AK-47

登録日:2009/08/02 Sun 23:15:38
更新日:2024/03/20 Wed 03:33:24
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人類史上最も多く生産され、
最も多くの人命を奪った銃



◎概要


ロシア人のミハイル・カラシニコフによって1947年に開発された突撃銃
作者の名にちなんだ「カラシニコフ」の愛称でも有名。
開発から70年以上経った現在でも派生・改良型含め現役の銃であり、フィクションの世界でも有名な銃である。

地球上のあらゆる戦場で使用され、軍隊のみならずテロリスト等や海賊などにも頻繁に利用されている。

反面、紛争を経て独立を勝ち取った国では建国の象徴であり、ジンバブエの国章やモザンビークの国旗にも描かれている。
国旗に書かれた数少ない武器でもある。

コルト M16FN FALH&K G3と並ぶ「世界4大アサルトライフル」の一角、というよりその筆頭というべき存在感を誇り、
単に「銃火器」というカテゴリーで見てもトップクラスの知名度を誇る。



◎性能

  • 銃身長…415mm
  • ライフリング…6条右回り
  • 仕様弾薬…7.62mmx3
  • 装弾数…30+1
  • 作動方式…ガス圧作動ターンロックボルト
  • 発射速度…600発/分
  • 発射初速…730m/s



◎略歴

設計は第二次大戦時、上述のミハイル(当時軍曹)が戦場で見たMP40等のドイツの短機関銃に衝撃を受け、負傷し入院中にトカレフ弾を使った短機関銃を考えたのがきっかけ。
ちなみにその機関銃の案は没になった。

AK47のAKもアブトマット・カラシニコバということでカラシニコフが作った自動小銃という意味合いである。もう少しロシアっぽくすると、
『アフタマート・カラーシュニカヴァ・アブラスツァー・トィースャヂ・ヂヴィチソート・ソーラク・スィヂモーヴァ・ゴーダ』
となり、カラシニコフ式1947年型自動小銃という意味である。

コンセプト等はStg44などのドイツ製小銃の影響が強いが、メカニズムとしてはむしろアメリカのM1ガーランドに近い。
ソ連は1946年にはSKSカービンという半自動小銃を軍に採用していたが、直後に本銃を採用。
東側諸国でも供与やライセンス生産がなされるようになる。

後に西側が重量が軽く低反動で貫通力に勝る5.56mmNATO弾を採用した銃器(M16など)を使用していることに対抗して、5.45mmを採用したAK-74が開発される。

輸送面や前線での取り回しはAK-74の方が合理的ではあるものの、
一度定着したものは簡単になくなる筈もなく今でもAK-47を運用、生産されている地域は存在する。


◎長所

『頑強』

ソ連が想定する戦場は砂漠や極地等の環境負荷の高い地域であった。
そのため部品のブロック化(部品数の削減)、部品間のアソビに余裕をもたせる等の工夫をもって設計され、
基本的にどのように扱っても(水につけても、凍っても)作動不良が起きにくい、驚異の頑強さが最大の持ち味。
(発砲時のガス圧を利用し内部の汚れやススetcを押し出せる作りになっている)
また銃弾の不良にも強く、よほど低品質の弾薬でもなければ作動不良は起こさないとされ、重いボルトが多少歪んだ弾薬(弾倉から抜いて地面にバラまき、一度踏み付けた弾薬)すらきっちり叩き込み作動させるその能力は賞賛に値する。
ただし、完全な泥に漬けてしまうと、チャージングハンドルを動かすための切り欠きから機関部に泥が入ってしまい、その状態だと流石に動作不良は起きる。

ちなみに、トライアルでライバルだった銃は、当時のソ連における小火器の権威であったトカレフの影響もあり、「ゴミが入らないようにギチギチのパーツ組み」をしていたため、冷えて金属が収縮し、ボルトが機関部内で詰まって落選した。

