ザ・グリード

登録日 :2010/02/15(月) 00:17:56
更新日 : 2017/04/25 Tue 10:32:25
所要時間 :約 10 分で読めます




生きながら喰われ、溶かされる。


『ザ・グリード』(Deep rising)は1998年のアメリカ映画。

あらすじ
南シナ海を航海中の3000人を乗せた豪華客船アルゴノーティカ号は、システム制御室に侵入した何者かの手により航行不能となる。その直後、船は強い振動に襲われ、乗員・乗客は次々と姿を消してゆく。

同じ頃、ジョン・フィネガン率いる密輸船は、荷物とその依頼主である怪しげな一団を乗せ暴風雨の中を進んでいたが、アルゴノーティカ号に搭載されていたモーターボートに衝突、航行不能となる。立ち往生した彼らだが、アルゴノーティカ号を発見。すると、同乗していた一団が密輸船を乗っ取る。彼らはアルゴノーティカ号にて強盗を働こうとしていたのだ。やむなくフィネガン達は従い、アルゴノーティカ号に乗り込む。

ところが3000人の乗船客がいる筈の船内に人影はなく、見つかったのは船主と船長、財布をすったとして捕まった美女の3人のみ。そして、乗客消失の犯人である“何か”が一行に襲いかかる。

以下、登場人物


  • 主人公サイド


◆ジョン・フィネガン
演:トリート・ウィリアムズ

オレはいいワインと同じと語る主人公であり、密輸船の船長。
乗せた客が豪華客船狙いのテロリストだった為、今回の事件に巻き込まれる。
ヒロインを船に乗せる条件は「お前の身体」…などではなく「冷えたビール」

序盤、客との一悶着に腰を抜かしそうになるが、船内で水上バイクをかっ飛ばしたり、とんでもない怪物にも物怖じせず
「ガン飛ばすんじゃねえ!」
と、ショットガンで目を打ち抜いたりと大活躍。
基本的に小悪党の悪女であったヒロインも参ってしまったように、惚れた視聴者も多いことだろう。
「お次は何だ?」


◆トリリアン・セント・ジェームズ
演:ファムケ・ヤンセン

ヒロイン。
逮捕6回、有罪5回、4ヶ国から指名手配中の女スリ。
船主と船長に「仕事」を見破られとっ捕まっていた。
カードキー渡して良かったね。
「自分に乾杯!」


◆ジョエイ・パントゥーチ
演:ケビン・J・オコナー

密輸船の整備士。
ボディボード一つで大海原を渡れる、恐らく作中最強の人物。

お人よしな点や名前の響き、作中唯一のムードメーカーぶりからファンが多い好人物でもある。
「会いたかった?!」


◆レイラ
演:ウナ・ダモン

密輸船の副操縦士。
テロリストが正体を明かした際人質に取られ、密輸船居残り組と共に怪物においしくいただかれました。
密輸船クルー唯一の犠牲者。でも死体描写なし。
ちなみにパントゥーチとはいい関係だった。初っ端からセクシーカット。


◆サイモン・キャントン
演:アンソニー・ヒールド

今作の舞台・豪華客船アルゴノーティカ号の船主。 またの名をチルトン博士。
持ち船が停止した所をピンポイントで怪物に襲われた不幸な人。

実は全ての元凶。
裏でテロリストと手を組んでおり、保険金と船内の金品目当てにシステムに細工し、テロリストを招き入れた。
その悪行の報いか、怪物に船を襲われた挙句、最期は満身創痍で質量弾と化した密輸船諸共バンザイアタックする羽目に。 自業自得ざまぁ第2号。


◆アサートン
演:デリック・オコナー

アルゴノーティカ号船長。
線の細いビビり。
脱出途中、怪物に丸呑みにされた。


  • テロリストサイド


◆ハノーバー
演:ウェス・ステュディ

密輸船をジャックしたテロリストのリーダー。
典型的な軍人系悪役。
怪物から逃げるため、パントゥーチを撃ち囮にし逃げるも、後に怪物に 喰われ待ち になる。パントゥーチが発見し、情けをかけ拳銃を渡すもあろうことかパントゥーチに向け発砲。
「この、恩知らず!」
それで弾切れになり、おいしくいただかれましたとさ。
自業自得第1号ざまぁ。


