ガンダムMk-Ⅲ

登録日:2012/04/13 Fri 14:31:08
更新日:2023/09/25 Mon 10:25:42
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ガンダムMk-Ⅲとは、『Z-MSV』及びガンダムシリーズ関連作品に登場したMSである。






ガンダムMk-Ⅲ

GUNDAM Mk-Ⅲ

型式番号 MSF-007 (MSA-007)
所属 エゥーゴ
開発 アナハイム・エレクトロニクス社
生産形態 試作機
全高 22.0m
頭頂高 19.5m
本体重量 32.1t
全備重量 48.2t
出力 2,022kw
総推量 107,500kg
センサー有効半径 11,500m
装甲材質 ガンダリウム合金
武装 肩部ビームキャノン ×2門
ビームライフル
ビームサーベル ×2基
専用シールド




概要

“Ζ計画”の一環としてアナハイム・エレクトロニクス社のフジタ博士がガンダムMk-Ⅱを研究・開発したエゥーゴの攻撃用試作モビルスーツ(以下MS)。

ガンダムMk-Ⅱのもたらしたムーバブルフレームは画期的であったが、構造の複雑さや機体強度には問題があった。
そこでフジタ博士を中心にあらゆる部署から人材を投入し、構造の単純化を果たしつつ強度と運動性を高めたのがこのガンダムMk-Ⅲである。


バックパックにはΖのロングテール・スタビライザーと百式のウイングバインダーを組み合わせた「アクティブスラストバインダー」という機構が取り入れられ、優れた運動性と高い機動性を確保している。
特にムーバブル・フレームに関しては独自技術による改修でより人体に近い挙動が可能であったとされ、近接戦闘時の華麗さはさながら騎士にも例えられるものであったという。

装甲にガンダリウム合金を採用することでMk-Ⅱの欠点であった防御力を克服、ジェネレーターと武装などにも完成度の高い新規設計の物を採用した結果、ガンダムMk-Ⅱをあらゆる面で上回る性能を獲得した。


後にフジタ博士ら開発チームはアナハイムとティターンズの裏取引によってオーガスタ研に出向し、後継機のガンダムMk-Ⅳを完成させている。


『Z-MSV』発表当初の設定では設計のみで実機は製作されていないとされていたが、近年では少なくとも8号機までの存在が確認されており、僅かながら実戦への参加も記録されている。




武装


  • ビームライフル
    型式番号:XBR-M87A4
百式及びMk-II用ライフルのEパックを同時に使用するデュアルサプライシステムを試験的に採用したビームライフル。
本来はデルタガンダム用に開発されていたものを流用している。

元々は2008年の『GUNDAM FIX FIGURATION』で立体化された時にプロトΖのものをアレンジして持たせたのが初出で、割と近年に設定が固まったのでそれ以前の媒体では異なるライフルを持っていたりもした。

  • ビームキャノン
背部に2基搭載した射撃兵装。
大容量のエネルギーCAPとアクセラレーターを組み合わせたビームレギュレーターデバイスを備え、最大出力で連射してもパワーダウンしない優れモノ。
専用の照準システムによってパイロットが狙いを付ける必要がなく、トリガーを引くだけでいいんだとか。

また、一部の文献には「砲身を取り外してビームサーベルとして使える」とする物もある。

  • ビームサーベル
シールド表面に2基マウントしている。
破格の機動性を持つ本機の特性を活かす為に専用のビームサーベルが開発された。
デバイスには2種類が用意され、ビームサーベルとビームガン兼用の物とビームサーベル専用だがより高出力の物があった。

また、これらは取り外さないでシールドに付けたままでも使用できるらしい。
ただ、装備する場所が場所だけにシールド防御した時に壊れてしまわないかどうかが懸念される。

  • 専用シールド
ガンダリウム合金製の専用シールド。
表面のビームサーベル以外に裏側にEパックを4つマウントできる。

また、先端部は打突用のスパイクとなっている。

技術革新で頭部スペースに余裕があったことから、左右の頬にバルカン砲を2門ずつの合計4門装備しているとする資料もある。
ただ、資料によってはバルカン砲は未搭載で頭部にはビームキャノン連動のシーカーデバイスが搭載されたとするものもあり、イマイチ存在が不透明。




