瑞鶴(航空母艦)

登録日:2009/05/26 Tue 19:39:43
更新日:2023/01/05 Thu 18:29:08
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読み ずいかく
竣工1941年9月25日
戦没1944年10月25日
除籍1945年8月26日

全長257.5m
速度34.2kt
排水量25.675t

旧大日本帝国海軍が保有していた航空母艦。翔鶴型航空母艦の二番艦。
姉の翔鶴と共に落日の機動艦隊のエースとして、レイテ沖海戦まで敢然と戦い続けた。
艦名の瑞は「めでたい」鶴は吉獣、つまり超めでたいみたいな意味合いで取ってもらえれば万事OK。
開戦以来、マリアナ沖海戦まで一発も被弾が無かったため「幸運艦」とされていた。
そして、太平洋戦争中で文字通り、"最後の機動部隊が壊滅する、その日まで "主力艦として常に最前線を転戦し続けた、 日本海軍の最殊勲艦に数えられる一隻 である。
なお、コンビを組んだ姉の翔鶴は代わりにダメージを受けるかのようによく大破していた。
姉の翔鶴とは非常に艦形が似ており、飛行甲板上の「シ」と「ス」の識別文字以外では見分けるのが困難だったという。
しかし、エンガノ岬沖海戦時には塗りつぶされほぼ見えなくなっている*1
瑞鶴にも大和ホテルや武蔵旅館のように瑞鶴デパートと呼ばれることがあったようだ*2が由来は不明。

建造経緯

同様マル3計画に基づき建造された。特色などはの方に記載があるのでそちらに譲り、二番艦の彼女の特筆事項を記載する。 
翔鶴も、日米開戦の時期を考えればかなりギリギリどころか乗組員の育成スケジュール的に無理があったのだが、瑞鶴はより時間がなかった。というか、本来の予定では真珠湾攻撃が終わった頃に配備予定だったのだ。しかし…

高松宮殿下「ねぇ、3ヶ月早くなんない?完成できない???」
川崎重工神戸造船所担当者「あの…宮様…?ちょっとむずかしいと思うのですが…」
高松宮殿下「早 く で き な い の ? 」
担当者「…アッハイ、全力で間に合わせます。」

という無茶ぶりがあり、神戸造船所の工員担当者が全力を尽くした結果、無事3ヶ月前倒しで1941年9月に、姉の翔鶴と共に五航戦に配備された。
なお、建造当初から幸運艦の片鱗は見せており、200mオーバーの巨大艦なら建造中に死人の一人は出てしまうのが当時の造船であったが
瑞鶴建造時には3年4ヶ月の間に死人は一切出なかったという話もある。


経歴

1941年12月、配備から2ヶ月ちょいで訓練の名目で単冠(ひとかっぷ)湾を出航。他の五隻の空母と合流し、真珠湾へ攻撃を加える。結果は戦術的には大成功であった。
瑞鶴の攻撃隊は二度の攻撃を敢行するも、未帰還機無しという幸運艦としての能力?を遺憾なく発揮した。
ただ、五航戦は練度不足から激戦区へ積極的に投入されたわけではなかった。特に瑞鶴はたった2ヶ月しか訓練ができていないので、練度不足を理由に強烈な対空砲火を浴びせてくる戦艦への雷撃は行っていないし、練度の高さを買われて一番の激戦区へ突っ込まされた加賀の航空隊はかなりの損害を食った。
それでも、未帰還機なしはとんでもないことである。

1942年は南雲機動艦隊の一員として南洋海域攻略戦に参加。
南雲機動艦隊から別れ、五航戦として翔鶴・祥鳳と参戦した珊瑚海の海戦においては当時世界最大の空母であった空母レキシントンを翔鶴との連携で沈めるも、祥鳳喪失・翔鶴が大破したほか艦載機を多数消耗。
本土へ帰還したが、瑞鶴は大したダメージはなかったので翔鶴の航空隊を補充要員に充てればミッドウェー海戦第五の空母として貢献出来たのだが
聯合艦隊司令部は何やかんや理由をつけて本国に留め置いた。…無論それのみがあの惨劇の原因とは思えないし、瑞鶴がいたところで犠牲が一隻増えただけかもしれないが
一航戦・二航戦の空母4隻はたった一日の戦闘でこの世界から消え、翔鶴・瑞鶴が赤城加賀蒼龍飛龍の分も責任などもろもろを背負って戦うことになってしまった。

