ブレイク・ピラー

登録日:2011/08/02(火) 01:24:45
更新日:2023/03/20 Mon 02:13:21
所要時間:約 7 分で読めます





※推奨BGM:「Restart」



閃光と破壊、絶望と苦悩。

命奪いし戦火の中で、
人々の思いが交差する。


次回

散りゆく光の中で


愛が憎しみに変わる前に。









此処にいる全市民の方々に報告する。私は…地球連邦軍情報作戦室所属、パング・ハーキュリー大佐。
私は同志達と共に、このステーションを占拠した。
駐留軍、各生命維持施設、リニアトレイン、そして…太陽光発電システムも、私達が掌握している。
私達の目的はただ一つ。連邦政府直轄組織…独立治安維持部隊アロウズの蛮行を世に知らしめ、その是非を世論に問う為である。

反政府勢力を排除する名目で彼等が、数百万規模の虐殺を行っている事実を…あなたはご存知か?
中東再編の為、罪も無い多くの人々が殺された事をご存知か?
そう…。あなた方は連邦政府の情報統制によって、偽りの平和を与えられ、知らぬ間に独裁という社会構造に取り込まれているのだ!
この事実を世に知らしめる間、あなた方の命を預からせて貰う!憎んで頂いて構わない。

だが…これだけは断言する!我々は連邦市民の利益と安全を守る軍人だ。
故に誤った政治、間違った軍隊を正す事もまた…我々軍人の使命なのである!!





「ブレイク・ピラー」とは、機動戦士ガンダム00の西暦2312年に起こった大規模テロ事件である。



【概要】

地球連邦平和維持軍の一派が反政府勢力「カタロン」と共にクーデターを起こし、
旧AEU領軌道エレベーター「アフリカタワー(旧名:ラ・トゥール)」を占拠し、居合わせた約6万人もの市民を人質に取った事に端を発する。

首謀者は旧人革連領出身、地球連邦軍情報作戦室所属のパング・ハーキュリー大佐。

連邦政府は独立治安維持部隊アロウズの展開、ハーキュリーと旧知の仲であるセルゲイ・スミルノフ大佐を派遣する等して対応するが、
焦ったのかクーデター派は逃げようとする人質を銃撃・殺害する暴挙に出る。
最終的には低軌道ステーション下を爆破し、オートパージされたピラーの外壁を地上に降らせた。
(この際、救出した人質を乗せたリニアトレインもレールの崩壊により全編成が脱線・大破している)
パージされた外壁はアフリカ大陸を横断する範囲に落下したが、連邦正規軍とアロウズの決死の破壊作業により都市部への直撃は奇跡的に回避され、
脱出してきたハーキュリー大佐も乗機を撃墜され死亡した。

これにより一応の終息を見せた本件ではあるが、崩壊したアフリカタワーは送電能力を失い、その回復には4ヶ月もの歳月を要した。

上記を見て分かる通り、人類史上最大級のテロである事は間違いないだろう。



【余談】

軌道エレベーターの電力送信に関する事件として、西暦2309年に大量のアステロイドの破片で太陽光を遮断するテロが起こっているが、
物的被害と多数の犠牲者を出したこちらの方が遥かに凶悪である。




……項目を荒らす理由など、関係ありません。

我々は…Wiki篭りとして、項目を追記・修正するだけです。良項目を勝ち取る為に……。

ああ。勿論だ、准尉……!
















































正規軍によるクーデター…この事実が公表されれば、反政府運動が広がる可能性がある…!



偽りの情報で市民を煽る…連邦お得意の世論操作よ…。

こんな卑劣なやり方が、恒久和平を齎す訳がない…!だからこそ!我々は連邦を打倒しなければならないのだ……!



……この偽情報は世論を味方に付け、攻撃を始める為の布石……!

アロウズは何か手を持っている……!




































   *   *
 *   +うそです
  n ∧_∧ n
+ (ヨ(*´∀`)E)
  Y   Y  *





反乱分子、カタロン、そしてソレスタルビーイング…。纏めて受けるがいい、神の雷をな……!



……考えが甘かった……。

私が市民を人質にした時から、連邦は事実を知った彼等すら…反連邦勢力と見做したのだ…。

ん?

そう。連邦はこの場所を破壊し、6万もの人命を奪う事で、その支配体制を確立させようとしている……。

クッ……!馬鹿げた事を……!





