パメラ・ボーヒーズ(13日の金曜日)

登録日:2012/04/13 (金) 08:40:52
更新日:2023/11/08 Wed 08:29:17
所要時間:約 4 分で読めます




パメラ・ボーヒーズとはホラー映画「13日の金曜日」第一作目の登場人物。
フルネームは
パメラ・スー・ボーヒーズ(Mrs. Pamela Sue Voorhees)
作中では「Mrs. Voorhees=ボーヒーズ夫人」と名乗る(なぜか日本語版ではボリーズ夫人と訳されている*1)。

物語も終盤に入ったところで、若者たちが次々と殺され、気付けばアリスが最後の一人になっていたキャンプ・クリスタルレイクに車で乗り付けた中年の婦人(49歳)。
白人で、パーマの金髪。かつての職業はコックで、キャンプ・クリスタルレイクのダイナーに勤務していた。
オレンジを基調としたチェック柄のシャツの上に水色のセーターを羽織り(因みに作中の季節は夏)、黒いズボンを履いている。
落ち着いた態度で惨劇にパニクるアリスを助け出した。



以下ネタバレ























実は惨劇の実行犯。
そして、ジェイソン・ボーヒーズのお母さんである。

◆経歴
1930年生まれ。
14歳前後の少女時代に素性が不明な男にレイプされて子を孕む。
産まれた子は先天的に頭部が奇形であったが、パメラは息子を気味悪がったりせず、むしろその境遇への同情もあって惜しみない愛情を注いでいた。
後述する事故でジェイソンが行方不明になるまでは良き母親であったが、その事故が起こってしまったことが、愛情深い母親を殺人鬼へと変貌させてしまった。

パメラはコックとしてキャンプ・クリスタルレイクに勤めており、
仕事中はジェイソンの面倒を見てもらう約束をカウンセラーと約束し、後述の事故当日もカウンセラー達を信頼してジェイソンを預けていたが、
ジェイソンの11歳の誕生日である1955年6月13日、ジェイソンが同級生のいじめによって湖に放り込まれ行方不明となってしまう事件が起きてしまう。
その際に居合わせたキャンプ・カウンセラー達はセックスに夢中でジェイソンの助けを求める声に気付かず、またパメラ自身も仕事が忙しく気付かなかった。
この事件は警察により「ジェイソンが一人でボートを出して溺れた」ということで処理され、カウンセラー達やジェイソンの同級生達は罪を負うことはなかった。

愛する一人息子を理不尽にも奪われたパメラは精神を病み、夫のエリアスはそんなパメラの下から去って行ってしまった…

一方、パメラの半生を描いた海外コミック『PAMELA'S TALE』では、心に傷を負いながらも出産した子供にジェイソンと名付けて*2
半ば依存する形で溺愛し、自分と息子を守ってもらおうとエリアスという男と結婚するが、エリアスは暴力的であったため、
ジェイソンが奇形の顔だったことも手伝ってか、まだ言葉も満足に話せないジェイソンや妻のパメラを虐待していた。
そんな状況下でパメラは徐々に精神に異常をきたして息子の人格と本来の人格をもつ二重人格となり、
息子の人格の「Kill him mommy=彼を殺してママ」という願いを叶える形で夫を殺害し、遺体をクリスタルレイクに遺棄した。

その後、パメラはコックとしてキャンプ・クリスタルレイクに勤め始め、仕事中はジェイソンをカウンセラーたちに預けていたが、
ある日、カウンセラーたちの性行為を覗き見たジェイソンが彼らに掴み掛かるも返り討ちにされ、
彼らから逃げる途中にジェイソンはクリスタルレイクに自ら飛び込み、行方不明となってしまう。
愛する息子を奪われたパメラは、夫の時と同様に殺人に手を染めるのであった。

ゲーム「フライデー・ザ・13th:ザ・ゲーム」に登場する「パメラのテープ」ではこの事件からまもなくジェイソンの捜索を諦めた警察に怒り狂う様子や、
エリアスを殺害したことをさらっと告白しながらも、当時のクリスタルレイク保安警察署長だったトムが無能だったために虚言とみなされスルーされる様子が描写される。
また、後に息子のジェイソンを殺すこととなる男・トミーの父親であるジャーヴィス医師と出会っていたことが明かされる。

