ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘

登録日:2011/03/27(日) 10:30:51
更新日:2023/12/17 Sun 21:53:39
所要時間:約 6 分で読めます





凶悪新怪獣エビラ!
陸・海・空に展開する三大怪獣世紀の対決!


ゴジラ・エビラ・モスラ

南海大決闘





『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』はゴジラシリーズ第7作目の作品である
1966年12月17日公開
観客動員数421万人
前作 「怪獣大戦争
次作 「怪獣島の決戦 ゴジラの息子




あらすじ

漁に出たまま嵐で行方不明になった兄・彌太を探す青年・良太は新聞社を頼って上京。そこでヨットが優勝景品の「耐久ラリーダンス大会」の存在を知り、その会場でギブアップした大学生の仁田と市野と知り合う。

車で葉山海岸に向かった彼らは太平洋横断用ヨットのヤーレン号に無断で泊まり込み、オーナーを装って乗っていた吉村と知り合ったのもつかの間。翌朝一同が目を覚ますと船は良太が勝手に出航させて既に洋上にあり、しかもラジオで吉村が逃亡中の金庫破りであることを知るのだった。

仕方なしに良太の兄探しに協力する羽目になった吉村達だが、嵐の夜に海から現れた巨大な「鋏」に襲われて全員海に投げ出される。南海の孤島「レッチ島」に命からがら流れ着いた一同。
しかし、この島は謎の革命組織“赤イ竹”の原爆工場であること、海には怪獣「エビラ」がいて脱出出来ないこと、そしてかつてキングギドラを追い払った「ゴジラ」が島の洞窟に眠っていることを知るのだった…




概要

これまでとは打って変わって南海の孤島を舞台とした冒険活劇となっており、今回のゴジラは第3勢力として人間に振り回される少々気の毒な立ち位置。

元々はキングコングが主役の作品だったのだが、アメリカがシナリオに難色を示した為にゴジラシリーズの一編として製作されることとなった。ゴジラが若大将ばり美人に興味津々だったり鼻をこすったりするのはその名残。
ちなみに、BGMは加山雄三の「君といつまでも」
それまでのシリーズを支えてきた本多猪四郎監督から福田純監督に、音楽の担当も伊福部昭氏から佐藤勝氏になり、それまでの重厚なイメージから一転して全体的に陽気な雰囲気を醸しだしている。
また、クレジット上の特撮監督は円谷英二氏だが、実質的に弟子の有川貞昌氏が演出しており、特撮面でも世代交代が起きた。


ちなみに本作がゴジラシリーズ初の水中戦であり、見どころの1つつとなっている。




登場人物


◆良太(演:渡辺徹)
行方不明になった兄を探す為に田舎から出てきた世間知らずで無鉄砲な若者。なお後にデビューする同名の役者とは別人。
若年ながら操船はお手の物で、彼がヤーレン号を勝手に出帆させたことから物語は始まった。
途中探索気球に足を取られてインファント島に流れ着き、彌太と再会してレッチ島の状況を伝えるとみんなを助ける為に彌太と共に再びレッチ島に乗り込んだ。


◆吉村(演:宝田明)
ベテランの金庫破り。その技術は様々な場面で活用された。
金庫破りではあるが情に厚く、レッチ島ではリーダー格となって働かされていたインファント島の民を救出した。
「アイデアで勝負しろ」がモットー。


◆市野(演:当銀長太郎)
理工系の大学生。耐久ラリーダンス大会でリタイアしたところで良太と知り合い、事件に巻き込まれる。
強気な性格で、洞窟で眠るゴジラを雷で目覚めさせることを思いついた。


◆仁田(演:砂塚秀夫)
大学生で市野の友人。山岳部に属しているが至って臆病。市野と同じく事件に巻き込まれる。
途中で赤イ竹に捕まってしまい強制労働に就かされるが、吉村のモットーを思い出して偽物の黄色い汁を作ることを提案し、島から逃げ出す赤イ竹を全滅させるきっかけを作った。


◆ダヨ(演:水野久美)
「赤イ竹」によってインファント島から連れてこられた女性。理由は不明だが日本語が達者。*1隙をみて逃げたところで良太達と知り合った。
インファント島の民を救出する為に工場に潜入した時に首飾りに持っていった導線が思わぬところで役立った。

なお、インファント島はロリシカ国の核実験が収まったのか滅亡寸前だった『モスラ対ゴジラ』の頃に比べて著しい自然環境の回復が見られる。
しかしレッチ島とは距離が近いらしく、赤イ竹によって住民が拉致され原爆工場で強制労働をさせられるといった核兵器絡みの受難に遭ってしまう羽目に……


◆彌太(演:伊吹徹)
良太の兄。短気で無鉄砲だが恩義に厚い。
マグロ漁に出た際に嵐に遭って行方不明になっていたが、インファント島の民に助けられていた。
再会した良太からレッチ島の話を聞いて恩に報いる為にレッチ島に乗り込んだ。
漁師仲間からは「浪花節の彌太」と呼ばれているらしい。


