サイクロプス(ガンダムSEED)

登録日:2012/02/18(土) 18:52:36
更新日:2018/05/09 Wed 11:55:31
所要時間:約 7 分で読めます






……この犠牲により、戦争が早期終結に向かわんことを切に願う…


青き清浄なる世界のために…


3…2…1…!


【概要】

サイクロプスとは、機動戦士ガンダムSEEDに登場する戦略兵器

構造としては、マイクロ波発生用装置である多数の大型パラボナアンテナを敷き詰めたもの。
原理はマイクロ波を放射し、更にはマイクロ波の強度を増加させ、周囲一帯にマイクロ波加熱を生じさせるというものである。





ぶっちゃけ巨大な電子レンジである。


【使用時の影響】

原理は単純なれど、マイクロ波を放射するため身体を水で構成された人間などの生物には脅威であり、
有効範囲内にいる生物は、体内にある水分が急激に加熱・沸騰させられる。
更に水蒸気が全身の皮膚を突き破って爆発し、北斗神拳を食らったモヒカンのごとく体が破裂し死に至る。
この描写はかなりグロイため、トラウマになった人も多い。

また、加熱する水が無くてもある程度は加熱され大気中水蒸気の輻射熱も発生する。
そのため搭載している燃料や弾薬が加熱されることで、誘爆してMSや戦艦をはじめとした兵器群や軍施設なども破壊することが可能。
ついでに発生してるのが強烈な電磁波なので中のコンピューターなんかもあっさりやられる。

人間も死ぬし兵器やコンピューターも死ぬという寸法である。


C.E世界の地球とプラント周辺は、核分裂を抑制し電波を妨害するニュートロンジャマーに満たされているが、電波であるマイクロ波も当然これに妨害されてしまう。
しかし完全には抑えきれないため、サイクロプスの効果を狭い範囲*1にすることが出来るため限定的に使用できるようにしてしまい、しかもマイクロ波なので放射能汚染も起こらない。
比較的クリーンで使いやすい自爆システムとして使用される事となったのである。


【使用条件と配備】

あまりの効果のため、起動には司令官クラスの将校二人が、同時にキーを差し込む必要がある。

本来はレアメタルの混ざった氷を融解させるための装置で月面のエンデュミオン・クレーターに設置されていたが、
グリマルディ戦線の敗色が濃厚になった時に地球連合軍がレアメタル採掘施設がザフトに渡らないように、暴走自爆させたのが発端である。
この結果大損害を出したザフトは月から撤退した。
戦闘含めて敵味方共に死者多数であり、数少ない生き残りの一人が後の「エンデュミオンの鷹」ことムウ・ラ・フラガである。

アイデア自体は19世紀末から存在する、戦前のSFにも幾度となく登場した*2SFガジェット「怪力光線」の現代版である。


劇中では、オペレーション・スピットブレイク時にアラスカ基地に設置された状態で登場。
ザフト軍を道連れにするために起動させた。
ちなみにこちらは最初から自爆用途として設置したため、威力を増し増しにしているという設定がある。


性質上動かすことができないため、能動的に使用しようにも敵軍を自陣に誘い込む必要があるという欠点がある。
そのためには設置場所が敵軍にとって攻める必要のある重要拠点であることと、大勢を巻き込むために自軍の配置も求められるが、
使用すればその拠点は敵味方諸共壊滅してしまう。
かなり扱い辛いリスキーな兵器と言える。

ちなみに両勢力共に情報統制も行っているため特に連合側はそのままの情報を伝えるわけもなく、
エンデュミオンでのサイクロプス使用は当時の連合側ではあまり公になっておらず(ムウを祭り上げた理由の一つ)、
アラスカ基地での使用についてはザフトの新兵器と発表している。


【作中の使用時の背景】


「青き清浄なる世界のために…」


…普通、世界の事を考えてる奴等のすることじゃないが…

パナマ基地攻撃をちらつかせていたザフト側の策によって予想外の急襲を受けるはずが、
クルーゼの情報漏洩により基地上層部は事前にこれを察知、そして戦力差から敵わないことも分かっていた。

しかし寄せ集めたユーラシア連邦などの不要と判断された主に外部の部隊で構成されていた防衛隊はそのことを知らされておらず、
元々基地に所属していた兵や高官や要人は脱出させつつ、敵を誘い込むための捨石とされてしまう。
もちろん起動したウィリアム・サザーランドともう片方の将官も起動後に一緒に逃走。
ちなみに連合への影響が強いブルーコスモスも承知……というよりも状況から推奨した行動であり、命令違反にはなっていない。

アークエンジェルもコーディネイターのキラの活躍が知られていたこともあり防衛戦に参加させられ、サイクロプス起動に巻き込まれそうになるが、
自身の過去と相まって、違和感を察知して居残って調査をしていたムウ*3が命を顧みずに戻ってきてサイクロプス使用を知らせたことにより、
命令を無視することになるが当然マリューは残存艦艇と共に戦場からの脱出を選ぶ。

