2D対戦型格闘ゲーム

登録日:2010/07/08 Thu 21:21:30
更新日:2024/04/25 Thu 18:06:33
所要時間:約 7 分で読めます




【概要】

2D対戦型格闘ゲームとは対戦型アクションゲームの一種で、通称は「格ゲー」。
2人のキャラクターが向かい合って立ち、攻撃し合って先に相手の体力をゼロにする、あるいは時間切れで体力が多い方が勝ちというのがほぼ絶対的なルールである。
最大の特徴は「プレイヤー対CPU」だけでなく「プレイヤー対プレイヤー」の対人戦に重きが置かれている点で、対人戦ならではの様々な駆け引きが魅力的なジャンルである。
なお、バーチャファイターや鉄拳デッドオアアライブなどの3DCGで作られているゲームでも、対戦システムが横スクロールならこちらに分類される。

【システム】


《画面表示》


体力ゲージ
画面上部にあるゲージ。一般的に左側が「1P側」で右側が「2P側」と呼ばれる。
攻撃を受けるとゲージが減っていき、ゼロになるとKO(敗北)となる。
先に相手のゲージをゼロにするのがゲームの目的。

パワーゲージ
主に画面下部にあるゲージ。
攻撃や防御などの行動で溜まって行き、ゲージを消費することで特殊な行動をとることができる。
主に超必殺技に使われる他、一時的なパワーアップ、守勢からの切り返しなど有利な状況を作れることが多い。
初期の作品にはなく、『龍虎の拳』の気力ゲージが元祖とされる。
単に「ゲージ」と呼ぶ場合は体力ゲージではなくコチラのこと。

タイム
画面上部中央に表示される数字。時間経過により減少していく。
0になるとタイムアップとなり、残り体力が多い方の判定勝ちになる。


《基本システム》


移動
スティックをキャラクターの前方向(向いている方向)に倒すことで前に歩き、後ろに倒すことで後退する。
上方向に入力することでジャンプする。
下方向に入力するとしゃがみモーションを取る。
作品やキャラによってはしゃがんだ状態で移動することもできる。

ダッシュ、ステップ
左右の同じ方向にスティックを2回素早く入力にすることで素早く移動することができる。
一定距離移動する物をステップ、入力し続ける限り移動し続ける物をダッシュ(もしくはラン)と呼ぶ。
どちらが採用されているかは作品次第。両方採用している作品やキャラクターによって変わる作品もある。
空中の場合はステップ系の移動であっても「空中ダッシュ」と呼ばれる。

ガード
相手がいるのとは逆方向にスティックを入力すると、相手が攻撃を出した際に身を護る動作をとる。
ガード中は喰らうダメージを大幅に減らすor無効化することができる。
立ちガードとしゃがみガード、作品によっては空中ガードなどの種類がある。
ゲームによっては一定回数ガードを行うと強制的にガード解除になるものもある。
基本的にスティック入力を続けていれば自動でガードを行ってくれるためタイミングを合わせたりする必要はないが、
相手の攻撃に合わせてタイミングよく入力したり、特定の入力で強力なガードになるといった作品もある。

通常技
攻撃ボタンを押すだけで出る技。コマンドが必要ない。
普通のパンチやキックのことで、格闘ゲームの主となる攻撃方法。
「立ち」「しゃがみ」「ジャンプ」といった種類があり、近距離と遠距離、垂直ジャンプ時と斜めジャンプ時で違う技が出ることもある。

特殊技
主に方向入力+攻撃ボタンで出る技。
キャラ固有の通常技のようなものだが、~
主に中段判定でしゃがみガードができなかったり、追撃可能でコンボに使えたりと、共通の通常技よりはちょっと変わった性能がある。

投げ
特定の操作を行うことで、近距離の相手を掴んで投げる共通の特殊技。どの姿勢でもガードできないのが特徴。
投げ飛ばすだけでなく、組み付いたまま複数回ダメージを与えるタイプもある。
投げのモーションを見てから回避するのは難しいため、相手のガードを崩すための基本的な手段として搭載されている。
操作は方向入力+攻撃ボタンというのが一般的だが、特定のボタン同時押しなどで出せる作品もある。
キャラによっては必殺技に属する「コマンド投げ」を持っていることもある。威力が高かったり間合いが広かったりと高性能なものや、移動を伴い離れた相手や空中の相手を掴む、投げた後に追撃が可能など特殊な性能を持ったものが多い。

