新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生

登録日:2012/05/08(火) 01:27:05
更新日:2024/04/27 Sat 08:53:37NEW!
所要時間:約 5 分で読めます





生は、死の始まり。
死は、現実の続き。
そして再生は、夢の終わり。


微笑みは、偽り。
真実は、痛み。
溶け合う心が、私を壊す。







NOILEGNAVE:DEATH

AND

EVANGELION:REBIRTH





概要

TVアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の初の劇場版として製作された2本立ての劇場用アニメ。
1997年春に「DEATH」と「REBIRTH」の2本立てで公開された。
通称『春エヴァ』

タイトルには「『死』と『新生』」と「『使徒』新生」の二つの意味が引っ掛けてある。

この上映形式は、庵野秀明総監督もファンと公言している『伝説巨神イデオン』の劇場版「接触篇」と「発動篇」に倣ったものと推測される。


本作の製作意図として最初に建てられたのは、「賛否両論で何が起こったか分からず仕舞いだったTV版を完結させる」ことであった。
というわけで、今作品の製作発表では総集編の「DEATH」、TV版のラスト2話をリメイクした「REBIRTH」の2本で1997年春に公開、
同年の夏には完全新作のエヴァンゲリオン劇場版を公開する、と大々的に触れ込んだ。


…が、そこは庵野秀明、期待は悪い意味で裏切らない。
春エヴァの製作が遅れて新作である「REBIRTH」編が1996年の暮れの時点でちっとも完成していなかったのだ。

これには当時のエヴァファンはまたも大荒れになったそうだ。今もそうかもしれないが

そのため、当初の予定より大きくずれ込んで「REBIRTH」編は当初の4分の1程度のみの公開となり、
残りは夏、ラスト2話リメイク版を「THE END OF EVANGELION」として公開することを決定。

なお没になった完全新作の劇場版というのは、
「補完計画発動後、人類の大半が死滅した世界で、残された人類はA.T.フィールドで覆われた区画に籠って生活していた。外に繋がるのは一本の橋だけ。
エヴァの子宮の中に直接チルドレンを埋め込み、早く取り出さないと『ヒトでなくなってしまう』」という今でいう進撃の巨人と似たような内容だった。
また新劇場版:Qのヒントにもなっているのかもしれない。


そんな未完成状態での「シト新生」公開となったが、なんと第一弾テレカ(レイorアスカ)付き前売り券は長蛇の列が並んであっという間に完売。
公開初日も大混雑と言うメガヒットを記録した。
当時はエヴァの再放送が夜中に大ブームとなり、これがきっかけでエヴァのブームは最高潮に達していたのである。

そしてその熱気も冷めやらぬまま夏にEOEこと『Air/まごころを、君に』が公開されたわけだが…
結果はお察しください。


DEATH編

監督は摩砂雪。
この手のTVアニメの映画化にありがちな「TVシリーズの総集編」だが、構成がかなり凝った作り。

≪あらすじ≫
碇シンジが渚カヲル=最後の使徒を殺す15か月前。
その日、シンジは長野県第2新東京市の中学校の講堂でチェロの調弦をしていた。
弦楽四重奏の音合わせをやるためである。
やがて他のメンバーが次々と顔を出す。
勝気な第2ヴァイオリンの少女、無口なヴィオラの少女、浮世離れな第1ヴァイオリンの少年―――
彼らはパッハベルの『カノン』を奏で出す。
シンジが迎えるであろう、苦悩に満ちた戦いの記録を曲に乗せて。

この総集編の特徴として挙げられるのが、
場面場面がほぼぶつ切りの状態で編集されていることである。

シンジ達TVシリーズのメインキャラクターが独奏すると、
そのキャラに関するエピソードが時系列を無視してプレイバックされると言った具合に。
そのキャラクターの移り変わり方も独特で、摩砂雪監督の編集が光る演出になっている。

総集編ではあるが物語のあらすじではなく、メインキャラ達のグチャグチャな精神状態や記憶をなぞるための作品とも言える。

また、新作カットも豊富。一見TV放映時と変わらない所もあるが、細かな所で新作になっているカットが多数ある。
特にヤシマ作戦のレイの貞本絵の笑顔は必見である。
新作カットの中にはビデオフォーマット版に移植されたシーンも存在する。

何故かソフト化されるごとに編集がなされており、現在DVDで見られるのは2度目の編集が行われた「DEATH(TRUE)2」である。
ちなみに「DEATH(TRUE)」はWOWOWで初放送された際に公開されたもので、こちらはTV本放送版を収録したDVDBOXにのみ収録。
変更箇所は、ビデオフォーマット版に追加された新作カットを削除するといった所。
例:大勢の声優が演じるアスカ

REBIRTH編

監督は鶴巻和哉。
所謂第25話「Air」の前半部分。また、未完成ゆえに「Air」では修正を加えられた箇所がある。

「REBIRTH」では戦自の隊員の声が山寺宏一だったが、加持とは無関係。(Airでは別の声優に差し替えられた)

弐号機の元にエヴァシリーズが飛来した時点で「REBIRTH」は終了しており、このぶつ切りENDはもはや伝説。

アスカ「エヴァシリーズ…完成していたの?」
♪わーたーしーにーかーえりなーさーいー

結局「Air」と被ってしまうため、同一作品として見られがち。
最初に発売されたDVDには「REBIRTH」は収録されていたが、現在発売中のリマスター版DVDには収録されていなかったが、2015年発売のBlu-Ray BOXには劇場公開版の『シト新生』が収録されており、未再編集版の「DEATH」と併せて日の目を見ることとなった。

使用曲

DEATH編
パッハベル作「カノン」
弦楽四重奏のメンバーが弾いた曲。
やたら長いスタッフロールで流れていたのもこれ。

REBIRTH編
高橋洋子「魂のルフラン」
エヴァファンにとっては語り草となっている名曲。
「残酷な天使のテーゼ」と同じく、カラオケの人気曲である。
これが流れる神EDが幻となるのはあまりに惜しいだろう。

高橋洋子「心よ原始に戻れ」
劇中では使用されなかったが、宣伝に使われた曲。

予告編

動画サイトで多数のMAD動画が作られるほど、伝説となった予告編。

①特報
ベートーヴェン『歓喜の歌』をバックにTVの本編映像を編集したもの。
主にDEATH編の予告。

②本予告
ヴェルディ『レクイエム~怒りの日』をバックに本編の映像や絵コンテ、原画、脚本の一部が高速カットで切り替わる。
黒地一杯に「殺してやる」はトラウマになった者も多い。
第25話、第26話(REBIRTH編)の予告となっているが、使われた脚本のほとんどが次回に後回しになっているため、ほとんどEOEの予告編のような扱いである。

余談

最初の劇場上映の際には『魔法学園ルナ-青い竜の秘密-』という、セガサターンの同名ゲームを原作とした約10分のドタバタギャグアニメ前座同時上映されている。
全く無関係な上にミスマッチな作品が同時上映されたのは、完成しなかったREBIRTH編の穴埋めとして適当な作品があてがわれたというのは流石に邪推がすぎるか。





THE END OF EVANGELION




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最終更新:2024年04月27日 08:53