讃岐うどん

登録日:2011/06/22(水) 01:12:02
更新日:2023/05/31 Wed 20:32:00
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讃岐うどんとは、その名の通り、讃岐=香川県饂飩である。

香川のヒーロー空海さんが延暦804年頃に唐に渡りその時、持ち帰ったのが始まりとされるが確証はない。
本格的に庶民の間に広まったのは今から約300年前の江戸の元禄時代の頃。

讃岐地方は小作地が多く加えて降雨量が少なく度々干ばつに悩まされ、水田で作られる米の安定的な生産が出来ない土地であった。
そのため米は贅沢品であり代用食として麦で作ったものが「うどん」
そう「うどん」である。

1712年頃書かれた「和漢三才図絵」という当時の百科事典に、
“讃岐丸亀の産を上とする 饅頭として色白し”とあり讃岐は上質の麦の産地であったことがうかがえる。

美味しい麦の産地で出来た代用食が後の世で代表食となるのである。胸熱。

讃岐うどんの発祥地は諸説あり、琴平町と言う説、また綾川中流の滝宮説など諸説があるが確たる証拠はない。

又、讃岐うどんの呼称自体は古くても1960年代くらいから。そこまで古くはない。


香川県では1人当たりの年間うどん消費量は230玉と日本一。生産量は二位の埼玉県の三倍以上。ちなみに、ゆで・生・乾燥うどんの三種類すべてで一位。
7月2日はさぬきうどんの日とさぬきうどん協同組合が制定している。

「讃岐うどん」でググってみると実に1090000件もヒットする。さぬきうどんだと252000件。


○定義
讃岐うどんには「名物・本番・特産」と名乗る際には以下の条件が必要となる。
  • 香川県内で製造
  • 手打ちか手打ち式(風)
  • 加水量は小麦粉の重量に対して四割以上
  • 食塩は小麦粉の重量に対して三パーセント以上
  • 熟成時間二時間以上
  • ゆで時間15分くらいで十分アルファ化しているもの。


○ブーム
連絡船や瀬戸大橋ができるなど、交通の便がよくなるたびにブームに。
そして麺通団により、90年代後半になり、マスコミへ露出が増えてブームになる。この頃からほぼ現在までを映画にした「UDON」がつくられる。
さらに香川県以外にも「丸亀製麺」「はなまるうどん」といったセルフ式讃岐うどんが出店し、全国的に食べやすくなった。

結果、迷惑駐車の増加やゆで汁による水質汚染などが問題となるほどのブームになった。
この迷惑駐車の為、移転したり営業時間を変更した店があるほど。


○特色
  • しっぽく(卓袱)うどん
東讃地方の郷土料理。
肉や里芋、ニンジンなどの根菜を煮た甘い汁をかけたうどん。

十分に具があるが、店で頼むとこの上にかき揚げをのせる猛者もいる。

  • 釜玉うどん
サッカーJ2リーグのカマタマーレ讃岐の由来。
湯切りした釜揚げ(茹でて水洗いする前の熱いうどん)にや薬味、だしか醤油で食べる。
うどんが冷えないうちに卵をかき混ぜて半熟にすると美味しい。
混ぜる際、邪魔になるのにかき揚げをのせる猛者がいる。
ちなみに、本来「釜玉」なる名前はついておらず、香川では「うどん」といえばこれを指した。

  • かけ
薄めのだしをかけたもの。好みで色々のせるが、食べにくいのにかき揚げを以下略。

  • 生醤油うどん
うどんに生醤油をかけただけ。
具をのせてもいい。
店で玉だけでなく、醤油もお土産で買えたりするため、家庭でもうどん屋気分。
大根おろしをかけると美味しいが、やはりかき揚げをのせる猛者がいる。
普通、取り皿にかき揚げやコロッケをのせるが、猛者たちはうどんの上におき、だしを染み込ませ柔らかく、またおいしくいただく。