◆モリガン
演:ジェイソン・フレミング

ハノーバーに雇われた傭兵の一人。
電子機器担当で、乗船の際に格納庫の扉を開けたり、船内見取り図を見ながら一行を誘導する。
その役目も船のオーナーであるキャントンの合流後は形骸化したように思われたが、
モリガンが居なくなった途端、彼は主人公たちに嘘の道を教え、自分一人で逃げ出した。

中盤、辿り着いた気密室で(銃を突きつけながら)「救助が来るまで協力して立て籠もろう」と主張。
悪人らしからぬ台詞で、自ら盛大な死亡フラグを立てる小心者なところが憎めない人物。
大方の予想通りそこが彼の墓場となった。


◆メイソン
演:クリフトン・パウエル

傭兵たちのナンバー2で、仕事(といっても犯罪行為だけど)に実直。おふざけが過ぎる他のメンバーをどやす一幕も。
怪物に対面して生まれて初めてブルったらしい。彼が頭蓋骨を踏みつぶした音で怪物が襲ってくるシーンはテレビ版ではカット。
余談だがシナリオではチンという役名だった。演じる役者の人種による変更か。
彼に限らず傭兵チームは雑多な人種で構成されており、まさに世界中から召集されたといった趣である。
水没した区画を潜水中怪物に襲われ、最期は自爆して果てた。


◆マムーリ

演:クリフ・カーティス

人生の目標は死ぬまでに世界中の女とヤることと公言して憚らない男。
レイラにも手を出そうとしたり、フィネガンたちの見張りもそこそこに壁のヌード写真に夢中になるなど
そのスキモノっぷりには同僚たちも呆れるほど。
劇中ではその強烈なキャラ付け以外大した活躍もなくあっさり怪物に飲まれてしまった。

こんな彼だが、後のハリウッドではテロリストとしてシュワちゃんと戦ったり、世界一ついてない男に協力したり、
リュック・ベッソンプロデュースの下で女暗殺者を育てたり、エディー・マフィーを諭したりと八面六腑の活躍を見せている。
本作の翌年に公開され、同じように船が舞台で殺人マシーンと戦う映画「ヴァイラス」では
恵まれない子供たちのために学校を建てるのが夢という綺麗な彼を見ることができる。

これまた余談だがシナリオではモリガンと役名が逆になっていた。


◆ヴィーヴォ
演:ジャイモン・ハンスゥ

傭兵チームの爆破担当。
本来なら金庫室の扉をこじ開けるのは彼の役割だったはずが、トリリアンから奪ったカードであっさり開錠。
そして怪物が入ってきたと勘違いされ、キャントンに斧で頭をぱっくり開帳。
しかも終盤の発言からやつはそのこと(殺人)をすっかり忘れていた模様。ひどい。
数年後ディカプリオ映画でオスカーを受賞する彼にもこんな下積み時代があったのかとほろりとさせられる。


◆T.レイ
演:トレヴァー・ゴダード

筋肉モリモリマッチョマンの傭兵。絵に描いたようなパワー系。
オーストラリア出身。体臭を気にしていると思わせるような描写も。
船酔い体質なのに同僚たちに悪戯されてゲロったり、死に際の描写が他と比べてはっきりしなかったり
結構不憫な役回り。


◆ビリー
演:クリント・カーティス

魚雷発射担当で、チームのなかでは一人だけ船に残った。
活躍らしい活躍がなく、テレビ放送でも後述の理由から「あれ、こいついつ死んだっけ?」
と言われることの多いかわいそうな人。

彼の最大の見せ場は何と言っても、 裂けた怪物の腹から消化途中の溶けた状態で姿を現すシーン。
犠牲者の末路を端的に表現したインパクト大のショッキングなビジュアルは、ビデオ・DVDのパッケ裏や予告編でも使用された。
が、流石に地上波では規制がかかった。南無。


◆M1L1三銃身(トリプルパルス)突撃銃

この映画を語るうえで外せない、もう一人の登場人物と言っても過言でない(?)登場兵器。

ハノーバーが今回の作戦のために調達したアサルトライフル。
五本の銃身(じゃあ何がトリプル?)が回転し、大量の弾丸をまき散らす様は小型のガトリング銃といったところ。
1000発の連続射撃が可能とのことだが、これが装弾数のことを差しているのかは不明。
(ベースとなったキャリコM955Aのマガジン容量は100発)
耐水性で、この時代のものにしてはドットサイトとフラッシュライトを標準装備していたりと気が利いている。
何故か中国製という胡散臭い設定。