『安価』

上記のような工夫と同時に、極力工作精度を要求しない設計となっており、安価に生産できる。
当時ソ連の工業力は「車に入れた猫が一晩逃げなければ気密に優れると認められる」と揶揄される程であり、大量生産するには要求される技術水準を下げる必要があった。
結果としてロシアの純正品はおろか、各地のライセンス生産品、果ては手作業の内職で作られた密造銃など、品質を別にすれば世界中至るところで作られ続け、製造におけるハードルの低さを証明している。
日本では某教団もAK74をフルコピーしたが、フルプラスチックに近かったためかなり低性能だったとか。*1
いくら作りやすい事を売りにしても銃器開発のノウハウの全くない素人集団が教育もなくコピーするのはさすがに無理だったようだ。
まあそれでよかったのだが。あんな連中が簡単に作って武装したらあの時代はどうなっていたことか
ただし、勘違いされがちだがAK=安価のイメージを作り上げたのは中国のクローンである56式であり、純ロシア製のAKは高級品である。

『すぐに使える』

基本、自動銃とは精密な工業製品であり、メンテナンスが不可欠なためしばらく整備訓練が必要となる。
だがカラシニコフであれば「敵に銃口を向けて引き金を引けと教えるだけですべて事足りる」と言われるほどである。
先述のタフさから頻繁な点検が必要なく、部品点数の少なさから整備自体も楽だと言われ、訓練に要する期間の短さは銃のみならず「兵」の数を揃えることを可能にする。



◎短所

『重い反動』

他の先進国で主流の5.56mm弾等の小口径より銃弾の威力が高い分、反動も激しく射手の疲労を招き易い。
さらに、先述したようにボルト(遊底)の重量がかなり重いため、反動の強さに追い打ちをかけている。
ただ同口径の銃としては比較的軽い部類に入る。

『低い集弾性』

上述の反動のためでもあるが、一般に工作精度が低く照門も拳銃並にお粗末なため狙撃や火点制圧等には全く適さない。
まぁ元々必要とされてない能力のため、ケチつけと言えなくもない。

『拡張性の低さ』

流石にM16系列に比べると見劣りする感は否めない。
最近は改善もされているがやはりマーケットに無限にカスタムパーツがあるM4には敵わない。

『大量の粗悪品』

銃そのものの欠点ではないが、簡便な設計から多くの模造品が生産され、中には銃としてまったく機能しないどころか、発砲が危険なものまで出来てしまっていたりする。

『操作性』

セレクターレバー、ボルトハンドルが右側のみ、マガジン装脱着に癖があり、さらにボルトストップ機能は無し、曲銃床のためフルオートの制御が困難、などなど…
しかし近年、操作性を向上させるパーツやテクニック等は多数出回っており、致命的欠点とは言い難い。



◎総評

《如何なる過酷な状況でも確実に作動する》
この大きなアドバンテージが、欠点を補って有り余ると言っても過言ではないだろう。

アメリカ軍人をして「もし未知の惑星に武器を持っていくのならこれにします」とまで言わせたこともあり、実際ベトナム戦争では、ベトコン、北ベトナム軍が装備したが、制式採用されていたM16は登場したばかりでデマによる清掃の怠りが多くアメリカ軍兵士も鹵獲して使用した。(A1になってから問題は解決したが。)
特殊部隊においては信頼性だけでなく、「敵に発射音を聞かれても、敵味方の判別がつかない」という点からも重宝されたという。
また、アフガニスタンでは、AK-74を装備したソ連兵がAK-47を装備したゲリラとカラシニコフ銃同士の撃ち合いになっている。

他にも、FN-FALなど古い西側製からAK-47に切り替える国(内戦があったアフリカ諸国やマルタなど)もあれば、傭兵たちのように現代になっても愛用している階層もいる。
やはり補給・整備能力を確保できるかわからない状況では、簡単に調達できて長く使えるといったメリットは計り知れないほど大きいようだ。
最近だとウクライナにおいて親ロシア派と親EU派で内戦が行われているが、どちらの勢力もAK74を使用して戦っている。


このようにAKシリーズは世界中の紛争地域に大量に出回り、こう呼ばれるに至ったのである。

「世界最小の大量破壊兵器」と。

世界一量産された工業製品であり、正確な数は不明だが、一説には非正規品を含めれば1億丁を遥かに超えるとも言われる*2


ちなみに、AK-47を製造していたカラシニコフライフル製造会社「Izmack」(イズマッシュorイジェマッシ)はその売れっぷりから大繁盛、かと思っていたら2000年代から経営危機が噂され、2012年には破産してしまったそうな。
コピーされすぎて自社純正品が売れない、という嬉しくない理由で……
まぁ、ロシア政府が公的資金突っ込み、マカロフとかMP-443とかを作ってたイジェメク(Izhmekh)と合併させて、カラシニコフ・コンツェルンと改称したうえで立て直してはいるが。



