軽音楽部

登録日:2012/06/27(水) 13:10:06
更新日:2023/09/22 Fri 20:44:09
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軽音楽部とは、ロックやポップス系のギタリストやベーシスト、ドラマーの多くが経験する青春の一頁。

活動内容は複数のバンドが集まり、年に数回教室体育館などでライブを行うというもの。

それなら普通に「バンド部」でいいじゃんと言いたくなるところだが、なぜ「軽音楽」などという聞き慣れない呼称が使われているのかというと、話は1960年代ごろにまで遡る。

当時、ビートルズなどの影響で日本でもロックバンドというものが世間に知れ渡るようになりつつあったものの、新参者であるロックという文化は当時の日本では肩身が狭く、大人数による緻密なオーケストレーションが必要とされるクラシック音楽などとは分けて扱われ、「少人数編成で、中身(芸術性)が無くて、敷居が低い音楽=軽音楽」という呼称が用いられるようになったのだ。
それが慣例となり、形骸化した今でも名前だけが残っているというわけである。
(こんな名前をしているせいで、「けいおん!」の平沢唯はどんな部活なのかを盛大に勘違いしたまま入部する羽目になってしまった。)


既存の楽曲をコピーするバンド(コピバン)が主流。
コピーされるバンドはロキノン系が多く、次いでビジュアル系あたりが多い。
基本的にはその時代に流行った曲が選曲されるが、
L'Arc~en~CielBUMP OF CHICKENなどは世代を超えて根強い人気を誇る。
近年ではオタク趣味が世間に浸透してきたこともあり、アニソンもよく演奏されるようになった。
ENOZ、放課後ティータイム、Girls Dead Monsterなんかが定番か。
また、中にはプログレッシブ・ロックデスメタルなどをやる猛者達もいる。

オリジナルの曲を演奏する場合も稀にあるが、そういった層は基本的にライブハウス等、学外を主な活動場所にするケースが多い。
やはり意識の違いか。

あまり縁がない人はリア充の巣窟だと思いがちだが、実際はそうでもなかったりする。
「けいおん!」などの影響もあるが、それ以前から「なんとなく家に篭りがちで無趣味な人が一念発起してバンドを組む」という側面が強いからである。
理由も「モテたい」「なんか楽しそう」などふわふわしたものが多い。
実際、現在プロとして活躍しているバンドにも学生時代は地味めのグループだった、という例も少なからず存在する。

イカ天時代のような大きなブームは去ったとはいえ、現在もバンドは音楽シーンを支える大きな柱の一つである。
新たなバンドの芽が育つ土壌として、軽音楽部は欠かせないものなのである。

軽音楽部でバンド活動の初歩をやってみたり先輩に教わったりでバンドの楽しさを知って学外でバンドを組む→たまにプロになれるというケースも多い。
また、軽音部内で結成したバンドがほぼそのままor若干のメンバーチェンジでプロデビューに至るケースもあり、
この例としては聖飢魔II(早稲田大学)、PENICILLIN(東海大学)、ヤバイTシャツ屋さん(大阪芸術大学)、SHISHAMO(川崎総合科学高等学校)がある。
一部メンバーチェンジした例としてはBLUE ENCOUNT(熊本高等専門学校、Baのみ他校出身)などがある。




……さて、冒頭で述べたようにある種青春の象徴であり、ある意味では日本の音楽業界を支える部でもあるのだが、
一方で青春時代特有の黒歴史の宝庫でもあったりする(もちろん全部がそうではないが)。

以下、軽音楽部にありがちなこと。

  • ボーカルが聴こえない
  • ボーカルが高い声が出ない
  • むしろ低い声も出ない
  • 練習前に必ず「今日調子悪い」というボーカル
  • ボーカル「もっとテンション上げろよ~」
  • やたら音量を上げるギター
  • やたら歪ませるギター
  • エフェクターを買うカネをケチって、歪みはアンプの「GAIN」のツマミだけで済ます
  • ギターソロをごまかすギター
  • 教室で意味もなくバンドスコアを開いて音楽やってるアピール
  • 理由もなくギターやベースを持ち歩く
  • ジャンケンで負けて仕方なくベースになる
  • 低音がでかすぎて心臓に悪いベース
  • 原曲無視でルート弾きだけするベース
  • ギターどころか、何故かベースまで歪ませまくってくる
  • 一定のリズムを維持できず、とにかく走るドラム
  • 途中でバテるドラム
  • 生音で十分なのに音量を上げたがるドラム
  • MCが単なる内輪ネタ
  • MCで客(しかもそれすら身内)を弄りだす
  • ライブ後録画したビデオやDVDを見て「俺ら意外と上手いじゃん」


……といった感じ。
高校・大学時代に軽音楽部のライブに行ったことがある人なら、そこはかとなく漂うgdgdなふいんきを理解出来ることだろう。


全体的な傾向として、
1.対外性に欠け自己満足に陥り易い
2.音量調整の不備
がある。

1.の原因として、軽音楽の最初のハードルの低さが挙げられる。
例えばエレキギターの場合、コードさえ押さえられれば何となくは形になり、歪ませることで多少のミスはごまかすことができる。
そのため、ある程度の所で向上心を失い易いのだ。
また、見た目やノリも重要なファクターなので、それらに釣られて演奏が疎かになりがち。

2.の原因として、軽音楽はクラシック等と異なり、アンプとスピーカーでの音量の増幅が前提となっている点が挙げられる。
つまり、音楽として聴かせるには理想的なステージと音響設備、PA技術が必要となるのである。
そのため、学校の備え付けの設備と素人のオペレーションではどうしても限界があり、
ボーカルが聴こえなかったり、ドラムの音で全て掻き消される、といった現象が頻繁に起こるのだ。

……まあ、以上の例は割と誰しも通る道。
こういったほろ苦い経験を通じてバンドとして、人として大きく成長していくのである。
どうか暖かい目で見守って欲しい。


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最終更新:2023年09月22日 20:44