八尺様/アクロバティックサラサラ

登録日:2012/03/27(火) 17:11:17
更新日:2024/01/10 Wed 20:57:32
所要時間:約 8 分で読めます




■八尺様


八尺様(はっしゃくさま)とは、妖怪、又は祟り神の名前である。
立場的には口裂け女人面犬と同じ都市伝説上の存在と考えていい。

初出は2008年の2ちゃんねる(現5ちゃんねる)の洒落怖スレに投稿された「八尺様」。
とあるスレ住民の田舎での実体験という体裁で綴られた物だが、その秀逸さから人気を集めた。
「八尺様を閉じ込めていた結界が壊された」というラストもあってか、次第に目撃証言や「似た話を知っている」と言う投稿が増え始め、現在に至る。


白いワンピースに帽子を被った人間女性の姿で、異常に高い身長が特徴。
この身長の高さが八尺様という名前の元となっている。ちなみに「尺」とは長さの単位であり、(一尺の長さには幾つかの定義があるが)八尺は240cmほど。
投稿内でも「2m以上ある生垣から頭を出す」程度の高さとして描写される。まあ直接測定できる筈もないので「大体それくらい」といった所。
ただしその容姿は見る人(あるいは八尺様の個体?)によりかなり違うようで、喪服を着た若い女、留袖の老婆、野良着姿の年増などの例が聞かれる。
幼女ならバッチ来……いやちょっと待って2m超の幼女は流石にどうなの
判別根拠になる共通特徴は「女性」「非常に背が高い」「頭に何かを載せている」「気味の悪い笑い声(後述)」。

特徴の一つである「気味の悪い笑い声」は、具体的にはぽっぽぽぽっぽ或いはぼぼぼ……という風に聞こえる奇妙なもの。
前述の投稿では「男のような声」と語られている辺り、かなり低い声色のようだ(実際、背が高い人ほど声帯が長くなり、声が低くなるという)。

四方を地蔵で封印したとある地区に封じられており、この地蔵がある限りその地区から出られないとされていたが、
投稿のラストでは地蔵が一部壊され、結界が破られているため、今や彼女の行方は知れない。

そして最大の特徴として、この八尺様に魅入られた者は数日で死亡するというものがある。

数年から十数年周期で現れ、二十歳前後かそれ以下の若い人間、特に子供が被害に遭いやすいとされる。
女性の姿を取る事と「魅入られる」という表現、そして投稿者が男性と思われることから、「気に入った男子をもらっていく」と考えられるが、
魅入られるのが男性限定とは書かれていないため、魅入られる条件に性別が関係あるのかは不明である。
また、若者の被害が多いのは「心が弱く、魅入られた場合に対処に失敗しやすいから」と言われており、若者に限るとは書かれていないので、
成人前の男子が魅入られやすい傾向はあるのかもしれないが、魅入られる前提条件はほぼ不明といっていいと思われる。
尚、魅入られていない者は八尺様を視認できず、その声を聞く事もできない。

魅入られてしまった場合、除霊などはその場凌ぎの防御にはなりうるが決定的な対処法とはならず、
彼女の手から確実に逃れる対処法は、早急に遭遇した場所(地区)から立ち去るしかないとされるが、
夜間の移動は危険なため、出会ったその日の昼間のうちに移動ができないのなら、
夜が明けるまで魅入られた者が一人で部屋に閉じ籠らなければならない。

その際、部屋には盛り塩やお札などを設置して結界を張って八尺様の侵入を防ぐ対策を取る必要があり、投稿ではこれによって侵入が防がれている*1が、
だからといって諦めるほど潔い性質ではないようで、対象の近しい人の声色を真似たり、窓を叩くなど、あの手この手で結界の中から誘い出そうとする様子。
立ち去る際にも、車の中で対象を血縁関係の近い男たちで囲んで目くらましをしながらゆっくりと脱出するが、
対象はその間ずっと視線を下げたり目を閉じる等して、彼女の姿を見ないように注意する必要がある。
なお、血が繋がっている男で囲んでいれば(視線が合ったり、対象から視認されない限り)対象を見分けられない辺り、
魅入られる対象は単純に外見ではなく、魂などの他の要素で選ばれている可能性がある。

