日本警察

登録日:2009/11/14 Sat 20:36:11
更新日:2024/04/26 Fri 10:06:27NEW!
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日本警察

概要

日本警察とは日本国内の治安維持、容疑者の逮捕、交通取り締まり等を行う組織である。

江戸幕府崩壊後に、江戸(後の東京)の治安維持のために明治新政府によって旧幕府の町奉行や、薩摩藩士や長州藩士などによって編成された「藩兵」が近代警察の先駆けとなった。

「マッポ」と呼ばれるのは、明治時代の警察官は元薩摩藩士が多かったため、「さつまっぽ」と呼ばれた事に由来するとも言われている。
決して、「狂った警察=マッドポリス」の略ではない…。

歴代の内務省警保局長(現在の警察庁長官)や警視総監などの要職は、鹿児島県(薩摩藩)出身者が多い。そのため、日本警察は「薩摩閥の牙城」とも称された。西南戦争後、陸軍に憲兵隊が設置されたが、これは警察(薩摩)に対する陸軍(長州)の牽制とも言われる(ただし、憲兵も元薩摩藩士が多かった)。

ちなみに、鹿児島県(薩摩藩)出身の警察官は薩摩方言で人に軽く声をかけるつもりで「オイコラ」と言い、それを他府県(他藩)出身の警察官も真似るようになったため、全国的に広がり、市民からは「オイコラ警察」とも言われ恐れられた。
そのため、かつては警察官は怖い、横柄というイメージが強かったらしい。

戦前は内務省警保局(現在の警察庁)が全国の警察組織を所管しており、当時は国の総合出先機関であった府県庁(現在の都道府県庁)の部局として警察部(現在の都道府県警察に相当)が置かれていた。警察部長(現在の警察本部長に相当)は奏任官で、知事(勅任官)の指揮監督の下、警察事務を遂行していた。東京府には内務省直属の警察組織として警視庁が置かれていた。

戦後、連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)は、日本の警察制度を非民主的な制度であるとして批判し、人権指令によって特別高等警察を廃止(後に公安警察として復活)させたことを皮切りに解体に乗り出し、1947年には官僚機構の中枢であった内務省が解体・廃止され、警察法により日本警察は国家地方警察と約1600の自治体警察に解体・細分化された。民主的警察制度として始まった自治体警察だが、細分化された警察組織は非効率であり、各地で国警や自治警同士での縄張り争いが頻発した。また、国家地方警察と自治体警察は「独立・対等」とされたため、国の治安維持に対する責任が不明確となり、当時は武力闘争路線だった日本共産党のテロなどに対応できず治安の悪化を招いたほか、自治警が町の有力者の私兵に成り下がったり、暴力団と癒着する事例も見られた。自治体警察の予算は全額自治体負担であり、当時の町村財政の約3割が警察予算に当てられ、自治体の財政を圧迫していた。

その後、警察法が部分改正され、自治体による警察権の返上が可能となり、自治体警察の大半が国家地方警察に吸収されていった。日本の主権回復後の1954年に、警察法の全部改正が行われ、新警察法により国家地方警察と自治体警察は廃止され、新たに警察庁と都道府県警察による中央集権的な制度に再編成された。

戦後の日本警察は、国家警察と自治体警察の折衷型とされており、その実態は中央集権色が強い。

日本の警察は、内閣総理大臣-国家公安委員会-警察庁長官というラインと、 都道府県公安委員会-警視総監/道府県警本部長というラインが存在するが、都道府県警察本部は中央省庁である警察庁から指揮監督を受けており、警察庁の強い影響下に置かれている(特に警視正以上の階級は地方警務官と呼ばれる国家公務員に切り替わる)。地方警務官の人事は、警察庁が人事案を作成し、国家公安委員会の承認を経て、次に都道府県公安委員会の承認を経て最終決定されることになっているが、国家公安委員会や都道府県公安委員会が警察庁の人事案を拒否したことは一度もなく、業務に支障が出ないように人事案の最終決定は迅速に行われる。

