マクロスシリーズ

登録日:2009/12/18 Fri 00:01:57
更新日:2022/03/15 Tue 22:43:34
所要時間:約 7 分で読めます





マクロスシリーズは、TVアニメ超時空要塞マクロスから続く一連のアニメをはじめとする、メディアミックス作品群。




概要

かのガンダムシリーズと並ぶSFロボットアニメの金字塔。
主要な製作スタッフは河森正治、板野一郎、美樹本晴彦など。

板野サーカスに代表される「アニメーション」の限界に挑戦する作画・演出、多種多様な音楽などの魅力が評され、人気の元となった。

舞台は21世紀の銀河系宇宙。
巨人型異星人との接触に端を発して地球人類が宇宙に進出、太古に銀河系で栄えた超文明「プロトカルチャー」が創造した他の知的生命体や、遺物を巡る戦いが様々な時代に渡って描かれる。


可変戦闘機(バルキリー)によるドッグファイト」「歌」「三角関係の恋模様」をシリーズの基本三要素として定め、これらを織り交ぜた独特のSF世界観・ストーリーを展開しているのが特徴。
これら三要素は作品毎に様々なアプローチで演出され、どの作品も新鮮な気持ちで視聴することができる。

「歌」を最も重要なテーマとして扱っている関係上、各作品にはヒロインとなる「歌姫」が登場する。
一部の作品ではこの「歌姫」を演じる声優をオーディションによって選出し、作品と共に育ていく手法を取っている。
一方で、キャラクターの演技を声優、歌を本職の歌手が担当する方式の作品も存在する。
『F』以降は両方式を採用して楽曲の幅を広げる傾向が多い。
楽曲ジャンルはバラード、ロック、テクノ、オーケストラ…etc.と多岐に渡り、これら音楽とマッチするような作劇・画面作りが徹底されている。


例外こそあるが、基本的に全作品は「同一世界観の時系列上で起こった出来事」について描かれている。
このため作品間の繋がりも強く、小ネタ・オマージュレベルのものからシリーズの他作品の出来事がストーリーの核心に影響しているケースも存在する。
過去作品を視聴したり、設定について調べることでよりシリーズを楽しむことができる。

有名な裏設定として、本シリーズは全て「マクロス世界における史実に基づいた歴史ドラマ(映画)」として製作されている。
要するに現実におけるNHK大河ドラマのような作品形態であり、史実上の同一の出来事について描いた作品であってもストーリーの流れや設定に差異があるケースが多々ある。
これはシリーズを長く続けていく上で発生する作品間の矛盾を解決するための措置。
この裏設定が公になって以降、「劇中劇」を強調する描写が入ることもある。


作品一覧

アニメ(時系列順)

西暦2008年、ASS-1(後のSDF-1 マクロス)の落下に端を発した「統合戦争」の末期「鳥の人(AFOS)争奪戦」を描く。

シリーズ20周年記念として2002~2004年にかけて製作されたOVAシリーズ。全5巻。作品コンセプトは「神話」
板野一郎が現状最後に携わったマクロスで、戦闘シーンをフルCG*1とした斬新な演出が好評。
現在でもその圧倒的な動きはCGアニメ中最高峰と名高い。

シリーズの中では『初代』の他『F』との関連が強いが、実は強い繋がりを示すあるシーンはBlu-ray版発売に当たり後付けされたものだったりする。

西暦2009年、ブービートラップであったマクロスの誤射により勃発した巨人型異星人「ゼントラーディ」と地球人類の戦争「第一次星間大戦」を描く。

1982~1983年に渡って放映されたTVアニメ。全36話。作品コンセプトは「日常ドラマ」
記念すべきシリーズ第一作であり、『超時空世紀オーガス』『超時空騎団サザンクロス』と続く「超時空シリーズ」の第一作でもある。
伝説の歌姫リン・ミンメイや、一条輝はじめとするこの時代の英雄達の名前・伝説は後の作品でも随所で登場する。

この頃から既に板野サーカスによる神がかり的な作画を拝むことができるが、様々な問題からスケジュールが切迫し作画崩壊や夢オチ総集編などの「万策尽きる」状況も日常茶飯事だった。

