機関銃

登録日 :2010/11/16(火) 23:53:27
更新日 : 2016/09/30 Fri 23:34:06
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機関銃とは基本的にフルオート射撃を前提に運用される銃器の総称である。

強力な弾丸を連続して発射するため、耐久性を最重要視して設計される。
さらに精度と軽量化は考慮されていないため、安定させるための二脚や三脚は必須である。

しかしそれらを犠牲にした分、大変強力な火器となっており、小銃とは比べ物にならない射程と威力。
そして連射力を誇る「戦場の悪魔」として君臨している。


主な運用方法は
  • ひたすらに弾をばらまき敵を一掃する
  • 連射し続け敵の移動や反撃を力ずくで抑えつける
  • 数人の兵士で大部隊の足どめや掃討をおこなえる
  • 味方が進軍するときや、リロードの際に援護射撃をする
  • 敵の上陸や進行から陣地を守るかなめとなる

など軍隊には必要不可欠なものである。


第一次世界大戦の頃に登場し死体の山を築きあげ、これによって塹壕戦、更には戦車が生まれることになった。

一口に機関銃といってもさまざまな種類がある。
  • 重機関銃(HMG)
  • 軽機関銃(LMG)
  • 汎用機関銃(GPMG)
  • 分隊支援火器(SAW)
  • 短機関銃(SMG)
  • 個人防衛火器(PDW)
  • 機関砲

この項目ではこれらを簡単に説明する。

□重機関銃
三脚や銃架を使って陣地に固定して運用する機関銃で、最初に登場したタイプ。
大変重いので数人がかりでしか運べず、射手・装弾手・銃身交換手のメンバーが必要。
昔は水冷式が主流だったが、戦場で水を確保するのが難しいため現在は空冷式が主流となっている。

主に陣地などの防御に使用される。
航空機銃や車載機銃に転用・発展した物も見られる。

また口径12.7mm以上の重機関銃は射程を生かして1.5~2km先から一方的に射撃を加えたりすることもできる。

これはフォークランド紛争で実際に使われた方法で、アルゼンチン軍が塹壕の中からブローニングM2に望遠鏡のような大きさのスコープを付け、
7.62mmのライフルしか装備していなかったイギリス軍を狙撃し始めたのである。
これにはイギリス軍も呆然自失。
相手は2km先から遮蔽物ごと狙撃してくるが、自分たちの銃はせいぜい600m先を狙うのが限度だったからである。
結局イギリス軍は相手を塹壕ごと、非常に高価な対戦車ミサイルで陣地ごと吹き飛ばす戦法しかとれなかった。
この戦訓から対陣地ロケット弾とアンチマテリアルライフルが開発された。
ただし重機関銃による狙撃は朝鮮戦争やベトナム戦争でも行われており、フォークランド紛争が初の実例という訳ではない。

有名な銃器
イギリス:マキシム、ベサ
アメリカ:M1919、ブローニングM2
フランス:ホッチキス(オチキス)
オーストリア:シュワルツローゼ
ソ連:DShK38
日本:九二式重機関銃

□軽機関銃
二脚を使って運用する機関銃で、第一次世界大戦に登場した。
射手・装弾手で構成される。
汎用機関銃や分隊支援火器に繋がる系譜で、現在はほぼ姿を消している。

重機関銃は強力だが、簡単に運べないために開発された。
射撃精度や持続継続能力を代償に軽量化している。
歩兵とともに進軍し援護するのが目的。
主に攻撃用。

有名な銃器
イギリス:ルイス、ブレン
チェコ:ZB26
デンマーク:マドセン
日本:九六式軽機関銃、九九式軽機関銃

□汎用機関銃
第一次世界大戦と第二次世界大戦の戦間期に登場した。
軽機関銃から発展したタイプで、口径は8mm以下が多い。
一部は分隊支援火器と重複している。

ベルト給弾やアサルトライフルの弾倉の使用などさまざまな給弾方式に対応していることが多い。
状況に応じてパーツを交換し、陣地防衛の際は重機関銃として三脚などで固定する。

さらに軍用車両や軍用ヘリに搭載したり、対空銃架を装備すれば空にも対応と汎用の名に恥じない働きをする。
対人は分隊支援火器、対物・対空は大口径重機関銃にとって代わられつつあるが、両者の中間的な性能であり今も生き残っている。

