TAS

登録日:2011/11/14(月) 09:19:47
更新日:2024/01/05 Fri 00:39:06
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TAS(タス)とは、世界的に有名なゲームプレイヤーのこと。
ファンからはTASさんの愛称で親しまれている。
有名といっても格ゲーのような対人戦の舞台に上がることはなく、もっぱら動画の投稿によるスーパープレイやスピードランを話題の中心にする。
活動を始めたのは少なくとも2000年代で、現在も活動を続けている。
扱うゲームは様々で、アクションゲームやシューティング、果てはRPGまでをプレイしている。
後述の理由から、最新のゲームはプレイしていない。最近ようやく3DSに手を出したとかなんとか。

インターネットを活動の拠点にしている為、本名や素顔、果ては年齢や性別等いっさいの素性が不明である。
コメントらしきものも発したことがないので、どのような人物像なのかすら不明。
ただ、プレイするゲームが英語版ROMのものが多い為、アメリカ人ではないかと推測されており、
またそのハンドルネームからタスマニア出身(もしくは在住)ではないかと言われている。
視聴者からは「TASさんは金髪幼女」とネタにされることも多い。


そして特徴的なのがそのプレイスタイルで、まるでそのゲームを極めたような、おおよそ常人には真似できないようなスーパープレイを繰り広げる。
具体的にはスーパーマリオを分単位でクリアしたりとか…
最近ではスーパーマリオ64の5分切りを達成している。これには世界中が大いに沸いた。*1
16連射は余裕で再現出来る。それどころか60連射もお手の物。*2

運要素が絡むものはほぼ常に最善のものを引き当てるため強運も持ち主に見えるが、乱数調整の賜物である。
CPUの思考ルーチンを誘導するのもお手の物であり、ゲームの仕様の隅々まで知り尽くしている。
通称「(この行動を)します、(自分に有益な行動をNPCに)させます、(NPCの有害な行動は)させません」

そのあまりの手腕からチート呼ばわりされることもあるが、彼のプレイが実機で可能なことは証明されている(ただ、バグ等は利用することがある)。
これに対しては「TASさんにチートは褒め言葉」と返してやろう。

最新のゲームをプレイしないのは、一つのゲームを極めるのに時間をかけている為、最新のゲーム機に慣れるだけで10年近くかかる、金欠等と言われている。

また、「TASさんの休日」とも呼ばれるシリーズ群がある。こちらはスピードランではなく、その豪運とプレイスタイルを活用してスコアカンストやNPCフルボッコをしている。主にプレイされるのはマリオパーティやいただきストリートなどのボードゲーム、カービィやマリオ64DSのサブゲームなど。

そのスーパープレイの虜になった者は数知れず、現在では彼(?)の成した軌跡をまとめたサイトすら存在している。興味がある人は一度見てみよう。


追記・修正お願いします。































   *   *
 *   + うそです
  n ∧_∧ n
  (ヨ(*´∀`)E)
  Y   Y  *



TASさんの正体はTool-Assisted-Superplay(Speedrun)。
その名の通り、何らかのツールによる補助を受けてのスーパープレイ、もしくはスピードランである。現実の人間ではない。
詳細を知らずに動画からTASさんのことを知ると勘違いしやすいので注意しよう。


具体的に言うと、エミュレータと呼ばれるモノでフレーム単位でのコントローラ入力の編集(「追記」と呼ばれる)を可能とし、そこからトライ&エラーを繰り返していきながら最適なプレイを探していくこと。
分かりやすく言うと、パラパラマンガを書く形に似ているだろうか。
最適なルートの構築のためには内部データの閲覧やゲームROMの解析による乱数調整がよく行われる。

前述の最新ゲームにTAS動画が無いのもその為で、最新ハードにエミュレータが対応していない為。
令和になってやっと3DSのTAS動画が挙がり始めた。

パラパラマンガに例えたように、作る側の労力は凄まじく、たかだか十数分の動画に何万、何十万という追記がされているなんてことはザラにある。
まさに湖の白鳥。

しかしそれだけの労力を使って作られた動画はまさに芸術の域で、見るものを興奮と爆笑の渦に巻き込む。
難所、難敵でさえ軽々越して見せるのでトラウマブレイカーでもある。
あまりに簡単にやってみせるため自分でも出来そうに見えてしまうが自分でやるとやっぱりうまくいかない。
どれだけすごいかはやはり実際に見てみるべきだろう。言葉では説明し辛い。
そしてゲームがスタッフロールに突入すると「エンディングだぞ、泣けよ」「長く苦しい戦いだった…(最初に使われたゲームではわずか「23秒弱」、長くても3〜4時間程度しか経っていない。略してNKT)」などとコメント欄で間違いなく言われる。
その後「クリアとはEndを出せばOK」という解釈で、バグを駆使してEndだけ出すというTASも登場。
「エンディングだぞ、泣けよ」は「本編は無いぞ、泣けよ」まで進化した。
なおこのようなEnd表記だけ出すランは普通にクリアするのとは別部門集計になっていることが一般的なのでご安心を。

また、エミュレータと実ソフトと吸い出し機さえあれば誰でもTAS動画は作れるので、興味を持った人はTASさんデビューしてみるのもいいかもしれない。

類義語にTAPがあるが、これはTool-Assisted-Play(Performance)の略で、スーパープレイの方のTASと同じ意味。
スピードランの方のTASと区別する為に用いられることがある。
ただしこれは国内某笑顔サイトで発生した呼称で、海外では区別の必要性を特に認められていない(タイトルでそれがSuperplayかSpeedrunか把握できるため)。
最速のみをTASと呼ぶと思っている人もいたりして論争の種になりやすい。
そのため、最近では「TASさんの休日」などの表現で意図的にTAPという呼称を排除する方向性も見受けられる。

