エクスカリバー(騎士物語)

登録日:2009/05/31(日) 15:31:52
更新日:2023/02/08 Wed 15:09:30
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ここでは中世ヨーロッパの騎士物語のエクスカリバーを記述しよう。


『私の伝説は12世紀から始まった』

円卓の騎士物語で知られるアーサー王が使ったと言われる、王権を象徴する剣であり、また妖精の加護によって王を守る力をもった神秘の剣である。
その鞘には宝石の飾りがほどこされ、柄には顎から炎を吹きだす二匹のヘビが彫られていた。
この剣が鞘走る(刀身が鞘から自然に抜け出る)とき、燃え上がるようであったという。そしてアーサー王は、この剣で九百六十人もの敵を斬り倒したとされる。


《二つの剣を持っていたアーサー王》

アーサー王は、ゲルマン人がブリテン島に侵攻した五〜六世紀の人物とされる。
当時イギリスという統一国家はまだなく、そこは、西ローマ帝国の崩壊以来、ケルト人、ゲルマン人が入り乱れて争うヨーロッパの辺境だった。
そんな戦国の群雄のひとり、アーサー王はイングランドを治めるケルト人のウーサー・ペンドラゴン王の王子として生まれる。
数奇な運命より、王の側近であった魔術師マーリンによって城外に連れ出され、勇敢な少年として育った。

アーサーが成長したある日、教会に「選定の剣」なるものが置かれる。
岩に突き刺さったこの剣を抜けるものは、ブリテンの王になるというが、誰も引き抜くことができない。ところがこれをたやすく引き抜き、王の継承者となる。
アーサー王の伝承には異説が数多くあるが、このとき彼が岩から引き抜いた剣がエクスカリバーなのかといえば、そうともいえるし、またそうでないともいえる。
この選定の剣は、『カルブリヌス』と呼ばれる。アーサー王は戦いのなかで一度この剣を破損してしまう。
だが、マーリンの助言に従って剣の破片を湖に投げ入れると、「湖の乙女」と呼ばれる妖精が現れ、エクスカリバーを授けたという。
エクスカリバーという名は、「カルブリヌスから作られた物」を意味するという。

また、叙事詩『アーサー王の死』では、アーサー王が持つふた振りの剣は、それぞれクラレント(戦争)とクラリス(平和)と呼ばれる。
エクスカリバーは、強力な武器であるだけでなく、その鞘には妖精の加護によってあらゆる傷を癒す力があった。
アーサー王の剣は国と民をおびやかす敵を討つことと、平和的な統治、という王が為すべき二重の象徴を背負った剣だった。
ちなみにアーサー王の物語が現在のように確立したのは、十一世紀ごろとされる。
だが岩(あるいは鉄床)に刺さった剣や妖精の加護といったモチーフは、キリスト教普及以前の、古代ケルトや古代ゲルマン神話の多くにも登場している。


《授かった剣を返した王》
アーサー王は、盟約を結んだ円卓の騎士たちと共に、祖国イングランドの安定を目指した。
また、彼らは敬虔な信仰心と正しい騎士道精神を手に入れるため、神託によって課せられた聖杯の探求など、 数々の試練に挑んだ。
だが、義姉モルガンとの確執、親友ランスロットの裏切りなどより、アーサー王は志半ばで世を去ることになった。

最後の戦いののち、死を悟ったアーサー王はその忠実な従者サー・ペディウィアに、エクスカリバーを妖精の湖へと返すよう命じた。
しかしペディウィアは、この剣を捨てるに忍びず、木陰に隠したまま王のもとへ戻ってしまう。
だがアーサー王はペディウィアが剣を捨てなかったことを見抜き、再び同じことを命じるが、ペディウィアは再び剣を捨てないまま帰ってきてしまう。
王の怒りによって、ペディウィアはようやく湖に投げ入れると、水面から手が現れ、剣を受けとり三回振りそのまま湖水へ消えたという。

この様なアーサー王と、王者の剣エクスカリバーの伝承は、創作的に面白がられたのか今なお長く愛されている。


余談だが『ケルト人』という定義は曖昧でよそから見たものでしかなく、「ケルト語を話す」「文化が何となく似ている(後に実は全然違うことが分かったりも)」程度のくくりでしかない。
ケルト人と一括りにしても、その内訳には色々な部族が有り、時には人種まで違う。更にブリテン島は多数の民族が入り乱れていた。
そしてガリア人と呼ぶこともあれば、遺伝子的や文化的にはイベリア人との関係が深いのでは?と疑問視されたりと、アーサー王が実在していたとしても、それがどこの何人なのか分かっていない。

一応アーサー王伝説やらエクスカリバーは神話などの類ではなく、歴史書(あるいは歴史書の元となった伝承)が大本になっているのだが……
資料が少ない、というよりもアテに出来る資料がほぼ実在しておらず、エクスカリバーやアーサー王に関連した史実を調べようと思うとまず迷宮入りする。
ここらについてはブリタニア列王史を参照。


エクスカリバーは非常に知名度の高い剣であり、数多の創作物において最強の剣と位置付けられることも少なくない。
だが、より上位の武器が存在する作品も多い。というか、だいたいFFシリーズ。

尚、エクスカリバーと聞くと両刃剣を想像する人が多いと思うが、
アーサー王が居たと思われる年代のウェールズではスクラマサクス(片刃剣)が主流だったらしいので、オリジナルのモチーフがあったとすれば片刃だと思われる。
両刃のイメージが先行しているのはアーサー王関連の物語が創作された時(中世ヨーロッパ)にそちらが当時の文化的に主流だったからだろう。
片刃のエクスカリバーを持ったアーサー王の古い絵(※古いと言っても創作話を基にした絵だと思われる)も存在してはいる。


なお、アーサーの名を広めた「ブリタニア列王史」には『エクスカリバーという名前の剣』は登場しない。
この辺りの事情はカリバーンも参照。


《エクスカリバーが登場する作品》
  • アーサー王関連の創作物
  • Fate(stay night/Zero)
  • ソウルイーター
  • LORD of VERMIRIONU
  • 東京魔人学園シリーズ
  • FFシリーズ
  • ドルアーガの塔
  • イナズマイレブンGOクロノ・ストーン

尚、上記の東京魔人学園シリーズには、『エクス力リバー』と書いて[えくすちからりばー]
と読む武器が存在している。

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最終更新:2023年02月08日 15:09