有名な銃器
ドイツ:MG34、MG42、MG3
ベルギー:FN MAG
アメリカ:M60
フランス:AA-52
ソ連:PK
日本:62式7.62mm機関銃

□分隊支援火器
第二次世界大戦後に登場したタイプで、現代における軽機関銃的な存在。
汎用性に劣るものの更なる軽量化が図られていて、基本的に一人で運用する。
歩兵の主力火器と使用弾薬を共通化することで弾の補給を円滑にすることができる。
アサルトライフルから発展したモデルもあり、制圧力よりも射撃精度を重視する物もある。

分隊の火力を簡単に上げることができ、部隊とともに素早い行動がとれる攻撃用の機関銃である。
戦闘の際はまず火力で敵を面制圧し、味方の援護をつとめる。

有名な銃器
アメリカ:M1918ブラウニング自動小銃(※先駆者的存在で、分類上は自動小銃)、M27 IAR(分隊支援火器だが、分類上は自動小銃)
ソ連:RPKシリーズ(アサルトライフルベース)
ベルギー:M249 MINIMI軽機関銃(汎用機関銃ベース)

短機関銃
第一次世界大戦中に取り回しの良い機関銃が求められて開発されたタイプ。
初活力の低い拳銃弾を使用した事で個人携行を可能にしている。
一部は個人防衛火器と重複しており、拳銃弾を使用しない物も有る。
かつては塹壕戦や運動戦などで重宝されたが、アサルトライフルが主流となった現在は治安維持用途が多い。
発祥の地ドイツでの名称「Maschinenpistole(機関拳銃)」からもわかるよう、本来は拳銃の延長上の武器である。

有名な銃器
ドイツ:MP18、MP40、H&K MP5
アメリカ:トンプソン、M3(グリースガン)
イギリス:ステンガン
ソ連:PPSh-41
チェコ:Vz61
イスラエル:UZI

個人防衛火器
冷戦終結前後に登場した新しいタイプで、CQB(近接戦闘)に向いている。
防弾チョッキの普及により拳銃弾では威力面で不足が生じた事から登場した。
短機関銃と同様に治安維持や特殊部隊での運用が目立つ。

有名な銃器
アメリカ:M1カービン(※先駆者的存在で、分類上は自動小銃)
ベルギー:FN P90
ドイツ:H&K MP7

□機関砲
「砲」というだけあって20~40mm程度の大口径であるが、基本構造は他の機関銃と大差無い。
また、「銃」と「砲」の区分は曖昧で各組織によって定義が異なり、同一銃が別分類になることもある。
一般には大型のため据付けで車載・機載・艦載されており、対人対車両、対空に用いられる。
発射速度が特に求められる場合はガトリング形式を取る場合が多い。


なお上記の銃器たちはベルト給弾が基本である。
これは「メタル・リンク」という金属の輪っかで弾と弾を繋ぎ合わせたもので、
それを絡まないように折りたたんで弾薬箱に入れ、最初のスタータータブを銃に挟みこんで使用する。
これで頻繁なリロードをせずに撃ちまくることができ、機関銃の強みである継続的な連射が可能となる。
その連射を支えるために機関銃は通常のライフルの銃身よりも肉厚で丈夫なヘビーバレルを採用しており、銃身の耐熱限界を長くしている。
だがそれでも限界はすぐきて銃身が傷んでしまうため、ワンタッチで銃身を交換できるようになっている。
交換目安は200発から多くて500発ほど。
一般的に予備の銃身を何本か持ち運び、それが冷えるまでローテーションして使いまわしている。
これらが揃って初めて数百発単位での連射が可能となると言っても過言ではない。

なお日本では突撃銃(アサルトライフル)や短機関銃(サブマシンガン)など、連射できるものは全て機関銃(マシンガン)と表現される傾向にある。
しかし全ての銃はそれぞれ違ったコンセプトの元に開発され、現場と開発者の努力の結晶とも言えるものである。
どうかそのことを時々で良いので思い出して欲しい。
そして全てマシンガンと一言で済ませないで欲しい。


追記・修正お願いします。

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