必殺技
コマンド入力+攻撃ボタンで出る技。
発動すると自動で一連のモーションを取るので、たいてい隙は大きいが、
飛び道具なので遠くに届いたり、無敵判定で相手の攻撃を強引に突破したりと単純な攻撃とは一線を画す能力があり、各キャラクターの個性を位置付ける重要な技。
波動拳昇龍拳が有名で、このように飛び道具・上方向に攻撃できる無敵技(対空技)に加えて相手に接近しつつ攻撃できる技(突進技)の3つは「格ゲーキャラ三種の神器」と呼ばれている。
いわゆる主人公ポジションは大抵この3つを備えており、そうでなくてもこの3つが揃っているキャラはいわゆるバランス型になっている事が多い。
もちろんゲームシステムや設定上(例えば『マッスルボマー』みたいに実在の競技を題材にしているとか)、主人公ポジでもこの手のを備えていないこともあるけど。

超必殺技
コマンド入力+攻撃ボタンに加え、パワーゲージ消費や体力が一定値以下などの条件によって発動する技。
厳密には「超必殺技」というのは主にSNK格ゲー固有の名前で、それ以外では「スーパーコンボ」とか独自の名称が付けられている。*1
必殺技の上位版という位置付けで、発生が早かったり無敵が長かったり威力が高かったりと切り札的存在。
その代わり、前提条件がある上に基本的にコマンドが複雑。

攻撃判定
攻撃が発生している空間。
  • 殆どの攻撃が該当し、立ち、しゃがみのどちらでもガードできる『上段判定』
  • 主にしゃがみキックが該当し、しゃがんで防ぐしかない『下段判定』
  • 主にジャンプ攻撃と一部特殊技が該当し、しゃがんでいると食らう『中段判定』
  • リーチが短いが全てのガードが無効の『投げ判定』、
  • 相手の飛び道具を消したり消されたりする『飛び道具判定』
などの属性がある。
これらの属性は概ねキャラクターの攻撃モーションに準じているが、たまに明らかに何もない空間に攻撃判定だけが出ているようなものも

喰らい判定
攻撃が有効となる空間。これが相手の攻撃判定と重なることで『攻撃を受けた』と判断される。
グラフィック上は当たっていてもそこに喰らい判定が無ければ『攻撃を避けた』と判断される。
アクションゲーム共通の概念だが、一部の技は喰らい判定が一部欠けることがある。格ゲーだとそれが相手をすり抜けたり、技のぶつかり合いに強くなったりという影響として出やすい。

無敵判定
無敵判定の中の喰らい判定に攻撃判定が当たっても攻撃が当たったとされなくなる判定・状態。
全身に無敵判定がついてどこにも喰らわなくなることを『完全無敵』、一部分だけ無敵判定がつくことを『部分無敵』、
ジャンプ攻撃だけ喰らわなくなる『対空無敵』、ほか飛び道具など特定の攻撃判定に対する無敵判定がつくことを『○○無敵』と呼ぶ。

キャンセル
技から別の技を連続して出すと、最初の技のキャラクター動作の一部が中断・省略されて、次の技の動作に移行する仕様。
コンボを成立させる重要な要素。
初代ストⅡの時バグとして発見されたが、対戦に奥深さを与える(面白いから)とされ仕様として残された経緯を持ち、その後様々な技がキャンセル出来るようになっていく。
まさにバグ様々である。