…と、遭遇したら非常に危険と思われる八尺様だが、その存在については未だ作り話か実話か立証するものがなく、
かつ出現頻度も低いと思われるため、これといって心配することもないと思われる。
こちらが何らかのタブーを犯さずとも危害を加えてくる上、対処も非常に難しいという辺り、万一遭遇した時の危険度は恐怖系都市伝説の中でも随一だが。

東方深秘録ではオカルトのひとつとして登場し、雲居一輪&雲山が扱う。
怪ラストワード曰く身長265cm。中国の尺(一尺1/3m≒33cm)を採用している模様。

バイオハザード ヴィレッジ」のオルチーナ・ドミトレスクはこの八尺様がモチーフになっている。

その他にもゲーム問わず漫画やアニメにおいても彼女をモチーフとした「白装束の高身長の女」というキャラクターは無数に存在し、
出自が匿名掲示板の書き込みとは思えない程広く知れ渡った、まさしくネット社会が生んだ現代の怪異と言える存在だろう。

そんな感じで一度はネット社会を震撼させた八尺様だったが、この手のインパクトの強いホラーキャラクターの宿命は避けられなかった。
あのテレビから這い出てくる演出で日本中を震わせた貞子が公式・非公式問わずすっかりアイドルキャラとして定着している以上*2
女性を模した怪異である彼女も、洒落怖投稿後の数年後には萌えキャラ化したファンアートが投稿されている。

だが、ただ単に萌え妖怪化するだけならそれこそ猫娘やら花子さんやらメリーさんらと同じであり、
女をモチーフにしたホラージャンルにおいてはさほど珍しい話ではない。
しかしながら八尺様の場合、作中で描かれた「成人前の若い男・少年を狙う高身長の白ワンピースの女性」という部分と、
2010年代以降急激にエロジャンルで人気が広まったおねショタ作品との相性が凄まじく、
画像検索すれば高長身ショタコンの美人なお姉さんなイラストばかり出てくる状態である。

ちなみに、おねショタ作品のお約束要素からか、いつの間にか巨乳で描かれることが定番化しているが、
元ネタとなった洒落怖においては、外見に関しては身長や服装に言及される程度で、バストサイズに関する記述などもちろんない。

先ほど「ゲーム問わず漫画やアニメにおいても~」と述べたものの、
八尺様に限って言えば、その需要と供給の殆どがエロ系に振っている完全なおねショタエロ妖怪状態で、
もはや洒落怖でオカルト板住民を震撼させていたころの面影はない。
メディアミックスを果たした作品にしたってこんな感じである。

しかも元々の洒落怖の投稿が匿名掲示板が全盛だった2008年だったため、
Twitter等のSNSや大手画像投稿サイトが普及した後の世代にはそもそもオカルト板に投稿された元ネタを見たことがないという人も多く、
「よく知らないけど夏になると年下の少年と仲良くする背が高い美人のお姉さん」という、怪異どころかせいぜい不審者レベルの認識をしている人も散見される。
人気成年向けおねショタ作家森島コンもその一人で、
「ショタにちょっとエッチないたずらしている美人のお姉さんと習ったのに元ネタ普通に怖いじゃないですか!」と驚いていた。

前述のドミトレスク夫人も、やはりというか恐怖以上に「超高身長な豊満な熟女」という点に注目され、
怖がられるどころか国内外で萌えキャラ扱いされ、バイオ8の看板キャラになっている。
高身長女性に対する憧れは日本だけでなく国境を超えるのだ。


・元ネタ?