都道府県知事は都道府県警察を所轄するだけで、警察運用に関する権限を有さない。そのため、警視総監や警察本部長は知事の隷下でもなく部下でもない。また、都道府県公安委員会の事務局は都道府県警察本部(幹部は地方警務官)であり、警察庁の意思が反映されやすい構図になっている。警視庁の長である警視総監の任命は、国家公安委員会が行い、都公安委員会の同意および内閣総理大臣の承認が必要である。

現在の警察官の定数は約27万人で、戦前の警察官の定数の約3倍である。

装備

明治時代はサーベルだけだったが現在の制服警官は、特殊警棒、拳銃(S&W M360とかP230とか)、無線機、手錠等を装備している。

特殊車両

パトカーが有名である。可愛らしいミニパトからトヨタ・クラウンや日産・セドリック、果てはフェアレディZGT-RNSXまで豊富に揃えている。
その他にもヘリコプター、警備挺等も所有している。流石に鉄道車両は持っていないが、は飼っている。

階級

基本的に公共機関は上下関係が厳しい組織と言われるが、その中でも警察と自衛隊は特に厳格な階級制度が存在する組織として有名。

一番下っ端の巡査からトップの警視総監まで9の階級が存在する。

  • 警視総監
  • 警視監
  • 警視長
  • 警視正
  • 警視
  • 警部
  • 警部補
  • 巡査部長
  • 巡査

以上のほか、正式な階級ではないものの巡査の上に「巡査長」という階級がある。これは現場のモチベーション維持のための階級であり、卒配から10年以上懲戒事案を起こしていなければほぼ誰でもなれる階級だったりする。

警察官の90%以上は非管理職(巡査、巡査長、巡査部長、警部補)である。
警部以上はデスクワークが中心となり、事件や事故の現場でバリバリ活躍するのは警部補以下の仕事である。そのため、一般市民にとって身近な警察官は警部補以下の者である。

警察モノの作品を楽しむ時に階級のことを知っているとより一層理解が深まるかもしれない。

詳細

巡査

各警察署の交番などに勤務し、取締りやパトロール、事件や事故への対応などに従事する。
いわゆる「町のお巡りさん」として、我々一般市民にとって最も身近な警察官である。
警察学校に入学したその日から巡査に任命され、在学中は現場に出ずみっちりと警察魂を叩き込まれる。ただ在学中に大規模な事件・事故・災害が発生すると後方支援に駆り出されることもある。

巡査長

前述のように正式な階級ではないが、実務上存在する役職。
勤務成績が優秀、かつ実務経験が豊富な者から選考で任命される。
巡査としての業務の他、他の巡査に対しての指導等を行う。

巡査部長

部下である巡査、巡査長の監督、指導の他、上司である警部補の補佐的役割を担う。
役職としては機動隊や高速隊の分隊長、交番や駐在所の主任など。
なお、「巡査部長」でひとつの階級名であり、「巡査部」の「部長」という役職名ではない(そもそも「巡査部」という部署は存在しない。)。
呼びかけの際などに「部長」と略されることもあるが、この場合も役職名とは一致しない。有名なところだとこの人も役職としては派出所の「班長」である。

巡査~巡査部長までで警察官全体の約60%を占める。

警部補

管理職に含まれない階級としては最上位であり、チームリーダー、現場責任者のようなポジションである。
また、交番や駐在所の所長も警部補が就くことが多い(ただし一部の交番では1つ上の警部が所長となる。)。
割合としては警察官全体の約30%。

警部

ここからが所謂管理職。
警部は警察署の課長クラスと言われることが多い。他、警部が務める役職(職位)としては道府県警察本部の課長補佐、警視庁(東京都警察本部)の係長、警察庁の係長などがある。警察学校では副校長、校長補佐、教頭のポジションである。
また、逮捕状を請求できる権限も警部から。
警部は警察官全体の5〜6%くらいであり、偏差値で言えば60と65の間くらい(偏差値60が上位15%程度、偏差値65は上位7%程度)。

