和服(女性)

登録日:2012/03/24(土) 13:13:19
更新日:2023/10/16 Mon 06:16:19
所要時間:約 3 分で読めます




和服とは、日本において古くから身に付けられている衣服である。

視聴対象としての和服は和服(属性)へ、男性用のそれについては和服(男性)と言う項目にて記載されているので、
ここでは、女性用和服についてを特に記載する。

■歴史

女性が身に着けていたとされる衣類の事は、『続日本記(しょくにほんぎ)』や『令義解(りょうのぎげ)』などの文献によると、
唐からの影響を受ける以前には、上着とズボンの割りと現代の洋服に近いスタイルだったらしい*1

718年に大宝律令を編み直した養老律令から女性の服装もわかるが、
この時もやはり上着にズボン、そして、ウエストを絞めるベルトと言うスタイルであった。

現代人が女性用和服と認識出来るスタイルが発祥したのはやはり平安時代。
遣唐使を排した事により栄えた「国風文化」の下、平安女性の代名詞である「十二単」「単衣」が完成した。

この時の和服はを派手にしたり宝石をあしらうなど、西洋ドレスのごとき派手な方向へと進化していたが、重いわ、蒸れるわで実用性がない為、
鎌倉、室町の頃には袿(十二単の1つ)のみの上に小袖のみ着ると言うスタイルに落ち着き、やがて、ワンピーススタイルにまで簡略した衣服まで出てきた。

江戸時代になると、上記の袿すら改まった場くらいでしか着なくなり、袴と肩衣を合わせた裃と呼ばれるものを普段着とするようになった。
しかし、茶の湯や芝居が庶民に流行った事もあり、きらびやかな着物もまた注目され、長袂から発展した振り袖が登場したり、
「着付け」る時の帯の結び方など、現代まで通じる呉服の基礎がこの時に完成したのだった。

そして、明治、大正となり、西洋文化が流入し「洋服」がやってきても、女性の髪型が西洋風になっても、女性の服装は長らく和服であり続け、
女性が洋服を着るのが一般的になるのは、長い時を経た終戦後になるのであった。

■現代女性と和服

現代においては、洋服が完全に定着化してしまい、晴れの舞台以外で和服を着る事など無くなってしまった。

やはり、着付けなどが面倒臭いし、洋服の浸透した現代では明らかに浮いてしまうのだ。
だが、連棉と引き継がれてきた和服の華やかでありながら、
奥ゆかしい魅力は今でも女性達を惹き付けており、振り袖や浴衣などは女性の憧れであり続けている。

他にも祖母や母が残した上等な着物は現代の服より生地が良く同時代の洋服と違って現代でも着ることができるデザインなので、
着るのが大変でも祖母や母の思い出ごと受け継いで着たい女性もいる。
ただし祖母・母世代と現代では女性の身長や体格が変化しているため着たくても身体に合わず断念せざるを得ない例もある。

近年美意識の変化及び着物を着る機会が減少のせいか、晴れの舞台や観光地で着物を着る際に非日常もといコスプレ感覚で派手な柄を選ぶ若い女性が増えており、
傍からは「似合ってない」「着物の良さを解ってない」と評されることもある。

■外国人女性と和服

日本人に海外の文化民族衣装に魅力を見出だしてる人がいるように、外国人もまた「KIMONO」に魅力を見出だしてる人がいる。
観光地の着物レンタルは鉄板人気だし、日本旅行に行く知人に「着物を土産に買ってきて」と頼む人もいる。

外国人女性のあるあるネタとして、スーツを着る感覚で合わせを左前にしてしまう人が非常に多い。
左前は死者に着せる死装束の合わせなのだが、外国人はそれを知らないため、左前に着てしまう人が多いのだ。

一方、日本の既成概念に囚われていないお陰か羽織を洋装のジャケット代わり、革靴やレース小物を合わせるなど自由に着こなしを楽しむ人もいる。

■主な女性用和服

◆打掛

一般女性にとってのキングならぬクイーンオブ着物。
小物まで白で揃えた白無垢と色も柄も華やかな色打掛があり、式は白無垢で披露宴が色打掛が主流だが、最近は色打掛で式に出ることも増えている。
重くて動きにくいのが難点だが最近は軽いものもある。

◆振り袖

成人式や結婚式などの晴れの大舞台と言えばこれ。
本来、振り袖とは未婚女性が身につけるもののみをさした(既婚女性は留め袖)が、現在は未婚既婚関係なく振り袖と呼ぶ。
晴れ用の着物なので普段着使いはできない(というか着るのが大変だから出来てもしたくない)。
袖の長さによって格式が変わる。

◆浴衣

夏の寝間着から発展した簡易和服。
夏祭りなどのきらびやかなものの他、旅館などで貸し出されるものもある。
最近の旅館などでは女性用浴衣が好きな色柄を選択できるサービスもある。
これにはいてないし着けてないで挑む者は現代は皆無(ビジネスホテルの浴衣ならあるかもしれない)。

若い女性の間ではギャル浴衣が人気。ギャル化粧やアクセサリーと組合わさる事も。

◆袴

弓道剣道をする女性や神社の巫女さんが着ている。
スカートタイプの行灯袴より、動き易い野袴を愛用する女性もいる。
袴×ブーツと言えば大正女学生スタイル…だが大正後期には洋装制服に移り変わっていた。
女子大生の卒業式でも人気。
振り袖でなくこちらで成人式に行く女性もいる。

◆訪問着、付け下げ

振り袖より簡易だが、それでいて公式な場にも着けていける着物。
汎用性が高く人気があり、仲居さんなんかも着てる。
ちなみに付け下げは戦時中の節制のため作られた訪問着をランクダウンさせたものだが、見た感じ着てもそんなにわからないことも多いとか。

◆紬

紬糸と呼ばれる糸を使った先染めの着物。
素朴な風合いと丈夫さが持ち味。
国の重要無形文化財に指定されていたり、手間が掛かっているため高級品もいくつかある。
が、着物の中でもカジュアル寄りなので公的な場には着ていけない。
まあ元は農民が出荷できないクズ繭から作った普段着だったからね…丈夫だから野良着として重宝されたらしい。


追記、修正は、国風文化を発展、維持してきてくれた先人に敬意を表してからお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • お上品な項目
  • 伝統美
  • ふつくしい
  • 和服
  • 着物
  • 衣服
  • 振袖
  • 浴衣

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2023年10月16日 06:16

*1 古墳の埴輪とか見ればなんとなくわかるかも