信長の忍び

登録日:2011/07/25 Mon 00:10:48
更新日:2023/12/26 Tue 22:06:46
所要時間:約 6 分で読めます




『信長の忍び』はヤングアニマル(白泉社)に連載されている4コマ漫画。
作者は重野なおき。2023年6月時点で既刊20巻。同じ世界観で描かれた戦国4コマ漫画が複数存在する(後述)。

織田信長に仕える忍びの少女・千鳥を主人公とした「忍びの目から見た戦国漫画」。
基本的にはギャグ漫画だが、史実通りの展開をオブラートに包みつつも、時にはシリアスな展開(例えば比叡山焼き討ちや武田に捕らわれた千鳥への拷問、浅井長政の子・万福丸の処遇など)となることもあり、デフォルメ調の緩い絵柄ながらも心に響く。
作者が中学校社会科の教員免許を持っているため歴史に関する逸話やうんちくがあったり、単行本には各武将の能力をデータ化した名鑑*1や専門家などによる解説も載っている。

2016年10月からアニメが放送される事が発表された。
重野なおき先生の作品でアニメ化されたのはこの作品が初。(ドラマCD化は『Good Morning ティーチャー』が初めてである。)
5分枠のショートアニメで、第一期(2016/10~2017/3)がゴールデンタイムで、続けて深夜枠に移って第二期:伊勢・金ケ崎編(2017/4~9)が、第三期:姉川・石山篇(2018/4~9)が放送された。
第一期:信長との出会いから義昭を連れての上洛まで
第二期:義昭の将軍就任から金ヶ崎撤退戦の後始末まで
第三期:姉川の戦いから宇佐山での志賀の陣まで


〇登場人物

何気に変人多いぞ!【織田家】

主人公。織田信長に仕える忍びの少女。伊賀出身。推定1550年ごろの生まれ。
戦闘能力だけなら作中最強クラスの実力者で、化け物と呼ばれることもある。
武器には主に二振りの忍び刀を使用している。
一方で頭を使うことと泳ぐことが苦手。あほのこ。難しい話を聞くと頭から煙が出る一方、敵味方の進軍状況から決戦場を正確に予測したり、自分が戦う意義に揺るがぬ信念を持っているなど、単なる脳筋ではない。
10代の頃から身長や胸があまり成長しておらず、本人も気にしている。
助蔵をはじめ好意を寄せられるシーンが多くかなりモテる。
幼い頃に川で溺れていた時に信長に命を救われたことがあり、その時から信長に仕えたいと思っていた。また、この時に貰った髪結い布を何よりも大切にしている。この布は武田軍に捕らわれた際に燃やされてしまったが、後に信長から新しい髪結い紐を贈られた。
「忍びの本分は生きること」(=情報を持って帰還し、味方の役に立つこと)であると公言している。

千鳥の幼馴染で同じく信長に仕える忍び。
千鳥からは「助ちゃん」と呼ばれている。
地味だが、知識が豊富で情報収集能力に長けており、天気を読むことも出来る。
忍者道具の開発に余念がなく、影が薄いため隠れるのが得意。ただし身体能力は残念。
千鳥のことが好きだが関係は一向に進展していない。
かなりスケベで、千鳥に露出の多い服を着せようとしたり春画に興奮したりと年相応な面も。
戦闘力では遥かに格下だが、助蔵がいなければ千鳥は数回戦死しているので地味に貢献度は高い。

千鳥の主の尾張の戦国大名。本作のもう一人の主人公といえる存在。
乱世を己の手で終わらせるという大志を持ち、技術革新と商業政策により戦国に覇を唱える。
周囲がボケキャラだらけなので基本的にツッコミポジションだが、下戸であり、甘い物に目がない大の甘党でもあり、これらが絡むとボケキャラと化す。
史実通り苛烈な合理主義者としての面を見せる一方、身内や部下を思いやり時には涙を流すなど、「英雄ではなく人間としての織田信長像」の姿も描かれている。

信長の家臣兼パシリ。猿顔でござる口調で話す。
常に前向きでポジティブな性格。初期は武術や知略は並み程度だが意外性だけは高かった。
後に侍大将に出世するもパシリなのは変わらなかった。
弓矢はおろかちょっと斬られたり突かれたくらいじゃ死なない程タフ*2
「出世して、みんなが笑顔で暮らせる世の中にしたい」という(本人無自覚ながら)立派な志も。
CVの山口氏はアニメ版のナレーションも担当している。


