錦山彰(龍が如く)

登録日:2011/07/24(日) 04:17:57
更新日:2024/02/25 Sun 17:06:06
所要時間:約 10 分で読めます





※本項目はネタバレ要素が多分にあります。ご注意下さい※




『錦山彰(ニシキヤマアキラ)』は、《龍が如く》の登場人物である。
声優は中谷一博氏が勤める。


概要

桐生一馬、澤村由美は養護施設『ヒマワリ』で共に育った家族同然の存在であり、固い絆で結ばれている。
特に桐生とは『ヒマワリ』を支援する極道風間新太郎の手引きで東城会直系堂島組に導かれた関係で、親友であると同時に兄弟分の間柄だった。

重い病を患う(優子)の看病に追われる錦山と、バブル期の不動産経営を契機に頭角を現して一気に出世を続けた桐生との間に開いた極道としての地位の差、かつてはカリスマとして一般人からすら一目置かれたが、今では腐ってしまった堂島組長に付き従い続けることへの不満。

大人になって7年、徐々に錦山達を蝕み始めた環境の変化がありつつも、この三人の間だけは穏やかで幸せな時間はいつまでも続くものと思われたが、ある時桐生と錦山の渡世の親であり、女好きで有名な堂島組長に由美がさらわれてしまう。

由美を助けようと焦った錦山は思い余って堂島組長を殺害。
桐生は錦山を慮り、親殺しの罪を全て被ることを決意して自ら警察に出頭する。

そして、10年の時が流れた。

巨大歓楽街の夜に起こったたった一つの事件が、無情に流れ続けた10年という時間が、三人の運命を大きく歪めてしまうことになる……………………





10年後、仮釈放された桐生が再開した親友はかつての姿を失っていた………



《Befor》



当時はどこにでもいる堂島組の若衆の一人。




10年後………



《After》
画像出展:龍が如く
販売、開発元:セガ
発売日:2005年12月8日





修羅と化す。





桐生が仮釈放された2005年、
錦山は東城会直系錦山組組長までのしあがっていた。

20代半ばのチンピラだった錦山がその段階に辿り着くことは当然容易ではなく、多くの犠牲の上に直系の座を手にしていた。

最愛の女性であった由美は行方不明。
あれだけ尽くした病床の可愛い妹はよりによって主治医に騙されるという最悪の形で臓器移植手術を受ける事が出来ず死去。
さらに陰ながらコンプレックスを感じていた親友も、自分の罪を被って貰い永久に勝てない存在に昇華してしまう、という形で失った。
大切なものの尽くが残らなかった錦山は、最早かつての自分を失っていた。
残されたのは延々と続く桐生との比較・桐生への果てのないコンプレックスと、そこから来る終わり無き自己嫌悪、という負の感情だけ。
錦山は決して他人を信用しない、高みへ行くという己の野望を叶えるだけの修羅と成り果てていた。



野望の果てに遂に桐生と対峙する錦山。
しかしそれは、桐生が恩師・風間や先代会長の意向を受けて、四代目東城会会長を襲名し、錦山が裏切りに気づきつつも背後の組織の強大さもあって手を出せずにいた神宮をたった一人で倒し、全てを解決した後のことだった。
錦山がやっと桐生を追い抜けたと思ったのも束の間、瞬く間に追い抜き返されてしまったのである。

孤独な修羅になろうとも龍の如き男になっていた桐生には及ばず。結局何をやっても幼馴染に負けっぱなしで己に失望しつつ激昂する錦山に対し、錦山を庇ってしまったからこそ歪ませてしまったと後悔していた桐生は、錦山と一騎討ちをすることになる。


この最後の一騎討ちで、の刺青をその背に負う錦山は、の刺青を背負う桐生を打ち倒し、滝を昇りきって龍へと変化しようとしていた。

再会した由美の前で死闘を繰り広げる二人。
激闘の果てに、錦山は桐生に敗れる。

しかしその心は晴れ晴れとしていた。
ずっと超えられなかった桐生へのコンプレックスを感じながらも、本当は桐生との友情をずっと大事に持ち続けていた。その親友と今度こそ正面から本音と本気をぶつけ合えたのである。