実際に市民の殺害や破壊行動を行ったのはアロウズ。
オートマトンで人質を殺害し、衛星兵器メメントモリ2号機でピラーを攻撃した真実を連邦政府は隠蔽し、
ヴェーダによる情報統制でクーデター派が悪の権化であるかのように捏造したのだ。
これには真実を知った人質達の暴露行為を防ぐ為に謀殺し、市民に反政府思想を蜂起させないといった狙いがあり、
現政権をより堅固なものとする為の行動であった。

これは厳密には、武力によって政権掌握を図るクーデターですらない。
ハーキュリー達は、自分達は殺されるのも想定内。
人質にとった一般市民6万人が真実を知ったことで、緘口令を敷かれようが彼らから真実が徐々に広まって行き、
やがて世界中の人々がアロウズ主導の政治体制の歪さに気付いてくれるだろう、と考えており、それが狙いだった。
無辜の民6万人に対しては、流石のアロウズも無暗に投獄や暗殺等と言う方法には出ないだろう、と考えていたのである。

彼らは、その見通しは甘かったことと、アロウズの狂気を思い知ることになる。

それを私設武装組織 ソレスタルビーイングが黙って見ている筈も無く、彼らも現場へと急行。事態の鎮静化に乗り出した。
ダブルオーライザーは低軌道ステーションを狙撃しようとするメメントモリ2号基の破壊、
ケルディムガンダムアリオスガンダムセラヴィーガンダムの3機は地上への被害を最小限に食い止める事を目的に出撃。

結果、ライザーソードでメメントモリは中破し、低軌道ステーションへの直撃は避けられた。


あっ…。やった…!

駄目だ!

えっ……?

や…止めろ……!


止めろぉおおおおおッッッ!!!!!



が、直撃が避けられた所までは良かったものの、レーザーはピラーに掠って外壁をオートパージさせてしまう。


レーザーがピラーに着弾!ピラーの外装部がオートパージされています!


それより下の部分は……地上に落ちる……。


ソレスタルビーイングの戦術予報士スメラギ・李・ノリエガはその予測被害を恐れ、身元が判明する危険性を承知で有視界通信で全部隊に外壁破壊作業の指示を出す。


現空域にいる全機体に、有視界通信でデータを転送します。

データにある空域に進入してくるピラーの破片を破壊して下さい。その下は、人口密集区域です。

このままでは、何千万という人々の命が消えてしまう。だからお願い…。皆を助けて!


そして、「市民を守りたい」という気持ちが1つになり、連邦正規軍、アロウズ、カタロン、ソレスタルビーイングが一丸となって銃口を空へ向けた。


こんな状況で、全てが一つに纏まってゆく……!

皮肉なモンだな。フッ……だが、悪くない。


そうして、各勢力の奮戦により、何とか都市部への被害は抑えられた。


……が、勘違いしたスミルノフ親子に悲しい擦れ違いが起こってしまう……。


この惨状は…!お前達が引き起こしたものだ!!
き、貴様……!
その声…!
ア、アンドレイ!?
父さん…?まさか、反乱分子に……!何を……何をしてるんですかアンタは?!
ま、待て…!
軍規を守って母さんを殺したくせに!クーデターに!!加担するなんて!!!
待つんだ、アンドレイ!
軍人の風上にもぉッ!!!

母さんの!!!
アンドレイ……

仇ぃぃぃぃぃッッッ!!!!!





この事件を扱った第17話「散りゆく光の中で」は、2ndシーズン屈指の燃え回であり、「特に印象に残った話は?」と聞かれるとこの回を挙げるファンも多い。
約20分ある本編の大半をモビルスーツが埋め尽くし、しかもその中には旧三国家群の機体も数多く登場。
新旧揃い踏みのモビルスーツが陣営の垣根を飛び越え、共通の目標の為に尽力するとは、何と胸熱な展開ではなかろうか。
そしてそれが終わったと思ったらあの展開である。ボリューム満点ってレベルじゃねぇぞ。

勿論、こんなんだと作画も尋常じゃない。「散りゆく光の中で」の動画枚数は何と……


17000枚である。

17000枚である。


1 7 0 0 0 枚 で あ る 。


大事n(ry。
普通のアニメが大体3000枚ちょい程度と考えると6倍近い。
しかも線の多いメカ作画が大量にある(手間はキャラ作画の約3倍と言われている)。

作画スタッフの途方もない労力とそれをやり遂げた異常なまでの士気の高さがお分かり頂けただろうか?

