猿代草太

登録日:2012/02/04(土) 16:18:05
更新日:2024/02/21 Wed 03:39:59
所要時間:約 10 分で読めます






ほんっとムリですからッ!

ケーサツ呼びますよ。ケーサツッ!



猿代草太(さるしろそうた)とは、『逆転検事2』の登場人物。
第2話『獄中の逆転』における、所謂容疑者キャラ。


◆概要

気弱そうな風貌の糸目の青年。前髪を上で二つに括った特徴的な髪形をしている。
服装はピンクのパーカーに膝までたくし上げたジーンズ、パーカーの下には特撮ヒーロー「オニャンコポン」のTシャツを着ている。ついでに靴もピンク
見た目そのままの臆病かつかなりビビりな性格で、「ムリムリ」が口癖。
特に御剣にはビビりっぱなしで、御剣に威圧されると気を失いその場に倒れ込んでしまう程にビビり。会って間もない頃は美雲を通さないとマトモに会話も出来なかった。
ちなみに甘いものは好きではないようで、信楽に勧められた時には断っている。

本人によれば職業はサラリーマンで、年齢は24歳。
2話の事件の被害者である内藤馬乃介とは、昔からの友人という間柄。
草太が逮捕された理由は、内藤の遺体の側に転がっていたチェスボードに彼の指紋が付いていたため。

この下にネタバレがあるんですって?ムリムリ!って人は見ない方がいいですよ。












実は逆転裁判2にも登場した「タチミ・サーカス」の猛獣使い見習いで、慰問ショーのために刑務所に出入りしていた。

サーカス団員としてはまだまだ下っ端で、同じく逆転裁判2に登場したミリカが上司。
操るのはサルのルーサー……なのだが、その様子は猿回しというよりは”猿回され”で、ルーサーに髪をハンドルのように握られ、逆に操縦されているようである。
彼の名前の由来はそのまま「猿が代わりに操作する」であり、彼のモーションはよく見ると「見ざる・聞かざる・言わざる」になっている。
力仕事や雑用も彼の仕事で、日々散々コキ使われている。一応ショーにも出演しているが、ポジションは悪役。
上述のサラリーマン発言については、曰く「サーカス団員だって立派なサラリーマンです!」とのこと。

更に物語が進むと、御剣や美雲と同じく過去に唯一の家族であった父を失っていることを明かしてくれ、同時にそれが御剣に心を開くきっかけになった。
また、内藤も彼と同様にちゃんとした家族がいなかったらしく、2人はお互いにとってたった一人の幼馴染だったという。


御剣は無事真犯人を突き止めて彼を救い出すことに成功するが、この事件の解決をきっかけに検事と弁護士の狭間で自分の在り方に悩んでいくこととなる。



◆その後

これで彼の出番は終わりかと思いきや、なんと第5話『大いなる逆転』にも登場。
ミリカと共に2話の事件を扱った裁判の傍聴に訪れており、突如姿を消した担当検事の弓彦の捜索にも快く協力してくれる。
無事弓彦が見つかった後は、公演の準備と練習の為にサーカスに戻っていった。



つ、追記・修正なんてムリムリ!!

この項目が面白かったなら……\異議あり!/




























しかし、物語が進むにつれて次々と紐解かれていく真実、そして現れた了賢の証言によって、
一連の事件で暗躍している黒幕『赤いレインコート』なる人物の正体が草太である可能性が浮上する。
真相を確かめるべく、御剣たちは彼の待つサーカスのテントへと向かう。

自身が疑われていると知った彼は、何のことか分からない、自分を信じてほしいと切実に訴える。
その姿に美雲は彼の無実を信じようとするが、御剣は違っていた。それがこの男のやり方だと気づいたからだ。

たしかに、前回はおくれを取った。
しかし、2度目はない。

猿代 草太。
私は、キサマを告発するッ!

