機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ

登録日 :2012/02/04(土) 10:19:25
更新日 : 2017/09/12 Tue 00:07:09
所要時間 :約 15 分で読めます




……例外規定があるかぎり、人は、不正をするんだ……


ガンダムシリーズの一つ。富野由悠季による小説で、1989年から1990年にかけて角川スニーカー文庫より全3巻で刊行された。

時系列的には『逆シャア』の12年後の話なのだが、本作は小説版『ベルトーチカ・チルドレン』の設定、ハサウェイ・ノアがクェス・パラヤを直接殺めてしまった設定を引き継いだものとなっている。
劇場版逆シャアの続きとなっている『機動戦士ガンダムUC』では、ハサウェイは植物監査官になる為の勉強をしており、こちらでもいずれこの事件が起こることを予感させている。

【あらすじ】


一度は敵として戦い、つぎには味方となって戦った二人の男アムロ・レイシャア・アズナブル
彼等は、一人の女性に取り込まれた男たちだった。彼等は、彼等以外の刺激し合える他者に出会っていれば、対峙することはなかったはずだ。
しかし、不幸にして、彼等はその周囲に新たなニュータイプを見つけることはできなかった。
彼等がアクシズと共に消息を絶った事で、後に「シャアの反乱」と呼ばれることになる戦乱は幕を閉じた。

シャアの反乱の最中、少年ハサウェイ・ノアは地球連邦政府の父の軍艦に隠れ乗り込みモビルスーツの操縦まで行い戦場を経験した。
そこで、彼は初恋の少女が感性を飽和させ死んでいくのを目撃し、同時に地球を守るために敵味方なく散っていく多くの人々の魂の声も聞いた。
戦勝ムードと敵軍のMAを撃墜した戦果でMSに無断搭乗した罪は無罪放免となったが、宇宙の戦場で得た経験からハサウェイは個人の人と組織の人の問題を学ばざるを得なかったし、戦争の首謀者であるシャアの経歴も学んだ。
シャアの出した結論「人類を産んだ地球を滅亡させてはならず保全すべきだという事」、ハサウェイは彼の思想に共感したのだった。

宇宙世紀100年台。シャアの反乱が鎮圧されてから10年余りが経過した世界、マフティー・ナビーユ・エリンと呼ばれる反地球連邦政府運動が地球で過激になっていた。
マフティーは、「地球をクリーンにする為、地球に残る人々は全て宇宙に出ていかれなければならない政策」を実施するよう政府に要求を突き付け、モビルスーツを使い連邦政府首脳を暗殺していた。
だが世間の反応は好意的だった。政府中枢の人々は地球を自分達だけで独占する動きを益々加速させ、居住権のない人々はマンハンターによって年に数十万殺されていたからだ。

この時代一般の人々では地球に降りるのも難しくなっており、356便スペース・シップ「ハウンゼン」も例外ではなくよほどのコネがあるか大枚の金を支払わなければ搭乗出来なかった。
そこにはマフティー退治のため地球に降下するケネス大佐、男を惹き付ける魅力を持った謎の少女ギギ、青年に成長し植物監査官候補生となったハサウェイ、高級閣僚や軍の関係者も入れ定員40名余りとクルー5人が同乗していた。
ホンコンに降下する為徐々に大気圏に侵入していくハウンゼンだったが、突如として正体不明の機体にハイ・ジャックされてしまう。
ハイ・ジャック犯は仮装用かぼちゃマスクを被りマシン・ガンで武装し、自分はマフティー・エリンであると名乗った。空気を読まない閣僚の鷹揚な物言いは自称マフティーの神経を苛立たせ、機内は血に染まっていくのだった……。



【登場人物】

(※CVはゲーム「Gジェネレーションシリーズ」より)

ハサウェイ・ノア
CV:佐々木望
本作の主人公。ごらんの通りのごく普通の青年だがクェスを投げ縄で助けていた少年時から身体能力は衰えていない。
いつの間にか茶髪になっているが染めた理由は不明。過去の経験から鬱病になっていた時期もあった。
シャアの反乱では敵機体を撃破して軍の新聞に載った事もある為ちょっとした有名人。


マフティー・ナビーユ・エリン
地球連邦政府の秩序を乱す正体不明の危険人物。同名の秘密結社を率いていた。
彼の活躍は地球だけでなく、月やスペース・コロニーのマスコミでも持ち上げられており、「マフティーは救世主、ニュータイプの再来、地球連邦政府を浄化する!」とまで出版物に書かれていた。
MSの操縦技術ではレーン・エイムを最後まで圧倒しており、レーン本人も最後には敗北を認めていた。
正体はクワトロ・バジーナ=シャア・アズナブルであるくらい既読者にはバレバレである。