劇場版第一作。1984年公開。作品コンセプトは「舞台劇」
TV版の大筋をなぞりつつ数々の設定変更を加えたリメイク作品で、現在ではアニメ史上屈指の名作としての評価を揺るぎないものとしている。
TV版でよく問題とされていた作画の乱れの改善、感情移入し辛いキャラクター設定を見直すといった再構成が行われた。
戦闘描写は昨今のアニメと比較しても遜色ない、あるいは凌駕する程のクオリティを誇る。
主題歌「愛・おぼえていますか」は大ヒットし、アニソンの歴史に名を刻んだ。

シリーズの年表では「第一次星間大戦終結20周年記念映画」として2031年に公開された、という設定になっている。
マクロス世界においても大ヒットしたという設定になっており、これにより女性ゼントラーディの呼称として「メルトランディ」が定着したとされる。

  • 超時空要塞マクロス Flash Back 2012
リン・ミンメイの歌唱曲を集めたミュージックビデオ。
カムジン・クラヴシェラ一派の反乱の後、「リン・ミンメイ さよならサマーコンサートツアー」及び「第一次超長距離移民船団メガロード-01の出航」を描く。

1987年発売のOVA。
元々は『愛・おぼえていますか』のエンディングで描く筈だったシーンを再編集したもの。

西暦2040年、新統合政府によって揉み消された一大スキャンダル「シャロン・アップル事件」を描く。

1994年~1995年に掛けて製作されたOVAシリーズ。全4巻。作品コンセプトは「洋画」
新カットを加えて再編集した1995年公開のMOVIE EDITIONも存在する。
菅野よう子が音楽担当として参加し、幻想的な楽曲でバーチャルアイドルの走りと言えるシャロン・アップルを演出した。
シリーズの中でも最高の戦闘描写と板野サーカスで知られ、その圧倒的なまでの「アニメーション」は誇張無しにセル画の極限であり最高傑作と言われる。

西暦2045年、謎の超時空生命体「プロトデビルン」とマクロス7船団との戦争「バロータ戦役」を描く。

1994~1995年に渡って放映されたTVアニメ。全49話+未放映3話。作品コンセプトは「漫画」
ゼントラーディが50万年に渡って戦っていた「監察軍」の正体、プロトカルチャーが滅んだ本当の理由など、シリーズの核が明かされる。

当時のバンドブームに乗り、ロックバンドFIRE BOMBERをメインに据えて物語を展開した意欲作。
主人公・熱気バサラの「歌を聴かせる」という一点を貫いた破天荒な行動、口があるバルキリーといった要素からシリーズの中でもアクが強い。
一方で『初代』の登場人物でもあるマクシミリアン・ジーナスミリア・ファリーナ・ジーナスエキセドル・フォルモがレギュラーキャラクターとして登場する等、「『超時空要塞マクロス』の続編」であることが特に強く示唆された作品でもある。
同時期に展開していた『プラス』に主力スタッフの殆どが参加したため戦闘描写はうんざりするほどバンクを多用してくるなど歴代最低レベルで、物語が加速する中盤までだらだらした展開が続くなど欠点も多いが、それを補って余りあるほどのキャラクターと楽曲の魅力に溢れた作品。
本作で登場した楽曲は現実でも「FIRE BOMBER」名義で発売され、アルバムはゴールドディスク大賞を取るなど大ヒットした。

とある惑星での熱気バサラとエミリア・ジーナスのセッションと、そこに現れたプロトデビルンとの戦いを描く。

1995年公開。本編の番外編であり、第38話「禁断惑星のシビル」後の時期のお話。
設定上存在していたミレーヌの姉、ジーナス家の五女・エミリアが登場する。
ミレーヌが生まれた年に撮影されたジーナス家の家族写真も登場し、養女モアラミアを除く七姉妹を確認することができる。

西暦2047年、惑星ゾラでの「銀河クジラ防衛戦」を描く。

1997~1998年に渡って製作されたOVA。全4巻。
『7』本編終了後の後日談にあたる。
ゼントラーディ以外の異星人が登場する初めての作品。
当時規制が緩かったため、幼女の乳首が拝めた。

西暦2059年、謎の超時空生命体バジュラとマクロス・フロンティア船団との戦争「バジュラ戦役」を描く。

マクロス生誕25周年記念作品。
2008年に放映されたTVアニメ。全25話。作品コンセプトは「学園青春ドラマ」
設定の根幹の一つ、プロトカルチャー繁栄の秘密が明かされる。

「原点回帰」をコンセプトとして『初代』を意識した要素が散見され、歴代作品のオマージュも多数存在。
『ゼロ』に続いて戦闘シーンはフルCGとなっているが、板野サーカス会得者が不参加のため物足りない感が否めない。
楽曲には菅野よう子が参加、ヒットソングの連発で大セールスを記録した。