そして御剣は、一連の事件の黒幕として草太を告発するのであった。

















以下、作品の根幹に関わるネタバレ注意。






































































‥‥‥‥‥‥‥‥ふうん。
やっぱり、そう来るんですね。


あのときからそうでしたけれど、
ずいぶん自信タップリなんだなあ。


でもボク、けっこう好きなんですよ。
そんな自信を‥‥ コナゴナにするの。









‥‥ウソとかホントとかどうでもいいよ。

ただ、ミツルギさんがオレを怒らせたってだけさ。



◆真の概要

今作のラスボス。
『逆転検事2』における事件…第1話の大統領暗殺未遂事件から第5話の大統領殺人事件、過去に起こった「IS-7号事件」や「SS-5号事件」に至るまで、
その全てに何らかの形で関与していた一連の事件の黒幕である。
そして第3話『受け継がれし逆転』の真犯人・風見豊実の息子でもある。

本作にラスボス級の敵キャラが多いのは、彼がラスボスであることを隠すためのカモフラージュのようなもの。
専用BGMは「ゲームをアヤツルモノ」。タチミ・サーカスのBGMのアレンジでもあるこの曲は、作品内での本人の立ち位置をこれでもかと強調している。

その本性は、「人間という猛獣を操る猛獣使い」を自称する、人心掌握に長けた狡猾な人物。
また、頭の回転も速く慎重で、危機察知能力や証拠隠滅能力にも優れる。
更にはサーカスの特殊な各種業務をこなせるだけでなく、ボイスチェンジャー無しでの高度な模倣、点字翻訳など、あらゆる才能を併せ持つ傑物。

御剣に事件の黒幕であることを告発されると、これまでの弱気な態度を一変させ、遂に本当の姿を現す。
特徴的な前髪も下ろし、これまでとは別人のように動物達をまるで手足の如く操り、鋭い眼光で逆に御剣を追い詰め始める。
ちなみにここで彼の「異議あり!」ボイスを聞けるが、やたらいい声。



◆過去

全ての始まりは本編の18年前に発生した「IS-7号事件」。当時の草太は、コンテストに参加する父親の手伝いをする無垢な子供だった。
しかし、事件の裏側で父親(=氷堂伊作)の命令に従わざるを得なかった内藤によって車の中に閉じ込められ、凍死寸前の極限状態に。*1
この時2人を助けたのがたまたま通りかかった了賢であり、以降草太は了賢を慕うようになるが、この事件のショックで記憶喪失になってしまう。
その結果、事件の被害者である氷堂こそが自分の父親で、内藤の父親(=風見豊)が自分の父親を殺したのだと思い違いをしてしまい、
殺人者の息子として内藤の事も恨むようになる。*2

その後は美和マリーが勤め、後に所長になったと思われる児童養護施設「ハッピー・ファミリー・ホーム」で暮らし始めるが、
ある晩、草太はそこで偶然「SS-5号事件」の一部始終を目撃してしまう。*3
そしてそれが原因でマリーから連日厳しい尋問を受けることになった草太は施設を抜け出し、
事件の犯人達(=マリー万才王帝君)への激しい復讐心を抱きながら、万才の放った追手からの逃亡生活を送ることになる。*4



◆彼の行動とその目的まとめ(時系列順)

話数 第3話
事件 IS-7号事件(氷堂伊作殺人事件)
行動 なし。
目的 なし。この事件に関してのみ完全に被害者。

話数 第5話
事件 SS-5号事件(王大統領誘拐事件→(真)王大統領殺人事件)
行動 児童施設で火災を起こす。
目的 自身と了賢の痕跡を消し、職員の注意を惹いて了賢を逃走させる。

話数 第1話
事件 (偽)王大統領暗殺未遂事件→外城涯殺人事件
行動 虎狼死家左々右エ門に大統領暗殺を依頼する。
・偽の暗殺計画を立案し、内藤に吹き込む。
目的 ・暗殺依頼 → 虎狼死家に(偽)大統領を殺害させる。
・計画立案 → 偽の計画を利用し、内藤に外城を殺害させる。

話数 第2話
事件 内藤馬乃介殺人事件
行動 ・内藤と了賢が行っていた「通信チェス」の橋渡しをする。
・内藤への差し入れであるチェスボードの中にノミを仕込む。
目的 内藤と了賢に繋がりがあるように見せかけ、マリーに内藤を殺害させる。