その後、心の拠り所を失った彼女は「キャンプ場を閉鎖させて他の子供達を同じ悲劇から守る」という独善的な妄執にとり憑かれ、キャンプ場を閉鎖に追い込むべく暗躍を始める。
まず手始めに、ジェイソンが死ぬ原因を作った張本人であるキャンプ・カウンセラーのうち二人を殺害*3し、
その後もキャビンの放火や湖の水質汚染等を行った結果、キャンプ場は閉鎖され彼女の悲願は叶ったのだが………。

しかし本編である1979年6月13日金曜日、キャンプ・クリスタルレイクの管理責任者であるスティーブ・クリスティが、
再びクリスタルレイクをキャンプ場として復興しようとカウンセラー候補生を大勢連れてやって来たのを知った彼女は、再び殺人に手を染める。

と、このように、第一作や『PAMELA'S TALE』で実際にカウンセラーたちを殺害したのはパメラであるのだが、
優しい母親であった彼女を冷酷な殺人鬼へと変貌させたのはジェイソンをいじめた子供たちとそれに気づかなかった職員の怠慢であり、
そういう意味では、彼らこそが13日の金曜日シリーズにおける事実上の元凶と言える。

なお、本作で度々挿入される「キ、キ、キ、マ、マ、マ…」というBGMは「Kill mammy=殺してママ」という意味であり、
精神を病んだパメラがその身に作り出したジェイソンの人格が、彼女に殺人を促している声である。
このBGMが鳴っているシーンでは必ず近くにパメラが潜んでいる。

あのジェイソンの母親だけあってなかなかの怪力の持ち主で、上記の通り49歳だというのにアックスを顔面に深々と突き立てたり、
自分と体格が大差ない相手をテーブルが壊れるほど強く突き飛ばしたり、人間の遺体をガラス窓を突き破るほどの勢いで投げ飛ばしたり、
映画「シャイニング」のジャックの如くドアを斧より軽いマチェーテで叩き壊す等の荒業をやってのけていた。

また、忍者や某蛇を彷彿させる隠密行動が可能で、どの被害者も殺される寸前まで殺人鬼の存在に気付かなかった上に、
惨劇の唯一の生存者となったアリス・ハーディーも最後の一人になってようやく殺人事件が現在進行形で起こっていることに気付いたほどである。

使用した凶器は主に腰に提げた鞘に収納しているナイフ。セーターを着ているため普段は隠れている。
また、アリスとの追跡劇と最後の死闘では後に息子が多用するマチェーテを使用した。
他にもアーチェリーの矢やアックスも使用した。

そして、1979年6月13日の夜、アリス以外の全てのカウンセラー候補生とスティーブを殺害すると、最後の一人となったアリスを殺そうと襲いかかるが抵抗される。
桟橋にてアリスと死闘を繰り広げ、オールで殴ったりと追い詰めるが、皮肉にも自分で持ってきたマチェーテで首を切断され、絶命する。
実は生き延びて森のなかで暮らしていたジェイソンはこの光景を目撃しており、自身と母親の復讐のため、そして「キャンプ場を閉鎖したままにしておく」という母親の意思を継ぐため、殺人を行うようになる。


因みに、アリスを含むカウンセラー候補生達はジェイソンの死について、全く責任がない上に、DQNの集団という訳でもなく、仕事をサボらず行うなど、比較的真面目な連中である。
まあ、マリファナ吸ったりセックスはしたけど、休憩時間だし………*4



ジェイソンが殺人鬼へと至る大きな要因となった人物ではあるが、いかんせんジェイソンの印象が強いために息子ほどの知名度は無い。
その後の作品でも「母親」ぐらいにしか呼ばれておらず、しかも一作目の日本語字幕でポリーズ婦人と邦訳されている始末。

あの「スクリーム 」でも半ばネタにされ、殺人鬼ゴーストフェイスが標的に「13日の金曜日の犯人は誰だ?」と問題を出すシーンがある。
パニクっていたとは言え、標的は間髪入れず「ジェイソン」と答えてしまった。
まぁあの状況では……