バリエーション

フルアーマーガンダムMk-Ⅲ

FULL ARMOR GUNDAM Mk-Ⅲ

型式番号 FA-007GⅢ
所属 エゥーゴ
開発 アナハイム・エレクトロニクス社
生産形態 試作機
頭頂高 19.5m
本体重量 47.2t
全備重量 62.1t
出力 3,040kw
総推量 141,200kg
センサー有効半径 11,500m
装甲材質 ガンダリウム合金
武装 肩部ビームキャノン ×2門
脚部ハイパービームキャノン ×2門
シールドキャノン ×2基
シールドビームサーベル ×2基
連装グレネードランチャー ×2基
ビームライフル


“大河原邦男コレクション”こと『M-MSV』にて設定されたバリエーション。
無論デザインは大河原邦男氏。

ガンダムMk-Ⅲに強化装甲を装備した物で、従来の『フルアーマー』の名を冠するMSと同様に火力と防御力、さらに推量が大幅に向上している。
フルアーマーと言えば重装甲・重火器によって機動性を犠牲にしがちなイメージがあるが、Mk-Ⅲの場合はスラスターやアポジモーターも強化された為、機動性や運動性はむしろ向上している。
これらはMk-Ⅲ本来の特性を殺さず機体のバランスを保つよう綿密に設計されている為である。

高いレベルでバランスの取れた本機は、歴代のフルアーマー機の中でも屈指の完成度と言えるだろう。


武装

  • ビームライフル
連装式の新型ビームライフルを装備。
Eパックも前とは別の形状だが、2つ使用する点は同じ。

2門ある銃口の内、一方はグレネードランチャーと解釈される場合もある。

  • ビームキャノン
上部にプロペラントタンクが追加されたが、キャノン自体は元より据え置き。

  • シールドキャノン
両肩部に装備したビームキャノン付きのシールド。
接続部はムーバブルジョイントになっていてフレキシブルに可動する。

また裏側には小型のジェネレーターを備え、本体に頼らず砲にエネルギー供給を行うなど実に多機能な盾である。

  • ハイパービームキャノン
両脚部側面に装備した大口径ビームキャノン。
「ハイパー」を名乗るからして高火力なのだろうが、詳細不明。

  • グレネードランチャー
両腕部の追加装甲内に搭載。
装弾数は1基あたり2発ずつの合計4発。

  • ビームサーベル
設定では装備しているが、具体的な装備位置は不明。
『GUNDAM FIX FIGURATION』ではシールドキャノンの白い棒状パーツがサーベルグリップとして解釈されている。



ガンダムMk-Ⅲ 8号機

『アナハイム・ラボラトリー・ログ』に登場。
何機か開発された内の1機だが、カラーリングが赤いのが特徴。
これは本機をクワトロ・バジーナ大尉の専用機にする予定だったかららしい。

その他、装甲には百式の装甲に用いられたビームコーティングの廉価版が施されているが、それ以外の性能は変わらないとされる。

グラナダからサイド2宙域で待つコリアー艦隊への輸送中に旧サイド5宙域「茨の園」跡地でアクシズの強行偵察部隊と遭遇、護衛機を全滅させられるも護衛部隊の隊長であるボイド・スワン中尉が咄嗟にMk-Ⅲに搭乗したことでどうにかこれを撃退した。
しかし敵機の自爆攻撃で受けた損傷が大きかったためにグラナダへ送り返されることとなってしまい、Mk-Ⅲがシャアに届くことはなかった。




モデルグラフィックス誌のガンダムMk-Ⅲ

広く知られているガンダムMk-Ⅲは『Ζ-MSV』で設定されたアナハイム社製の物だが、それ以前にも大日本絵画発行の模型雑誌『モデルグラフィックス』にて設定されたMk-Ⅲが存在している。
その後『GUNDAM WARS PROJECT Ζ』への再録を経て『GUNDAM WARS II MISSION ΖΖ』の「ガンダム開発史」で設定が追加・変更された経緯がある。

MS大全集などの資料集にも記載されない等、オフィシャルな存在とは言い難いが、公式企画である『アナハイム・ラボラトリー・ログ』には“実戦投入されなかったティターンズ製ガンダムMk-Ⅲ”の存在が記載されており、「ひょっとしたら存在していたのかもしれない」と想像してみるのも我々ガノタの楽しみの一つであるだろう。



ガンダムMk-Ⅲ〝イグレイ″

GUNDAM Mk-Ⅲ〝EGLEY″

型式番号 RX-166
所属 地球連邦軍
開発 キリマンジャロ工廠
生産形態 試作機
全高 31.4m
頭頂高 20.6m
本体重量 52.1t
全備重量 88.0t
出力 2,010kW
推力 112,600kg
センサー有効半径 12,900m
装甲材質 ガンダリウムγ
武装 60mmバルカン砲 ×2(オプション)
ビームサーベル ×2
ビームライフル
ハイパーバズーカ ×3


