機動戦士Vガンダム(漫画版)

登録日:2010/03/04 (木) 02:24:45
更新日:2023/12/30 Sat 23:59:06
所要時間:約 7 分で読めます





機動戦士Vガンダム』は『コミックボンボン』1993年4月号から1994年3月号まで連載された漫画。作者は岩村俊哉。
単行本は連載当時にボンボンコミックスより全2巻で刊行、後に2003年にもコンビニコミックとして復刊している。

【概要】

テレビアニメ『機動戦士Vガンダム』を漫画化した作品。
……ではあるが、主人公ウッソ・エヴィンが熱血漢な性格、アニメ版の重要キャラクターであるカテジナ・ルースが登場しない、実在人物やゲーム作品のパロディキャラクターが登場するなど、アニメ版とはかなり印象の異なる内容となっている。

1巻と2巻の間には単行本未収録の話があり、それが上述したゲーム作品のパロディキャラクター・エフ大尉とモビルスーツでプロレスする話。
ちょっと、1年早すぎやしないかね?
このせいで、パロディのやり過ぎで未収録になったのではと長年言われていた。
というか、ボンボンはストⅡの漫画もあったのによくやったもんである

こんな内容になったのはもちろん理由があり、当時の編集長である米田浩二郎が、アニメ版のストーリーはボンボン読者には難解と判断したからだった*1
また、2022年には作者のツイッターにて、主人公のキャラが変わったのは「いろいろ味付けしていいよ」(要約)と担当編集に言われた為、カテジナが未登場なのはヒロインをシャクティに絞る為、
ギンザエフの話が単行本でカットされたのは単純にコミックス化の際に1話分カットしなくてはいけなかった為と、裏話が明かされた。


【あらすじ】

宇宙世紀0153。
スペースコロニー、サイド2にザンスカール帝国が出現。
宇宙圏に急速に勢力を拡大し、地球・ヨーロッパ地方にも侵攻を開始した。
それに対して人々は「リガ・ミリティア」を結成。
必死の抵抗活動を展開していた。

そしてヨーロッパのポイント・カサレリアでまぼろしのMSがついに復活した。
その名はVガンダム!!
(1話より抜粋)


とまあ普通のコミカライズな雰囲気だが……


【主な登場人物】

ウッソ・エヴィン
言わずもがな主人公。
髪型がとげとげしく、活動的で破天荒かつ支離滅裂な性格をしている。
一人称は『オレ』、好戦的で興奮すると口調が荒くなる。
かなり個性的なセンスの持ち主で、普通は思いつかないような武装の使い方をする。
そもそも初登場シーンでターザンロープを披露し、人力飛行機のテストを行おうとしてハロから「ヤメロー、ヒトゴロシー」などと言われている始末。
戦闘中にメインカメラを破壊されたときは流石にシリアスな恐怖の表情を見せたが、パニックの中ニュータイプの素養に目覚める。
終盤になるとオデロに目の前で死なれた時は心が折れかけ、なんとか立ち直ったら直後にハンゲルグも死ぬという悲劇に見舞われながらも最後まで戦い抜いた。

★ウッソ君の迷台詞
「よォ!オレ ウッソ・エヴィンってゆーんだ!!ヨロシクな!!」(読者に向かって)
「てめーっオレを殺す気かーっ!?」
「そ…そんなーオレの人生メチャメチャでんがなー」
「オラ オラーッ 今のオレはきげんがわるいぜっ」
「まだだ!!まだだぜ!ザンスカール かあさんの作戦は・・・・おわっちゃいねえー!!」
「バカめ スキだらけだ」
「きさまは電子レンジにいれられたダイナマイトだ メガ粒子の閉鎖空間のなかで分解されるがいい」

クロノクル・アシャー
今作のライバルラスボス
ザンスカール帝国の兵士で、女王マリアの弟。
ウッソに関わったばかりに劣勢になっていく。部下には「クロークル艦長」と呼ばれるし。苦労来る?
しかし終盤で覚醒し、大暴れする。アサルトパーツ(というよりメガビームシールド)がなかったらウッソは確実に負けていたと思わせる暴れっぷりである。

シャクティ・カリン
空気。
この漫画のヒロインはオデロです!

◆マーベット・フィンガーハット
リガ・ミリティアの兵士。
真面目で落ち着いた女性だが、2話では、
「めいどのみやげにおしえてあげるわ。かれこそがVガンダムの天才パイロット、ウッソ・エヴィンくんよ!!」
「そうよ!あんたは十三歳の子どもにコテンのパーにやられちゃったのよー」
などとクロノクル相手に穏便に済ませようとするウッソの努力を無駄にする暴言の数々。
その場の全員にギャグ補正がかかっているとはいえ、おかしいですよマーベットさん!