また、RTAという言葉があるが、これはリアルタイムアタック(Real Time Attack)の略。
エミュレータは使わず*3、生身の人間が最速プレイを行うことである。
RTAなのに変態挙動だったりオブジェクト生成とか始めると「人力TAS」と呼ばれるが実機でなくても作っているのは人力なのでいささかおかしい気がしなくもない。
最近はTAS製作者が同じ手法でRTAをこなしたり、RTAプレイヤーにコツを教える場合がある。
一方で、RTAを基にTASの構築を行うことはあり、ごくごく稀だがRTAがTASを超えてしまうこともある。
マリオパーティなどのミニゲームもののスコアアタック系、タイムアタック系ミニゲームで公式記録に勝てないこともしばしば。
ちなみにTASの記録は「電源On→最終入力」だが、RTAの記録は「オプション設定や名前入力を終わらせてゲームが本格的にスタート→操作不能になるまで」のタイムとなる。
皆さんおなじみの悪魔城30で例えると、TASの場合「電源On→キシン流奥義!」だが、RTAの場合は「MAXIMと入れて決定ボタンを押す→最後の赤い玉を取るまで」なので、純粋なタイム比較は映像を直接比較するしかなかったりする。

スピードランの方のTASにはどんな条件での最速を競うかで分類があり、ほとんどのゲームで共通して存在するレギュレーションとしては、次の3種類が挙げられる。

  • 100%
全アイテム取得・ステータスMax・マップ全踏破など、収集可能な要素を全て獲得した上でクリアするやりこみ派TAS。多くの場合、この3つの中で最も時間の掛かるレギュレーションである。

  • any%
any、すなわちパーセンテージが何%でも構わない。アイテムを取ろうが取るまいが、とにかくクリア時間を最少化する。何でもありのバーリトゥード。
定義より、この3つの中で最もクリア時間が短い。バグも有効な為、とんでもない速さでクリアが可能な場合も。
スーパーマリオ64のスター0枚TASは有名。

  • low%
low、すなわち最低を目指す。アイテムなど収集要素を可能な限り取得せずにクリアする、100%の反対のプレイ。しばしば最低ステータスで強大な敵を倒す苦労がある。また、普通にプレイしては「取ってしまう」アイテムを避けて進むために多大な労力を掛ける場合がよくあり、このレギュレーションの見どころの1つ。ゲームによっては100%よりも長時間掛かる場合すらある。
このレギュレーションの特殊な点は、クリア時間を短縮するのみでなく、取得要素数を減らす方向での記録更新がありうることである。例えば世界記録が取得アイテム4個で10分だったとして、取得アイテムを3個に減らせばたとえクリアに1時間掛けても世界記録更新となる。

この3種類の他にもゲームごとに有用なアイテムやバグ、コマンドなどの縛りを設けてクリアするレギュレーションが多数作られている。これらのレギュレーションにはしばしばパーセンテージでないものにも「○○%」の名がつけられる。
特に要注意なのがGlitchedと呼ばれるサブカテゴリ。
これはゲームグリッチ(裏技)使用の意味。裏技と言ってもany%のケツワープなどはこれに当たらない。
何が裏技なのかというとバグによるエンディング呼び出しで「End」かそれに準ずる表示を出すことが出来ればそれが記録。
エンディングの途中でフリーズしてしまうなんてのは記録にならない。
グリッチ使用というよりかは「ラスボスを倒さない」部門と言ったほうが正しいかもしれない。

ゲームの「クリア」の定義はゲームごとに様々で、エンディングの存在するものはそこまでの時間を競うことが一般的だが、そうでないものは例えばカンストなりステージのループなりを目指す。完全クリアまでに長時間掛かるゲームでは途中のキリの良い地点までの到達を目指すレギュレーションが設けられることもある。

◆TASの正当性について
上の方でも述べたが、TASはその特異性からチート、つまりズル呼ばわりされることがある。
しかし、先ほども述べたようにTASに可能なのはコマンドの追記と乱数調整であり、ゲームの仕様を逸脱した行為は行えない。
実機で可能なことを極限まで追求しているだけである。
ただし、1フレーム単位の入力等がしばしばある点、しばしば内部データを見ることが必要になる点から、実際に人がプレイすることは不可能な場合もあり、こういった人間には不可能なプレイという意味ではチートと呼べなくもないところではある。
ただまぁ、近年ではRTA勢の研究と研鑽により人力では到底不可能と思われていた1フレーム技やシステム介入系の技が好タイムの前提になった例も数多く出てきているので、
(もちろん全てではないが)逆説的に「(TASプレイは)理論上実機でも可能」の合言葉に説得力と真実味が増してきた……のかもしない。
また、人間の能力の限界に挑むRTAと違い好きなように入力を編集できるのは楽をしている(=ズル)と捉えられる場合もあるが、パラパラ漫画の例で述べたように万単位の追記を繰り返すのは別方向の苦労が必要となる。鍛錬を積んだ人間による血の通ったプレイが生み出すドラマ、不確実性を排除し理論上最高のプレイを構築する緻密な計算、それぞれに別の尊さがある。

また、解析・プレイに使用するROMデータが違法に入手されたものでなければ犯罪行為でもない。
ただ、このような意見の違いは往々にしてある為、『TASはこういうもの』と割り切った方がいい。





追記・修正は、チート無しでお願いします。

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最終更新:2024年01月05日 00:39

*1 マリオ64の5分切りは困難で、「5分の壁」とも呼ばれていた

*2 フレームレートが60fpsのゲームの場合であり、つまりはフレーム単位での連打が可能という事である

*3 ソフトによってはエミュレータ頼りになることもある。その場合はTASの受けられる恩恵を一切受けずに実機とほぼ同じ条件になる。