守る方法は研究途上にあったため必然的に自我としてAIを搭載した無人機となり、
システム・ダークスターにリソースの大半を割り振った為に低くなった戦闘力を補うべく魔王の武器の名を冠した
  • 颶風弓(ガルヴェイラ)
  • 毒牙爪(ネザード)
  • 烈光の剣(ゴルンノヴァ)
  • 瞬撃槍(ラグド・メゼギス)
  • 破神槌(ボーディガー)
の5隻の無人自動護衛艦が建造された。

いずれも長期の戦闘行動を可能とするため、動力源として人間の精神力を変換する方式が採用された。
戦場において最も容易に収集が出来る、恐怖、憎悪、悲しみといった負の精神波長を糧とする事で活動する。


先史文明の崩壊

これで、戦争が終わる。人々の歓呼の声を背に進宙した「デュグラディグドゥ」とその護衛艦たち。
しかし最初にシステムダークスターの生贄に捧げたのは、自らを作り出した人々であった。
以後、デュグラディグドゥ他5隻は、両陣営の戦力バランスを崩さぬよう、真綿で首を絞めるように、かつての魔王と同様に少しずつ滅びを撒いていった…。*1

デュグラディグドゥを開発した陣営の上層部が、暴走した「魔王」の力が戦争の勝ち負けどころではなく、種の滅亡を招くことに気づいた時には既に宇宙の人口は激減していた。
そして魔王に対抗するべく伝説で語られる、漆黒の竜神(ナイトドラゴン)ヴォルフィードの名を冠した最後の希望として戦闘封印艦(ソードブレイカー)「ヴォルフィード」の開発に着手する。
デュグラディグドゥ以下6隻全てが暴走した原因が、その動力源にある事と推測された事から、その正反対に「希望」を糧とする動力源を持たされた。
最大の特徴は、増幅チップにより自艦の精神波長を増幅し、負の精神波長と相殺する「消去(イレイズ)システム」である。

先史文明の終焉

しかし「ヴォルフィード」は完成間際に、事情を知らぬ敵対勢力の攻撃を受け、基地ごと土砂に埋もれてしまった。
基地壊滅間際に起動していた「ヴォルフィード」は試行錯誤を繰り返し、遂に地上へと出ることに成功した……が、その頃には人類は滅亡していた。
気の遠くなるほどの年月をかけ、「ヴォルフィード」は虚空に漂う6隻の宇宙船を発見。
戦闘はあっけなく「消去システム」の発動により終了。双方機関停止し、近くの惑星へと墜落して行った…。

長い年月が過ぎ、物語開始の約60年前に主人公の祖母とその兄は、光と闇に出会う…。

最後の希望の艦

195m級戦闘封印艦(ソードブレイカー)「ヴォルフィード」


既に失われた世界(ロスト・ユニバース)の遺した悪夢の居場所はどこにもないわ!悪夢はここで終わらせる!

デュグラディグドゥ打倒の為建造された、最後の無人戦闘艦。
最大の特徴は、増幅チップにより自艦の精神波長を増幅し、負の精神波長と相殺する消去(イレイズ)システム」である。
主武装はサイブラスター、リープレールガン。増幅チップにより、サイバリアを攻撃に転嫁するプラズマ・ブラスト。
他、数門のビーム砲や追跡攻撃弾を搭載しており、護衛艦との戦闘にある程度の対応が可能である。

ケインの祖母と出会った時に幼い彼女を安心させるために、自身の建造に関わった女性の姿と、伝説の中で魔王を滅ぼした天使の名を取って「キャナル」と名付けた。

小説版では偽装のため本来の装甲の上に装甲をとりつけてあり、最終決戦で取り外され、漆黒の機体が現れた(本人はこの姿はあまり好きではないらしい)。 
アニメ版、漫画版では消去システムや二層の装甲は登場していない。
オリジナルとしてアニメ版では操縦者の肉体を破壊し、超新星に匹敵するサイ・エネルギーを生み出す「サイ・システム・コード・ファイナル 」が登場し、
漫画版ではプラズマ・ブラストが使用後、操縦者の肉体を消滅させかねない兵器となっている。


再臨せし魔王

生体殲滅艦(ダークスター)「デュグラディグドゥ」


命あるものを滅ぼすためだけに生まれた我と、我を滅ぼすためだけに生まれたお前。それにどれほどの違いがある?

先史文明に伝わる古の魔王、闇を撒くもの(ダークスター)デュグラディドゥ」の名を冠した、試作1号艦。
紡錘形(両端が尖った円柱)の船体を持つ。
システム・ダークスターの力により、最低でも惑星一つの生命体を瞬く間に全滅させることが出来る。
反面、システムダークスターにリソースの大半を割り振った為、戦闘力そのものは高くはない。
直接戦闘の描写が少ないため定かではないが、少なくともいくつかのビーム砲は搭載しているようである。

メインプログラムは逆五芒星の魔法陣とそれに漂う「闇」であり、自身の声を聞き届けた少年アルバート・スターゲイザーに寄生し「宿主(マスター)」として、暗躍する。

アニメ版と漫画版ではヘカトンケイルこそがダークスターとなっており、システム・ダークスターは登場していない。


魔王の武器の名を冠した護衛艦

「デュグラディグドゥ」を護衛する、魔王の5つの武器になぞらえた5隻の無人戦闘艦。
主人同様、負の精神波長を動力源とする。
デザイン上の共通点として、眼を思わせるセンサーアイを艦首付近に持っている。

300m級攻撃艦「ガルヴェイラ(颶風弓)


