ウイングガンダムセラフィム

登録日:2009/12/14 Mon 23:31:51
更新日:2024/03/18 Mon 15:46:35
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お願い、ガンダム。あたしを"戦士の墓"へ連れていって!


新機動戦記ガンダムW ~ティエルの衝動~」に登場するガンダムの1機。
兄弟機であるガンダムルシフェルについても併記する。

■ウイングガンダムセラフィム

武装
バルカン
マシンキャノン
ビームサーベル
バスターライフル

搭乗者 ティエル・ノンブルー

セラフィム(最高クラスの天使)なんていう大それた名前が付けられているが、
本機はロームフェラ財団の戦争推進派が鹵獲したガンダムのデータを基として開発した量産型ウイングゼロとも言うべき機体である。
背部ウイングの配置が変わっている他、バスターライフルが一丁になっていたり、量産機としてデチューンが施されている

しかし、その最大の特徴は改良された『ゼロシステムver.2.5』にある。
このゼロシステムは一般の兵士でも使用可能に調整されており、その有効性はトライノイからモビルスーツの操縦方法を習っただけの普通の少女ティエルが乗っても問題なく歴戦の兵らと互角に戦える点からもうかがえる。
だが緊急時には通常のゼロシステム同様にパイロットの意思に反した行動を強制させることもあり、システム発動時にはサイドスカートよりウイングゼロの大型ウイングバインダーが展開される。

本機のみならず今作に登場するガンダムはロームフェラ財団の忘れ形見ともいうべき暗部を象徴する機体であり、X-18722コロニーにおいて保管されていた機体をティエルにより奪取されている。

……ガンダムをあれほど目の敵にしていたロームフェラ財団がわざわざガンダムなんて量産するか?と叩かれそうな設定ではあるが、財団派にもトラント・クラークのようにガンダムの有用性に目をつけた人間は少なからず存在しており、ゲームのオリジナル設定ではあるがトレーズ派の一部がガンダムアクエリアスを建造したように財団内のデルマイユ&ツバロフに反目する派閥により密かに開発されていたのだろう、など考察出来ないことはない範囲の設定ではある。

ちなみにプラモデルとして語ると、ティエルの衝動の作例の中ではHGウイングガンダムゼロカスタム一体だけでも作れるので非常にリーズナブルかつ難易度の低い機体といえる。
ぶっちゃけ最強プレイングブック自体「改造の入門書」の趣がある。
難しい点としては、サイドスカートの大型ウイングバインダーの接続をどうするかの工夫や、左右対称になるようツインバスターライフルを組まなければならない点であろう。
HGキットやMGではツインバスターライフルはモナカ割りなのでバスターライフルに関しては意外と楽だが、RGではパーツの構成上、非常に難易度が上がってるので注意したい。
当時ウイングガンダムゼロカスタムはHGしか発売されていなかったので仕方ない。
余談だが、キットの作例とコミックのカラーリングが微妙に違うため、作例版とコミック版、どちらを重視するのか選ぶ所がウイングガンダムセラフィムを再現する上で最大の難関と言えなくもない。
(作例版では白と青の配色だが、コミックではジムのような薄緑に紫となっている。更に決定的であるのがフロントアーマーの配色であり、見比べると完全に別物である)



□劇中での活躍

前述のとおり、元々はロームフェラ財団の戦争推進派が遺したガンダム量産計画の名残ともいうべき機体である。
しかし、そのガンダム量産計画に兄であるカール・ノンブルーが関わっていたことから情報が流出してしまったのか、彼の妹であるティエルにより1機が強奪される。
その後、兄が失踪した現場である「戦士の墓」へと向かうティエルとトライノイ、クルングであったが、財団の暗部とも言える機体を持ちだした彼女たちが放って置かれるはずもなく追撃の魔の手が襲い掛かる。

ティエルが正規の戦闘訓練を受けてない少女であるため活躍の場面は少ないが、ゼロシステム搭載機であるが故にその恩恵は非常に高く、高出力のバスターライフルで兄カールが搭乗するガンダムルシフェルの四肢を衝動のままに精密狙撃で狙い撃ち沈黙させる芸当を見せた。



■ガンダムルシフェル


2人でさ…本当に平和な世界を作ろうよ…
戦いを起こすのは人類…人類のいない世界を…ゼロも協力してくれるって…

ウイングガンダムゼロ量産化計画において、量産機に搭載される予定のゼロシステムの改良型を搭載した試験機。
つまりウイングガンダムセラフィムの兄とも言える機体であり、テストパイロットはティエルの兄、カール・ノンブルー。
ルシフェルは「堕天使」を意味している。