そして錦山は親友のため、極道としてのけじめをつけるため、自らの命をかけて東城会を救うのだった―――――――



【余談】

錦山がたった10年で直系組長まで上りつめた背後には、関西最大勢力の極道組織近江連合や大物政治家の神宮を味方につけていたという経緯がある。

なりふり構わなかったとはいえ、27の若者が多くの組員と重要な役目をその身に背負えるほど成長したことから見て、錦山には元々野望を成し得るほどの力があったのではないだろうか。
錦山組は、武力と組員の統率力はある一方でとんでもなく扱い辛い暴走機関車のような超問題児しか居ない屑の見本市のような組だが、そんな連中を束ね上げて、組として成立する状態を辛うじて維持していたのは、彼に実力と人望がある証左だろう。

そんな錦は『1』のラスボス

ステゴロかと思い、武器や防具を外して戦おうとすると椅子で殴られる
おまけにダメージは通っているがターゲットがされないために、こちらには手応えがなくすり抜けるようになる
という独自の変な仕様のスーパーアーマーを備えている。
この所為で間合いも図り辛い。
その他、溜めの長い上に衝撃波が出て妙にかわし辛い攻撃と発生の早い飛び蹴りを多用してくるので、初見時には一方的にタコ殴りにされて敗北するプレイヤーもぼちぼち居たという。

以降のシリーズでは歴代錦山組組長が桐生と激戦を繰り広げることになる。
錦は由美と同じ墓地の墓に入ったが、錦山の魂は死んでいないのかもしれない。


【錦山と関係の深い人物】


  • 桐生一馬
錦山の親友でありライバルであり兄弟分。刺青は同じ彫師の元で描いてもらった。錦山のことを錦と呼ぶ。
桐生は錦山にコンプレックスを向けられていたことに薄々気付いており、自分が庇ったことでかえって錦山に多大な精神的重圧を与え、彼の人格や人生を捻じ曲げてしまった、と責任を感じている。
最終的には桐生のため、ケジメとして錦山は命と引き換えに…。

  • 澤村由美
錦山と桐生の最愛の女性。堂島組長の死を目の当たりにしたショックで記憶をなくし、風間に匿われていた。
記憶を取り戻した後は顔と名前を変えてある目的のため密かに行動していた。

  • 麗奈
由美が働いていたクラブ『セレナ』のオーナー。
錦山に恋心を抱いていた。

  • 田中シンジ
元桐生の舎弟だが、錦山の変貌を案じた風間が錦山組へと送り込んだ。
中々素質があったらしく、組内では舎弟頭の地位に納まっている。
風俗好きで有名。

  • 風間新太郎
堂島組若頭兼風間組組長。堂島組長亡き後は組員を引き受け面倒を見ている。
錦山にとって親同然の人物であり、風間はそんな錦山を心配して様々な思惑を巡らせていた。

  • 寺田
近江連合の幹部であるが、風間に恩義を感じ、風間の行動に荷担する。


【龍が如く 維新】

土佐勤王党の一員、人斬り以蔵として有名な岡田以蔵として登場する。
土佐では突然出てきた坂本龍馬が土佐勤王党筆頭になるのが気に入らない構成員と共に襲いかかるが、敗北する。
ここで倒した後に茶屋の近くに再配置されており、話しかけると「この事は忘れない」と対抗心をむき出しにする。

坂本龍馬が脱藩した一年後。斎藤一に名を変えた坂本を京の一角「骸街」へ誘い出し、腕を試すのを兼ねて一戦交える。
この頃から黒装束を纏い、新選組に狙われている武市半平太を守りつつも身内の粛清や要人暗殺を行っていた。

新選組を一人斬った事がきっかけで以蔵は新選組隊長達に賭場へと追い詰められるが、この内二人をあっさり斬り殺す。
腱を切られ動けない相手を微笑みながら喉を突き殺す、銃弾を剣で弾く等、高い実力を持った人斬りという事がうかがえる。
居合わせた斎藤と井上源三郎をも斬り殺そうとするも、斎藤に敗北、役人に捕らえられた。
その後は土佐に戻され、拷問を受けた後史実通り処刑されたと思われたが…?