地球連邦正規軍が開発したガンダムMk-Ⅲ。
Mk-Ⅱのムーバブル・フレームに着目したキリマンジャロ基地の開発グループがティターンズから取り寄せたMk-Ⅱのデータを基に開発した。

装甲にガンダリウムγを採用した為に本体重量の軽減に成功、より多くのオプションを装備できるようになった。
また、コアファイターを搭載している可能性も指摘されている。
バックパックはウェポンラックを兼ねた高機動型スラスターユニットとされ、宇宙での戦闘に特化した機体だったようだ。


開発はキリマンジャロ基地で行われたが生産・配備計画の制式な認可が下りず、試作機3機の完成に留まっている。
とはいえそのデータと技術は同基地で開発されていたRX-160 バイアランに引き継がれた。


なお、試作機とデータはカラバによるキリマンジャロ降下作戦によってキリマンジャロ基地もろとも焼失したとのこと。南無。


ちなみに開発は下記のティターンズ製Mk-Ⅲよりも遅い。
にもかかわらず名前を被せている理由は不明(制式採用されなかったので問題なかったらしいが)だが、ガンダムタイプを独占的に開発するティターンズに対して「ガンダムを開発したのは正規軍だぞ!」という初代ガンダムを生み出した正規軍なりの意地があったのかもしれない。


デザインは小田雅弘氏によるもの。
藤田氏のアドバンスドガンダムを基にしており、藤田氏のMk-Ⅲに似ながらも各部にガンダムMk-Ⅱの面影を見て取れる良デザインとなっている。



ガンダムMk-Ⅲ〝ハーピュレイ″

GUNDAM Mk-Ⅲ〝HALPULEY″

型式番号 RX-272
所属 ティターンズ
開発 ティターンズ・グリプス工廠
生産形態 試作機
全高 25.9m
頭頂高 22.3m
本体重量 48.9t
全備重量 118.2t
出力 1,980kW
推力 123,200kg
センサー有効半径 11,200m
装甲材質 ガンダリウムβ
武装 ビームキャノン ×4
ビームサーベル ×2
ビームライフル
60mmバルカン砲 ×2(オプション)

《モビルアーマー形態》
全長 30.24m
全幅 17.3m


『Ζ計画』を事前に察知したティターンズがそれに対抗して開発を進められた可変MS。
元々はMk-Ⅱの開発者フランクリン・ビダンによる設計だったらしいが、彼の死後ギャプランの変形機構を参考にして開発されたと言われ、元のフランクリンの案とは異なる機体に仕上がったという。

〝ハーピュレイ″と呼ばれていたのは2号機で、1号機には〝フリーア″、3号機は〝デュライ″のコードネームを付けられていた。
デュライに関しては大気圏突入用のウェイブライディングボードを装備しているということだけ、フリーアに至っては一切の情報が不明なので、ここではハーピュレイに関して解説する。


グリプスで12番目に開発されたMk-Ⅲはエゥーゴに強奪されたMk-Ⅱのような汎用機ではなく、作戦に応じて装備を換装する高速機動型MSとして開発されていた。

ハーピュレイはΖガンダムよりも早く完成したが、当時のティターンズが使用していたガンダリウムβは既に技術的に限界を迎えており、フレームの耐久性や装甲に不安を抱えていた為に開発は打ち切られてしまった。

その開発データはその後のMS開発に活かされたようで、ギャプランTR-5[フライルー]の頭部デザインの案の一つにハーピュレイ型のものが見られる。


デザインは影山俊之(景山俊之)氏による読者投稿を岡本英郎氏がクリンナップしたもの。
後にΖΖガンダムのデザイン案の一つとして提出されたらしい。




その他のMk-Ⅲ

◆MSF-007-2 ガンダムMk-Ⅲ ヴィクセリオス
『ホビージャパン』の模型作例として掲載されたアナハイム製Mk-Ⅲの2号機。
新型兵装試験用テストベッドだったようで、武装がビームライフル、ハイパー・メガ・ランチャー、フォールディングナイフ、連結可能なビーム・サーベル2基、ビーム・ウィップなどに変更され、頭部もRX-78-2似の物になっている。


◆RX-178R ガンダムMk-Ⅲ〝グーファー″
ゲームブック『機動戦士ガンダムΖΖ vol.3「エニグマ始動」』に登場。
連邦軍製だがなんと量産機で、連邦は自軍のMSを全てこいつに統一する計画まであった。
ウェールズ動乱時にハイメガを装備した機体を投入したという。