八尺様と似た妖怪に「山女(山姫)」や「高女」という妖怪がいる。

山女は山に住む女の姿をした妖怪で、全国各地に伝承が残っており、遠野物語にも記述がある。
姿などは伝承によって差異があるが、髪の長い美女とされていることが多い。
特に、遠野物語における山女は非常に背が高いとされており、八尺様の特徴と一致する。

この妖怪は男に相手にされなかった醜女が化けた(もしくは鬼の一種)という妖怪で、身長が2.1m以上になるものとされている。
男に相手にされなかったという妬みから、その長身で二階を覗いて回るとされている。

八尺様はこの山女や高女と同一の存在(或いは、これが八尺様の話の元ネタである)とする見方もある。



また、全身が真っ白で、8という数で表される長身を備え、目をつけた人物を追い回すこと、そして何よりこの怪談が2ch発であることから、
AAキャラクターの「8頭身」(8頭身モナー)が下敷きになっていることを指摘する声もある。
スレ建て主を表す「>>1さん」が8頭身の熱烈な求愛を怖がり逃げる様が、2chではさまざまなAAとなり親しまれていた。
この文脈が八尺様の着想に含まれているなら、前述のようなおねショタ二次創作はある意味で原点回帰なのかもしれない。

また、同時期に「ぽ」が耳に残る曲を歌っていた鼠先輩もこの都市伝説を聞かされたようだが、尺八様と聞き間違えている。


■アクロバティックサラサラ


アクロバティックサラサラ(略して悪皿)は、八尺様と似てはいるが、やや違う性質を持っている。

2m以上の長身の人間女性という容貌は共通しているが、「ぽぽぽ」や「ぼっぼぼぼ」のような発言はせず、
口と歯が奇形のように大きく、目は黒い、もしくは空洞。帽子を深く被っていて確認できない事も。
そして名前の元となっているサラサラした黒髪が特徴。
また、服と帽子の色は赤で統一されており足は素足らしい。服装への言及は少ないが、コートのような服という目撃談が聞かれる。
口裂け女との共通点も多い。

八尺様と違って見境なく見えてしまい、必ず死ぬわけではないものの交通事故等のトラブルや怪現象に遭遇するとされる。
また飛び降りて登場したり車や電車の目の前に突然飛び込んだりつかんだりと、アクロバティックの名の通り非常に活発な挙動をする。

何より目撃証言の件数が多く、北海道から中国地方までと幅広い。
特に福島を中心とした東北地方での証言が多い。

もしこいつを目撃した際は、指さしたり話しかけたりせず何事もなかったように通り過ごすことが何よりである。
非常にしつこく追いかけてくる性質があるため、もし屋内でこいつの気配を感じたらすぐさま知人の家等人のいる所に逃げ出すことをお勧めする。

八尺様は神として見られる場合もあるが、こいつは妖怪以上の見方はされない。

……最も、こいつの話もVIPに立ったスレが発祥。
信憑性は薄く真意は謎で嘘か真か定かでない、それこそ「信じるのはあなた次第…!」という範囲の話なので、
「一昔前口裂け女なんかいたな~(笑)」程度に軽く流しておくといい。





余談


世界には 重度の巨人症によって身長240cm以上にまで成長してしまった女性の実在記録が存在する。
真偽を疑う余地のない最高記録は248cm。

身長が高い事はアニヲタ諸君の想像・印象以上に体重への影響が大きく、一般に身長がX倍になると 体重は(X^2)倍を上回る高倍率で重くなる 事、
心臓などの器官がそのままの倍率で拡大する訳ではないため相対的に器官の機能性が下がる事などから、
ここまで背が高い人間は男女を問わず全身に大きな負担がかかり、非常に早死にしやすく、直立や歩く事すら叶わなくなる事も多い。
更に、巨人症は体の末端の成長を強く促進するため、顔の肥大化や顎の突出など、不細工になりやすい性質もある。

とは言え、およそ八尺という身長は、そういう一種の絶妙な値なのかもしれない。





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最終更新:2024年01月10日 20:57

*1 夜が明けた後、盛り塩が黒く変色したりしていたらしい。

*2 ちなみに原作の貞子は生前女優志望の劇団員だったのである意味夢が叶った状態と言えなくもない