ギギ・アンダルシア
CV:林原めぐみ/川上とも子
本作のヒロインであり今作の戦争の勝敗の行方を左右するハイティーンの少女。乗客が閣僚でほぼ占められている特別便ハウンゼンでは似つかわしくない存在だった。
初対面のケネスが地球に降下する目的やある人物の正体を一発で当てるなど勘が非常に鋭い。


ケネス・スレッグ
CV:立木文彦
本作のもう一人の主人公的存在。連邦軍大佐。
シャアの反乱では第一線でパイロットとして戦いエクスタシーに近い経験までしたモビルスーツ大好き野郎。
シャアの反乱以後は実戦がなくなった地球連邦宇宙軍で、ウダウダとモビルスーツの開発を続けていた。ジュリーという妻と別れてからまだ二年と経っていないバツイチ男。
マフティー対策で協力を渋っていた警察署長にMSによる空爆を仄めかし恫喝するなど任務のためには手段を選ばない凶暴な面も備えている。ヤニ臭い閣僚達を嫌悪しており、内心ではマフティーを支持していた部分もあった。


レーン・エイム
CV:橋本晃一/水島大宙
連邦軍中尉。ケネスが地球に降下する10日前に新型のモビルスーツ「ペーネロペー」と共に先に送り込まれていた。
過去の月刊ニュータイプの特集記事では強化人間となっている。(GジェネレーションシリーズではNT扱い)。
マフティー個人の事は軍のような公的な組織での苦労を知らない民間人であり自由主義をはきちがえた青年であるという印象を持っている。


イラム・マサム
CV:山崎たくみ
マフティー実戦部隊の作戦担当メンバー。ハサウェイの副官的存在。


ブリンクス・ウェッジ
マフティーの太平洋上における移動拠点となる鉱物運搬船ヴァリアントの艦長。


エメラルダ・ズービン
CV:鵜飼るみ子
メッサー1号機のパイロット。レイモンドとは公認の仲。ギギとハサウェイの仲を取り持つが上手くいかなかった。終盤でペーネロペーのファンネル・ミサイルで機体ごと霧散する。

ガウマン・ノビル
CV:竹村拓
メッサー2号機のパイロット。ハサウェイを逃がすためホテルを襲撃するがペーネロペーの性能差に敗北しマフティー初の捕虜になってしまう。人質にされるも解放される。その後は最後まで戦い、生存して撤退した。


レイモンド・ケイン
CV:藤本隆行
ギャルセゾン1号機のパイロット。


シベット・アンハーン
CV:田坂秀樹
ギャルセゾン2号機のパイロット。


ジュリア・スガ
健康さを誇示するような乳房と若くツンとした乳首をしたメカニック。男だけがトップレスでいいという歴史感覚を嫌っている。悪いおっぱいではないという事はいいおっぱいであるという証明である。

ケリア・デース
ハサウェイが地球で実習を受けていた時、彼の鬱病の治療役を担っていた女性。丸ぼうずに近い頭をしている。
彼女も組織に参加するが、ハサウェイが一年と数ヶ月でマフティーのリーダーに上り詰めるにつれ次第に疎遠になっていった。
ギギの出現によるハサウェイの精神面の変化が離縁を決定づける。


クワック・サルヴァー
「インチキ医者」を名乗るマフティーの補給係で組織の黒幕。メンバーは彼の顔は知っていたが、その正体は敵味方含め遂に誰も掴むことが出来なかった。


ファビオ・リベラ
CV:望月健一
オエンベリ軍のリーダー。マフティーを騙ったハウンゼンのハイジャッカー(CV:柴本浩之)もここのメンバーだった。
中の人がアーガマの通信士コンビなのは気にしてはいけない。


キンバレー・ヘイマン
連邦軍大佐で、ケネスの前任キンバレー部隊の司令官。
文官上がりな上に、ケネス着任の焦りから生身のオエンベリ軍の掃討をモビルスーツ部隊に指揮した。
「力を使ったことがない人間は加減が解らない」ことを教えてくれる人物。


メジナウム・グッケンハイム
宇宙軍幕僚長官。階級は大将。ケネスからある秘密を聞いたことが悲劇に繋がってしまう。


アマダ・マンサン
ハサウェイの植物監察官の実習を担当した教官。
クワック・サルヴァーがアマダの元を訪ねていたので明言はされていないがマフティーの一味であるようだ。