プロップガンは実際に発砲に連動して銃身が回転しているが、よく見ると真ん中の穴からのみ火炎を吹いているようである。


◆グリード

今作の象徴とも言える怪物。
深海からアルゴノーティカ号の船底をぶち破り侵入、乗客の殆どをペロリと平らげた。
見た目はでっかいミミズ。
好物は人間の体液で、獲物を内側にびっしり細かい歯の生えた口で丸呑みにし「絞りカス」を排出する偏食家。
視覚を持たない代わりに聴覚が非常に発達しており、かすかな物音に反応して獲物を捕らえる。
その姿からキャントンに「古代の深海に棲息していたワーム類の一種」と推測されていた。


正体はでかい口とつぶらな瞳がキュートなタコのような巨大な生物で、ミミズに見えたのはこいつの触手。
弱点は本体で、攻撃すると触手も怯む。
本体は劇中終盤まで登場しなかった為、ジョン達は「無数の怪物が船内に侵入した」と勘違いしていた。
てか、こんなのに船底ぶち破られたら普通船沈むんじゃ……。

ちなみに、名前の由来は七つの大罪の一つ「強欲」を表す「グリード」。



物語のラストは主人公のジョン・フィネガンとヒロインのトリリアン・セント・ジェームズ、そしてお調子者のジョエイ・パントゥーチが船から脱出し、無人島に辿り着くのだが、この島にもなにやら巨大生物が潜んでいると思わせる描写で終わった。
今まで続編が発表されてないことから、おそらく今後も続編は期待できない。
ってか上記の結末から続編あると思ってついつい検索かけてみちゃうのはこの作品を初めてみた人がよくすること。
たぶん、皆が思ったはず
何故だ!?面白かったぞ!!
と。

BLACK LAGOONの作者である広江礼威氏の好きな作品でもある。


志村!後ろ後ろ!


さらに余談だが、「グリード」でググっても余裕でこの映画がトップに出てくる。人気すげーなおい。

オープニングテーマ(BGM)も評価が高く、わくわくドキドキにほのかな恐怖感を漂わせる曲となっている。

冒頭の豪華客船では、さまざなま国の富豪がカジノや飲食に興じているが、催しの一部として日本人が奇声を上げて太鼓を叩いていたりする。犠牲になったんだろうなぁ。

脚本では客船の名前が“フジマル”だったり、オープニングに日本の深海調査艇が登場するなど、完成した本編よりさらに日本を意識していたことがうかがえる。

なお、DVDは現在廃盤となっており、レンタルもされていない。
U-NEXTや楽天ショウタイムやdビデオなどでは配信されているので、気になる人はここを利用するのも手である。


米IMDbによると、なんと当初主人公のフィネガン役はあのハリソン・フォードにオファーがいってたそうな。
確かに監督の次回作ハムナプトラがインディ・ジョーンズシリーズへのオマージュに溢れていたことを思えば、
どんな危機的状況でもニヒルな笑みを絶やさないソロフォード船長を想定しながら脚本を書く様が容易に想像できるが…

結果的にフォードの出演が無くなったことで製作費は縮小されたが、それでも当時のレートで約50億という
我々の認識よりも遥かに大予算のかかったB級映画なうえに、北米での興行収入は約三分の一とふるわなかった。
日本国内で低コストのジャンクフード感覚で幾度もテレビ放送がかかったのはここら辺に起因するものがあるのかも(それでファンを増やしたのは皮肉というべきか…)


当時国内でどの程度のヒットを飛ばしたかは不明ながら、配給はハッタリ宣伝で悪名高い有名な東宝東和。
チラシに踊る 「90分で3000人―喰って、喰って、喰いまくれ!」 をはじめとした名キャッチコピーの数々は必見である。


語録(テレ朝吹替版)

※翻訳はコマンドーで有名な平田勝茂氏、以下ネタバレ注意
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追記、修正
お次は何だ!?

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