セラフィムに搭載されている『ゼロシステムver.2.5』の前身にあたる『ゼロシステムver.2.0』を搭載している。
が、このシステムには致命的が欠陥があり、パイロットの目的に対し出した回答をそのまま直接脳にフィードバックするしてしまうという危険なもの。
本家との違いが分かりづらいが、こちらは情報や選択肢すら与えず、正しいかどうかもわからない怪しい答えを容赦なくぶち込みパイロットに実践させるような代物と思われる。
それがどれだけ危険で、欠陥品であるのかは後述の武装にて詳しく解説する。

これにより、平和主義者であったカールの「戦争をなくすためにはどうすればいいか?」という問いに対し、ゼロシステムは「戦争を起こす生物の完全抹殺」という回答をフィードバック。
結果、カールは争いを起こす人類の抹殺を目的としてティエルの前から姿を消し失踪してしまったのであった……

ちなみに外観は荒れ果てているために本来のカラーは不明だが、作例では装甲が剥がれた表現なのか全身がくすんだシルバーもしくは灰色。コミックでは苔で覆われているのか、緑に変色している。
おまけに胸部サーチアイにあたる部分は目玉のようなパーツになっている等、機体名よろしく堕天使(ルシフェル)を彷彿させる。
プラモを作る場合は好きな方を作ろう。ウイングガンダムゼロEWの大型ウイングバインダーを4つ搭載しているので、再現する場合はゼロEWのプラモを2つ買う必要がある。



□武装


そんなものはない。

そう、ガンダムルシフェルはあくまでシステムの試験が目的の機体であったために武装は一切積んでいないのだ。
あえて言うならば前述した『ゼロシステムver.2.0』しかない。
更に長きに渡る漂流を経て、装甲は所々朽ち果て、推進剤も尽き、精々パイロットのカールの問いに延々と答えながら生命維持をする以外に何も出来ない機体なのである。

つまり、ルシフェル自体には「人類を完全抹殺する力」などそもそも存在しないにもかかわらず、カールに対し人類抹殺を提案し、延々と今の今までそれを実行させていたのである。

なんという欠陥品。そして、アホの子である。

ちなみにカールにもルシフェルでは目的の達成は不可能と察してはいたようで、最終局面ではティエルのセラフィムを奪取し乗り換えようと目論んでいた。
…もっとも、TV本編で一度ゼロシステムに支配されたカトルの行動から分かる通り、逆を言えば仮にルシフェルが武装を積んでて普通に移動できるほどのエネルギーが残っていれば少なくとも大惨事が起きていたのは想像に難くない。



□劇中での活躍

激戦の末にトライノイやクルングを失い傷心のティエルの前に出現。
ルシフェルにすっかり洗脳され、正気を失っている兄カールの姿を見たティエルは衝動のままに言い放つ。

我慢して、お兄ちゃん!そのゼロ壊してあげる!!

こうしてティエルの大事な兄を惑わしたルシフェルは怒れる妹の逆鱗に触れ、何も出来ないままに四肢をもがれ達磨にされ、その機能を停止することになった。
その後、ティエルと共に宇宙を漂流していたところを無事救助されたが、量産型ガンダムをめぐる事件が報道されることなく物語の幕を閉じた。
ノンブルー兄妹と共にセラフィムとルシフェルが回収されていると思われるが、その2体がどうなったかは不明である。



■ウイングガンダム Endless Waltz バージョン

『最強プレイングブック』表紙にイラストで、作例として写真で登場。アーリータイプ発表前に石垣純哉によりウイングガンダムゼロカスタムから逆算してデザインされた。ある意味プロトゼロの先駆けとも言える。
ウイングガンダムカスタムと異なり羽やカラーリングはウイングガンダムゼロカスタムに近く、一見ウイングガンダムゼロカスタムそのままだが
肩の装甲の下の段がなくなり代わりにバーニアがあったり胸がダクト上になっていたり膝や踝に流用元不明のディティールがあったり地味ながら上記の二体より高度な改造が必要。
主力武装は高速で振動する分子による大剣「パーティクルソード」である。

□劇中での活躍

OZの前に初めて姿を現し、リーオーを切り捨てた場面が描かれている。まだOZが存在を掴んでいないため他の設定はない。






余談だが、黒歴史(非∀的な意味で)とされがちな本作であるが、プレミアムバンダイにてRGウイングガンダムゼロEW版のオプションエフェクトパーツとして本機のネーミングを彷彿とさせる「セラフィムフェザー」が販売された。
また、ウイングガンダムセラフィムには関係ないのだが、同作に登場したガンダムデスサイズギルティの武装の一つ「プリズム粒子コーティング」は公式続編のFrozenTeardropに地味ながら逆輸入されている。

非常に知名度の低いマイナー機体ではあるが、いつの日か本格的に公式に取り上げられる日を心待ちにしたい。





追記・修正はお兄ちゃんのゼロを壊しながらお願いします。

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最終更新:2024年03月18日 15:46