殺し屋1

登録日:2010/03/03(水) 18:13:15
更新日:2024/03/31 Sun 15:36:31
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愛は、かなりイタい。




1998~2001年頃に週刊ヤングサンデーで連載していた山本英男の漫画。全10巻。
同作者による外伝としてイチが殺し屋になる前を描いた「1-イチ-」もある。全1巻。

2001年には実写映画化がされ、2017年にはLINEスタンプが発売された。
映倫の指定はR-18。暴力描写によるR-18指定は本作が初だという。海外でも公開されたが、上映禁止にされた国もあるとか。


◆ストーリー


ドSの聖人(セイント)イチとドMの垣原の眠らない街、新宿の「ヤクザマンション」で巻き起こる笑いあり、涙あり、必然性ナシのラブ&コメディ!


過激な暴力描写が目立ち、そこばかりが取り上げられることが多い本作品だが、実際はSMを通じて作者の人間観が見られるとてもハートフルでロマンティックな作品である。






以下にはネタバレ暴力的表現を含みますので未読の方やそういった内容を好まない方は注意して下さい。

◆主な登場人物


〇主人公

  • イチ
演:大森南朋 (中学期・三浦アキフミ)
CV:鈴木千尋
本作の主人公。本名・城石一(しろいしはじめ)。真正サディスト。22歳。
気弱な性格で一人称は「ボク」。
角刈りがチャームポイントで、顔立ちは(普通にしてれば)かなり男前。
一見普通の優男だが、その服の下は筋骨隆々の鋼のような肉体が隠れている。

新潟出身で普段は海沿いのコテージに一人で暮らし、鉄工所で働いている。
歌舞伎町までは足を鍛えることを目的に10時間かけて自転車で通っている(これを聞いたジジィからは「次からは電車使え」と驚きと呆れ半々でツッコまれた)。

戦闘時は背中にカメの甲羅のような防弾・防刃の装甲がついた奇妙なボディアーマーと、左かかとに刃を仕込んだ靴を装備する。
刃は普段は隠されており、留め具を外し爪先を叩くと飛び出す不思議な仕組みになっている。刃が飛び出す描写は複数回出てくるが、逆に刃をしまう描写は一つもないので本当に構造は不明。
超人的な脚力を活かした蹴りが武器で蹴りの精度も靴の刃の切れ味も尋常ではなく、閉まっているドアのラッチと鍵を正確に切る一撃で人体を真っ二つにするなど訳の分からない離れ業を劇中多数披露している。
当然靴がない時でもその蹴りの威力は凄まじく、サンドバッグに火が点き、掠っただけでも髪の毛ごと頭皮が抉れてしまうほど。

普段の性格は気弱な人畜無害を体現したかのような人物で、相手に非があっても揉め事を起こさず自らが引く事を繰り返している。
だが中学生時代に重度のイジメを受けており、その時のトラウマがフラッシュバックすると眼の前の現実との境目があやふやになり、瞬発的に「悪いいじめっ子をやっつける」殺人マシーンと化す。
この状態のイチは理性や罪悪感が吹っ飛んでおり、上記の超人的脚力と靴の刃で対象を滅多斬りにしてしまう。
やり終えた後に我に返ると「また殺しちゃった…」と深く反省して子供のように泣きじゃくるが、同時にペニスがいきり勃ち射精している。
この恐ろしい「殺し屋」としてのイチの姿を知る者はジジィただ一人で、ジジィの「ある計画」のために利用されているのが実情。(一応、利用してるだけでなく本気で気にもかけているようではあるが)