信長の家臣。作中随一のツッコミ師。
苦労人であり、信長に合流するまで全国を放浪しており、その時期を描いたスピンオフの主人公も務めた。
鉄砲の腕と美しい土下座には自信がある。
斉藤家に仕えていた頃から帰蝶に惚れており、未だ諦めが付いていない。妻帯者のくせに。愛妻家のくせに。
裏切りを許せない高潔な性格であり、裏切り者がいるとけちょんけちょんに貶している。そして地の文で弄られる。

  • 柴田勝家 CV大川透(~伊勢・金ヶ崎編)→高橋伸也(姉川・石山編)
織田家筆頭家老。
「かかれ柴田」や「鬼柴田」の異名を持つ。
お市のファンであり、彼女が嫁ぐ時にはショックで抜け毛&白髪になった。
髭はサラサラであることにかなり拘っている。

織田家家臣。
「攻めの三左」の異名を持つ勇将で、多くの女性ファンを持つイケメンだが、嫁一筋の愛妻家でもある。
若づくりなせいで忘れがちだが勝家とは同年代である。妻のえい曰くちょっと加齢臭がするんだとか。
宇佐山城防衛時の敵への宣言は作中屈指の名口上で、彼の最期には多くの人が涙した。

  • 前田利家 CV森嶋秀太
織田家家臣。信長の馬廻(親衛隊)として槍を振るう猛将。
有名な愛妻家でもあり、妻のまつとの仲はバカップル。
ぶっちゃけ周りが迷惑するレベルで熱々。
普段は糸目だが本気の時とまつと愛を確かめ合う時だけ開眼する。

  • 太田牛一 CV森嶋秀太
織田家家臣。弓使い。
後の世に歴史書を遺すのが夢で、情報収集のために下手な忍びより優秀なネットワークを築いている。
彼の著書「信長公記(しんちょうこうき)」は織田信長に関する資料として有名。
千鳥については本人の希望で書かず、帰蝶については信長の命令で書かず、フロイスについては歴史書作家としてのライバル意識から書かず、内藤昌豊について書き忘れる。


秀吉の妻。ツンデレ
家事全般は壊滅的で、特に料理の腕は毒物に慣れた忍びの千鳥達にダメージを与えるほどに危険。
ちなみに結婚当時は14歳(秀吉は25歳)であった。しかも恋愛結婚。

信長の妹。家臣の中にもファンが多い絶世の美女。
スリーサイズは70・50・72(秀吉予想)。
千鳥とは風呂で背中を流し合うなど姉妹のように仲が良い。
後に浅井長政に嫁ぐことになり、嫁ぎ先の浅井家でも彼女の虜になる者が増えている。
当初は世間知らずの箱入り娘だったが、乱世の中で戦国大名の妻として成長していく。

信長の正妻。
超が付くほどの天然で作中一番のボケキャラ*3であるが、気丈で心優しい一面も持ち合わせている。
「戦国雀王のぶながさん」では三回に一回は天和や地和でアガるチート能力保持者。

利家の妻。夫とは周囲が迷惑がるほどのバカップル。
なんと夫と結婚した時は12歳(利家は21歳)という当時としても若すぎるもので、翌年には長女を産んでいる。

可成の妻。斉藤家時代からの帰蝶の従者。
一向宗門徒でもある。
天然な帰蝶をはじめ、何かと周囲に振り回される苦労人。
夫を献身的に支える良妻賢母にして武家の奥方の鑑。

  • 煕子(ひろこ)
光秀の妻。
一見真面目でたまにどうしようもない光秀が大好き。助蔵曰く正妻ならぬ「聖妻」。
かつて斉藤家を追われた放浪時代に髪を売って夫を助けたことがあり、今でもいざという時のために長髪を保っている。
実は隠れ巨乳。

こっちも変なのばっかりだ!【友好勢力】

大和国の大名。前将軍足利義輝を殺した男。
天下の情勢を読み、あっさりと信長に降伏した策士かつ野心家。
派手好きで好色家でもあり、千鳥と会うと必ず尻を触る等のセクハラ行為を行う羨まs…、いや何ともけしからんセクハラ好きのエロオヤジ。
「裏切りは計画的に」が持論。
一方で教養に長けており、千鳥もその面では頼りにしている。久秀の方もセクハラ以外の面でも千鳥のことを気にかけている。

  • 浅井長政 CV内匠靖明
近江国大名浅井家の当主。お市の夫となる。
筋骨隆々の大男で、常に上半身裸で筋トレをしている、ある意味筋肉バカ。
そして生まれた娘を溺愛する子煩悩パパに。
当初は織田家と友好的だったが、浅井家の諸々の事情から後に信長と対立していくことになる。

