タイタン(仮面ライダーストロンガー)

登録日:2012/07/26 Thu 13:46:21
更新日:2024/04/07 Sun 03:18:08
所要時間:約 6 分で読めます






ブラックサタン大幹部、その名もMr.タイタン!

フッフッフ…君の相手は…

ストロンガー、死ねぇ!


タイタンとは、特撮テレビドラマ『仮面ライダーストロンガー』の登場キャラクター。

演:浜田晃


【概要】

秘密結社ブラックサタンの初代大幹部であり、ブラックサタンの改造人間である城茂=仮面ライダーストロンガーと岬ユリ子=電波人間タックルの最初の宿敵となった。


今一つの顔を知るまい!


真の姿である怪人体時の名称は「一つ目タイタン」
第13話にて、ストロンガーとの戦いにより一度倒されるが、第17話にてブラックサタンにより「百目タイタン」として強化復活を遂げている。

中の人の怪演と、キャッチーで特徴的な見た目から昭和ライダーシリーズでも人気の高い大幹部であり、ライバル関係にあるジェネラルシャドウと共に、『ストロンガー』を代表する悪役として親しまれている。
ちょうど黒と白で分かりやすいし……ねぇ?


【人物】


ブラックオートバイ部隊、出撃! ガンガルを援護せよ!

ハゲタカン、注意しろ! 城茂がそっちへ行く!

エレキイカ! いいからライダーを抑えとけ! お前は最初からその役目だ!


ブラックサタンを探る茂とユリ子の前に幾度となく姿を現し、彼らを牽制した。
人間体はサングラスをかけ、黒いスーツに身を包んだ身なりのいい男性で、その際の表記は「謎の紳士」
青年タイタンともナレーションでは語られたりするのだが、どう見ても青年にも紳士にも見えないのは良い子のみんなの公然の秘密。
茂曰く「キザな男」だが、初登場の時点で戦闘員に接触されて服を汚された事に怒り煙草の火を押し付けた挙げ句に殺す残酷さを見せつけ、多大なインパクトを与えた。
おまけにドスの利いた声に強面と、どう見てもその“筋”の人にしか見えないのは内緒。
ブラックサタンとしての任務を遂行する際、部下からは「Mr.タイタン」「タイタン様」と呼ばれる。
非常に強く、そして貫禄と怖さがあり、部下からは畏敬の念を抱かれている。
最強の奇械人として増長していたクモ奇械人や、捨て駒にしたエレキイカなど一部タメ口を叩く無礼者がいたりはするが。

現場指揮官として積極的に前線に赴く超がつくほどの現場主義。
演者の都合などもあり、基本的にアジトでしか出番がない従来の大幹部に比べて頻繁に表に顔を出す。
作戦遂行のためにブラックオートバイ部隊を派遣したり、謎の紳士としてとぼけた態度でひっそりと茂の妨害をしたり、奇械人の撤退を支援するなど多岐にわたる。
焼きもろこし屋に化けて茂の動向をハゲタカンに連絡するシーンなどは語種である。

タイタンは作戦遂行の為にはありとあらゆる手段を尽くす。
この“あらゆる”は自分自身にでもあるし、不要と判断した部下にも容赦なく振るわれる。
シャドウやデルザー軍団など幹部級の怪人こそ多いものの、人間体を持たぬ怪人が多い本作において、人間体の謎の紳士と城茂が火花を散らす様はブラックサタン編の風物詩であり、キレのいい会話が持ち味の伊上勝脚本の真骨頂である。


作戦に汚いもきれいもあるか! 俺はお前を倒す事に命を賭けている! 騙す奴が利口で騙される奴が馬鹿なんだ!


得意技は人質「罠」であり、基本的な作戦方針は誰か適当な人間を人質に取り、ストロンガーを罠に嵌める事である。
奇怪人エレキイカを死んだはずのユリ子の兄に化けさせて利用した事もあり、その非道さや外道ぶりには枚挙に暇が無い。
登場する度に必ずと言っていい程に「人質」を取るので、ファンからは「またか」と生暖かい目で見守られている。
外道かつ悪党ではあるのだが、そのワルぶりはどこが豪快で清々しく気持ちよさえあるため、豪快に笑い時に人を食ったような態度を取る浜田氏の怪演も合わさり、なんだか見てると楽しくなってくる御仁である。

また、どことなく飄々とした、不真面目にさえ見える態度を取るのが常で、それがタイタンの不気味さ、得体の知れなさを演出していた。
茂がまだ自らの正体に気づいていない時は不意の自動車事故を装い戦闘員を口封じ。
「急に車の前に飛び出しましてね。かわしようがなかったんですよ。それにしても急に消えるとは…」「何か事件ですかな?なんなら私も…」非常に白々しく助力を申し出たり、
悪の気配を追跡する茂を愛車のワーゲンビートルで遮り「いやぁ失礼。免許を取ったばっかりでね」と宣ったりと、序盤は正体が知られていない事を利用した一般人を装う妨害工作で作戦をサポートしていた。
この人間体の独特さが他作品の大幹部にはなかなかなく、タイタンを人気キャラたらしめている。