彼女の命は一作目で失われたが、その後の作品にも度々登場している。

PART2
序盤と終盤にミイラ化した彼女の生首が登場。
序盤では前作の生存者アリスの家の冷蔵庫の中に、ジェイソンがアリスに見せつけるために置いていた。
終盤ではジェイソンの住処「ジェイソンハウス」に安置されていて、生首の他、当時彼女が着ていた衣類やマチェーテ、火のついた蝋燭や白骨化したアリスの死体が並べられていた。
また、最後の生存者となったジニーがパメラの振りをしてジェイソンを惑わせるシーンでは、ジェイソンの幻覚として、生前の姿で登場する。

PART3
終盤に最後の生存者となったクリス・ヒギンスが精神的に追い詰められた末に見た悪夢の中で登場する。全身が腐敗したゾンビのような姿で現れ、クリスを湖に引きずり込んだ。
言うまでもないがこれは一作目のラストでジェイソンがアリスを湖に引きずり込んだシーンのオマージュである。

完結編
墓石が登場する。1930~1979と、生没年が刻まれている。初めてファーストネームがパメラであることが明らかになる。

フレディVSジェイソン
フレディ・クルーガーが変身した偽物が登場。ジェイソンがエルム街へ行くように仕向けた。
ちなみにノベライズ版だとジェイソンも彼女が本物かどうか怪訝しているが、
「自分も何度も死んだり生き返ったりを繰り返してるから、母さんも生き返ってもおかしくないか」みたいな感じで納得している。

リメイク
1~3までを組み合わせて再構成したリブート作品であるため冒頭のみの登場。
惨劇を起こしたのが1980年に変更されている他、ジェイソンの年齢もこの時点で10歳前後となっている(旧シリーズでは1979年時点で35歳である)。
最後に生き延びたカウンセラーの女性(アリスと違い、セックスに夢中でジェイソンを助けなかった張本人の一人)にマチェーテで首を切断され死亡。使用した凶器はナイフ。

フライデー・ザ・13th:ザ・ゲーム
パート2にも登場した「ジェイソンハウス」にミイラ化した生首が原作映画同様に置かれている他、ジェイソンの幻聴として登場し、ジェイソンがカウンセラーを殺すと誉め、反撃を受けると励ます。
誰かがジェイソンハウスに侵入すると息子にチクる。
収集アイテム「パメラのテープ」では、警察による取り調べの音声記録として今まで明かされなかった映画第一作「13日の金曜日」の前日譚が描写される。


また、「ジェイソンX」ではメタルジェイソンを引き付けるためにホログラムとして登場する案があったと、オーディオコメンタリーで語られている。


13日の金曜日 ジェイソンの命日(映画)にはパメラをレイプしたジェイソンの実父の娘であるダイアナ・キンブルと彼女の娘・ジェシカが登場する。この母娘はジェイソンの妹と姪にあたる。

◆フィギュア化
サイドショウから1/6スケールでフィギュア化した他、ネカ社からも7インチのスタチューと8インチの可動式フィギュアが出ている。

◆余談
「息子と母親の人格をあわせ持つ、ナイフを持った殺人鬼」というキャラクターはノーマン・ベイツ(サイコシリーズ)と似ている。
しかし、映画一作当たりの殺害人数はパメラの方が遥かに上である(多けりゃいいってモンじゃないけど)。

また、ノーマンの母親ノーマとは息子を過剰に溺愛している点が共通しており、「息子を失ったノーマの末路」とも言えるかもしれない。


息子の願いを聞いてから追記・修正をお願いします。

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最終更新:2023年11月08日 08:29

*1 "rhee"を"リー"と読むことは不自然ではないのだが、原語版での発音はやはり"ボーヒーズ"に近い

*2 生まれる前はジョシュアと名付けるつもりだったが、生まれた子供を抱いた際に気が変わった

*3 これもパメラの心に棲む息子の人格の願いに応えた形であり、映画では夫は殺害していないため、したがってこれが彼女が犯した最初の殺人となる。

*4 上記元凶となった当時のカウンセラーは仕事中にやってるしマリファナ自体合法な所もアメリカには存在する為、特にマリファナは休憩中にタバコ吸いに行ったのとそう変わらないまである