実は生存しており、燃える京の裏で新選組局長である近藤勇に致命傷を与え、「御所で待つ」事を伝えさせた。
御所で待ち受けていた以蔵は斎藤と最後の激しい戦いを繰り広げ、重症を負う。
自分は武市半平太にとっての坂本龍馬、「兄弟」の代わりにはなれなかった事と、
止められない所まで行ってしまった武市を追って止めてくれと言い残し、人斬り以蔵は絶命した。

桐生が演じた坂本龍馬/斎藤一との付き合いこそ短いものの「兄弟」というキーワードは確かに外見上のモデルである錦山を感じさせる。

戦闘スタイルは非常に激しい斬撃と素早い回避を使う強敵。オーラは少し暗い赤色。
戦いを重ねるごとに体を捻って放つ一撃や、回避を攻撃キャンセルに使って背後を取ったりと強化されていく。
BGMは対錦山組関係者戦BGM:『Intelligence For Violence』のアレンジの『Innocence for Violence』、また最終決戦BGMは1ラスボス戦BGM:『誰が為に』のアレンジの『我が為に』となっている。
実は4のフラッシュバックと1・2HDEditionを除くと錦山はPS3以降の作品への初登場である。


◆龍が如く0

以下ネタバレ





なんでこうなっちまったんだろうなぁ
どっから歯車がズレた?


俺はな…桐生…


兄弟として お前にそんな死に方させられねえよ!!

極道には時効もねえ!お前も分かってるはずだ!!





「0」においても「1」の前の話であるため、登場する。
「1」ではあまり見ることのできなかった桐生との友情っぷりが要所要所で見られるため、錦山ファン必見である。

バブル時代まっさかりの1988年。
錦山は派手なスーツに高い車を乗りまわし、何というかバブル時代に浮かれているチャライ若者そのままであった。

「0」の事件で桐生が堂島組を離れ敵対する事になったが、錦山は堂島組内の情報をリークするなどしてなんとか桐生を助けようとしていた。
だが堂島組の追及はさらに激しくなり、それは桐生よりも敵の渦中にいる錦山を追いつめていた。
思い余った錦山は、堂島組三幹部に追われる身となった桐生を東京から脱出させる体を装い山奥で殺害しようとする。
それは「1」で語られた噂のように、堂島組の敵対者は凄惨な拷問の末、散々死なない程度に痛めつけられ人体をとどめていないような悲惨な殺され方をされるため。
せめて一思いに苦痛がないように、せめて人間らしく死ねるようにという思いからの行動だった。
しかし、桐生はそんな錦山をまっすぐ見据えて言った。「俺の首を手柄にして、いつか組でテッペンとってくれ」と。
結局錦山は「俺なんか今まで生きてこられたのもお前がそばにいたからだ!!俺は……お前が一緒じゃなきゃ、何やっても半端で意味がねぇんだよ!!」と嗚咽して殺せず、これ以上巻き込まないためにと兄弟の緑を切られ号泣した。
この一件で錦山は更に桐生へのコンプレックスを更に増大させてしまい、桐生自身も彼のコンプレックスに気付く事はなかった。

その後、吹っ切れて桐生のピンチに駆けつけ、「桐生のいない東城会でのし上がる意味はない、今回の事件はとことん桐生の味方になる」とファン感涙の龍と鯉の最強タッグが結成される。

そのへんの時期で「0」の真島編でボスキャラになる。BGMは1ラスボス戦BGM:『誰が為に』のアレンジで『For Buddy』(意味は『兄弟の為に』)」となっている。
狭いセレナ店内での戦闘で、細身に似合わぬ投げ主体のパワータイプで挑んでくるが…QTEで麗奈がカウンターにあった酒瓶をフルスイングしてくるわ、体力が黄色より割り込むとスタミナンXを錦山に投げ渡してくるわで実質2対1となる。
酒瓶フルスイングのQTEに失敗すると側頭部に直撃し「ええ…スイングや…」と麗奈のスイングを褒めつつ昏倒し、更に錦山もドン引く。その上トロフィー「トラブル対処はお手の物」を獲得すると小ネタ満載。
スタミナンX支給は酒瓶フルスイング同様1度だけだが、QTE失敗で錦山の体力が回復し、成功するとスタミナンXを横取りしてヒート及び体力の回復ができる。
だが錦山自体は前のボス柏木さんに比べると大分弱く、ムービーでも格下扱いされていた。