普段の言動や態度にもどこか幼い所があり、ジジィから「お前はもう大人だ」と諭される等、知能遅滞の疑惑がある。
垣原曰く「聖人(セイント)」。

作中最強と言っていい凄まじい強さを誇るが、あくまで「精神が不安定な元イジメられっ子が妄想に囚われ我を失い殺戮してしまう」だけである。
それ以外の殺し屋としてのスキルはド素人も良いところであり(実際、計画や後処理といった大部分はジジィが担当しており、彼は威力の高い武器でしかない)、彼が結果的に誰にもバレずにジジイの計画を完遂出来たのは(ジジイの頭のキレを除けば)単純に運が良かっただけである。
実際、ジジィの目の届かない所でセーラとそのDV彼氏を衝動で殺戮してスランプに陥ったり、金子と淡い友情を築いて計画が狂いかけたりと不安定極まりない。

人に対しては基本引きつった変な笑顔を見せるが、ジジィや自分を慕ってくれる子供など、心を許した人物の前ではとても普通に笑う。

上記の通り真正のサディストであるが、作中当初は気づいておらず、SMテレクラで話を聞くまでは「SMプレイ」という行為そのものを知らなかった。
謎の電話によって自身の感情が世間で「S」とよばれるものであることに目覚めていく…。

最後は(恐らくジジィの勧めで)稼いだ金*1で上京し、東京で悠々自適に暮らし始めたようだが、新宿の欲望に飲まれ、3年後には殺し屋であった記憶も失い、普通のイケメンになった。
が、些細な事で(空白の3年間の間に台頭したであろう垣原組とは別の)ヤクザにケンカを吹っかけられ、「殺し屋イチ」復活を匂わせるラストシーンで幕を閉じる。


その言動や思考、行動から、本作を読んだ読者からは『主人公でありながら最も感情移入が出来ない人物』と評されることも。


  • 垣原雅雄
演:浅野忠信
CV:三池崇史
本作のもう一人の主人公。真正マゾヒスト。35歳
暴力団・安生組の若頭。後に安生組の大本である三光連合を絶縁され、垣原組を立ち上げる。
顔は大きな傷痕が三本と大量のピアス、ヒゲ、大きく裂けた口、髪型はアシンメトリー
と一度見たら忘れられない強烈な風貌をしている。
ちなみにスーツの下は亀甲縛りをしている。あと珍しくモンモン(刺青)を一切入れていない。

愛称は「マー君」。「ピアスのマーボー」という二つ名があったが、中盤以降では全く忘れ去られている
本人曰く大の甘党。だが、序盤の鈴木への拷問の「オトシマエ」の為に舌先を切ってしまい、甘いものが食べれなくなった…らしい。

本人曰く「SM=生活」で、暴力という行為にとてつもない拘りを持つ。
拷問は受けるのも与えるのも好み、垣原の拷問シーンは暴力的なシーンだらけの本作でも一際目を背ける程の凄惨なものとなっている。
相手に恐怖を与える天才で、戦闘でも相手の攻撃をあえて受け、そのままコピーしたかのように与えかえし、その応酬をどんどん激しくするという、相手からしたら恐怖でしかないもの。その為にマゾヒストにして、同時に超サド人間でもある。
また、殺害現場に残された血を舐めたり精液を嗅いだりして、対象の状態や心理を分析する特殊能力を持つ。
ハジキ(拳銃)は使わない主義。

常軌を逸脱した凶暴な性格ではあるが一応ON/OFFはきっちり分けられるタイプで、暴力と関係ない所では冷静で威厳のある一面を見せている。
また、意外かもしれないが「約束」は守る主義。*2
同時に「極道」としての最低限の人情と倫理は持ち合わせてる一面もあり、
  • シノギで繋がってる半グレや喧嘩を売られた時以外はカタギには極力手を出さない
  • 井上の最期の願いを叶えてやる(藤原が迷惑したが)
  • 殺し屋と知らずに知り合ったイチを笑顔がキモくて殴ったものの、「この田舎モンの金一銭も取るんじゃねぇゾ」と部下に命じて見逃してやる
  • 龍との約束を破って勝手にミユキを殺した双子を制裁する*3
…などと言った、人間味のある描写も少なからずある。
恐らく別作品のヤクザ達とは相容れないだろう。

