刀語

登録日:2009/12/20(日) 00:10:52
更新日:2024/04/14 Sun 16:04:53
所要時間:約 5 分で読めます




「金で動く人間は駄目だ───名誉で動く人間も駄目だった。ならば残された理由はたった一つ───愛だ」
「愛で動く人間は信頼できる」


『鑢七花。わたしに惚れていいぞ』



要約すると、一人の剣士が愛する女性と協力して12本の刀を集めていき、人として成長していく話だ。



著者:西尾維新
絵:竹



【粗筋】
戦国の世が明け、尾張幕府の治世の下、鑢七花は姉の七実と共に丹波の不承島で暮らしていた。そんなある日、白髪の派手な衣装の女性が不承島に現れた。名はとがめ。七花は彼女を家まで連れていって、話を聞くことにした。彼女の訪問の理由は旧将軍が成し遂げられなかった四季崎記紀の作った12本の完成形変体刀を集めるということだった……


2007年1月から12月まで連続で刊行した作品である。戯言シリーズでタッグを組んだ西尾氏と竹氏の合作。
本書は12巻構成で進むストーリーものであるため読むのが大変に思われるが、1冊あたり200頁ほどなので、結構速く読み終わるだろう。

また、男女の比率は明らかに男性が多いのが特徴的である。
西尾氏独特の癖は他作品と比べると薄い印象だが、テンポがよくて非常に読みやすいと思われる。
西尾曰く、「化物語とは対照的なジャンルにした。」


西尾維新氏のアニメプロジェクトで、化物語に次いで2010年に大河アニメとしてフジテレビ系列、BSフジで各月1話1時間の放送をしていた。




【主な登場人物】
各人物の項目で詳しく説明するが、ここでは大まかに書かせていただく。


鑢一族(虚刀流)
戦国時代の鑢一根を祖とする一族。
最強を求める彼が至った結論は刀を使わない剣技であり、言ってしまえば、拳技である。というのも彼から続く一族の者達がただ単に刀を上手く使えないだけなのだが……


主人公。虚刀流第七代目当主。24歳。
剣士でありながら刀が使えない剣士。
とがめの心に触れ、とがめに協力して刀探しへと旅立つ『愛に生きる男』。
作中では上半身裸で過ごす。


鑢家家長。27歳。
七花の姉で病弱な女性。先がもう長くない。
とがめに七花を託し一人島に残るのだが…。
趣味は草むしり。



七実、七花の父で虚刀流六代目剣士。
前大戦の英雄であったが、島流しに遭ってしまい、不承島で20年前から暮らすことになった。
物語の1年前に死亡している。



通称まにわに。
本作品のかませ犬である。
元は幕府お抱えの忍で、とがめと協力関係だった。
とがめに協力して刀集めをし、見事絶刀『鉋』を手に入れたが、刀の毒にかかり里ごと抜け忍してしまった。
それも里の再興のためであった。
12人の頭領たちは刀争奪競争を実施している。



■尾張幕府
前将軍家を継いだ一族で、現家鳴将軍家。
平和な治世の下で政治を行う。
下記に書かれている刀集めを再開させた。


奇策しか練らない策士で、自ら『奇策士』と名乗る。
この物語のヒロイン。
尾張幕府直轄預奉所軍所総監督。
絢爛豪華な衣装を纏った白髪の小柄な女性。
口癖は「ちぇりお」
彼女が不承島に訪れ、依頼するところから物語は始まる。



日本最強の剣士。
幕府お抱えの剣士で、真庭忍軍が裏切った後、とがめに協力して薄刀『針』を手に入れるが、彼も刀の毒にかかり裏切ってしまった。
彼も独自に刀を探している。
通称『堕剣士』。



家鳴将軍直轄内部監察所総監督。
金髪碧眼の女性。
あらゆる物事を否定する。
とがめとは敵対関係にあり、鎬を削ってきた。



元忍者で、現在は否定姫腹心。
洋装で、仮面を装着し、その仮面には『不忍』の二文字が記されている。
否定姫に絶対の忠誠を誓っている。





【戦国時代~旧将軍家の歴史】
四季崎記紀は鑢一根と同じく戦国時代の人物である。
有名な刀鍛治ではあったが、彼が世に送り出した刀はたった1000本しかなかった。
だが、その刀の力は特異なものであり、彼の刀を多く所有した大名家が最終的に天下統一を成し遂げるほどであった。
それが旧将軍家であり、天下統一後、平和なご時世になって幕府は土佐に刀大仏を創ることを発表し、刀狩りを行った。
ただ、これは建前であり、裏の目的は剣客を潰すことである。
しかし、真の目的は四季崎記紀の刀を全部集めることであった。
実施した結果剣士は廃れ、見事988本まで四季崎記紀の刀を集めることには成功した。
だが、残りの完成形変体刀の12本を集めるまでにはいかなかった。
刀集めに躍起になって財政が底をつき、現在の尾張幕府へと政権が交代された。



【政権交代後~現在】
家鳴幕府の治世にいたり、ようやく平安の世が訪れた。
だが、今から20年前に奥州の飛騨鷹比等が反旗を翻した。
その騒乱は全国に広まり、幕府は窮地に立たされた。
この状況で活躍したのが、虚刀流第六代目鑢六枝であった。
彼は鷹比等を追い詰め、首級を収めることで反乱を鎮めた。
六枝は大戦の英雄として名を轟かせたが、直後に失脚してしまう。
七実、七花と共に不承島に流刑となってしまった。
こうして虚刀流は表舞台から消えることになった。


【四季崎記紀の完成形変体刀について】

詳しくは所有者同様、四季崎記紀の完成形変体刀一覧を参照。

  • 絶刀『鉋』
  • 斬刀『鈍』
  • 千刀『鎩』
  • 薄刀『針』
  • 賊刀『鎧』
  • 双刀『鎚』
  • 悪刀『鐚』
  • 微刀『釵』
  • 王刀『鋸』
  • 誠刀『銓』
  • 毒刀『鍍』
  • 炎刀『銃』

これらを七花ととがめは毎月集めることになる。


12ヶ月の旅を通じて七花が知ることとは何か。
なぜ四季崎記紀は1000本の刀を作ったのか。
それは歴史だけが語る…


☆外伝
噛ませ犬集団まにわにこと、真庭忍軍の十二頭領創世の話。

  • 刀語余話
饅頭のおまけ。旅の途中茶屋に立ち寄った七花ととがめが旅が終わったあとの将来の夢を語り合う話。

  • 第零話 虚刀・鑢
本編の20年前の父親世代の物語。
鷹比等の大乱を本筋として、登場人物の過去や重要な設定が明かされている。

  • 第刀話 ひていクリア
物語シリーズとのコラボ小説『混物語』の一編。
二重関係にある別の歴史の未来を訪ねた否定姫が吸血鬼の刀の見聞を行うために所有者と知恵比べを行う話。


「加筆修正よろしく頼むな────ただしその頃には、あんたは八つ裂きになっているだろうけどな」

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最終更新:2024年04月14日 16:04