ちなみに、シナリオ中では桐生と錦山が戦うことはないが、クリア後に解放される極限闘技其の六の最後のバトルでは桐生を操作して彼と戦うことができる。戦うステージはホテルの屋上で、「1」のラストバトルを彷彿とさせるシチュエーションとなっている。

そして終盤、桐生が今回の事件のラスボスを思い余って殺害しようとするとき体当たりで止める。
「こいつを殺しても意味がない、一線を超えるなら一緒に超えてやるから」と。

「1」では今一描写の薄かった桐生と錦山の友情が、「0」ではばっちり描かれている。

しかし、0の一件から数年後、彼は桐生より先に一線を超えてしまう…。

【龍が如く 極】
初代龍が如くのリメイク作品となる『龍が如く 極』では、桐生が服役していた10年の間に、錦山がなぜ、どうして道を踏み外し修羅となっていってしまったかが描かれる追加シナリオが組み込まれる。
声を当てている中谷氏はこの追加シナリオに関する台本を読んだ後「しばらく台本を見たくなくなるほど辛かった」と語っており、相当過酷なシナリオである事が判る。

「親殺し」の罪を桐生が被ったことで一時は難を逃れるが…


なんといっても桐生は、頭のお気に入りだったんだからな
錦山はどうしてますか?せめて捕まったのがあいつだったら…
クソの役にも立たねえなぁ、あいつ何のためにここにいるんだ?



……ッ!!

と他の堂島組組員から舐められて桐生への劣等感、将来を奪った罪悪感を増幅してしまう。

プライベートでも由美が失踪してしまい、信頼していた麗奈に

錦山くん助けてあげられなかったの!?

と叱咤されてしまい

おれが役立たずだって言いてえのか……?
お前までそんなこと言うのか!?

と思わず激怒して手を上げてしまう。

悪いことばかりではなく、風間から「親殺しの為に引き取り手の無い桐生が娑婆に戻ってきた際、その受け皿となり、面倒を見てやれるのはお前しかいない」といった言葉を柏木経由で伝えられ、錦山組の立ち上げを期待されていた。

だが…

「あの」桐生ならまだしも、おめえみたいな幹部に尻尾振るしか能のない青二才に指図されるなんてまっぴらごめんだ


風間の寄越した松重等の組員は、自身より極道としてのキャリアが浅い組長の錦山に指図されることに不満を抱き、反抗的な態度を取り錦山を苦悩させる。


病院にて、錦山は担当医「日吉」から難病の妹の容態を聞いていた。これまでしてきた延命治療にはもう限界があるので、ただちに臓器の移植が必要となるが……移植を受けるには適合するドナーを待たなければならず、受けられるまで何年かかるか分からないようだ。

なんとかしてくれよ!なんでもするからさ!

本当になんでもする覚悟ですか

日吉は臓器ブローカーとのコネがあることを錦山に伝え、その仲介をする代わりに3000万円を求める。

だが、3000万円など簡単に用意できる額ではないので、錦山は松重に土下座し、3000万円工面するように頼み込む。松重はその態度に気を良くして頭を踏みながら了承した。
その時錦山は苦渋の涙を浮かべるのだった。


その後、松重が風間組のシマを荒らしたと聞いた錦山は、彼の元に駆け寄り、

テメェ 柏木さんが世話してる組がケツ持ってる店に ミカジメ取りに行ったっての 本当か?

ああ、バッチリ取ってきたぜ

ふざけんな!なんでそんなことした?
筋ってもんがあんだろうが!

激怒する錦山に松重は悪びれるどころか逆ギレする…

3000万……どうしても用意してぇって言ったのは お前だろうが!
俺のやり方が気に食わねぇって言うなら お前のやり方で今すぐにでも直系に上がってみろや!
何もできねぇくせに 偉そうな口きくんじゃねぇぞ!

と錦山を黙らせると、その場を後にした。

結局、言い負かされた錦山は事後処理の為に風間組事務所へ行き、柏木に詫びるが…

馬鹿野郎!!テメェ 恩を仇で返す気か!?

