The Goal(小説)

登録日:2010/07/03(土) 09:36:47
更新日:2023/06/11 Sun 16:56:10
所要時間:約 2 分で読めます





会社のザ・ゴール(目標)とは、お金を儲けること


エリヤフ・ゴールドラット著の閉鎖寸前の工場の再建を描いた小説。
日本語版タイトルは『ザ・ゴール 企業の究極の目的とは何か』 翻訳は三本木亮。
続編としてThe Goal2がある


【あらすじ】

機械メーカーの工場長である主人公のアレックス・ロゴは追い詰められていた。
赤字続きだった工場を3か月以内に改善しなければ工場が閉鎖されてしまうのだ。
さらには多忙が災いし、妻には離婚を迫られている。
そんな絶体絶命の危機に半ば諦めていたアレックスの前にジョナという人物が現れ、経営改善のアドバイスを与える。

なお、日本がバブル景気時代で日米貿易摩擦が問題となっていた時期に書かれた小説であるため、日本の企業や日本製品が最大のライバルとして扱われている。

あと漫画版とは違い舞台はアメリカなので、社員は定時外の仕事をしたがらないし、辞めていく際は容赦なくサボタージュ(作業機械の破壊)もする。今の日本より社員の扱いが良いとはそういうことだ

【概説】

小説の形をとってはいるがその実、恐ろしいほど実践的なビジネス本。
製造業向けに「制約条件の理論(TOC:Theory of Constraints)」を分かりやすく解説し、
人材もいる、最新の機械もある、なのに時間とお金が無いという状況を、恩師の教えを受けて打破していくというサクセスストーリー小説となっている
会計情報の正しい見方、信念共有の重要性、効率化の落とし穴、情報共有化の意義など、業務改善のノウハウをストーリーに組み込むことでわかりやすく解説されている。
全世界で1000万人を超える読者がいるとされ、日本でも68万部を売り上げた、「ビジネス書といえばこれ」とも言える書籍である。


非常に優れた本でありながら、17年間日本での出版が許されなかった
理由は単純で、初版発行は1984年、つまりは前述した通り日本がバブル景気であり、アメリカが日本との貿易摩擦に苦しんでいる時期であったからだ。
そのことについて著者は「日本人は部分最適の改善にかけては世界で超一級だ。その日本人に『ザ・ゴール』に書いたような全体最適化の手法を教えてしまったら、貿易摩擦が再燃して世界経済が大混乱に陥る」と語っている。
そんな名著が現在ではちゃんと日本語訳出版されていることを喜ぶべきだろうか悲しむべきだろうか。そして今自分が勤めている企業は、この本に則った最適化がなされているだろうか、切り込むのならどこから手をつけるべきか、会社勤めのアニヲタ諸君はこの本を読んで今一度見つめ直すべきである。
どうせ自分の意見は聞き入れられない、業務改善は上の人間の仕事だと、自分の仕事に対して受け身で非協力的で他人事な社会人アニヲタは、自分のクビがある日突然切られても文句を言わないことだ


【漫画版について】


日本における制約理論(TOC)の第一人者である岸良裕司の監修の元、漫画原作者の青木健生、漫画家の蒼田山によって描かれた漫画が存在するので、こちらについても取り扱う。
漫画版では日本が舞台であり、登場人物の多くは日本人となっているが、勤め先の企業が抱える問題とキャラ設定自体は原作とは大差ない。

漫画版あらすじ


ユニコの神奈川工場長・新城悟郎は、採算悪化を理由に、突然、工場閉鎖を告げられる。残された時間は3か月。
苦悩する新城だったが、学生時代の恩師ジョナに偶然再会。ジョナは、これまでの常識を覆す考え方で工場が抱える諸問題を次々に解明していく。
企業のゴール(目標)とは何か――TOC(制約理論)の基本が学べる。
(公式サイトより引用)



登場人物


  • 新城吾郎
若くして工場長になった41歳の男性。
しかし工場長に就任して以来納期遅れや赤字が続いており、冒頭でやってきた本部長にパワハラ紛いの態度を取られながら、
「人は十分に与えている」
「最新の機械を与えられている」
「なのに赤字で納期が遅れている」
という事実を突きつけられ、3か月以内に工場を立て直さなければ工場閉鎖という無理ゲーを強いられる。
責任感は強く能力も高いが、工場の抱える古くからのルールとは相性が悪くその手腕を発揮できずにいた。

  • 新城純子
「私はあなたのこと心配するの嫌じゃないし 応援したいのよ」
吾郎の妻にして恐妻。
最近仕事ばかりで子供にも構ってあげられない、家でも無視して仕事ばかりの吾郎にヒステリックになり詰め寄ったり、家出したりする胃痛の種だったが、
工場閉鎖目前だったということを知るや否や仲直りし、その後は吾郎を黙って支えるようになった。そもそも工場閉鎖目前だったことを説明しなかった吾郎が悪い

  • ジョナ
「ゴロー、面白いことを教えてあげよう」「従業員が手を休めることなく常に作業している工場は常に非効率なんだ」
イスラエル人の物理学者にして、吾郎の恩師。
失意に落ち込む吾郎と空港で偶然の再会を果たすも、
「最新のロボットを導入した」ことについて「在庫ばかりが増えて利益につながっていない」と一蹴するなど、吾郎の抱える状況を一瞬で看破。
彼との電話でのやり取りが、吾郎が工場を立て直すためのきっかけとなる。

  • 野久保豪太
「他にも納期遅れの出荷が山ほどあるじゃないですかいまさらセットアップを変更するなんてとんでもない手間ですよ」
「それを本部長に言ったら「指示通りにしないならクビだ!」とか怒鳴り散らすんですよムチャクチャですよ!」
製造課長。
本来外野である本部長から毎度無理難題を投げられ、予定外の作業をすることに追われている。
無論彼に問題が無いわけではなく、そもそも納期遅れであったり、言い訳ばかり口達者で自分自身何もしなかったり、
「夕方5時には出来る」と踏んでいた作業が結局間に合わなかったりと、見通しが甘い一面が強い。
あと登場人物の中では唯一英語が話せない。他人におんぶで抱っこしてもらっていることに危機感を抱かない典型的な氷河期世代のおっさん

  • 古沢隆一
「「純利益」「投資収益率」「キャッシュフロー」三つ同時です。一つの目標のために他を犠牲にしてしまっては改善ではない」
「不十分なキャッシュフロー…まさにこの会社で起こっていることでは?」
バーコードハゲの経理課長。
優秀でありお金の計算にも強いが、自分の勤め先である工場が赤字であることにもどこか他人事なスタンスであった。
そんな彼も工場閉鎖の危機には居ても立っても居られず、吾郎を支えることとなる。

  • 矢沢あすか
「全従業員のためにも諦めずに聞いてください」「私…ずっとここでみんなと働きたいんです!」
原作ではあまりにも女色が無かったため投入された女性従業員。
美人で25歳と若くて英語が話せる。なんで現場作業員やってんだ
作業場の問題点の指摘と改善は彼女の視点から行われることとなる。



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最終更新:2023年06月11日 16:56