狸顔で食いしん坊な三河の領主。
信長とは幼なじみであり、信長が今川義元を倒した後に清洲同盟を結ぶ。
姉川の合戦に参戦した理由の一つは「嫁が怖いから」という程の恐妻家。
三方ヶ原の例のアレでキャラがアレなことになり、薬の研究を始めてキャラ変更を目論んでいたりする。

前将軍・義輝の弟。
光秀の仲介で織田家を頼り、第15代将軍に就任する。
なのだ口調で話し、わがままでなおかつ非常にうっとおしく、擁立した信長でさえ「将軍うぜぇ〜」と頭を抱える程。

足利家家臣。
あらゆる武芸や技芸に通じた戦国一の教養人。
特に歌道への拘りが強く、戦の最中でも筆を手放さず、良い和歌が詠めると真の力を発揮する。

  • ルイス・フロイス CV前田剛
ポルトガルの宣教師。
キリスト教を広めるため日本にやってきたが、ノリが完全に外国人観光客で、自分のことを「ウザイ人間」と自覚している。
日本の文化についてもやたら詳しく、教会を和風に改築したり土産に寿司を握ったりしている。
金平糖など甘いものをよく献上するため信長からは気に入られている。

  • 桃地三太夫 CV大川透
伊賀忍びのまとめ役で千鳥と助蔵の師匠。
彼が川で溺れている千鳥を拾わなければこの作品はなかっただろう。

美濃国大名で帰蝶の父。
帰蝶を「世界一の美女」と称するなど重度の親バカ。
物語開始時点で故人であり、回想や番外編で登場する。

  • マム郎
キャラ付けのために道三の首に巻かれた蛇。安全を考えマムシではなく無毒のシマヘビ。
『じょしもん』のヘビ島三兄弟の先祖疑惑アリ。

  • 玲珠膏(れいしゅこう)
黒田家秘伝の目薬。軟膏状で、蛤の殻に入れて売られている。
疲れ目に玲珠膏。節穴な目に玲珠膏。目潰しされたら玲珠膏。
玲珠膏を塗って戦場に出れば弓矢も鉄砲玉も見切って回避。
ああ玲珠膏玲珠膏。お求めは播磨の黒田家まで。出張販売も致しております。

  • 黒田官兵衛
播磨国大名小寺家の家老。日本一の軍師を目指す目薬好きの愛妻家。
療養中の千鳥と助蔵に玲珠膏を贈る。
下記のスピンオフ『軍師黒田官兵衛伝』の主人公。

結局どいつもこいつも変人だ!【敵対勢力】

一向宗の総本山・石山本願寺法主。
反射光で常に眩い輝きを放つ坊主頭とわかりやすい説法で高いカリスマ性を誇る。
信長の覇業を10年遅らせた男。
妻の如春尼(CV佐倉綾音)とは夫婦漫才めいたやり取りを繰り返し結構な頻度でいちゃつくバカップル。

駿河国大名今川氏の当主。
大名としては物凄く有能だが、息子が馬鹿なのが悩みの種。
桶狭間で死んだ後もたまに幽霊として登場する。

美濃国大名で道三の孫。
酒色におぼれて何もしない文字通りのダメ大名だったが、美濃を追放された後で奮起し別人レベルの変化を遂げた(別名「真斎藤龍興」)。
打倒信長を掲げ各勢力を渡り歩く。フロイスとも親しい間柄。

  • 三好長逸
  • 三好政康
  • 岩成友通
三好三人衆。
三人とも顔が(•3•)と顔文字みたいなデザインで統一されている。一緒にいると感染するらしい。
信長に反抗しては負けているかませ犬。

越前国大名朝倉家の当主。
内政は有能だが、どうしようもないほどの臆病者。
滅多に戦場に出たがらず、出たら出たでフクロウの鳴き声にも怯える。
だが信長との対峙を繰り返すうち戦国大名らしく成長していく。

鉄砲傭兵集団・雑賀衆の頭領。
金の亡者で、銭さえ積めばどんな仕事でも引き受ける。夢は銭風呂に入ること。
斎藤龍興・三好三人衆連合軍や本願寺に雇われ織田軍と対峙する。

甲斐国大名武田家の当主。
四名臣をはじめとする戦国最強軍団を率いる名将であると同時に、「信玄の隠し湯」が高じて無類の温泉好き。

  • 望月千代女 CV種﨑敦美
「信玄の忍び」。諜報や暗殺のため、たびたび暗躍していたジト目の巨乳美女。
千鳥に匹敵する実力と自己判断で動ける裁量と狡猾さを持ち、躑躅ヶ崎館に現れた千鳥を打ちのめしたことも。
意外と単純なところがあり、千鳥の子供騙しな技や助蔵の口車に引っかかったりする。