警視

警察署の署長クラス*1。他、道府県警察本部や警視庁の課長、警察庁の課長補佐にも相当する。また、警察学校長は警視以上の者が就任することとなっている。
警視は警察官全体の2.5%くらいであり、偏差値で言えば70の手前くらい(偏差値70は上位2%程度)。

警視正

県庁所在地など、多くの人員を抱える大規模警察署の署長クラス。他にも道府県警察本部の部長も警視正が務める役職である。
警視正以上は警察官全体の約0.5%(およそ200人に1人)という非常に狭き門である。

警視長

県警察(政令指定都市を有する道府県を除く)の本部長クラス。警視庁の部長、警察庁の課長にも相当する。

警視監

政令指定都市を有する道府県警察の本部長クラス。警視庁(東京都警察本部)、警察庁では部長を務める。
定員はわずか38人と、極めて狭き門である。

警視総監

東京都警察の本部長、つまり警視庁のボスである。首都の治安を守る組織のボスであることから、内閣総理大臣(首相)が任命するのが決まりとなっている。勿論、定員は1名のみ。
警視総監は警察官全体では警察庁長官に次いで2番目に偉い階級である(ちなみに警察庁長官には階級制度が適用されない。)。また、警視総監はその役職(職位)と名前が一致する唯一の階級でもある。

キャリア組、準キャリア

キャリア組は最初のスタート地点が警部補で、準キャリアは巡査部長がスタートラインとなる。
キャリア組とは、国家公務員総合職(旧1種)採用試験に合格し、警察庁本庁に採用されたエリート警察官(警察官僚)のことを言う。幹部候補である。
国家公務員総合職(国総)は東大法学部を卒業した者でも合格するのが難しいと言われるほどの超難関国家試験である。また、警察官僚は例年わずか20人前後しか採用されない。
準キャリアは大学卒業程度の国家公務員一般職採用試験(旧2種)に合格して警察庁に採用された者である。中堅幹部候補である。

キャリア組や準キャリアは、都道府県警察に採用され巡査からスタートする他の警察官(ノンキャリア、叩き上げ)とは明確に区別されている。

キャリア官僚(警察)の項目も参照。

出世について

当然ながらキャリア組や準キャリアは、ノンキャリアとは出世、昇進のスピードが全く異なる。例えるならば、キャリア組がジェット機、準キャリアが新幹線、ノンキャリアが在来線の各駅停車という感じである。

例えばキャリア組(警部補からスタート)は採用2年目(約1年半)、23歳(大学を浪人、留年せずに卒業した場合)で警部になる。準キャリアも20代で警部になることが可能。
一方、ノンキャリアの場合は最速でも30代(多くは40代)にならないと警部になれず、また、そもそも警部になる前に自主退職するか定年を迎える者が少なくない。逆に言えばノンキャリアで警部になれたらそこそこ優秀。

警視はキャリア組なら採用7年目(最速28歳)で昇進可能。準キャリアでも最速37歳くらいで昇進可能。
一方、ノンキャリアの場合、最速でも45歳前後(多くは50代)まで待たなければ警視になれない。というかノンキャリアなら警視までなれたらかなり優秀である。

警視正以上の階級はキャリア組のエリートだらけである。キャリア組なら余程のことがない限り、30代後半か40代で警視正になれる。
準キャリアでも他の省庁への異動や自主退職、あるいは不祥事による懲戒処分でも喰らわない限り、40代後半か50代で警視正か警視長くらいまでは行ける。
一方、ノンキャリアだと警視正や警視長まで出世できる者はきわめて稀。全く不可能とは言わないが、あまり現実的ではない。