ピアッシングニードルを愛用し、武器としてはもちろんオトシマエにも使う。何本も携帯しており、剣山のような光景を作ることも。
他にも裂けた口を利用した噛みつきが得意で、大の大人の拳を丸ごと咥えられる。
肉体的にはムダ毛だらけで少し腹も出てる、年相応の中年男のソレなのだが、体幹・脚力も相当なもので脚だけでブリッジができ、そのまま起き上がれる。
希望がないため怖いモノがなく、ひたすら強い。実際劇中で多少なりともイチとまともに戦えたのは垣原のみ。

ちなみに作者はこの作品の連載中、彼のキャラがよく分からなくなり精神学者のもとに相談に行ったという。
その時得られた学者の答えは
「初夜を前にした十七の少女」

最後の最期にイチという圧倒的な暴力を前に左手を失ってチ〇コを真っ二つに斬られ絶望と痛みを味わい、生という希望へ向けて決死の逃亡を図った。
逃亡の中でマンションから隣のビルの屋上のフェンスに飛び付くもイチのキックビーム(刃の付いた靴を投げただけ)で3本の指を切断され、残った人差し指と親指でしぶとく縋ったものの偶然止まったハトの糞を食らってしまい、糞で指が滑って転落死するという、非業の最期を遂げた。

読者人気も(多分)高く、名ゼリフも多い。


ちなみに実写版ではスクリーンで目立たせる為、黒スーツから派手なブランド物ファッションに金髪と容姿が大幅に変更されている。
OVAでは実写版で監督を務めた三池崇史監督が声を担当しており、セリフは少ないものの声優初挑戦にもかかわらず演技はかなり上手い。


〇はぐれ者グループ(仮称)

  • ジジィ
演:塚本晋也
CV:辻親八
はぐれ者グループを仕切る切れ者。口癖は「へへ…」
金払いは非常に良く、「上下ナシ、分け前は均等に」がポリシー*4。それも相まって、昇達も純粋に彼を慕っている。
本名は不詳で、アメリカの殺人現場清掃会社や、タイ人の裏組織ともコネがあるらしく、謎が多い。愛読書は『精神分析療法』、『新心療内科』等。

眠らない街新宿の最もオモシロい場所『ヤクザマンション』での安生組壊滅を目論む。

パッと見は小柄な60歳前ぐらいのじいさんだが、実は大量のステロイドを摂取しており、作中でも屈指のマッチョ。
その怪力はイチとは別ベクトルで化け物じみており、人間の首を簡単にへし折る事が出来る。
実年齢は…
実は30代前半で、老け顔に整形している。ただし好きなAVが『愛染恭子の性感マッサージ』だったりと、センスはまんまおっさん。


  • (のぼる)
ジジィのはぐれ者グループの一人。坊主で筋肉質。昔格闘技をかじっていたという。
銃器の密輸入をシノギにしている。

半グレだが人情深く、作中の数少ない比較的まともな人間の一人。
…しかし
  • 手の甲の肉を噛みつきで削がれる
  • 素手で両腕をもがれる
  • チ〇コをハサミで縦に両断される
  • (恐らくもう助からなかったであろうとはいえ)最後は助けにきたと思っていたイチに殺される
などの酷い扱いを受けた。

はぐれ者3人組の中で唯一イチと出会った人物でもある。(上記の通り、会ってすぐ殺されたが)

実写版では龍に設定を統合され、登場しない。

「もう終わったんだよ。
 もう、泣かなくてもいいんだ。」


  • (りゅう)
演:KEE(現・渋川清彦)
はぐれ者グループの一人。イケメン中国人。
女に貢がせて食べている、いわゆる「ヒモ」。
しかし彼なりに女に対する優しさを持っており、根は良いヤツ。
中国人らしく、戦いの際は暗器を武器にしている。
チャイニーズマフィアに扮していた時は、彼が鈴木との連絡を一任していた。