ザフトの猛攻により脱出は困難を極めたが、フリーダムガンダムに乗ったキラ・ヤマトが宇宙から救援に現れ、アラスカから脱出に成功する。
キラはマリューから聞いたサイクロプス使用の情報を両軍に伝え、それを聞いた一部の部隊も脱出を選択。
ザフトの方でもフリーダムに戦闘能力を奪われたイザーク・ジュールを始めとする一部の部隊が、
不信感はあったものの連合の動きも相まって戦闘区域から離脱したことで全滅は免れた。

しかし重要拠点ということも重なって両軍ともに必死の攻防戦を繰り広げている最中で、キラの逃走を促す言葉はそうそう信用されるわけもなく、
残り続けた大半の両軍の将兵の他、機体の損傷などで脱出が不可能になっていたパイロットなど多くの人命が失われた。
最終的にはアラスカ基地が大爆発を起こし、辺り一帯は巨大なクレーターのような地形になってしまった。
ザフトはこれにより 投入戦力の80%を喪失 するという大打撃を被り、後のパナマ基地攻略戦にも少なくない影響を及ぼす事となった。

「クリーンで使いやすい兵器」というのはあくまでも、
放射線などを発生させず一定範囲内を徹底的に破壊できる自爆用システムという意味の評価なのである。


使用機会自体が限定的な為か、敵味方諸共殺害という全方位から批判を浴びるような兵器の為か、以後の公式の使用記録はない。



【その後の流れ】

元々必死になって命令通りにアラスカ基地に辿り着いたのにブルーコスモスの思想などから都合が悪かったために徹底的に糾弾されたせいで、
アークエンジェルクルー達は基地上層部に不信感と反感を抱いていた。
そこにこの「情報を隠ぺいして大量破壊兵器で捨て石の味方ごと敵を殲滅した」という作戦は、
クルー達の地球連合への不信感を決定的なものにするには十分であった。
後にアークエンジェルが地球軍を脱走して独立勢力として行動するようになる切っ掛けとなり、
更にその後にオーブで下船許可が出てなお元々軍属だった者も含む多くのクルーが残ったのも、
ムウは「サイクロプスの件が相当頭に来ていたのだろう」と評していた。
ちなみにアークエンジェルがそのまま連合に戻った場合、命令を無視して敵前逃亡したとして重罰に処されていた可能性も高い。

転属命令を出されて逃がされたナタル・バジルールもこの件を知った時は動揺し、
連合所属のままだがその後のムルタ・アズラエルの起居と相まって考えが改まっており、最終的に彼に造反した要因の一つになっている。

ザフトにしても敵・味方・負傷兵など無差別のサイクロプスによる大損害で兵士らは報復心に燃え、
次に攻略目標に定めたパナマ基地では投降した地球軍兵士を当然の行為として虐殺する事態を引き起こす。
イザークもザフトとして戦ったが、フリーダムに助けられたこととこの惨状を見たことで(虐殺には参加していない)、
ストライクガンダムへの復讐心に囚われていた自分を顧みることに繋がった。
理由はこれだけではないがパトリック・ザラの怒りが増した大きな要因でもあり、より過激な行動に出るようになっていった。
サイクロプス使用を把握しながらもドサクサに紛れて基地に潜入したクルーゼによって、
アークエンジェルに戻るため転属命令を無視しようとしていたフレイがさらわれるというその後の展開にもつながっている。


サイクロプス使用前までは初代ガンダムをオマージュしてなぞるような展開だったが、以上を見ても分かるようにここから独自の展開に移行していった。
SEED作中に於いて様々な意味で大きな転換点となる兵器であったと言える。


X_ASTRAYでも特務部隊Xのメリオルからユーラシア連邦が大西洋連邦を快く思わない例として挙げられた。



【その他作品にて】

スパロボシリーズでは大体原作通りの扱いであり、捨て駒にした味方もろともザフトを皆殺しにする点がアークエンジェル隊だけでなく、
プレイヤー部隊の面々の怒りをも買っていた。

特に『第3次スーパーロボット大戦α~終焉の銀河へ~』では、囮にされていたプレイヤー部隊をアラスカ基地から逃がした岡防衛長官がサイクロプスで命を落としている。
岡防衛長官の死後、彼の娘である岡めぐみは同胞(ブルーコスモス派の連邦軍)の手によって父親を失いながらも連邦軍を信じて争いを平和的に解決しようと前向きに考えていたが、腐敗しつつある地球連邦の情勢に嘆いていたカミーユ(とクスハ)の方は人類同士に対する不満が最高潮に達してしまった。





追記・修正はサイクロプスに耐えてからお願いします。

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