◆RX-178R ガンダムMk-Ⅲ (サイド・ストーリー・オブ・ガンダム・ゼータ)
近藤和久氏の漫画『サイドストーリー・オブ・ガンダム・ゼータ』に登場。
本作ではティターンズのMSとして登場で、パイロットはティターンズへの協力を強いられているシャア(クワトロ)とその監視役のジェリド。

デザインは概ね『Ζ-MSV』版に準拠しているが頭部はMk-Ⅱに近く、ライフルもオリジナルのものを用いる。


ガンダムテルティウム / ガンダムゼルトザーム
シドー・マサキがガンダムMk-Ⅲを改造して作ったガンプラと更にその改造機。
ちなみに「テルティウム」はラテン語で「3」のこと。


など様々なバリエーションが存在する。
またSDガンダムシリーズを代表する騎士ガンダムや『SDW HEROES』のアーサーガンダムMk-Ⅲも本機がモチーフ。

ちなみにナイトガンダムの元の姿は武者頑駄無真悪参という異世界(SD戦国伝)の武者だったのだが、その真悪参の息子が射駆零(イグレイ)であるというちょっとしたネタがある。
更に『新SD戦国伝 伝説の大将軍編』に登場する頑駄無真駆参(真駆参大将軍)*1と『SDガンダムフォース絵巻 武者烈伝 武化舞可編』の武者鋭駆主*2は真悪参直系の子孫である。




立体化

2008年に『GUNDAM FIX FIGURATION』にて商品化。
可動や塗装に不満はあるが、多彩なオプションに加え、フルアーマーにも出来る。

そして2015年、1/100スケールのRE/100シリーズ第2弾としてガンプラ化。
簡素な構造ながら可動、色分け共にMGに引けを取らない高いクオリティに仕上がっている。
そしてそして、2018年3月にはMGジム・ドミナンスと共に8号機がプレミアムバンダイで受注を開始した。

更に2020年のクリスマスにはプレミアムバンダイからHGUCの予約が開始され、翌年4月に発送が開始された。
ビームライフルはRE/100などで採用されていた従来のGFFタイプではなく、テルティウムからそのまま流用したアレンジされていないプロトΖのライフルと藤田氏のショートコミックに登場したショートバレルタイプの2種類が付属する。
「いつものライフルがいい!」という人は百万式*3に同デザインのライフル(無改造で持たせられる)が付属しているので借りてこよう。
またリアルタイプガンダムクロスやフルアーマーMk-IIIと同じくビームキャノンを取り外してビームサーベルとして使用するギミックもあり、そのための専用手首も付属*4する。




スーパーロボット大戦

主に携帯機シリーズと64に登場した。
Rでは条件を満たすと、フォウジェガンの代わりに乗ってきて、Dと64では特定ルート選択時に手に入る機体。
性能はグリプス戦役のMSにしてはかなり高い。
…がビーム主体だったり、別ルートで手に入る機体が強力だったり、火力不足だったりと後一歩が足りない不遇の機体である。
なぜかビームキャノンが背部からではなくシールドの裏側から出る。

余談だが「R」にてこれが手に入ると「ガンダムmk-Ⅲじゃないか!」と驚かれるのだが、手に入っていないと「最新鋭量産機ジェガンじゃないか」と妙に具体的な説明がされる。




余談

  • デザインは藤田一己氏で、藤田氏自身がデザインした“アドバンスドガンダム”をセルフリメイクした物である。
    藤田氏デザインのガンダムMk-Ⅱが元になっているのでTVアニメ本編に登場するMk-Ⅱには全く似ていない。

  • 実は『機動戦士Ζガンダム』でもティターンズ陣営として登場予定だったのだが、キャラが多すぎるということで没になったらしい。

  • 型式番号の“F”とはフジタ博士のイニシャルである。
    もちろんフジタ博士の元ネタは藤田氏。







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最終更新:2023年09月25日 10:25

*1 やはりMk-Ⅲモチーフで後に新世将頑駄無となる。漫画ではスペリオルドラゴンの仮の姿。

*2 彼だけはクロスボーン・ガンダムX2がモチーフ。

*3 元キットのデルタガンダムにも同じライフルが付属するが、グリップの接続ピンが邪魔で削らなければ持たせられない。

*4 テルティウムの頃から余剰パーツとして存在していたが、使い方を明記されたのはMk-IIIから。