2012年公開の劇場版。マクロス生誕30周年記念作品の一つ。
『7』のVHSを『F』のキャラクターが見るという一風変わった方式の作品。
ただし、ぶつ切り編集な上に『7』に関する説明が殆どないため、『7』未視聴者には非常に分かり辛い構成となってしまっている。
他、ファンが望むコラボ演出を意図的に外しているため評価は低い。
ただ、最後のライブシーンだけは素晴らしい。

2009年と2011年にそれぞれ公開された前後編の劇場版。作品コンセプトは「戦場ライブ」
当初こそTV版の再編集作になる予定だったが、新作カットが大量に加えられ、大筋は一緒だがTV版とはもはや別作品。
セルフオマージュはTV版より顕著で、虚空歌姫でのシェリル・ノームのファーストライブでは「リン・ミンメイ」「シャロン・アップル」「FIRE BOMBER」と過去作のトップアーティストの名が列挙された。

  • 劇場短編マクロスF 〜時の迷宮〜
フロンティア船団が惑星バジュラに入植してしばらく経ったある日、謎の反応を見せるプロトカルチャー遺跡の調査について描かれる。

2021年に下記の『絶対LIVE!!!!!!』と同時上映で公開された短編映画。
上記のストーリーを下敷きとしてランカ・リーの新曲「時の迷宮」のミュージックビデオ風の作品として仕上がった。
『恋離飛翼』の後日談でもあり、シェリルの現況や、早乙女アルトの行方の手が掛かりが示唆された。

西暦2067年、人間が理性を失い凶暴化する奇病「ヴァールシンドローム」とその対抗手段となる戦術音楽ユニットワルキューレ、そしてウィンダミア王国と新統合軍との戦争「第二次ウィンダミア独立戦争」を描く。

2016年に放送されたアニメ。全26話。作品コンセプトは「『プラス』と『7』の融合」
コンセプトの通り両作を意識した設定、演出が特徴。
また、モチーフとして北欧神話関連の単語が随所で見られる。
前半は歴代オマージュを上手く扱い評価が高かったのだが、後半では潜入・捕縛展開の繰り返し、
ラスボスに至っては目的と手段が『F』とほぼ同様と尻すぼみ感が否めないものとなってしまったという厳しい意見も。

2018年に公開された劇場版。
『愛・おぼえていますか』や『劇場版マクロスF』のようなTV版再構成型だが、
両作と違って展開そのものを大きく変更することなく全26話を上映時間120分の一本の映画としてまとめた作品。
ただし、後半は今までの劇場版のように殆どが新規カットで構成されている。
ワルキューレの活躍に主眼を置いた構成になっているため、Δ小隊の印象は薄めになっている。
TV版の不満点とされた部分はカット或いは改善されているため、TV版に満足のいかなかった人にこそ見てもらいたい作品。
また、中盤の『チェンジ!!!!!』のフル3DCGで描かれたライブシーンは、マクロスシリーズでは史上初の試みとなった。

西暦2068年、第二次ウィンダミア独立戦争の停戦直後、突如現れた反新統合政府組織「ヘイムダル」と星間複合企業ケイオスとの戦いを描く。

2021年に公開された劇場版。マクロス生誕40周年記念作品。
前作『激情のワルキューレ』の続編という扱いだが、前作がTV版全26話をそのまま網羅・再構成した内容なのでTV版からの続編として見ることもできる。*2

過去作のキャラクターとしてマックスとエキセドルが登場する他、
シャロンをはじめとしたこれまでのシリーズ作品で中核を為したキーワードが小ネタから核心に至るまで随所に登場する等、「マクロスシリーズ」としての続編作品であることが強調されている。
また、TV版と前作で正体が明かされなかった謎の人物「レディ・M」に関する衝撃の事実が判明する。

西暦2090年代、ゼントラーディは別の勢力「マルドゥーク」との戦いを描く。初めて“敵”としての「歌」が描かれた。

マクロス主要スタッフは2人しか参加しておらず、製作会社も別。
本作の展開を疑問に思ったオリジナルスタッフ達が再集結し、プラスと7を作り上げた。
そのため触れてはならぬ黒歴史として扱われ、正史ではない完全フィクションとされている不遇な作品。
だが作品自体は良作で、当時の売り上げはプラスより上だった。
これのおかげで現在のマクロスシリーズがあるとも言える、ある意味重要な作品。
楽曲自体は7でも登場した。
現実でも2009年以降は年表にも組み込まれたりゲームにも登場したり、クロスオーバーライブにサプライズ参戦している。