◆小美人(演:ペア・バンビ)
モスラと人間を繋ぐ、身長30cmの双子の妖精。本作に登場するのは二代目。
連れ去られたインファント島の人々を救う為に、眠りに就いていたモスラを目覚めさせようと島民と共に歌と踊りを捧げていた。


◆赤イ竹
世界征服を狙う軍事的秘密結社。島がエビラによって容易に近づけないことを利用してレッチ島に秘密基地を造り、「烈一号」という原爆を製造していた。
インファント島から拉致してきた人々に自分達がエビラ避けに使う黄色い汁を作る仕事をさせていた。
ゴジラに基地を破壊され、時限式の核爆弾をセットして島から逃げ出すが、黄色い汁が偽物にすり替えられたことに気が付かず、水上挺をエビラに撃沈されてしまった。
本部は別にあり、戦闘機部隊を保有するなどかなり巨大な組織であるようだ。

◇司令官(演:田崎潤)
レッチ島秘密基地の最高責任者。突如現れたゴジラを「革命的怪物」と呼んだ。

◇竜尉(演:平田昭彦)
隻眼の警備隊長。残忍な性格。
なお演者の平田昭彦は第一作目でも隻眼の芹沢博士役で出演しているが、芹沢博士は右眼に眼帯、竜尉は左眼に眼帯と逆になっている。

◇水上挺船長(演:天本英世)
水上挺でレッチ島の物資の運搬をしていた。




登場怪獣


ゴジラ
前作でラドンに担がれてキングギドラと共に海に落ちた後、どういう経緯かレッチ島の洞窟で眠っていたが市野のアイデアで雷の電気ショックで目を覚ました。
ダヨに興味を持ったり鼻を擦ったりと時々加山雄三の如く、人間臭い動きを見せる。
寝込みを起こされて機嫌が悪かったのか、それとも寝ている間に我が物顔で島にいたエビラにキレたのか、姿を見るなり襲いかかった。
その後も自分を攻撃した大コンドルや赤イ竹を徹底的に叩きのめし、人々を助けに来たモスラにも戦いを挑んだ。
最後に、島が自爆することを知らされて海に飛び込んで九死に一生を得た。
今作でのゴジラは、人間の都合に振り回されてばかりだった。寝てただけなのにさぞ迷惑だったことだろう。


エビラ
レッチ島付近に生息していた海老が島から流れ出た放射性物質で巨大化したもの。
木の実(名称不明)から採れる黄色い汁が苦手で、黄色い汁を独占した赤イ竹には脱走者の始末役や用心棒代わりとして扱われていた。
ゴジラの投石攻撃を器用にもハサミで受け止め、岩のキャッチボールを演じた。そしてラドン戦に引き続き、またゴジラが先にボールを落とした。この怪獣王、不器用である。


モスラ(成虫)
みんなご存知インファント島の守り神。
かつてゴジラ・ラドンと共にキングギドラを追い払った個体が成虫化したものらしい。
変態後は深い眠りに就いていたが、小美人と島民達の祈りの唄に応えて長い眠りから目覚め、捕らわれた人々を救うべくレッチ島へ向かう。
あくまで救出が目的なので、戦うのはゴジラに襲いかかられた時に羽根チョップで追い払っただけに留まった。


◆大コンドル
レッチ島に生息する巨大な鳥。
巨大と言ってもゴジラの体長の半分もなく(正確な体長については資料によって諸説あり)、モスラやラドンなど他の飛行怪獣とは比べ物にならないほど小さい。
好戦的な性格であり、うたた寝をしていたゴジラに鋭い嘴で襲いかかるが、瞬く間に焼き鳥にされて海に落ちていった。

元々本作はキングコングを出演させる予定だった為モデルは『キング・コング』に登場したプテラノドンのオマージュである。

鳴き声は『キングコング対ゴジラ』に登場したファロ島の大トカゲの流用。

造形物は、『三大怪獣 地球最大の決戦』で作られた飛行用のラドンの1尺サイズミニチュアの改造。このミニチュアはゴジラと同時に円谷特技プロに貸し出され、テレビ番組『ウルトラQ』の第1話「ゴメスを倒せ!」に登場する怪鳥「リトラ」に改造されており、返却後に本作用に再改造された。改造はすべて東宝特美スタッフによる。
ウルトラQ着色委員会にも参加した特殊美術の品田冬樹は、大きさやギミックの違いなどからラドンを使用したとする説に懐疑的な見解を述べており、この説が事実な場合、大コンドルの改造も覆ることになる。



余談

ドイツ語版のタイトルはなぜか『Frankenstein und die Ungeheuer aus dem Meer(フランケンシュタインと海の怪物)』。
もちろんフランケンシュタインは登場しないため、ドイツの観客には不評だったそうだが、まさか……。






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最終更新:2023年12月17日 21:53

*1 ダヨに限らずインファント島の住民の一部は日本語を話せる。