オデロ・ヘンリーク
孤児のリーダー格。
わりと常識人だが、ガンブラスターでタンカーをDIO様のごとくぶん投げるなどやはりこの漫画の登場人物。ビームサーベルに自分の名前を書いている。
最終決戦でエンジェル・ハイロゥに単身突撃したウッソを助けるために孤軍奮闘し、ウッソをカガチの銃弾から守った後に彼の無事を祈りながら爆死した。
その時とある人間を巻き添えにしたせいで更にピンチを招いたのは秘密。

◆オリファー・イノエ
いつの間にかマーベットに種仕込んで死んでた。

シュラク隊の方々
アニメよりかなり美人度を強調して描かれている。
しかし登場した翌月にマヘリア、ケイト、ヘレンが戦死。しかもマヘリアとケイトは1コマで。
その他の面々はいつの間にか死んでた。
ジュンコさんは原作通り生き残りそれなりに出番があるも、ギギムセメントクラッシュを食らって以降出番が無くなる。

◆ゴッドワルド中尉
なぜかふんどし一丁で瞑想するサムライキャラ化。
しかも見た目はどう見ても凛々しいピピニーデン。
宇宙の虎には見えない。
モチーフはおそらく『ロボコップ3(映画)』のオートモ。何の関係があってモチーフにしたのかは未だ不明。
ふたばチャンネルでは人気者。
後年、某ゲームの攻略本でもネタにされた。

セナプロストシューマッハ
MSグランプリのトップドライバーで構成されたサンダーインパルスのメンバー。
Vガンダムを追い詰めるが、直後に乗り換えたV2ガンダムのかませに。
※本作はフィクションです。登場する人物名・団体名その他はすべて架空のものであり、実在の人物団体とは関係ありません。多分。
なおプロストは途中「フロスト」と名前が間違われるが別に彼らを先取りしたわけではないだろう。

◆ミューラ・ミゲル
ウッソにV2ガンダムを届けた。
モトシンド…ではなくモトラッド艦隊を足止めするための作戦中にゴズに捕まるが、倒れた機体が地雷を踏んで爆発に巻き込まれて死亡。
当然ながら首チョンパありません。
翌月、そこには母の死をすっかり忘れてV2ガンダムで釣りをしていたウッソが!(その翌月に思い出しました)

◆ハンゲルグ・エヴィン
えらく若々しい。嫁はいかにもおばさんなのに。
しかしウッソと和解して元の親子の関係に戻れたので原作よりは救われたと言えなくもないが、
程なくウッソをジャンヌ・ダルクでクロノクルの攻撃から庇ったために脱出する間もなくクロノクルにぶった斬られてしまい、原作とは違い明確に死亡してしまった……。
ちなみに漫画版におけるアサルトパーツはこの人の形見。メガビームシールドのおかげで電子レンジの中のダイナマイトが出来たので結果として息子の命を守り切った。

エフ大尉
MS格闘王。それ以上でもそれ以下でもない。
ザンギュラとは全く関係ない、多分。
見た目は某闘う市長。そして技は某エドモンド関
なお、2022年になって宇宙世紀の正史にも存在している事が判明した

◆その他登場キャラ
(特に原作と大きな違いはないため割愛)
オイ・ニュング
ロメロ・マラバル
ジン・ジャナハム(アニメ版ではジン・ジャハナム)
タシロ・ヴァゴ
ゴズ・バール
ドゥカー・イク
レンダ・デ・パロマ
ムバラク・スターン
ファラ・グリフォン
フォンセ・カガチ
マリア・アモーネス(アニメ版ではマリア・ピァ・アーモニア)


【登場モビルスーツ】

※原作と特に変わらない機体は割愛。

Vガンダム
3機の戦闘機が合体するガンダム。
4話でいきなり何の説明もなくVダッシュガンダムになる(コミカライズではよくあること)。
ウッソの独創的な発想でかなり個性的な攻撃をする。

  • ヴィクトリー斬り
ビームサーベルで斬り抜ける。

  • Vガンダムビームシールドアタック
ビームシールドを展開しながら高速で回転して突撃。自分の目は回らんのか。

  • ウッソ君の大発明(仮称)
ビームサーベルを7本束にして、Vガンダムの全エネルギーを放出。
その形容はまさしくイデオンソード。ただ束ねてケーブルを本体と連結しただけでこの威力とか、リガ・ミリティアのMSはバケモノか!?