ミッドウェー海戦後、翔鶴・瑞鳳と共に新一航戦を結成。新たな二航戦の改装空母隼鷹、歴戦の空母龍驤らと共にソロモン諸島を巡る激戦に臨む。
しかし、第二次ソロモン海戦・南太平洋海戦など戦闘自体では米海軍に打撃を与え勝利を得るが、その勝利を得るために払った犠牲が大きすぎた。
第二次ソロモン海戦では艦載機の損失も大きかったが、歴戦の空母である龍驤を失い、
南太平洋海戦では激戦を潜り抜けてきた熟練搭乗員(ミッドウェー組からの移乗含む)を多数失うなど、補いきれない打撃を受け着実に弱体化していった。
1943年、特に大きい海戦はなく彼女が出て行く戦闘はほぼなかったが、航空隊を陸上基地に引き抜かれては失い艦載機隊の練度がひどいことになった。

1944年6月、第一機動艦隊として再編され、新たな旗艦に翔鶴型を重装甲艦としてリファイン設計し新規建造した最新鋭空母・大鳳を据え、米軍のマリアナ諸島進攻を防止すべくマリアナ沖に進出。太平洋戦争の天王山とでも言うべきマリアナ沖海戦が勃発する。
しかし数にも性能にも勝る米軍に対する苦肉の策であるアウトレンジ戦法が、進化した米機動部隊の現代的な防空戦術にものの見事に打ち破られ航空戦で惨敗。多数の艦載機を失い自身もついに小破。
更には姉翔鶴、ようやく現れた自身の後継たる大鳳を潜水艦の雷撃で失う。
別方面では隼鷹・飛鷹もそれぞれ大破、轟沈という有り様であった。
頼みの艦載機も、頼りがいのある姉も、自身の後継者も、援護してくれる戦友をも一度に失った瑞鶴にもうまともな作戦を行う力はなかった。

同1944年10月「捷一号作戦」発令。瑞鶴と、当時まともに作戦行動を取れた数少ない空母である盟友瑞鳳、水上機母艦からの改装空母である千歳・千代田、
航空戦艦に改装されながら艦載機を載せられないままに機動艦隊に編入となった伊勢・日向ら小沢機動艦隊に課せられた任務は
「主力の戦艦部隊がレイテ湾に突入するために、敵航空戦力を可能な限り釣り出す」というものであった。
この戦いで繰り出せた艦載機はたったの18機。これでは空母同士の戦いなんて出来るはずもないから戦艦部隊の血路を開けということである。
囮艦隊の旗艦として、ハルゼー麾下の機動艦隊を「ファッキンジャップ!!キルゼムオール!!」と言わせたかどうかは定かではないが、エンガノ岬沖に釣り上げるも、真珠湾の仇とばかりに多数の爆撃雷撃を受け、海底にその身を横たえる。
翔鶴の加護を失った瑞鶴に、このような不利な戦いを生き延びる力は残されていなかった…
雨霰と攻撃を受けながら囮を完遂するほどに粘り込めたのは、皮肉にも翔鶴や大鳳の最期から得た戦訓から可燃領域を減らすよう改装した賜物であったという。



NHKアーカイブスに、「フィリピン・エンガノ岬沖 ~囮(おとり)とされた空母 瑞鶴~」という、瑞鶴の最期に迫ったドキュメンタリーがあるので興味のある方は見てみてほしい。
瑞鶴の最期がいかなるものであったかを知る一助となるであろう。

他にも、戦時中の映画「雷撃隊出動」では主役を張っており、在りし日の瑞鶴を見ることが出来る。

フィクションでの活躍

艦これにも最初のイベントに合わせてドロップ艦として登場し、後に建造落ちした。
バランスがよく、全般的にマイルドで制空権奪取能力は高く、幸運値も高い・・・のだが、空母の幸運値はほぼ死にステと言われており結局一航戦のお株を奪うには至らず。

だが、2015年10月の改二実装に伴い、見違える程に高い制空力や攻撃力を兼ね備え、前月に改二が実装された姉ともども一気に空母最強候補に躍り出た。
詳細は五航戦/翔鶴型航空母艦(艦これ)を参照していただくが、日本最後の機動部隊が壊滅するその日まで戦い抜いた武勲艦にふさわしい実力者となった。
また、アニメ艦これでも主役の吹雪と同じ部隊となるなど出番が多く、冷徹な先輩加賀につっかかる熱血な面が強調されている。

ちなみにマブラヴ オルタネイティヴの戦術機、瑞鶴の元ネタでもある。

ついでに、ドラゴンクエストⅥ 幻の大地にも瑞鶴に由来すると思われる中ボス「ズイカク」が「ショウカク」と共に登場する。
軍事に詳しくない人なら、むしろこっちを知っていた人の方が多いのかもしれない。
ラスボス前最後の中ボスというかなり重要な役割・・・といいたいところなのだが、強さとキャラはお察しください。
一応縛りプレイをしていると厄介な難敵になることもあるのだが・・・

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最終更新:2023年01月05日 18:29

*1 姉の翔鶴が沈没したから識別する必要性が低くなったため。

*2 海軍思い出の記 p.144 空母「信濃」見学記より。東京にある昭和館で読むことができる。