【駆け引き】


「打撃は投げ技に強く、投げ技はガードに強く、ガードは打撃に強い」
この三竦みが格闘ゲームの基本の駆け引きとなる。
システムの項でも述べたように、ガードすることで相手の攻撃(打撃)によるダメージを軽減させることができるが、一方で投げに対しては無防備となってしまう。
しかしその投げも密着に近い状態まで相手に接近する必要があるため、間合いの外では打撃に打ち負けてしまう…といった具合。
アカツキ電光戦記』の「打撃、投げ、攻性防禦」、3Dだが『DEAD OR ALIVE』の「打撃、投げ、ホールド」など、独自のシステムを採用している作品もあるが、根底にある考えは同じである。*2

実際の対戦では、その上に中下段によるガード方向の揺さぶり、リスクの少ない通常技による差し合いなどが加わり、流動的で展開の早い駆け引きが行われる。
上級者になるほど高度な駆け引きをしているが、知識が無ければそれを理解するのは難しいので、まず駆け引きを知ることが初心者脱出の第一歩でもある。


【分類】


《差し合いゲー》


相手の攻撃を避けたりして、その隙にこちらの攻撃を当てていくことに重きを置いている。
読み合いゲー、駆け引きゲーとも。
最も古典的でスタンダードなスタイルの格闘ゲーム。

一発の威力が高めなので、相手の動きを読むことが重要となる。

例を挙げると
…などが該当する。
また、これを極端にしたのがサムライスピリッツ(一部作品除く)や格ゲー版恋姫無双


《コンボゲー》


MARVELシリーズから広まった、コンボと呼ばれる連続技が極端に繋がりやすい格闘ゲーム。

差し合いと比較すると
  • 一発の威力が若干低い
  • 通常技で連続技が可能なチェーンコンボなどでコンボを繋げやすい
  • エフェクトや動きが派手
  • ゲームスピードが速い
  • システムが複雑

爽快感が強く、初心者でもそれっぽい動きが出来るため人気が高い。
一方で要求されるテクニックが高度で、初心者と上級者との格差が大きいので初心者狩りが起きやすい(ただしこの辺については「むしろ読み合いを要する差し合いタイプの方が本質的には起きやすいと思う」とする異説もあるようだが)。
逆に覚えてしまえば割とあっさり「それっぽく」戦うことが出来るようになる、とも。それまでが厳しい道のりだからいろいろ言われてるんだけどね

近年新しく生まれたシリーズのほとんどはコレ。
一応黎明期からあるジャンルではあるが、著名にしたのはMARVELシリーズとGUILTY GEARシリーズだろうか。


《世紀末タイプ》


差し合いとコンボのいいとこどりになっているゲームも一応は存在する。
…存在するのだが、大抵は「即死レベルor永久コンボが普通に実戦投入できるため、コンボ始動技を当てる/防ぐ駆け引きが重要」 というある意味コンボゲーの極致になっている。

実例を挙げると
  • みんな大好き『北斗の拳』(いわゆるAC北斗。格ゲーにおける世紀末の語源)
  • 永パが出来るようになって初めてスタートラインに立てる『戦国BASARA X』
  • 「普通の格ゲーが1R終わるまでに1~2試合消化できる」とまで言われ、試しに店舗大会を開いたら本当にそうなった『闘姫伝承 ANGEL EYES』
  • 最終的にプレイアブル11人中6人(隠しキャラを含むので実質10人中6人)と過半数のキャラに実用的な永久が見つかり*3、当時は「ガールズ北斗」とまで渾名された『アルカナハート(初代)』
    ※『Full!』での調整を経て、『2』以降は誰かしらぶっ壊れがいるだけの普通のコンボゲーに
…など。ちなみに最後2作品は本当に女性キャラしかいない点でも著名(アルカナは魔王様やカズがいるが)。


【人気】

代表格であるストリートファイターⅡが人気を集め、研究が進み奥深さが明らかになると子供だけでなく大人のゲーマー達からも注目を浴び、一大ブームを呼ぶ。
ブームに乗ろうと様々な会社から独自タイトルが発売され、キャラ数が増えると、他社や同系のキャラとの差別化のためにキャラ毎のバックストーリーが詳しく描かれるようになる。
すると女性層から「格ゲーは全然やらないけどキャラクターは好き」という二次的な人気が出る。
大手メディアも連日特集を組み、時にはタイアップ(憲磨呂など)を行うほどとなる。
コミカライズやアニメ化などのメディアミックスも多く、例えばハリウッドの映画会社はこぞって人気タイトルの映像化権を買い漁った。