と激昂した柏木にぶん殴られる。もうやめてあげて。

すんません…本当にすんません……!!

錦山は妹との事もあり、ただ平謝りする事しかできなかった。

こんなことで風間に失望されてはたまらないということで、何とか不問にしてもらったものの……

桐生ならこんなことには……
……ッ!

という不満を柏木から言われてしまう。柏木さん思慮深い人物のはずなのに…とも思えるが、義理を重んじる極道社会にてこれは粛清すら考慮される大失態であり、思わず不満も口にしたくなるもの。寧ろ折檻と叱責だけで済ませた分相当に大甘な大岡裁きである。
また、元々柏木さんは初登場時から迂闊な事を口走る一面がある。

松重のみならず、柏木すらも自身と桐生を比較しだしたことに更なるショックを受ける錦山だった……。


風間組事務所を後にし、ふらふらと道を歩いていると、風間と同期の嶋野と遭遇。

風間っちゅう男も、えげつないことをやりおるのう。
風間はな、桐生に組を持たせたいだけや

どういうことです?

本気でお前を大事に育てる気ぃある親だったら、そんな連中選ぶはずないやろが。
ま、嫌な思い散々させて、お前が音ェ上げるのを待っとるんやろうな

自分自身の現状を鑑みて嶋野の言うことにかなり説得力があった*1のか、風間の意志を歪曲した嶋野の嘯きにより風間に対する不信の念をより強くしてしまう。

その後、松重が言いつけ通りに用意した3000万を受け取った錦山。これで妹は臓器移植が受けられると安心し、担当医の日吉に3000万を渡した。

事務所で妹の無事を祈っていた時、取り立てを終えて戻ってきた松重からその金を受け取っていると……

ま、借金まみれのギャンブル狂いの医者にも感謝したほうがいいな

医者?

不吉な予感を感じた錦山は、取り立てた相手の名刺を確認すると、そこには日吉の名前が記されていた……

実は日吉はギャンブル狂で散財しまくっており、松重と知り合い3000万もの借金をしていた。
借金で首が回らない中、妹の延命に必死な錦山に目をつけ利用。臓器ブローカーとのコネがあると嘘を言って彼に3000万を用意させた上で松重に返金したのだ。

錦山は自分が騙されていたことに気付き、急いで病院へ行き、日吉の仕事場に駆け込んだが、そこはもぬけの殻だった。
ナース曰く、日吉は先程院長に辞表を提出して逃げるように病院を去っていき、現場も混乱していると語った。重病の患者を抱えている立場な上、事前の相談もなくいきなり辞表を出すという滅茶苦茶な退職である

それを聞いて崩れ落ちる錦山……

クソみてぇな奴にも頭下げて……死ぬ気で金を用意したっていうのに…

悲しみのあまり、泣き叫んだ。

うあああぁぁぁぁああああぁぁあ!!

その後、代わりの執刀医も見つからず、恐らくはドナーも用意されてすらいなかっただろう妹は移植を受けられず息を引き取る。
事務所にて、テーブルに置かれた彼女の位牌の前で錦山はドスで腹を切って後追い自殺をしようとしていた。

そんな中、松重がやってくる。
シノギのことで話しかけられるが、返事する気力もなく無視していた。

おめえはどこまでヘタレなんだよ、ったく…まだ連れの桐生の方が根性あったぜ

と松重に相変わらず桐生と比較されるが、これに激怒した錦山はついにタガが外れ…

松重の腹にドスを刺した

誰がヘタレだって……誰が桐生よりも根性がないんだって…。冥土の土産に教えてやる…堂島組長を殺ったのは……この俺だ!


…とドスを抜き松重を殺害。派手に返り血を浴びた錦山は…血を整髪料代わりに髪型をオールバックにし…

1人殺すも2人殺すも同じじゃねぇか…。そうだ……そうだよ……とっくに道は決まっていたんだ…。堂島を殺し、桐生を見捨てたあの時から……

やってやるよ…。俺は必ずてっぺんに立ってやる。そのためなら…

何人だろうがぶっ殺してやる…!