  • 電龍衝撃波(フルバーニアンソニック)
ギンザエフとのガンダムファイトで放ったMS拳奥義・真空波動拳


◆騎士Vガンダム
「ク~!おもいだすのう〜わかいころファミコンであそんだ日々。ロープレは燃える~!!」と
トチ狂ったロメロのジジイが勝手にナイトガンダム風フルアーマーに改造したVガンダム。
騎士ヴィクトリーでもブイスクエアでもない。

武器は伝説のビームサーベル、エクスキャリバー。鞘がついただけのただのビームサーベルだけど。
鞘の製作に一番時間をかけたらしいがロマンを解さないウッソがそのままビームを出してぶっ壊した。
鎧もあっさりゴッドワルド中尉に斬られて篭手と具足を残して取れてしまった。
必殺技はV字斬。呼んで字の如くVの字斬り
エピソードの最後にゴッドワルドから疾風二連斬りをラーニングしてバージョンアップしたが技名は変わらず。

作中でもネタのような扱いであったが割とかっこよく、また一応はこの話の伏線となっている。


V2ガンダム
ウッソの反応に追い付けなくなったVガンダムの代わりに届けられたガンダム。
機動力が半端ではなく、地平線の果てから数秒で突っ込んできてすれ違いざまに敵を切り裂けるほど。
最終決戦でハンゲルグが死の間際に託したアサルトパーツを装着してV2アサルトガンダムになる(バスターは登場せず)。
やはりというかなんというか大暴走。

  • 真・V字斬
もはやVの字ですらない。
GジェネではV2がビームサーベルの演出でこれ(ちゃんとVの字だが)を使うことが結構ある。

  • ダブルクロスカッター
オデロとの合体攻撃で十字に斬る。

  • バリアー流星(シューティングスター)アタック
Vガンダムのハンガーを両手に持ち、ビームシールドを出しながら突撃。

  • V字斬乱れ斬り
だからVの字じゃないって。

  • 電子レンジに入れられたダイナマイト(仮称)
シールドから射出したビットでフィンファンネルバリアのようなものを形成し敵を閉じこめ
中にメガビームライフルを撃ち込みビームの乱反射で破壊する鬼畜極まりない攻撃。
でもこれで倒しきれないドッゴーラ改とクロノクルもまたトンデモである。

  • オデロのガンブラスターのビームサーベル
電子レンジに(ryでも死なないクロノクルに道連れにされそうになったウッソの手元にやってきた最後の武器。
これでV2ガンダム諸共、組み付いていたドッゴーラ改にぶっ刺してクロノクルにトドメを刺した(ちなみに刺した場所はコアファイタースレスレでかなり際どかった)。
なんとクロノクルが生身でビームサーベルに巻き込まれるコマがある。少年誌なのでボンボン版F91とかに比べればそこまでグロくはないけど。

  • 光の翼
アニメでは「使い道をいくらでも考えられる便利な現象」とこの漫画の作風に合いそうなものだったが、意外なことに出番は一度きり
クロノクルを倒したのち、光の翼を展開して大気圏突入を成功させた。


◆ビヒモス
見た目はコンティオ。搭乗者もクロノクル。
あらかじめ戦場にを配置しておき、ビームを反射させてオールレンジ攻撃もどきをしていた。


◆アビゴル
搭乗者がゴッドワルド中尉なせいでこっちまでサムライ化。
必殺技は疾風二連斬り、烈光飛翔斬


◆ギギム
見た目はシャイターン。搭乗者はギンザエフ。
アニメ版のシャイターンは射撃機体だが、こちらは数々の格闘技でウッソたちを翻弄する。


リグ・シャッコー
搭乗者がサンダーインパルスなためか、やたら機体にマーキングが多く悪趣味。
つーかどう見てもザンスカールではなくクロスボーンな機体。


◆ドッゴーラ改
今!復讐の竜が戦場に飛びたった!!
クロノクルが乗るモビルアーマー。
原作のドッゴーラとの違いは
「このドッゴーラ改は全身がビームそのものなのだ!」
……ではなく全身がバリア・コーティングされていてビームが通用しないこと。
触れた瞬間あらゆる物体が焼けこげるため、体当たりすれば小惑星すら砕け散る(らしい)。
なおビームサーベルを持っているのに戦い方は持ってない方の手で殴るというもの。

【余談】

上のプロレスのように本作で読者からつっこまれた武器やネタの一部は後のガンダムに普通に登場している。
1年後のプロレスするガンダムをはじめ、7本通り越して15本のビームサーベルを搭載したムラマサブラスターとかライザーソードとかMSレーサーのウルフさんとかWEW「翼を展開して大気圏突入する主人公ガンダム」とか
全身がビームそのものになるガンダムとか
ハイペリオンガンダムの最期(カナード自爆だが、原理は電子レンジにいれられたダイナマイトと同じ)とか。
ようやく時代が追いついてきつつあるのかもしれない。
暴言とキャラ崩壊のセンスは永遠に追いつけないだろうけど。
だが逆に単行本未収録話のキャラであったギンザエフが四半世紀以上の時を経て我々の前に再び名前が出てくるとは作者含め誰も予想だにしなかったであろう。








「この項目は電子レンジにいれられたダイナマイトだ メガ粒子の閉鎖空間のなかで追記、修正されるがいい」

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最終更新:2023年12月30日 23:59

*1 『ガンダム神話ゼータ』より。