話数 第4話
事件 籠目つばさ殺人事件
行動 ・美雲の名を騙り、つばさに万才の正体を教える手紙を送る。
・美雲を誘拐し、気絶した美雲にその返事の手紙を持たせる。(→赤いレインコートの人物)
目的 ・手紙 → つばさに万才を殺害させる、あるいは万才につばさを殺害させる。
・誘拐 → 美雲を事件の容疑者に仕立て上げることで、御剣に事件の真相を暴かせる。

話数 第5話
事件 (偽)王大統領殺人事件
行動 ・相沢詩紋(水鏡秤の息子)を誘拐する。
・(偽)大統領を殺害する。
目的 ・誘拐    → 脅迫によってマリーに有罪判決を出させる。(同じことを考えた万才が逆の内容で水鏡を脅迫したため、不発に終わる)
・大統領殺害 → 自身の復讐の達成。           (構図的にはやや正当防衛に近く、この事件は草太にとっては計画外のものだった。)

このように、4・5話の誘拐と殺人以外は一切己の手を汚すことなく、他人を意のままに操ることで目的を達成させていった彼は、
御剣の推理すらも「マリーと万才にトドメを刺すための凶器」とし、自身の計画の最後のコマとして利用していた。



◆決着

御剣の追及を飄々と躱していた草太だったが、IS-7号事件にまつわる真実(=上記の思い違い)を告げられると、初めて動揺を見せる。
自身の実の父親が判明してからも、風見のことは「オレを捨てた男」だと否定して何の繋がりもないことを強調していたが、
草太が5話の事件で用いた「死亡推定時刻の偽装に冷凍庫を使う」というトリック、そして何より"自分を守るために他人をギセイにする"という思想は、皮肉にも風見豊と全く同じであった。
彼が甘いものを嫌う理由についても、信楽は父親を失ったショックに由来するものだと推測している。

これでついに観念する…と思いきや、自身の暗躍の一部は認めたものの、
「自分がしたことはあくまで手紙を送っただけで、殺人は結果に過ぎず、殺人教唆をしたわけでもない」と開き直り、
4・5話で発生した誘拐事件と殺人事件については「決定的な証拠が存在しない」として容疑を否認、あらゆる手を使って追及から逃れようとする。

しかし、詩紋が誘拐されていた冷凍倉庫の管理者が自分だったこと、大統領の死体をそこに放置することで死亡推定時刻を偽装していたこと、
更にサーカスの宣伝に使われていた巨大バルーンこそが大統領を殺害「せざるを得なかった」際に使用した凶器であると推理されると、
弾痕に加え、大統領の遺体に付着していたシシユリ*5の花粉がバルーンのカゴ部分にも発見されたことで、ついに犯人だと断定された。

最後のブレイクモーションでは、これまで操っていたサーカスの動物達に悲鳴を上げながら代わる代わるフルボッコにされる。*6


◆結末

その後、現れた虎狼死家に「第1話で標的に関する情報を偽っていた(=大統領が偽者であることを黙っていた)」ことを理由に殺されそうになるが、
すんでの所で了賢に救われ、最後は了賢と共に刑務所へ入ることとなった。
仮に御剣たちの追及から逃げおおせていたとしても、虎狼死家に命を奪われていた可能性が高く、(この辺りの展開はを彷彿とさせる)
そう考えるとこの結末は彼にとって良いものであったと言えるかもしれない。

そして、孤独と矛盾を抱えながらも司法に助けを求めることが出来なかった彼もまた「法の矛盾による犠牲者の一人」であると感じた御剣は、
彼のような犠牲者を一人でも減らすために「"検事"として人を救う」ことを改めて決意。この経験を糧に、以降は法の暗黒時代と戦っていくことになる。



◆余談

幾つかの不明点や若干強引な部分はありつつも、歴代のラスボスが社会的地位や権力を盾に悪事を行う者も多い中、
草太は後ろ盾が(了賢に救われた以外は)何一つ無い状態の中、自身の能力だけで一連の事件を操り、ひいては御剣とプレイヤーを一度は欺いた点、
そして真相判明時の衝撃の大きさ、さらに悪に染まるまでの哀しい背景などから、歴代のラスボスの中でも非常に高い評価を得ている。
そのせいで、発売当初からそこまで評価が高くなかった前作のラスボスが相対的に更に評価を落としてしまっているが。