第10話で遂に自らの正体を明かし接敵、何気に初対決ではストロンガーをワンパンでKOするなど凄まじい戦闘力を見せているのだが、火葬場で葬るという回りくどい処刑方法を選択した結果、電気分解というトンデモ技で逃げられている。

特に第13話での決戦を前にした「大変君に有益な話がある。もちろん…私にもだ」と誘い出してから茂、ユリ子、岬守(ユリ子の兄)の身が立つように私が大首領に取りなしてやると突如として言い出したシーンはあまりにも印象的で、
「そう突飛でもない、君もユリ子も元はブラックサタンの改造人間だろう?」とそれとなしに自分の話に正当性がある事を示しつつ、「ブラックサタンへの攻撃をやめてもらいたい。金ならいくらでも出す」まさかの金による寝技交渉に打って出る一幕を見せた。
こんな行動に出たのは後にも先にもタイタンだけである。
当然茂は拒否するのだが「まぁそう言うな。実は私も大変困ってる」と居酒屋で談笑してるような飄々とした態度を崩さず、「君を倒せという命令はなかなか難しい。俺も命が惜しい」という自分の事情を赤裸々に打ち明け、説得を続ける。
この一連のやり取りで終始薄ら笑いを浮かべており、どこまでか本気なのか?タイタンの底知れぬ不気味さが顔を覗かせるワンシーンである(まぁ岬守の実態を考えれば、当然まともに交渉する気などなかったのだと思われるが……)。


……作戦行動の際には直属、そうではないにもかかわらずに配下の戦闘員や奇械人を犠牲にする事も躊躇わない冷酷さを持っており、
奇械人エレキイカに至っては、何の事前通達も行わずにストロンガーと組み合った所を一緒にバズーカ砲で狙い撃ちされた挙げ句に巻き添えにより殺されている。
ただし、作戦遂行のためなら奇械人の支援は惜しまず、ストロンガー側に妨害工作を行ったりするなど、良くも悪くも非情なまでに組織が第一な男。
自分自身の命すら軽んじ、捨て身の強化改造でストロンガーに挑むも敗れる。


その死はブラックサタン大首領により深く悼まれたのだが……


【一つ目タイタン】


第1話~第13話に登場したタイタンの怪人体で、黒スーツ姿の人間体から白いスカーフを両手で眼前に翳し、顔を通り過ぎると共に変身が完了する。

体内に蓄積したマグマをエネルギー源とする「改造火の玉人間」
得意技はスカーフを炎に包み、敵に飛ばす「火の玉スカーフ」や、一つ目から発する熱線の他、腰のホルスターに下げた、火炎弾を発射する「タイタン破壊銃」など。

フォーマルなスーツを着こなす黒一色を基調に、ツルンとした頭部に円らな瞳という完成度の高いデザインは人気が高い。ゲルショッカー首領とかともだち呼ばわりされたりも……
次いで登場したジェネラルシャドウが対となるのを意識したのか、白一色のデザインだった事もあり、さらにその印象を高めていた。

第13話でそれまでの責任を取り、スーツを脱ぎ捨ててブラックサタンのベルトを巻きレザーを基調としたやたらと格好良い戦闘服姿となり、8万度の体内温度を3倍の24万度(曰く「ストロンガーの2倍」)に引き上げてストロンガーに挑む。
それまで無敵だったエレクトロファイヤー、ウォーターフォールも通じず、電キックも「キック返し」で迎撃し窮地に追い込むも、「熱は水に弱い」と気付いたストロンガーにに投げで叩き落とされ、急激に熱を奪われた末に自滅させられるというあんまりな最期を迎えさせられた。


【百目タイタン】


タイタンは百目タイタンとして蘇った! 必ず貴様ら2人の命はもらうと約束する!

俺が休んでる間に少しはマシになったと思ったが、少しも進歩してないようだなタックルくん!


第17話にて、タイタン呪いの棺の力で強化復活した姿。
目玉が一気に99個も増えてお得感アップ。電飾で目が光る演出が良い感じ。

新しい必殺技は本体以外の小さな目を外して、火の玉として投げつける「ファイヤーボール」

戦闘技術も健在で、電キックをも受け止める「キック返し」などの技を変わらず使いこなすが、通常回では話の都合で一部の電気技が微妙に通じたり通じなかったりする(代わりに弱点の水は克服できていた)。