  • たらいうどん
名前の通り、お湯の入ったたらいに入ったうどん。
つゆにつけて食べる。


○セルフうどん
他県では珍しい光景、あれこれ

  • 玉をデン、と出され、自分で冷水で〆て湯切りしたり、それどころか茹でるところからやったり。
  • セルフじゃなくても、お稲荷、オニギリはセルフ。オデンもセルフ。
  • ネギハサミで切る。それどころか、裏の畑からネギを抜いてこさされたり、大根をすらされたり、大根を抜きにいったり、ショウガを自分ですりおろしたり。
  • 皿洗いもする。
  • 蛇口を捻るとだしがでる。
上記の様に様々であり、常連でないとルールがよくわからない事もある。
また、製麺所がセルフうどんを兼ねていたりする場合もある。箸やお椀を持っていくと卵がタダだったり、多少安くなる。


○うどん遍路
香川県にある88箇所以上のうどん屋を巡る、まさに遍路

歌うオバチャン、ガウォークみたいに腰が90°曲がっているオバチャン、踊るようなステップのオバチャン・・・
個性豊かな店員と、美味しいうどんがあなたを待っている。


○うどんのある風景

  • 引っ越しや新築の家で最初にやることは風呂場でうどんを食べる、と言う風習が昔はあった。
  • うどんバーガーをつくり、1日に数量限定販売。大抵は午前中になくなる。
  • 様々なうどんアイスをつくる。地方によってはネギ入り、だしの濃さを決められる、ソフトクリームだ、など。
    基本はだしのアイスに刻んだうどんを突っ込んだもの。 
  • うどんの切れ端でバイオエタノールをつくる。そしてまたうどんを・・・永久コンボ?

讃岐からしたら稲庭と水沢は眼中に無いとか。


○うどんvs水不足
夏になると毎年のように起こるイベント(?)。
そもそも香川県は日本一水不足に陥りやすい県であり、何をするにも水を使いまくるうどんとの相性は最悪である
夏になると大抵ニュースでは(なぜか隣県にある吉野川の)ダムの貯水率が話題になり、
そして大抵うどん屋が出てきて「水がないと困りますね~」とか何とか話すのがお決まりとなっている。
ハッキリ言って砂漠の真ん中でパスタを茹でるイタリア軍並の狂気である。

なぜこんな相性の悪い代物が名物となったかと言えば、香川県は日照時間が長いために米麦の二毛作が可能だったため。
更に日照時間が長い事で塩田が多く、加えて小豆島で醤油、伊吹島でイリコの生産が盛んだったことから、
総じてこれらを利用するうどんの生産が盛んになっていったといわれている。
つまり、日照時間が多い=雨が少ない県でうどんが発展するのは宿命だったのだ。

今となっては塩は工業製品だし小麦はオーストラリア産なので日照時間が長い事によるメリットは何一つ残っておらず、
結果として発達しすぎたうどん文化が水不足にハッパをかける現状だけが残ったわけである。
ともかくうどん県民に染み付いたうどん文化は水が不足しようがどうしようが既に抜けるものではなく、
香川県民は今日も徳島県の水を湯水のように使いうどんをゆで続けるのであった。


○商標問題
日本では上述の通り「讃岐うどん」を名乗るためには厳しい基準が設けられているが、
台湾では全然関係のないメーカーに「讃岐うどん」「さぬきうどん」「SANUKI」などの商標を2008年に勝手に取得されてしまった。
台湾に出店した香川で修行した職人に「ウチの商標を使うな」と言ってきたことで問題が顕在化、2013年現在いまだ係争中である。
おかげさまで台湾に行くと「こんにゃく讃岐うどん」みたいなカオスな代物がスーパーに並んでいる。
中国や台湾で日本の食品をブランド化するにあたり、「勝手に全然関係ない企業に登録されてしまう」事態が頻発しているが、
讃岐うどんの一件はその代表例といえる。


○余談

香川県は人口辺りの糖尿病患数の割合が日本で最も多く、理由としては運動不足とうどんが考えられています(ガチで)。
炭水化物を大量に摂取し、具や付け合わせとして野菜を食べることが滅多にないうどんは糖尿病の天敵。
香川県民はうどんを止められるくらいなら死を選ぶ…という冗談はさておき、
うどんの食べ過ぎは控え、なるべくサラダなどの野菜も一緒に食べるようにしましょう。




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最終更新:2023年05月31日 20:32