だがその反動か、この前の回である第16話「悲劇への序章」のBパート後半に、第15話「反抗の凱歌」のCパートが丸々使用されている。

因みに、この回の絵コンテ担当は、自重しない副監督こと長崎健司氏。
彼は劇場版でもガデラーザ無双@火星圏を担当し、尺を大幅にオーバーしたコンテを提出した。
また、本作が一期二期へ分担された理由にこの回が挙げられている。



【ゲーム媒体での扱い】
スーパーロボット大戦シリーズ
第2次Z再世篇』でも再現された。ZEXISの半分は上空でピラー破片を破壊(完全な空中マップになる)、半分は地上でピラー破片破壊を妨害してくるインベーダー次元獣を掃討し、民間人の避難誘導を行う。∀ガンダムの月光蝶の封印もここで解かれる。
兎に角ピラー破片の数が多いので、MAP兵器を使って片っ端から破壊しよう。厳しいならNPCに頼っても良い。
幸い破片のステータスは低いので破壊はし易いが、その分実入りは少ない。「ピラーのステータスって何だよ?」とか言っちゃいけない。
あと、破片相手だろうと攻撃手段がないので歌うバサラ(もちろん効果なし)というのも出てきたり。
ただ、システム上攻撃出来なかっただけでシナリオ的にはバサラも破片の破壊活動には参加していた*1ようで、邪魔しに来た次元獣との戦闘前会話で不快感を露わにしている。

原作再現により敵勢力であるルイス・ハレヴィアンドレイ・スミルノフセルゲイ・スミルノフ、原作ではこの時登場しなかったパトリック・コーラサワー
そしてガンダムエピオンミリアルド・ピースクラフトまでもがNPCとして参加してくれる。
……但し、コーラサワーだけは撃墜されても復活出来ない。プレイヤーのMAP兵器に巻き込まれて焼かれる事も。

なお、立ち位置上はアロウズと敵対する自部隊にとって友軍ともいえるハーキュリーだが、市民を巻き込む手段を使った事で自軍からはボロクソに叩かれている。
また、本作でハーキュリーを裏で操っていたのはこの人だった。

敵勢力の妨害もあってか、原作よりも味方の数が多く、真ゲッターなどのスーパーロボットも活躍したにも関わらず、原作同様に破片を全て消滅仕切れず地上に被害が出た展開となっている。


VS.シリーズ
対戦ステージにアフリカタワーが存在し、事件の真っ最中で画面外ではミラーが落下し続けている。
ミラーの描写でメモリを喰うのか動作が重いステージであり、ファンネル機4体で戦ったり、ボス機体が存在すると高確率で処理落ちする。


SDガンダムGジェネレーションシリーズ
『ワールド』ではランクDのステージ2として登場。
最初はピラー破片とアロウズのみが敵であるが、ブレイク1で脱走中のアスランとそれを追うシン・アスカレイが、ブレイク2ではフロスト兄弟ら新連邦軍が乱入してくる。シークレットはヒイロ搭乗ウイングゼロ
大惨事の中でアスラン脱走イベントが再現されているのがなんともシュール。錯乱しているのはシンとレイもだ。

『クロスレイズ』でも再現されているが
  • アロウズの虐殺がなく、ハーキュリーが民間人をわざと犠牲にするシーンがオミットされている。彼はセルゲイの説得を受けて割と素直に改心する。
  • 2マップ制となっており、空中ではピラーの破片、地上ではアロウズとの戦いという二面作戦となっている。空中でもジンクスがちょっかいをかけてくる。
  • ソレスタルビーイングとプレイヤー以外の部隊はステージクリア後のイベントのみの登場。
と多少コンパクトになっている。
少なくともハーキュリーが原作より良い人に見えたり。(末路は同じだが)



私は…。

しっかりしろ!今は追記・修正する事だけを考えるんだ!

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  • ※日曜夕方17時です。

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最終更新:2023年03月20日 02:13

*1 ミレーヌが「破片が多すぎて破壊しきれない」と嘆く場面がある