銀河英雄伝説

登録日 :2011/01/22(土) 22:40:30
更新日 : 2017/07/20 Thu 19:52:36
所要時間 :約 9 分で読めます





力だ……力が欲しい……!
姉さんを取り戻すには、あんなくだらないやつらの言うことを
黙って聞かなくてもすむだけの、力がいるんだ!



銀河の歴史が、また1ページ



自分の出来る範囲でなにか仕事をやったら、あとはのんびり気楽に暮らしたい
――そう思うのは怠け根性なんでしょうか





『銀河英雄伝説』は田中芳樹原作のSF小説である。

原作は総計1500万部を売り上げた大ベストセラー小説。
他にも、アニメ、漫画、舞台、パチンコ、ゲーム等数多くのメディアに進出している人気作品である。

物語の舞台は銀河系とSFチックだが文体はむしろ歴史小説に近く、「後世の歴史家は〜」などの言葉が多様されている。


OVA本編110話+外伝52話は世界最長のOVAシリーズである。
登場人物が多すぎるので「書き分けは無理。せめて声は分けよう」との方針で、当時の大御所から新鋭気鋭、そして無名の新人まで、至る所から声優がかき集められた。
ベジータ古代進ハマーン・カーンアムロ・レイシャア・アズナブルピッコロフリーザララァ・スンキン肉マン009世界まる見えのナレーションetc.
多すぎて全員上げられない。誰が呼んだが『銀河声優伝説』。

2012年8月に宝塚歌劇団で舞台化される。



あらすじ


西暦2801年を宇宙歴とした遥かな未来。
その勢力圏を銀河系まで拡大させた人類は人類統一政府である銀河連邦を成立させるが、その政治体制は長い年月を経て腐敗していった。

社会の閉塞感を打破する指導者が求められる中、連邦軍の英雄ルドルフ・フォン・ゴールデンバウムは、
やがて政界に転ずると民衆の圧倒的支持を得て強大な政治的権力を掌握し、首相と国家元首を兼任して終身執政管を自称、独裁政権を誕生させた。
宇宙歴310年に至って、「神聖にして不可侵たる」銀河帝国皇帝に即位して銀河帝国を建国、新たに「帝国歴」1年とした。

自ら信奉する正義を疑わぬルドルフは、共和主義者を中心とした反対派を弾圧・粛清。
自身を支持する「優秀な臣民」に対しては特権を与え、帝国を支える強固な貴族階級を形成した。
ルドルフの死後も、権力を得るのはその子孫に限られ、世襲だけが権力の移動のあるべき姿になったかにみえた。

共和主義者たちはルドルフの死後も圧政に耐え忍ぶ日々が続いたが、帝国歴164年、アーレ・ハイネセンを中心として帝国からの逃亡に成功。
銀河系の深奥部に歩を踏み入れ、半世紀に及ぶ道程の中でハイネセンを事故で失うなどの苦難の末、帝国歴218年、ついに安定した恒星群を発見。
そこで自由惑星同盟を建国し、再び宇宙歴を暦とする。

また恒星フェザーンにおいては、地球出身の大商人レオポルド・ラープの説得、賄賂を伴う工作により、
皇帝の主権の下にありながらも内政に関してはほぼ完璧な自治権を有した商業国家フェザーン自治領が形成された。
そして宇宙暦640年/帝国歴331年に発生したダゴン星域会戦で自由惑星同盟の存在が知れると、帝国はこれを征服すべき対象とみなした。

こうして人類は

専制政治を敷く銀河帝国
民衆共和制を唱える自由惑星同盟
商業を中心としたフェザーン

の3つの勢力に分かれ、慢性的な戦争状態が150年にわたって続いていた。

この長く不毛な戦いが永遠に続くかに思われていた宇宙暦796年/帝国暦487年、2人の英雄が出現し、人類の歴史は大きく展開し始める。



登場人物


主人公


ラインハルト・フォン・ローエングラム
「お前のおかげだ、キルヒアイス。帝国軍がまた勝って姉上に自慢できる」
CV:堀川りょう
銀河帝国側の主人公。
野心家で英雄を絵に描いたような人物。
のちに皇帝に即位。シスコンだが銀河を統一した若き英雄

