量子論

登録日 :2009/06/05 (金) 20:24:44
更新日 : 2017/06/13 Tue 23:35:57
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相対論が空間と重力と時間の関係を定量化し、
惑星間の運動など、宇宙スケールの巨大な質量・エネルギーのやり取りがなされる場合の物理現象を非常に正確に記述出来るのに対し、
量子論は相対論には原理上不可能な原子~素粒子などの超微細なスケールで行われる、超短時間・超低質量のやり取りがなされる物理現象を、
非常に正確に定義できる理論体系である。

ご存知アインシュタインがたった一人で相対論を完成させたのに対して、こちらは数多の天才たちが長い時間をかけて築き上げた共同作品であり、
共に現代物理学の双璧をなしている。
当然我々の生活にも深く根ざしており、今あなたがお持ちの携帯電話も量子論がなければたちまちショートしてダメになってしまう。

しかしながら、そんな身近なものである反面、量子論が示すいくつかの基本原理は、
我々の常識を軽く次元二つ~七つぐらいひねり付きでぶっ飛ばしたようなとんでもない世界観を突きつけてくる。
例えば光は「粒」だろうか、それとも「波」だろうか?

ほとんどの人は「光子」と言う言葉に聞き覚えがあるだろう。
即ち、「光の粒」である。
真空中の風車に光線(スポットライトを細くしたレベルの光量)をあてれば風車が回る。
これは光が質量を持った粒であり、「点」で風車にぶつかっている証拠だ。

ところが、「色」は光の波長の長短によって現れると言うのも多くの人の知るところだ。
波長と言うからには、光は波打ちながら進んでいることになる。
そもそも、光とは(目に見える)電磁波だ。

では、光は「粒が波打ちながら進んでいる」のか?
答えはNOだ。
そもそも粒であるならそんな軌道は取りえないし、かといってそれだと風車が回った説明が付かない。

そこでもう一つ、「二重スリットの実験」を行う。
画像が無いと説明が難しいのだが、つまり平行に開いた二つの細い窓に向かって光子を一個だけ発射して、
その向こうのスクリーンに残る光子の到着位置を記録していくと言うものだ。
もしも光が粒ならば、光子は直進するはずなのでその窓を通してスクリーンには窓と同じ形の『二つの縞』が残る。
もしも光が波ならば、『回折(細い隙間を通り抜けた波は、その壁の裏まで回り込む現象)』
『干渉(波がぶつかって高め合ったり打ち消し合ったりする現象)』と言った波独特の運動をするので、
スクリーンには窓から直進して到達する地点以外にも光子の縞ができる。

この場合、光は水面をつついたときの波紋のように広がり、『同時に二つの窓をくぐる』ので一気に縞模様が出来るはずである。
同時に二つの窓をくぐれなければ回折や干渉は起きないからだ。


果たして、結果はどうか?

『光子の跡がひとつずつ残り、徐々に回折・干渉を経た縞模様をつくっていく』。

これはおかしい。
光が粒なら二本以上の縞模様は出来ないし、波ならひとつめの光子で一気に縞模様ができるはずだ。
つまり、光は粒と波の性質を『同時』に持っていると言うことになる。
これは電子などの他の素粒子でも同じ結果がみられる。

また、回折後の光子の軌道は完全に「ランダム」である。
その軌道は神様だろうが「確率的にしか」予測できないのだ。そんなわけあるかちゃんと探せ、と当時の科学者は考えた。
ボールを投げた時の速度と方向さえわかっていれば、確実にどこにボールが落下するかは予測できる。

ところが、波の回折現象には「通り抜ける隙間が狭ければ狭いほど、通り抜けた後の波紋の広がり方が大きくなる」と言う性質がある。
つまり、ちゃんと探そうとすればするほど、ボールの軌道はより広い範囲にランダムに拡散するのだ。

この性質を不確定性原理と呼び、そのボールの質量が小さくなればなるほど確実な予測は難しくなる。
電子ほどの小ささになれば、もはやその粒がどこにあるかは誰にもわからない。
ただ、存在する確率の高い場所だけが波動関数を含むシュレディンガー方程式によって示すことが出来る。
原子核の周りを電子が旋回しているイメージは正しくなく、
より正確には原子核からある一定距離を置いた地点に『電子の存在確率が密集している(二重スリットの実験で言うところ「縞模様の位置にあたる」)』のだ。
我々が使っているパソコンや携帯電話などは二進法で計算を行う。
このときに、ビットと呼ばれる小さな箱のなかに電子が一つ入っていれば『1』、入っていなければ『0』を示す。

ならばこの箱を小さくすればするほど電子機器は小型化出来るのではないかというと、ここで不確定性原理が邪魔をするので上手くいかない。

あまりに箱を小さくしすぎると(ちゃんと電子の位置を決めようとすると)、回折現象によって電子の存在確率が『部屋の壁の外』にまで『漏れ出してしまう』のだ。
つまり、電子が壁をすり抜けるので回線がショートしてしまう。

これをトンネル効果と呼ぶ。
このような事態になっては、せっかく溜め込んだごにょごにょな画像データが台無しになってしまう。
そこでメーカーはこの電子の存在確率と箱の大きさのギリギリのせめぎ合いの中で、我々に快適なアニヲタライフを提供するために日夜努力しているわけである。
感謝感謝。


このように、『そこにあるけどどこかはわからない』"極めて近く、限りなく遠い"
と言うのが量子論である。


ここまで見て、量子論が何なのかさっぱりわからない、と思った方

それで良いのです。

「量子論を利用できる人は沢山いるが、量子論を理解している人は一人もいないだろう」

と言われているぐらい難しい理論なのだ。




非常に難解な学問であるこの量子論を題材にしたアニメも存在するが、何故かドマイナーで隠れた名作扱いされているものが多い。


アニヲタwikiには次の三作が登録されているので、項目を閲覧して興味を持ったなら是非視聴して欲しい。





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