メイス・フラゥワー
ハウンゼンの客室乗務員。地球降下後ケネスといい感じになったがギギのせいで険悪な関係になってしまう。果たしてケネスにオーラルとかアナルを要求されたのか、それは二人にしか分からない……。
エピローグでのケネスは日本についたらヨリを戻してみると言っていた。


ブライト・ノア
連邦軍大佐。シャアの反乱以後軍を辞めたくても辞められないジャパニーズ・オトッチャン。第十三独立艦隊のラー・カイラム艦長のままだが、軍内では要はNTが反乱を起こした時の人質扱いであり男はつらいよ。
ようやく軍から辞める許可が出て暫くはレストランでもやった後政治に出馬する計画を立てていた。
それが散っていった戦友たちへの彼なりの責任の果たし方だったのだが……
十字架に磔にされたような格好で鎮座したΞガンダムを見ての台詞は歴代のNTとガンダムを見てきた生き証人である彼ならでは。

「ガンダムにはいつも、反骨精神を持った者が乗っていたな。そして、ガンダムの最後はいつもこうだ。首が無くなったり、胴体が焼かれたり、バラバラになったり。しかし、反骨精神そのものはガンダムが無くなった後でも、健在だったものだ。」


ミライ・ノア
CV:白石冬美
ブライトの妻であり一年戦争時の戦友。ブライトが軍の任務を優先し、ニューハンプシャーシーに店を行く予定をキャンセルした事に冗談じゃないと言っていた。ブライト本人よりレストランをやるのに意欲があるかもしれない。
レストランをやった後にブライトが出馬する気があるのを知っていたかどうかは不明。

クェス・パラヤ
CV:川村万梨阿
前作ではアムロを追い詰めた所をハサウェイに狙撃され既に故人。キャーン!
ハサウェイの夢に出て来てはうっかり自分を殺したことを姑のようにネチネチ責め立てる。



[登場機体]


Ξガンダム
サイコ・コミュニケーターブロックとミノフスキーエンジンを搭載した秘密結社マフティーの切り札。
ミノフスキー・クラフトの有利な点として、メッサー一機の重量ぐらいは支えること出来る。
反連邦組織の機体な為、ケネスやレーンからは劇中でガンダムもどき扱いされた事もあった。
アナハイム・エレクトロニクスに秘密裏に発注し証拠隠滅は完璧であり、メカニックマンの調査でも劇中で、製造元はバレることはなかった。
マフティーの台所事情により作業に用いられることもあった。

搭乗者はマフティー・ナビーユ・エリン。


メッサー
マフティーの量産型モビルスーツ。ギラ・ドーガの流れを汲む。


ペーネロペー
大出力のミノフスキー・クラフトを装備しガンダム系の名残を残したモビルスーツ。
外装であるフライング・フォームを維持する時のミノフスキー粒子を散布するパーツを外しても飛行することが出来、最後の白兵戦ではその能力を十分発揮しΞガンダムに喰らいついた。

搭乗者はレーン・エイム。


グスタフ・カール
連邦軍キルケーユニットの量産型モビルスーツ。OVA版『UC』にも登場。


【余談】


  • 本作はGジェネFに登場した事で知名度が上がり、特にBGMは高い評価を受けた。
  • スーパーロボット大戦D』におけるシャアの反乱はアムロとブライトをシャアが拘束・軟禁し、サイコ・フレームの横流しを行わなかったことなどにより成功寸前だったが、(宇宙から見れば)地球消滅という異常事態が発生してアクシズも落着前に消滅して失敗。
    • 同時期に起こったOZのクーデターからミライと共にネオ・ジオンに保護されていた事が語られており、ザンスカールの襲撃を受けてブライトの承諾を得たミリアルドの助力によってグラナダ市へ避難するなど、クェスが無条件で生存することを含めて本作へのフラグがこれでもかとへし折られている。
  • スーパーロボット大戦Z』のジ・エーデル・ベルナルがこの作品を「一つの可能性」として示唆しているブライトとの会話があった。
    • が、続々編『第3次スーパーロボット大戦Z時獄篇』において、クェスの生存によって本作へ繋がるフラグは折れており、原作再現はされなかった。
  • 2017年発売の『スーパーロボット大戦V』にて遂に参戦。機体のみ参戦との触れ込みではあったが、ペーネロペーに搭乗したレーンも登場するなど作中の扱いは小さくない。


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