ラジオドラマ

  • マクロス・ジェネレーション
我らが田村ゆかりのデビュー作。
リン・ミンメイの再来と呼ばれる歌手カナリー・ミンメイと、彼女に憧れる少女パッセルの成長を軸に物語が展開していく。
時代は7と同じだが、舞台はマクロス9。
声優陣が『愛は流れる』『愛・おぼえていますか』といった初代の楽曲をカヴァーしたアルバムも発売されており、一聴の価値あり。ゆかりんも愛・おぼを歌ってます。

小説

  • マクロス・ザ・ライド(マクロスR)
「電撃ホビーマガジン」で2011年に連載。模型の作例記事もあり。
2058年のフロンティア船団を舞台に、エア・レース「バンキッシュ」の模様を描く。

ゲーム

  • マクロスM3
『初代』と『7』の中間、特務部隊「ダンシング・スカル」を結成したジーナス夫妻の活躍とメルトランの孤児モアラミア・ジフォンとの交流を描く。

2001年発売。
『M3』は主人公である「マックス」「ミリア」「モアラミア」の頭文字3つから取られている。

  • マクロスVF-X
ゲームシステムがアレなので黒歴史。

西暦2050年、特殊部隊「VF-X レイヴンズ」の視点から、腐敗しきった新統合政府を牛耳る地球至上主義者「ラクテンス」地方分権派閥「ビンディランス」の抗争を描く。

1999年発売。今までにない斬新なシステムでプレイヤーのハートを掴んだ伝説のマクロスゲー。
「統合軍ルート」「ビンディランスルート」の2つに分岐し、どちらも正史扱いされている。
『小説版F』ではビンディランスルートが採用された。

西暦2060年、フォールド断層で囲われた惑星ウロボロスを舞台にプロトカルチャーの遺跡「ユルヴァ・アーガ」を巡る戦いが描かれる。

2013年発売。マクロス生誕30周年記念作品の一つ。
歴代キャラクターが時を超えて集結、クロスオーバーするある種のシリーズお祭りゲーム。
この種の作品としては珍しく公式年表に組み込まれている。
ゲーム内で閲覧できるマクロス辞典では、各作品の小ネタから新設定に至るまで様々な情報を確認可能。

漫画

  • 超時空要塞マクロス THE FIRST
マクロスエースにて連載中(休刊後はウェブ連載中)の、初代マクロスのキャラデザの美樹本晴彦による初代のコミカライズ。
基本的には初代のストーリーを追っているが、ブリタイやエキセドルが劇場版デザインだったり、展開が細部で異なったりしている。

本編外作品

2008年発売のPSP用ゲーム。
初心者殺しの輝をはじめ、EXFFやEXMMといった高難度ミッションが立ちはだかる鬼畜ゲー。
「板野サーカス」「歌」「柿崎」「三角関係」を上手くシステムに組み込み、かつ数々の機体が登場する傑作。

2009年発売のPSP用ゲーム。
前作を遥かに超える数の機体が登場し、更なる改良が行われた究極の柿崎h(ryマクロスゲー。
しかし、鳥の人やアルティメットモードなど前作を超える鬼畜達も増加。




マックス隊長の言う通り!もしかすると追記・修正が出来たせいかな…ハハハハハうわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!
うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっと、死ぬかと思ったぜ
柿崎ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!?

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • マクロス
  • シリーズ項目
  • パヤオ
  • 映画
  • マクロスゼロ
  • 超時空要塞マクロス
  • 愛・おぼ
  • Flash_Back_2012
  • マクロス7
  • ダイナマイッ
  • マクロスF
  • 名作集
  • 板野サーカス
  • 一覧項目
  • 柿崎速雄
  • 柿崎ぃぃぃぃ!!!!
  • マクロスシリーズ
  • マクロスプラス
  • マクロスΔ
  • 三角関係
  • 河森正治
  • 美樹本晴彦
  • バルキリー
  • 劇中劇
  • 板野一郎
  • マクロスⅡ
  • 歌姫

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2022年03月15日 22:43

*1 とあるシーンのみ重量感の演出のため手描きとなっている

*2 一応、ハヤテ・インメルマンの父ライトの設定やハヤテとフレイアの恋愛面等では本作にて改めて新規で詰められているため、そのままでは繋がらない部分もあるが。