値段

アフリカの紛争地では安いのは日本円換算で500円から3000円程で買える。
東京マルイの電動ガン(30000円位)よりも恐ろしく安い。

しかし粗悪なコピー品がほとんどなため、正常に動くかは不明。
弾薬に関しても一発15セント程で入手可能と言われるが、やはり粗悪品も多数流れてるのが現状。
特にルーマニア製は材質が悪いのか、「フルオートで撃っていると銃身が曲がってくる」という話まである。
良いAKが欲しいなら、ロシアかブルガリア製を探そう。
意外にも中国製も良質であり、射撃ツアー主催者等アメリカのフルオート火器免許所持者からの人気が高いという。



《トイガン》
❲東京マルイ❳
箱出しで安定した性能のスタンダード、なかなかの塗装仕上げの次世代やガスブロ、実用主体のハイサイクル等バリエーションはイロイロあります。

❲LCT❳
AKユーザーの終着駅。鉄と木で出来たトイガンとしては最高峰の一品。特に同社の47は、レシーバーをスチールブロックから削り出しで再現!

CYMA等の大陸系メーカー
内部調整や手直しは必要だが、安価で粗い造りはある意味ではリアルかも。



《派生》
大成功した銃だけあって改良・改造を受けたものは多い。
以下、派生のほんの一部

AKM (生産性を向上させたり直銃床や着剣ラグを導入した近代化改修モデル)
AK74(5.45x39仕様の小口径モデル)
AKS74U (上記のショートモデル)
56式歩兵槍(中国製造のコピー)
AK-100シリーズ (輸出モデル)
RPK(分隊支援火器モデル)
AMD63、65(ハンガリー独自の改修モデル)
AIM、AIMS (AKMのルーマニア製造モデル)
ザスタバM70 (ハンドガード延長の他、ボルトストップ機能やライフルグレネード用ガスカットレバー兼照準器などが追加された旧ユーゴスラビア製ライセンスモデル)
OTs-14グロザ(特殊部隊用ブルパップモデル)
PP-19ビゾン(サブマシンガン


《フィクションで登場する作品》
メタルギアソリッドシリーズ
バイオハザード CODE:Veronica
バイオハザード5
ゴルゴ13
BLACK LAGOON
BATTLE ROYALEⅡ
ブラックホーク・ダウン
ランボーシリーズ
ティアーズ・オブ・ザ・サン
ひぐらしのなく頃に
他、FPS、ガンシューティングゲームなどの大半の作品。



余談


  • わが日本の陸上自衛隊も、AK-47やRPG7ロケットランチャーを研究用にロシアから購入したという噂がある。

  • ゲーム「剣と魔法と学園モノ。」では AK-B48 というどっかで見たようなネーミングの銃が登場。男性が装備すると呪われる。
    • ちなみにAKBという銃は実在する。

  • ちなみに開発者のミハイル・カラシニコフはAKの繁栄ぷりっとは打って変わって平和主義者。AKも本来侵略兵器としてではなく、外敵から祖国を守るための銃として望んでいる。
    ある銃を持った日本アニメのキャラクターを見せられたときは「子供に銃を持たせちゃいかん」と指摘したとか。

    ちなみに肝心の銃の腕前はと言うと・・・「名銃開発者の開発者と銃の腕前は比例しないと感じた」と言われる程度。
    それでも銃開発の職業病から聴力をほとんど失っている程の職人である。




追記・修正、任せた。

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最終更新:2024年03月20日 03:33

*1 例の宗教に金属工学をちゃんと学んだ人間はほとんどいなかった(理系はほとんどが理学部出身者)ためか、金属加工が粗悪だったとされる。それでも押収品にはきっちり殺傷能力はあったため、殺傷能力のある銃を組織的に密造しようとしたことが非常に危険視されていた。

*2 参考までに、ホンダのスーパーカブの生産数が2017年に1億台に達したと言われる