お前が俺の代わりをやっていたシャドウか…。俺が甦ったからにはもう、役目は終わったな。


復活にはブラックサタン大首領の意に沿わないジェネラルシャドウへの牽制の意味もあったようで、互いにライバル意識を剥き出しにして対立。
対立を煽る大首領の方針もあり、タイタンとシャドウの火花を散らす2人の大幹部はストロンガー中盤を大いに盛り上げた。
シャドウとストロンガーの対決の場面にユリ子を人質に取って強引に戦いを止めさせた事もある(シャドウも報復として、タイタンに捕らえられた茂やユリ子を何度も解放しているが……)。
この通り大首領の采配は最悪の一言で、タイタンの作戦が上手く進めばシャドウが、シャドウがストロンガーを倒す目前までいけばタイタンが……という最悪の悪循環を産み、作戦は悉く失敗していく。
一つ目時代は冷酷ながらも冷静な指揮官だったのだが、シャドウとの対立を煽られたせいでストロンガー打倒を第一とするGOD秘密警察・第一室長の再生手術みたいに性格が変わってしまった。あとよく笑うようになった

ちなみに「地底世界を支配する魔王」という設定がある事から、生粋のブラックサタンの改造人間では無かったとする考察もある(その場合は直系の大幹部はデッドライオンだけという事になる)。

ストロンガーとは第20話冒頭で唐突に砂漠の決闘をおっ始める。この時のポンチョを着たガンマン風のタイタン様もなかなか決まっている。
ストロンガーと相打ちに持っていき、2人纏めていきなり瀕死に追い込まれるも再度復活。
第22話・第23話で再び(三度?)ストロンガーに挑んだ最終決戦では、体内のマグマを30倍に強化するというムチャクチャなパワーアップを施してストロンガーに挑む(一つ目時代の3倍手術と合わせて90倍。720万度
なお、この時は水中から出現していた辺り、かつての水の弱点は克服したようである。
地底王国での一騎打ちではストロンガーを遥かに超えるパワーで襲い掛かる。
指先からの火炎放射「ファイヤーシュート」で近づく暇を与えず、スクリューキックにも後ずざるだけ、一つ目時代と同じくエレクトロファイアーにも構わず悠然と歩くタイタンだけにタイタンフォーム歩きなど圧倒するも、
30倍という限界を超えて溜め込んだマグマにより右肩に亀裂が入っている事を見抜かれ、「ストロンガーダブルキック」で肩を砕かれ、マグマが流出。
急激なパワーダウンの中、マグマの谷におびき寄せてストロンガーを最後まで道連れにする執念を見せるがそれも通じず、吹き出したマグマに身体を焼かれながら地の底に落ちていった。


ブラック、サタン……ばんざーい!!


冷酷非情ながら大首領によく尽くしたのだが、基本的にワンマン主義のブラックサタン大首領は「わしが信頼してるのはお前一人だ。雇われ根性のシャドウとは比べものにならん」とタイタンを煽り、
「タイタンも所詮はそれだけのもの、やはり信頼するのはお前だけだ」シャドウを煽り、自分に都合よく両者を利用しようとしていた。
……この事が、後のシャドウの離反と「デルザー軍団」の侵攻の引き金になったのは間違いないだろう。


【関連キャラクター】

ミスタイタン



一つ目タイタンとよく似た姿をしており、ブラックサタン復活のために夏木花を大首領として迎え入れようと画策する。


【余談】

  • 演じたのは特撮に限らず、一般ドラマでも広く悪役を演じた浜田晃氏。
    中でも、このタイタン役は同氏の代表作に上げられる程の怪演であり、35年振りに『仮面ライダーOOO/オーズ』第13話に院長役でゲスト出演した際には、昔を知る特撮ファンの話題を集めたという。
    そして7年後には『仮面ライダービルド』にて難波重工会長・難波重三郎役で42年ぶりに仮面ライダーシリーズにレギュラー出演を果たした。
    また、浜田氏は2024年時点での『ストロンガー』顔出しキャスト陣最後の生き残り*1でもあり、書籍『証言!仮面ライダー 昭和』では『ストロンガー』のキャスト代表としてインタビューに応じた。

  • 漫画仮面ライダーSPIRITS』ではデッドライオンと仲が良かったような描写がされ、タイタンと再会した時や、タイタンが三度死んだ時には泣く姿を見せていた。
    ド優遇を極めるデルザー軍団とついでにデッドライオンをよそ目に一人だけいつもの魂のないアレでピラミットで固定砲台をやっており、ファンに嘆かれている。

  • 最終的に元の90倍というトンチキな倍率になり、それが敗因で負けるのだが、こうして列挙すると100倍という高倍率の代わりに時間制限をかけ、安全性を担保した超電子ダイナモは改良作と言えなくもなく、ブラックサタン科学陣の技術の進化が窺える。



ストロンガー、オレが追記・修正してやるぞォ!

フッ……お前如きに出来るかな?


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最終更新:2024年04月07日 03:18

*1 主演の城茂役の荒木しげる氏は2012年、岬ユリ子役の岡田京子氏は1986年、立花藤兵衛役の小林昭二氏は1996年に他界している。