カレンの罠にかかって彼女のミユキ(演:青木理央)との逢い引き中に双子に攫われ、拷問を受けてしまう。
更に拷問中に双子のくだらねェケンカが勃発、悲鳴対決と称され散々いたぶられた挙句に二郎に睾丸を潰され、三郎に潰れた睾丸をドスで刺されて死亡。
死の直前まで、ミユキの身を案じた姿はただのヒモでは無い正しく「漢」であった。
しかし、ミユキも龍の死の直後に、約束を破った二郎に殴られて首の骨を折られ後を追うように死亡した。
…が、二人ともボロボロにされても心は決して双子に屈しなかった為、ある意味では双子に勝ったとも言える。

将来はヒモを卒業し、ミユキと二人で自由が丘で喫茶店を開くことが夢だったとの事。
だが、ミユキの気丈さから言っても確実に尻に敷かれていただろう。

実写版では昇の設定を統合された。


「女ダマしてるワケじゃないよ。女って、寂しい生き物。
 一人じゃ生きられない女、世の中にいっぱいいるね。
 そういう女助けて、お金もらう。当たり前よ。」   
「ミユキ……対不起(トエプチ)(ごめんね)……」


  • 井上
演:新妻聡
はぐれ者グループの一人。
スキンヘッドでヤク中でヘロインを打っている。
その上ネクロフィリア男女関係なく喰ってしまう両刀使いという、垣原とは別ベクトルでイヤな属性てんこ盛りの男。

実は井上は偽名で本名は「加納」。
元安生組の組員で、3年前にジジィに寝返っており、ジジィの命令により組に盗聴機を設置していた。
その一年後に安生組では(一応)禁じ手にしてるシャブの件で不祥事を起こしたとして破門されたらしいが、この破門自体もワザと(ジジィの指示)の可能性もある。
破門後は新宿で生きていく為に整形している。
ちなみに現在の顔は、垣原達でさえも言われるまで正体に全く気付かなかった事から、元の顔の面影は全然ないらしい。

1人で留守番中にヤクが切れてしまい、禁断症状でテレビを分解してそこに被り物のように入るなどの奇行に走ってた中、垣原達に踏み込まれて人間黒ハゲひげ危機一髪とも言うべきシュールかつ凄惨な拷問を受けた末に頭を針で刺し貫かれて死亡。死亡後に処女喪失した。
こんなんでもジジィを除いてはぐれ者グループの中では1番年上であった為か、面倒見は良い方だったらしく、彼の死を知った昇と龍は井上の仇討ちに燃えていた。
何気に名言多し。

実写版ではナタを武器に戦うシーンもある。

「顔…いじってあるからな……」
「天国で射精しな」
「俺が死んだら犯してぐれねェが……」


〇安生組→垣原組

  • 金子修二
演:SABU
安生組(垣原組)の組員で鉄砲玉。元キックボクサー。(実写版では元警官)
自分を拾ってくれた垣原に報いる為に甘んじて鉄砲玉となっているが、一度も「オトシマエ」を受けたことがないらしい。
ことある毎に銃を向け発砲しようとするが、実は臆病者で昇に銃を向けられた時は怯えて何もできなかった。
この為、昇からも「ヤクザに向いてねぇよ」と言われた。
その際に「自分たちの仲間にならないか」と昇から勧誘されるが、もしもこの時にそれを受けていれば、命は助かっていたかもしれない。*7

正体を知らずにイチと友達になっていたが、終盤タケシとの会話でイチの正体を知り、ジジィに唆されたことが最後のトリガーとなりイチと戦うも、殺人マシーンのイチには敵う筈もなく瞬殺された。
最後の最後で、敵としてでなく友として、タケシの父親として、イチにタケシを託した。が…
「タケシを頼む……」


  • 高山(たかやま)
演:菅田俊
安生組(垣原組)の組員(恐らく若頭補佐)。
垣原の右腕のような立場で、垣原組が独立してからは若頭に昇格したのか、「カシラ」と呼ばれるようになった。
威張り散らし、怒鳴ってばかりで、人の上に立つ者としては正直無能。新宿に来る前は「コワイもん知らずの武闘派ヤクザ」で通っていたらしい事から、元々人の上に立つのは向いてないのかもしれない。
ジジィに「凡人欲しか持たないブタ」と評された。双子には「ゴリラ」と呼ばれている。