警視監はほぼキャリア組のみがなれる階級である。逆に言えば、キャリア組なら余程のことがない限り定年前に警視監まで進むことができる。
準キャリアが警視監まで進むのはきわめて困難。かなり運が良くないと無理。
ノンキャリアが警視監まで進むのは事実上不可能である(ただし一応、ノンキャリアで警視長まで進んだ者が定年退職の日に名誉階級として警視監になるケースもある)。

警視総監は警視監の中からたった1人だけ選ばれる。

ちなみにノンキャリアであっても特定の国家資格を持っている者であれば、巡査以外の階級がスタート地点となる場合もある。
例えば、情報処理(IT)分野の難関国家試験である応用情報技術者試験の合格者は、いきなりサイバー犯罪(コンピュータネットワークに関する犯罪)対策の専門家であるサイバー犯罪捜査官の巡査部長として採用されることもある。また、もっと上位の試験(情報セキュリティ、ネットワーク、データベースの各スペシャリストなど)の合格者はいきなり警部補からスタートできる場合もある。
ただし、応用情報技術者などの資格を持っているからといって必ずしも採用されるわけではなく、他の受験者と同じように警察官採用試験を受けて合格する必要がある。

特別司法警察職員

警察庁、警視庁及び道府県警以外にも警察官はいる。それが特別司法警察職員。普通の警察官では対処しきれない特殊な犯罪の捜査などを担当し、おとり捜査が認められている。
有名所で言えば厚労省管轄の麻薬取締官や都道府県の麻薬取締員、俗にいう麻薬Gメンが特別司法警察職員である。
また刑務所の刑務官も特別司法警察職員であるし、民間人でも船の船長や機関長、通信長、事務長が特別司法警察職員に含まれる。

また廃止されてしまったが、国鉄職員の中にも特別司法警察職員が居た。ドラマやラノベにもなった鉄道公安職員も特別司法警察職員だった。

能力

総じて優秀であると思ってよく、日本の治安の良さは警察が担っていると言っていいだろう。
殺人など重大事件の検挙率は90%を超えたまま推移している。近時は100%近いことも。
アメリカの殺人検挙率が60%台でしかないことを考えれば、先進諸国の中でもいかに優秀かが分かるだろう。

  • 「民事不介入を盾に被害者の必死の訴えを門前払いし続け、結果被害者が殺害されてしまった」
  • 「重大な冤罪事件を引き起こし、しかもその原因に警察の悪意ある捏造が強く疑われる」
と言ったとんでもないケースもある。
そうした事件が報じられる度に社会から警察に強い不信が抱かれることもある。
もちろん、こうした事態の発生において警察が強く非難されるのは当然であろう。

しかし、世界的にみれば
  • 警察官がそこらの市民を捕まえて犯罪の疑いをかけ、賄賂を平気で要求する。処罰されるか否かは本人が賄賂を払えるかどうか次第。
  • 犯人が分かっていても、警察が違法組織に実力で勝てないので検挙できない。
  • 人種差別や法令無視など、法令よりも自分たちの正義感のみを押し通す警察官ばかり。
といったような、「悪の手先が合法的な権力を得てしまったのが警察」「警察が警察として全く機能していない」レベルの国さえ、世界には決して珍しくない。

乱暴な言い方にはなるが、「たかだか数件の冤罪でショックを受けて大騒ぎできるレベルで日本の警察は優秀かつ信頼されている」と言う視点も必要だろう。



ピーポくん「みんな、怪しい項目には追記・修正しちゃいけないよ」

子ども達「はーい!」

おまえら「お前がいうn(ry)」


ピーポくん「あ、因みに民事不介入なんでw」
















しかし警察は治安維持の為に存在する組織、有事・緊急の際はちゃんと警察を頼りましょう

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最終更新:2024年04月26日 10:06

*1 県庁所在地や政令指定都市、中核市などの大規模警察署では1つ上の警視正が署長クラスとなる。