零時迷子

登録日:2009/05/29(金) 01:31:06
更新日:2023/01/16 Mon 19:47:00
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灼眼のシャナ』に登場する不思議物体『宝具』の一つ。
二人の主人公のうちの一人、坂井悠二に宿っている他、様々な思惑が絡んでいるため、物語上重要なアイテムでもある。

【能力】

能力は宿主の存在の力(この世に存在するために必要な根源的エネルギー)を時の中に括りつけ、
毎晩零時に一日のうちの最大だった時にまで、宿主の存在の力を回帰させる。
要は一日という単位で力や肉体(意志は戻らない)をループさせるというもの。
この効果により、宿主は不死というわけではないが不老となる。
『零時迷子』という名称も、「時を『零時』で『迷子』にする」ということが由来。

大雑把に言えば、一種の永久機関。
零時から次の日の零時までの24時間の間に宿主が死亡したり、力を使い果たして消滅しなければ、
零時きっかりに、前の日の零時からの一日のうちに消費した力を回復できる。
また、同時に身体の傷も回復するため、零時まで生きていれば治って復活する自動回復装置と言えなくも無い。

なので、トーチが宿せば“存在の力”の摩耗による消滅という運命がなくなることになる。
そのため、特に「“零時迷子”の“ミステス”」と呼ばれることも。

能力こそ時空に関する特異なもので、宝具の中でもレア中のレアだが、
一方で24時間ごとに一瞬だけという回復スパンは戦いにおいては長すぎてあまり役に立たず、
力の回復自体も人間を力に変換する手間が省けるというだけで、絶対的な戦力差を動かせるものではない。

そのため、基本的には「あると便利だが、リスクを犯してまで奪取に執着される宝具ではない」
「そうまでして欲しがるとすればコレクターぐらいのもの」という認識が一般的。

【由来】

宝具は異世界人・紅世の徒(ぐぜのともがら)と、この世の人間の願いが共有された時に、両者が共に望む願いを具現化して生まれる。
この宝具の場合、“紅世の王”の一人である“彩飄”フィレスと、その恋人である人間の少年・ヨーハンの「ずっと一緒にいたい」という願いを核に、名前通り時計塔の部品を素材に生まれた。
この時、ヨーハンの存在そのものを入れ込む形で生成された節がある。

かくして誕生したのが、世にも不思議な“王”と“ミステス”のカップル、通称“約束の二人(エンゲージ・リンク)”である。
本来“徒”は、“王”と言えども人間の“存在の力”を食らわなければこの世には留まれないのだが、フィレスの場合ヨーハンから“存在の力”の供給を受けることでその必要がなくなり、また二人の欲望というべきものが「一緒にいる」という一点に集約されているため積極的にこの世に干渉することもない。

加えて、ヨーハンもフィレスも強力かつ精密な自在法を文字通り手足のように操る腕利きの自在師であり、逃げる手段にも長けていたため、“零時迷子”はますます放置される結果となった。
強大極まる“王”クラス二人を相手にしてまで手に入れるのが、24時間に1度の回復では割に合わないどころではない。

そんなわけで、作られてから数百年ほどはヨーハンに宿っていたが、仮装舞踏会(バル・マスケ)がこれに目を付けた。
盟主“祭礼の蛇”を復活させ、その意のままに新たな世界を創造出来るよう計らう、という「大命」の遂行にあたり、盟主が使う膨大な“存在の力”を確保するためにこの宝具を欲したのである(当初の計画ではこれを「暴君」にセットする予定だった)。

本編開始直前、依頼を受けたサブラクの襲撃でヨーハンは致命傷を負わされてしまい、緊急避難として自身を“零時迷子”に一時的に封印した上で無作為転移が行われた。
そしてこの直後、全くの偶然からトーチになった坂井悠二に偶然転移していた。
その過程で、転移する直前、フィレスによって宝具を守る防御の術「戒禁(かいきん)」が施されている。
しかし、転移する原因となった致命傷の一撃の際にマーカーを兼ねた「大命詩篇」を打ち込まれ侵食されたことで、施された「戒禁」や封じられたヨーハン、さらには零時迷子そのものも大きく変異させられている。
このためヨーハンは自力での復活は不可能となった挙句、改変の影響で存在の維持も出来なくなっていた。

そんなわけで、この宝具を巡り御崎市で何度も討ち手と“徒”の対決が繰り広げられたが、最終的には悠二が[仮装舞踏会]側に離反したことで争奪戦はひとまず終結した。


物語上非常に重要な宝具だが、アニメ版では設定が変更されている。
まぁメインキャラの設定だろうとガンガン変更しまくるアニメ版では良くあることである。


【本質】

その機能の本質とは「劣化と消耗の否定」。
巡り還る永遠の象徴物である時計に、これを行わせることで存在を回復させていた。
劣化と消耗の充填に当てられる力は、“徒”が乱し歪ませた世界が生む、反発力・復元力と共振・連動することで得ていた。

長期解析でこれを探り当てた教授は、その「復元力」へ“零時迷子”がアクセスする午前零時のタイミングで、全てのリミッターを外し、盟主がこの世の歪みの全てを己の力として扱える自在式を組んでいた。
これにより大命は“徒”と討ち手、双方の望みを入れ込む形で「無可有鏡」が創造される、という形で達成。

無茶な使い方をしたことで“零時迷子”は機能がガタガタになり、最終的に悠二が“アズュール”に刻まれていた「転生の自在式(をリャナンシーが少し弄った式)」により、新たな一個の存在となったことで完全に停止した。

なお、前の持ち主であるヨーハンは、決戦の最中に自ら抜け出しただのトーチとして一時的に復活。
その後、フィレスと共に自らの存在を変換し、「両界の嗣子」ユストゥスを生み出してで消滅している。


追記・修正は毎晩零時によろしくお願いします。

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最終更新:2023年01月16日 19:47