ヴォルフィード、きさまと心中ならば不足はない

三角錐の形をした船体の攻撃艦。万全の状態ではなかったとはいえ、劣勢でもないのに心中覚悟の突撃を仕掛けてくる特攻野郎。
本来の半分もパワーが出ていない状態でも一撃で衛星フォボスを砕く程の攻撃力を持つ。
チップの搭載の有無を含め、装備の詳細は戦闘描写が少なく不明である。
判明している限りでは、フォボスを一撃で砕いたエネルギー弾、数十の艦隊を一撃で壊滅させる追尾攻撃弾、
ソードブレイカーと同等レベルのサイ・バリヤを持っている。
攻防走の性能が5隻の平均値と思われ、器用貧乏すぎて5隻の中で一番へb(ry


300m級機動殲滅艦「ネザード(毒牙爪)


ほざけ、ヴォルフィード。きさまごときにかまっている暇など、『デュグラディグドゥ』にはない。きさまの相手など、わたしだけで十分だ

コウモリの翼のようなデザインの翼を3枚持つ機動殲滅艦。口は偉そうだが、実力が伴っているかというと微妙なところ。
ソードブレイカーと比べると機動性はほぼ互角。速度では勝るが、火力・防御力は劣る。実際の作中の戦闘ではソードブレイカーにあっさり劣勢になっている。
主武装は分散したレーザーを雨のように降らせるニードルレーザー、リープレールガン、高速追尾弾。防御火器として迎撃弾を持つ。


410m級重砲撃艦「ゴルンノヴァ(烈光の剣)


……笑わせるな……なぜ……おれが……貴様と馴れ合わねばならん……?

空間レンズを全面に展開したその姿は黒い霞のように見えるが、本来の姿は翼を畳んだ鳥のような外見である。
重苦しい言葉で喋るが、意外と正々堂々としているのか最終的にヴォルフィードの持ちかけた話にのって一時休戦し、正面からの決着に挑んだ珍しい機体。
攻防一体の空間歪曲機能を持つチップにより、5隻中最大の攻撃力、防御力を持つ。
銀色の球体の形をした空間歪曲チップにより空間レンズを発生させ、自身のエネルギー弾を収束・拡散することで破壊力と広域殲滅力を兼ね備える。前二隻涙目である。
また、空間レンズは防御にも使え、通常兵器は歪曲されるため通用せず、空間転移効果を持ったリープレールガンが必要となる。
但し、機動性能は低い(恐らくボーディガーよりはマシな程度)。
空間レンズを全面展開している姿は動く城塞のようであるが、眼の部分は無防備である。


170m級機動駆逐艦「ラグド・メゼギス(瞬撃槍)


人間ふぜいのたわ言など、相手にする必要はない

先端が鋭くとがった、二等辺三角形のような鋭角のフォルムの快速艦。
自身の速さに自信を持ち人間を見下しているが、実は世間知らずらしく水のことをよく知らないお間抜けさん。
慣性中和チップにより、5隻中最大の機動性能を誇る。
非常に高い速力を持つ上、慣性中和チップで慣性モーメントを強引にキャンセルし、小型の無人戦闘機並の無茶苦茶な運動性を兼ね備える。

ただし、艦体スペースの大半を推進器とチップの制御に割り振っているため、火力と装甲は最低レベルで、現用兵器でも打撃を受ける程である。
アニメ版ではプラズマ・ブラスト以上の火力のグラビトン砲を装備した超火力艦。カーリーを取り込んだ後は、トラクタービームを鞭のようにして攻撃する武器を手に入れた。


550m級超長距離砲撃艦「ボーディガー(破神槌)


――人間ごときに――ザコ呼ばわりされるいわれはないっ!

円錐形の船体を持つ長距離砲撃艦。
砲撃特化の自分にコンプレックスでもあるのか、話しかけたわけでもない軽口にムキになるあたり煽り耐性が低い。
観測、ビームの干渉・修正機能を持った5つ一組の照準チップをあらかじめ散布しておくことにより、超長距離砲撃を可能にする。
照準チップは簡易的なステルス機能を持つ上、小型かつガス推進・光すら発さない為破壊が難しい。
本来は一度発射するとエネルギーチャージに時間がかかる、が…。


魔王がこの世界で手にした、第6の武器

20km級巨大戦艦「ヘカトンケイル」

犯罪結社「ナイトメア」の本拠地としてスターゲイザーが建造させた軌道ステーション。
表向きはゲイザー・コンツェルンの試作実験工場とされている。6隻のロスト・シップの基地でもある。
ヘカトンケイル自体もロスト・シップの技術を使用して建造されており多数の砲の他に、
ゴルンノヴァの空間歪曲機能、ラグド•メゼギスの慣性中和、ボーディガーの照準機能を複合したチップを多数備える。
消去システムに対抗するため、あえて通常動力である上、自我を持たない戦闘ユニットである。
デュグラディグドゥ以下6隻と接続する能力を持ち、エネルギーを供給することで、消去システムを無効化できる他、ボーディガーの弱点である長距離砲撃のインターバルを克服させられる。
原作では近隣に大規模な宇宙軍の基地があり常時監視している。また本拠地であるため「ナイトメア」でも中枢に近い人間が配属されているが、彼らもヘカトンケイルの詳しい内部構造はおろかロスト・シップが存在しているどころか時々出撃してることさえ知らなかった(現代の技術によるレーダーに反応しなかったため)。そして物語が終盤へと差し掛かり最終決戦が始まった直後、彼らは……。





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最終更新:2024年04月07日 22:32

*1 アニメスレイヤーズTRYでかつて魔王ダークスターデュグラディグドゥは漆黒の竜神ヴォルフィードに勝利しヴォルフィードを吸収したが、暴走を起こし世界に滅びを撒いていたことを描いていた