ヤン・ウェンリー
「四万隻の敵艦にかこまれて紅茶を飲むのは、けっこう乙な気分だな」
CV:富山敬郷田ほづみ(螺旋迷宮での代役)
自由惑星同盟側の主人公。
「奇跡のヤン」「魔術師ヤン」の異名を持つ、自由惑星同盟最高の名将。
本人は歴史家志望で常に退役を望んでいるが、その意思とは裏腹に武勲を立て続け元帥にまで上り詰める。

銀河帝国


●ジークフリード・キルヒアイス
「はい、ラインハルト様」
CV:広中雅志
ラインハルトの親友にして、その半身的存在。

●ウォルフガング・ミッターマイヤー
「カイザーを守り参らせる!」
CV:森功至
帝国軍双璧。銀河を駆ける疾風ウォルフ。
愛妻家。ベッドの上でも疾風。

●オスカー・フォン・ロイエンタール
「だまれ下衆ッ!!」
CV:若本規夫
帝国双璧。格好良すぎる若本。
だけど女の扱いは酷い。

フリッツ・ヨーゼフ・ビッテンフェルト
CV:野田圭一
「進め、進め!!勝利の女神がお前達にスカートの中身をちらつかせているぞ!!」
猪突猛進をモットーとする帝国屈指の猛将。別名ビッテン突破。

●パウル・フォン・オーベルシュタイン
「オーベルシュタイン家が断絶しても世人は嘆きますまい」
CV:塩沢兼人
ラインハルトの参謀役。
優れた戦略家で謀略を得意とする。
その冷徹さから「ドライアイスの剣」「絶対零度の剃刀」の異名を持つ。



自由惑星同盟


ワルター・フォン・シェーンコップ
「ならば小官も微力を尽くすとしましょう。永遠ならざる平和のために」
CV:羽佐間道夫
「薔薇の騎士連隊」の第13代連隊長で白兵戦では無双な人。
独身だが、関係を持った女性は覚えてないほどの色男
後にイゼルローン要塞の防御指揮官に就任

●ユリアン・ミンツ
「これから知るようにします(ドヤッ」
CV:佐々木望
ヤンの保護者もとい養子。彼がいないとヤンはゴミと埃が友達の駄目人間になってしまう。

●フレデリカ・グリーンヒル
「YESです閣下。Yesですわ閣下、えぇ喜んで」
CV:榊原良子
ヤンの奥さんで副官。
美貌と知性を兼ね備え、献身的にヤンを補佐する。ただし料理は除く。
驚くべき記憶力の持ち主。

●ダスティ・アッテンボロー
「逆らったやつは反革命罪で銃殺刑!」
CV:井上和彦
伊達と酔狂で革命戦争を遂行する毒舌家。宇宙で最強の台詞、それは『それがどうした』

●オリビエ・ポプラン
「ベッドが欲しい、女付きでなくていい」
CV:古川登志夫
戦闘艇スパルタニアンのパイロットで、「ハートのエース」の称号を持つ撃墜王。
酒と女をこよなく愛し、陽気で不敵な性格で軽口を叩くせいかしばしばムライに睨まれる。別名「イゼルローンの諸星あたる」。
実は死ぬ予定だった。

ヨブ・トリューニヒト
CV:石塚運昇
みんな大好き?エゴイズムの怪物 人型インキュベーター
チート保身術の使い手 若本規夫がいなければ今頃は…

●アンドリュー・フォーク
CV:古谷徹
自尊心とプライドだけの作中の中でも屈指のクズ。後の歴史家の評価でも散々である。中の人にも全く思い入れがないと言われる。
担当声優に名指しで嫌いといわれて知名度が上がった。(それまでは「誰だ?」という扱いだった。)
今ではレイズナーのゴステロに匹敵する人気がある。

余談だが作者の田中芳樹はモブも名前付きのキャラも容赦なく死なす。
主人公級の重要なキャラでもいきなり死なす。
余りの虐殺ぶりに一部では「皆殺しの田中」と呼称されている。