最期はジジィ自らの手で首の骨を折られ、死亡。


  • 藤原
演:手塚とおる
安生組(垣原組)の組員で下っ端。背中中に入れられた刺青と鼻ピアスが特徴的。
金子と行動を共にすることが多く、作中では二人揃って垣原の付き添いになることもしばしば。
チ〇コピアスされたり命令で井上の死体と死姦させられるなど、とにかく損な役回りばかりのカワイソーな奴。

それでもなんだかんだ長く垣原組に留まっていた*8が、二郎の死亡後についに限界を迎え、二郎・高山・昇・龍・ミユキの5人の死体を処分すると共に、そのまま実家へ逃げ帰っていった。
そのおかげで辛うじてジジィの殺害リスト入りを免れた(ジジィも元から彼には興味すらなかったのか、逃げるのを前提に動いていた)。


  • 二郎
  • 三郎
演:松尾スズキ(二役)
垣原もいた6年前に解散した阿籐組の元組員(映画では悪徳刑事)で、垣原に助っ人として呼ばれる。
リーゼントの方が二郎でドレッドヘアーの方が三郎。二人揃ってダブルの白スーツを着用。
元は「一郎」を長男に持つ三つ子だったが、兄弟喧嘩の際、一郎が死に双子になった。

二人とも「マメドロボウ*9」で食っていたが、二人の暴力に耐えられなくなった女達が夫に打ち明けた事で複数の組から追われる身になっている。
二郎は怪力自慢で、三郎はドスグセが悪い。
垣原の口を裂いたのは二郎で、顔の傷は三郎がつけたもの。

双子だが仲は最悪でどっちが優れているか、というしょうもない理由でしょっちゅう張り合っている。
優劣を決めるためにはカタギすら平気で巻き添えにする事もあり、垣原にさえ「人に迷惑かけたらイカンだろ」と苦言を呈されるほど(一応、上記の通り垣原はカタギには極力手は出さない)。

二郎は昇の拷問中にイチの襲来を受け、昇の視線からイチの武器を見抜き、昇の言葉に気を取られたイチの隙を突いて靴を奪い先制攻撃を与えるという善戦を見せた。
しかしイチの足を折ろうとして逆に異常な脚力で投げ飛ばされてから形勢が逆転、両腕を壊された後首を折られて死亡した。
イチの犠牲になった中で唯一靴の刃を受けなかった人物であった。
三郎は垣原とイチの捜索中に遭遇。初撃をドスで受け止めるも緊張でドスを落としてしまい、その隙を突いたイチによって頭の皿を切断され、「ドス落としただけなのに…」と言い残し脳をぶちまけて死んだ。
イチもこの一撃で殺せるとは思ってなかったようで、三郎が倒れた後「ラッキー」と呟いた。 

つまらないケンカで周囲を巻き込み、作中でもかなりえげつないことを平然とやってのけて読者からかなりのヘイトを集めていた二人だが、その最期はあっけないものだった。

ちなみに作中で1ヵ所だけ、本来「三郎」とされるべき所が「二郎」になってしまっているという本人達にとっては最悪の誤植がある。


  • 桜井
安生組(垣原組)組員。
舎弟にマサシ、竹中ツトムの二人を従えており、裏ビデオの管理を一任されていた為、そこそこの地位にいるものと思われる。
サイレンサー付きのべレッタM92Fが武器。
垣原組に対する見せしめとしてイチのターゲットとして狙われ、舎弟をあっさり殺された後に、イチの元いじめっ子の「時任くん」と勘違いされ、全身をバラバラに切り刻まれるという今作トップクラスに凄惨な最期を遂げた。
竹中→マサシ→桜井の順に殺害されており、竹中は忍び込んだイチの不意打ちにより顔面を斬り飛ばされて死亡*10、マサシは部屋に入ったイチに両手を左足を切断され、首を刺されて死亡した。