○スピンオフ作品

各作品の舞台となる時代は数年~数十年異なるものの時空は共通しており、登場人物の外見や性格も共通している。同じ出来事(斎藤道三の最期など)が別目線や別エピソードを交えて描かれることもある。
  • 『戦国雀王のぶながさん』
ヤングアニマル嵐に連載された麻雀4コマ。全1巻。
麻雀が伝来し、戦の代わりに麻雀で天下や国盗りを行う。こちらは主人公である千鳥はほとんど登場しない。
伝承をモチーフに、あくまで技術の範疇だがどこか超能力めいた特技を使う者もいる。

  • 『信長の忍び外伝 尾張統一記』
ヤングアニマル嵐で連載されたスピンオフ。全3巻。
同一時間軸における若き日の信長を描いた作品(千鳥の仕官が桶狭間の少し前)。

  • 『軍師黒田官兵衛伝』
ヤングアニマルDensiでweb連載が始まり、現在はマンガParkで掲載中のスピンオフ。既刊6巻。
日本一の軍師を目指す播州国人・黒田官兵衛孝高の活躍を描く。
スタート地点が秀吉が長浜城主になった頃なので、連載時点の本編よりも少し後の時代が描かれており(本作1巻と同時期に発売された本編8巻が三方ヶ原)、千鳥の姿は見られないが、名将に成長した秀吉や、例の事件前後の光秀も顔を出している。

  • 『真田魂』
官兵衛伝同様、Densi、マンガParkでweb連載されている作品。既刊4巻。
家と土地を守らんと奮闘する「戦国最強の血統」真田家を描く。
スタートは幸隆が武田家に仕官する場面だが、中心となるのは「日本一の兵」真田幸村の模様。
2015年1月時点では織田家と絡んでいないものの、信玄など本編と共通する人物も。

  • 『明智光秀放浪記』
マンガParkにてweb連載された作品。全1巻。
1541年の光秀当主就任から織田家に仕官するまでを描き、最後は坂本城の城主になるシーンで締められている。
なお仕官以前の光秀の動向は謎だらけのため、「真偽不明」「脚色が含まれる」との断り書きがある。

  • 『政宗さまと景綱くん』
コミック乱ツインズで連載された作品。全4巻。
料理好きの伊達政宗と、サディスティックな部下の片倉景綱の活躍を描く。
白泉社ではなく、リイド社から出版されている。

  • 『殺っちゃえ‼宇喜多さん』
コミック乱ツインズで連載されている作品。既刊1巻。
暗殺大名こと宇喜多直家の生涯を描く。
こちらもリイド社。

  • 『雑兵めし物語』
まんがライフオリジナルで連載されている作品。既刊2巻。
武将が主人公ではなく信濃国の雑兵作兵衛と家を失った姫つるを中心に戦国時代の庶民の食事情や生活を描く。
竹書房から出版されている。

  • 『石田三成の妻は大変』
まんがタウンで連載されている作品。まだ単行本化はされていない。
石田三成と妻うた夫婦の日常を描く。
サブタイトルは「~大変」で統一されている。

○戦国大戦に参戦

SEGAの『戦国大戦 1570〜魔王上洛す〜』にて主人公・千鳥が戦国数奇(コラボなどの特殊枠)としてまさかの参戦を果たした。しかも背景にはモブとして信長もいる。
その後も下記の面子が追加されている。
  • ver.1.20『15XX〜五畿七道の雄〜』木下秀吉(背景:ねね)
  • ver.2.00『1590 葵 関八州に起つ』本願寺顕如(背景:如春)
  • ver.2.00 単行本7巻限定版付録 織田信長(背景:帰蝶)
  • ver.2.20『1477 破府、六十六州の欠片へ』帰蝶(背景:斎藤道三)
  • ver.3.10『1615 大坂燃ゆ、世は夢の如』望月千代女(背景:武田信玄)

蛇足だが、既にサービスは終了している為、今からでは彼女達の活躍は動画サイトなどの過去の戦いでしか見れない。
(ネットワークには繋がっていないが稼動できる店舗はまだ何個かあり、カードも捨て値で売られている可能性もあるが)
ちなみにアニメ化のかなり前のコラボなので声優陣は違うが、そっちもそっちでなかなか豪華だったりする。



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最終更新:2023年12月26日 22:06

*1 登場時期によって変化する武将もいる。

*2 「木綿藤吉」と丈夫さを木綿に例えられた逸話が由来。

*3 侍女だったえい曰く、これでも嫁いでくる前よりは落ち着いているらしい。