評価


全10巻の構想はあるも、読者に受入れられる作品であるかわからなかったため、最悪1巻だけでも完結するように製作された。
その影響は後々まで響いており、特に「キルヒアイスの死」は早すぎたと作者も認めている。

蓋を開けてみれば、すでに述べられたように圧倒的な支持を得ており、徳間がSF、ひいては後の架空戦記ものに打って出る土壌を創り出したといってもいい。

一方で、読者に軍事的な理解がほとんど期待できない時代であったため(戦略と戦術の違いもわからない)、戦闘描写は現代の目からはかなりのツッコミどころがある。
特にあまりにも平面的な戦闘に終始したことは「宇宙空間の意味なくね?」と当時からも批判があったが敢えてそうした部分もありやむを得ないものとも言えるだろう。
なお田中は艦隊戦をナポレオン戦争の戦闘を基本モデルとし、1艦=1兵の感覚で描写したと語っており、その辺も平面的・陸戦的描写となった理由である。

メディアミックス

アニメ

まず第四次ティアマト会戦を軸に劇場版が製作され、好評を博したことから当時というか現在でも例を見ない
「週刊宅配OVA」というわけのわからん販売方法で製作された。

銀河声優伝説の異名もだがメカニックもスタジオぬえ監修の下、陣営毎に統一されつつも個性を出した戦艦の描写等で強い印象を残している。

ゲーム

設定からして戦略シミュレーション向きなので、PCを中心に何度もゲーム化された。

コミック

○道原かつみ版
原作の途中部分までコミカライズされた。 *1
なお道原女史は本編のコミカライズを行う前にラインハルトの生い立ち部分を描いた外伝作品『黄金の翼』の作画を担当している。
(ストーリーは田中芳樹氏による書き下ろしによるもの)

最初の掲載誌である月刊少年キャプテンからの依頼は「原作の2巻までをコミックス3巻までにまとめてくれ」というものであったが、自身も銀英伝のファンである道原女史は「そんなことは無理」とコミックスの巻数については初めから振り切るつもりで連載を始めたという。最終的に11巻で完結(文庫版は8巻)となった。
それから十数年後、月刊COMiCリュウにて第二部とも言える「英雄たちの肖像」の連載が始まり、ランテマリオ星域会戦まで描かれた。全4巻(文庫版は3巻)。
「英雄たちの肖像」では構成に大坂尚子氏の協力を得ており、話は原作からいくらかカットされたものとなっている。
(例えば査問会から要塞対要塞にかけての部分が省かれてしまっている)

話の大筋は原作通り。一部に漫画オリジナルの描写もある他、先述した通り「英雄たちの肖像」においてはばっさりカットされた部分もあるので注意されたし。
本作の大きな特徴としてはホアン・ルイ、ルビンスキー、ヤマムラ軍医少佐(フォークが通信中に倒れた際、ビュコックに病状説明をした人)などいくらかの人物の性別が女性に変更されていることが挙げられる。
性別変更に伴いルビンスキーはルビンスカヤへと名前も変更された。
道原女史は「オヤジ好きで楽しく描いていたが数が多すぎるために女性を増やした」と語っており、おそらく描き分けの苦労もあるものと思われる。
なにせ漫画には声が付かない上、モノクロ印刷のため色による識別もできないのである。

ちなみに道原女史のお気に入りキャラクターは(原作1巻においてフレーゲルの依頼でミッターマイヤーを拷問した)ゴーモン係ヨブ・トリューニヒト
ゴーモン係は本編中での文字表記は『拷問係』と漢字表記であったのだが、キャラクター紹介や原作者の田中芳樹氏との対談ページにおいては『ゴーモン係』とあえてのカタカナ表記になっていることからその愛がうかがえる。
ヨブ・トリューニヒトにおいてはキャラクター紹介のカットがバラを持たせた姿で描かれ、さらに漫画本編中にはガラスに映った自分の顔を見てから報道に使われた自分の写真にケチをつけ、次の選挙のコピーを考えながらブランデーグラスを片手に笑うというオリジナルのシーンが入れられた。



○藤崎竜版
こちらはラインハルトの生い立ちからスタート。ヤングジャンプにて2017年1月現在も連載中。





アニヲタの追記・修正



Ende


アニヲタの歴史がまた1ページ


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