彼の凄惨な死に様は垣原を感動させたが、同時に垣原組内の内部分裂を決定的にしてしまった。*11


  • 安生芳雄
新宿の暴力団の中でも武闘派として一番恐れられている、安生興業(安生組)の組長。ストライクゾーンは10代のロリコン。愛称は「ヨシリン」。某漫画家とは関係ない
第一話にてイチに殺害されるが、密かにダイイング・メッセージを遺していた。*12
最近は経済に興味があったようだが、生粋の武闘派ヤクザであり、垣原は安生から受ける暴力に悦びを感じていたとされるが、実際は次の存在が見つかるまでの気休めでしかなかったらしい。


〇その他の人物


新宿の裏社会の人々

  • カレン
演:Alien Sun(孫佳君)
ホステス。
安生の元愛人。10代がストライクゾーンの安生だったが、カレンだけは特別だったらしい。
非常に強い情報網を持っており、事実上の情報屋として垣原に様々な手助けをし、はぐれ者グループを次々追い詰めていくが…!



  • 鈴木
演:寺島進
三光連合傘下の「船鬼一家」の幹部(若頭)。妻子持ち。
ジジィの策略で勘違いから垣原達に拷問され、フック針で宙づりにされた状態で沸騰した油をかけられ全身大火傷の重傷を負わされてしまう。
そのおかげで本編中での出番のほとんどが全身包帯姿であり、元の顔を覚えていないという読者も多い。
その後チャイニーズマフィアに扮したジジィ達に垣原への恨みから安生組壊滅を依頼する。

ジジィにカタギの家族を人質に取られたり、最期は依頼がバレてしまい、三郎に「ちょっと死んでろ」とゲーム感覚で頭にドスを刺されて死亡してしまうなど、最後まで踏んだり蹴ったりなカワイソーな人。


  • マリア
演:風祭ゆき
井上も常連客の一人の、新宿に蔓延る麻薬組織の女ボス。タイ人のおばはんだが、何故か関西弁。
麻薬を盲信しており、自分のペットの犬まで麻薬漬けにして従えてる姿は仲介したカレンはおろか垣原にさえドン引きされた

垣原に拷問されて井上の居場所を誘導させられたが、「痛みを憎しみにしか思わないヤツは信用出来ない」として最後は垣原に絞殺された。
結果として、垣原のおかげで新宿の麻薬組織がひとつ潰れる事となった。


  • 西城
船鬼一家の構成員。
カチコミの件で勢いづいたのか絶縁直後の垣原に喧嘩を売るが、あっさり垣原に銃を奪われ、宣戦布告兼見せしめとして肛門から銃弾を撃ち込まれ死亡、死体は口と肛門から盛大に血をまき散らしながらマンションから落とされるという作中でも特に印象深い死に様を見せた。
ちなみに「拳銃(チャカ)は使わねェ主義」の垣原に銃撃された唯一の人物でもある。


イチを取り巻く人々


  • ノリオ
イチが通っている空手道場の門下生の少年。
天然パーマでメガネで気弱そうな外見から、学校でいつもイジメられていた。
が、イチによって蹴り技のレクチャーを受け、最終的にはいじめっ子に勇敢に立ち向かっていった。
それを見届けたイチは、羨望と失望が入り交じった、なんとも複雑そうな表情をしていた…。

その後は舞台が新宿に移った為登場しないが、恐らくタケシ同様に、イジメを克服できたと考えていいだろう。


  • セーラ
演:後藤麻衣
イチの地元の風俗嬢で、イチの一番のお気に入り。本名は山崎恵美
だが、ヒモの彼氏(演:木下ほうか)に凄惨なDVを受け続けており、全身傷だらけにされてしまっている。風俗で働いてるのに傷モノにしちゃ稼げんだろこのダメ彼氏。
ある日、つい「(彼氏を)殺してやりたい」と愚痴ってしまうが、それを真に受けた+DVを見兼ねたイチによって彼氏は殺害されるが、
まさか本当に殺すとまでは思ってなかったらしく、最終的にはイチを拒絶してしまい、自分も(半ば事故に近い形で)殺されてしまった。
彼女を殺してしまった事は、しばらくイチに暗い影を落とす事となってしまう。