ま さ に 大 格 ゲ ー 時 代 で あ る


しかし21世紀に突入したあたりから人気に陰りが表れ暗黒期を迎える
原因としてはブームに伴う進化によってゲームが複雑化し、魅力であったはずの奥深さが敷居の高さに変わってしまったことにある。

初心者と経験者、ライトユーザーとヘビーユーザー

この間に生まれた実力差は新規ユーザーの獲得に大きな障害となったのである。
これは対戦ゲームならばどれも抱えている問題ではあるが、格闘ゲームの場合、システムや技のコマンドにその性能、各種コンボとその対処法など、身に付けなければ勝てないものが多く、さらに格ゲー間であればタイトルやメーカーが違っても技術や知識などに対し、一定の流用がききやすいこともあり、その差が極めて顕著なものとなりやすかった。
しかも1対1なので実力差が出やすく、初心者狩りなどが横行し、他より大きな問題になった。
任天堂から発売されている大乱闘スマッシュブラザーズも、もともとはこうした風潮を問題視して作られたアンチテーゼ作品ではあった。


そして陰りを見せた対戦格闘に止めを刺したのが家庭用ゲームの進化。
据え置きハードの大幅な進化により
  • ゲームの多様化
  • ゲーセン人口の低下
  • ドット絵の需要低下
  • 一人プレイ用のゲームの需要の増加
などが起こり、ゲームユーザーには対戦ツール、あるいはゲーセン用タイトルとして魅力を失いつつあった2D対戦格闘ゲームは求められないようになった。
2000年代前半はそれに伴うカプコンの事実上の撤退とSNKの失墜により暗黒期は長期化した。

2000年代後半ではアークシステムワークスの奮闘、ストリートファイターの復活、SNKの復興、格闘ゲームとしてのスマブラ人気の向上などにより黄金期ほどではないが人気が回復し始める。
しかし依然として弱いジャンルであることは変わらず、ゲーセンも減少傾向にあるため、またいつ暗黒期が再来してもおかしくない状況であった。

そんな格ゲーだったが2010年ごろから一つの転機が訪れる。
eスポーツとプロゲーマーという文化が発展し始めたのである。
元々「積極的にプレイはしないがトッププレイヤー同士の試合を見るのは面白い」という層が少なからずいたジャンルでもあったためこれが見事に合致。
「見て面白い」エンターテイメントとして盛り上がりを見せ、多数のプロゲーマーが誕生していくことになる。
また、通信技術の発達により、家に居ながらにして世界中のプレイヤーとの対戦が可能になったことも大きい。
ゲーセンが主戦場だった格ゲーはネット対戦・配信へと移行しつつあり一つの時代の変化を迎えていた。
それでも根本的なハードルの高さ等からどちらかと言えば弱いジャンルを抜け出しきれず、プレイヤー数が伸びない限界集落期は続いた。
格ゲー参入の難点であったコマンド入力を簡易化する等、より間口を広げようという試みが積極的に行われてはいたが…。

その試みが実を結び、2023年現在は完成度の高い簡易入力タイプ「モダンタイプ」を搭載した「ストリートファイター6」がストリーマー・Vtuber界隈を巻き込みつつ大成功と言っていい状況*4を作り上げた。
今後の追従者次第では再び格ゲー黄金時代が訪れる、かもしれない。



追記・修正は飛び道具・対空迎撃・突進・相手を追いかける移動の四種類の技を身に着けてお願いします。

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最終更新:2024年04月25日 18:06

*1 もっともプレイヤーの間ではその系統の技の総称として用いられることも多く、「超必殺技」「超必」と呼べば大抵通じる

*2 両作品とも通常のガードも存在するが、その発展形として「相手の打撃を受け止めて反撃する」システムを取り入れている

*3 ただし強キャラの一角に付けているキャラにも実戦投入できる永久が見つかっていないキャラはいる

*4 スト6効果でカプコン純利益が過去最高になった