+ 不明点
実のところ、彼の過去には様々な不明な点がある。
1:まだ子供だったころの彼がどうやって万才の放った追手から逃れることができたのか?
2:万才の放った追手から逃れた後、どうやって猿代草太の身分や戸籍を手に入れることができたのか?
3:美和マリーはなぜ猿代草太が風見草太だと気が付かなかったのか?
4:なぜ一介のサーカス団員である彼が万才や偽王帝君たちの内実(例えば万才が闇オークションのマスターであることなど)を詳しく知ることができたのか?

これらについては作中では一切説明が無いため確かなことは言えないが、推測としては以下のようなものが考えられる。

まず1と2については、恐らく了賢に頼ったのだろう。
いくら草太が天才的な知能の持ち主とはいえ、まだ幼い子供の身では司法や警察を牛耳る万才の手から自分の力だけで逃れることができたとは考えにくい。
一流の殺し屋であり闇社会で生きてきた了賢によって追手から守ってもらい、さらにはその死を偽装したのではないだろうか。
そして了賢の闇社会のコネを利用することで、偽の身分証や戸籍を手に入れたのだろう。

3については、子供時代の草太の顔と現在の草太の顔の印象が大きく異なっていることを考えると、整形手術を受けた可能性もある。*7
もしそうならば、マリーが成長した草太に気が付かなかったのも納得がいくところである。
内藤に対しても、顔に怪我をして手術したとか成長の過程で顔つきが変わったとか、まあ幾らでもごまかしようはあるだろう。

4については、純粋にそのずば抜けた知能と他人を操る手管を駆使して地道に調査したのだろう、くらいのざっくりしたことしか現状では分からない。
恐らく王帝君については内藤を通じて情報を集め、万才についてはマリーを通じて地道に調査したものと思われる。
しかしながら、水鏡秤ですら自力では尻尾を掴めなかった万才の悪事の証拠を、一般人という立場でありながら掴んでみせたその調査能力には目を見張るものがある。
もし彼がその能力を良い方向に使っていたならば、優れた警官や検事になれていたかもしれないと思うと、残念な話である。

勿論言うまでもなくこれらの内容は完全な推測であり、公式にはこれらを示唆するような情報は全く無いため注意。

また、上述したように彼の名前の由来は表向きでは「猿が代わりに操作する」というある種のミスリードで通っているのだが、
苗字を「風見」に直すと「風味腐った」とも読めるという意見や、極めて少数だが内藤と合わせて「意馬心猿」という四字熟語が由来ではないかという意見も存在する。

なお、当初の設定では彼に相当するキャラとして狩魔家の長男を登場させ、狩魔冥と対峙させる案もあったとのこと。*8





追記・修正は刑務所というワシらの家に帰ってからお願いします。

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最終更新:2024年02月21日 03:39

*1 当時は大雪が降っており、車のドアが凍り付いてしまったことで内藤共々閉じ込められてしまった。

*2 5話の回想から、内藤には強い恨みを持ちつつもどこかで大切な存在だとは思っていた様子。

*3 この時、口封じで消されそうになった実行犯の了賢を機転を利かせて逃がしている。

*4 万才の存在により、日本の警察に頼ることもできなかったことが語られている。

*5 架空の植物であり花言葉は「親子の絆」。ちなみに現実のユリの花粉も脂質が含まれている関係で衣服等に付着しやすい。

*6 この時ゴリラに思いっきり殴られているが、何故か無傷で生きている。

*7 子供時代の草太は黒髪でやや癖っ毛、丸顔で目が大きくぱっちりしているのに対し、現在では茶髪のストレートロング、面長で細い目とむしろ子供時代の内藤馬之助やその父親である氷堂伊作に近い顔立ちとなっている。

*8 狩魔家に長男の設定はないが冥の姉は存在する。