なお、セーラの彼氏は龍とは別ベクトルのヒモであり、どちらかと言うと二郎・三郎の双子に近い殺されても仕方の無いクズ野郎であった。


  • 謎の女性
イチが潰れたテレクラに滞在した際に、勘違いから電話してきた関西弁の女性。
真性のマゾヒストであるようで、パートナー選びに苦労しているらしい。
電話していく中で、セーラを殺してしまった事で傷心気味だったイチは自分の元クラスメートの「立花さん」ではないかと疑いを持つが…。



  • 謎の少年
演:小林宏至
イチの新宿滞在中、行く先々で現れる謎の少年。
ヤクザマンションに住んでいるようだが、何故か額を手で覆い隠している。




登場人物には垣原、安生、高山など実在したプロレスラーの名前をとったのも多いらしい。


◆暴力描写一覧


非常に生々しく、人によってはトラウマものである。
手足の切断くらいではまだ序の口で、普通の発想ではまず出てこない描写も数多く登場する。
閲覧注意。



ちなみに映画監督のクエンティン・タランティーノは本作を大変気に入り、監督作である「キル・ビル」には、本作からのオマージュや映画版に出演した役者やスタッフが何人か登場している。





追記・修正は岩を砕けるぐらいキック力を鍛えてからお願いします。

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最終更新:2024年03月31日 15:36

*1 新潟の自宅のサンドバッグに、砂の代わりに大金を詰めており、サンドバッグの大きさから見積って恐らく数億円以上は稼いでいたと思われる。余程の浪費家でない限り、一生食うには困らないだろう。

*2 本人曰く、約束を破る事は自身の「必然性」を損ねる行為であるとの事。

*3 龍からは「自分達はいいから関係ないミユキだけは助けてやってほしい(要約)」と懇願されており、少なくとも垣原自身はその約束を守るつもりだった。

*4 冒頭の安生組長殺害で得た金、約3億円もイチの報酬も含めて均等に五等分している。

*5 ただし、昇を殺さざるを得なかった事には多少なりとも負い目を感じていたらしく、イチに「そいつは(二郎になぶり殺しにされるよりは)お前(イチ)に殺された方が幸せだったんだよ」と言ったり、垣原が同じくチ〇コを真っ二つにされた時は「昇のタタリだな」と彼の無念を代弁したかのような発言をしている。

*6 垣原組の他にも船鬼一家を始め20ぐらいの組があったが、劇中でジジィの策でみんな引っ越しており、垣原組壊滅後もイチへの恐怖からか、どの組も戻ってこなかったようである。もしくは、空白の3年間の間に戻ってきた命知らずもイチに始末されたのかもしれない。

*7 ジジィにとっても、金子を殺すかはギリギリまで切磋してたようで、殺害リストでも遅い方の番号であった。

*8 正確には逃亡する他の組員から置いてけぼりを食らって逃げ損ねた、というのが真相だったが

*9 組長クラスのヤクザの女房を、旦那が服役中に寝取って脅して金を貰うという最低なヒモ。無法者が集うヤクザの間ですらご法度中のご法度とされている。龍からは「ただの弱い者イジメ」と酷評された。

*10 飛ばされた顔は天井に貼り付いた

*11 元々ジジィの目的は、イチの凄惨な殺しっぷりを見せつける事で垣原組の内部分裂を起こす事だった。実際、翌日には垣原以外は高山、金子、逃げそびれた藤原以外の全員が逃げ出してしまった。

*12 恐らくこれも、ジジィがワザと残していたものと思われる