桐生に対する消えることのない劣等感と罪悪感、錦山からすれば冷遇とも取れる風間からの扱い、組員に舐められた末に起きた松重による風間組への不義理。
嶋野の嘯き、麗奈の叱咤、由美の失踪、長年の兄貴分である柏木にすら桐生と比較され、妹は他ならぬ主治医の裏切りにより不幸の死を遂げた事で、錦山の精神は既に擦り切れて限界を迎えていた。
そこへ松重の言葉で止めが入り、自分自身を含めて誰も信じられないという重度の人間不信に陥り、東城会の頂点に立つという野望のみを心の支えとするようになった。
錦山は野望のためなら手段を選ばずに何人だろうと誰であろうと殺すことを厭わない程の冷酷な性格へと変貌し、「1」のオールバックの髪型になるのだった。

とここで追加エピソードは終了する。
なので残念ながらその後の錦山組がどうやって東城会の直系組織になるまで勢力を伸ばしたか、近江連合、神宮とはどうやって接触したか、新藤、荒瀬、神田などの組員達をどうやって集めたか、などは描かれていない。

戦闘では風間譲二や柏木を思わせる空手スタイルを用いるようになった。
飛び蹴りは引き続き使うが、椅子で殴ることはなくなった。また、「かかってこいよ!」のセリフと共に手足をバタバタして挑発してきたりする。
更に相沢戦を思わせる殴り合いではこの10年の間のことがフラッシュバックし、そして最後の殴り合いの時は「0」の共闘時に桐生に言った「桐生 行こうぜ!」がフラッシュバックしていた。


【龍が如く ONLINE】

キャラクターストーリで5つ*2、レイドボスイベントで1つの追加ストーリーがある。
一つは中学生の頃の出来事。
当時病気を患っていた優子を看病しており、そのことについて桐生と話していた。
その優子から恋人の話をもちだされ、一時は頭が混乱したんだとか。

恋人?優子に?優子に恋人?恋人に優子?恋人?恋人?恋人?恋人ってなんだ????

その後、優子から「ただの冗談」だと話され、安心したんだとか。

そしてもう一つは豹変後の出来事。
某カジノで日吉と再会。彼を中国マフィアから守る一方で、臓器ブローカーに3000万円で売るという報復をする。

……馬鹿な兄貴でごめんな…… 優子。

極の追加エピソードで描いてほしかった…

神田のストーリーでは、東城会の身内のシマを次々と奪いながら勢力を拡大する一方で恨みを買うが神田に任せて解決させる手腕を見せた。

そして、イベント『掛け違えたボタン』では、桐生との最終決戦直前から最期までのエピソードが錦山視線で描かれている。


組員から、送り込んできた大量の連中が桐生に返り討ちされたという報告を受けるが、それは錦山の想定内だった。

(雑魚をいくら数揃えてもアイツにゃ意味がねぇ…分かりきってたことだ)

……やっぱり、俺とお前でケリつけるしかねえんだな…桐生。

やるしかない、か……フッ、俺はまだこんな半端な事を言うのか。

そうつぶやき、過去の出来事(『0』で錦山が置き去りにされる直前)を思い返す。

「情けねぇこと言ってんじゃねえ。そんなんじゃテッペンとれねえぞ…」か。
そうだよな…桐生。

しかし…それも昔のことだと一蹴する。
そして、桐生の待つミレニアムタワーへと向かうのであった。

ケリつけるとするか…桐生よ。


そして、迎えた"最期"の戦い。激しく応戦するも、敗北してしまう。

(ここまで、か……体が…言うことをきかねぇ…
結局俺のろくでもねえ運命は…変えられねえのか…)

錦山は心の中で後悔していた。だが…

桐生ぅ!!

桐生を襲う神宮の声を聞いてしまう。

(この声……神宮…?
 あの野郎………!)

(!……チッ…
 世話の焼ける…兄弟だ……)

神宮の腹をナイフでぶっ刺し、そして、親友のため、極道としてのけじめをつけるため、自らの命をかけて東城会を救うのだった―――――――

(最期くらい…おめえにいいトコみせねえとなぁ)
………あばよ。兄弟。





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最終更新:2024年02月25日 17:06

*1 離間工作の為に錦山の元に訪れたと思われるが、途中から本気で錦山の境遇に同情して身を案じるような声色になっている

*2 そのうち1つは神田強のキャラクターストーリー