都市伝説

登録日:2011/11/27 Sun 02:29:34
更新日:2024/04/19 Fri 16:26:05
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あのね


私の友達のお姉さんが実際に見たらしいんだけどね


アニヲタwikiっていうサイトがどっかにあるらしくてさ


それでね…そのサイトにはね…………









都市伝説とは、主に戦後社会において噂話に尾ひれ背びれが付く形で全国的に広まった俗説・口承のこと。

●目次

概要

都市と言えば機能的で明るく快適なイメージがあるが、都市伝説はそれとは対照的に闇の部分で蠢くものにスポットをあてている。

最近の日本では都市伝説=怪談というイメージがあり、実際「消えるヒッチハイカー」「ベッドの下の殺人鬼」「エイズ・メアリー」「白いソアラ」など、知名度が高い都市伝説は怪談が多いのも事実である。
だが都市伝説の本来の意味は「確かな情報源がないにもかかわらず事実のように語られている話」であり、怪談とは言えない話も多い。
例えば日本では知名度が低いが「バースデーパーティー」や「セメント詰めのキャデラック」などは(ブラックユーモア寄りではあるが一応)笑い話であり、
「猫レンジ」「カブトムシの電池交換」「地下鉄の線路は有事の際に自衛隊の戦車が走る」といった、怪談ではないが奇妙な話、
「なんちゃっておじさん」「有名人の死亡説」などの三面記事的な話も数多くある。
また物理学・医学・心理学・化学などに関する俗説や陰謀論も都市伝説とされることがある。

よく誤解されるが、「確かな情報源が示されない」という点が重要で、結果的に実話か創作かはあまり問題にならない。
また、特定の土地に根差した伝承と対比する意味での「都市」であるため、「くねくね」や「きさらぎ駅」のように地方を舞台としたものもある。

中でもアニオタ的に外せないのは漫画アニメに関する都市伝説だろう。
特に「サザエさん最終回」ネタと「ドラえもんの最終回」ネタは二大伝説体系と言ってもいいくらいで、詳細に調べれば相当なバリエーションがあると思われる。
また、ジブリ作品ポケモンもよく都市伝説のネタにされる。

それ以外では、

「ドラえもんの幻の回『タレント』」
クレヨンしんちゃんみさえが死んだ息子を主人公に書いた創作」

などが有名な部類。
他にオタクに関する都市伝説として、
「90年代初頭にとあるテレビ番組がコミケを取材し、その時リポーターが『ここに10万人の宮崎勤がいます』と発言した」
という話がある。
現在でもしばしば「事実」として語られることが多いが、放送時期・番組名・リポーターの名前ともにはっきり語られることがなく(語られてもソースによってバラバラ)、事実かどうかは怪しいとされている。

怪談系の都市伝説の場合、小説並みのストーリーが仕立てられている事もあるが、基本的には「あたかも本当にありそうな怖い話」が主流。
アニヲタ的にはリアル都市伝説に遭遇したが記憶に新しい。
「真実を隠すため、大事な部分だけ作り話にしている」と言われることもあり、陰謀論とも相性が良い。
かつては子供たちの間で噂されていたものが雑誌の特集や付録冊子により広がったが、近年はネットの普及によりコピペなどの形で広がっている。


有名な都市伝説の一覧


医療・性

ピアス用に耳たぶに穴を空けると白い糸が出てくる。それは視神経で、引っ張ると失明する。
これはガセ。そもそも視神経は耳たぶを通っていない上に太いので、ピアスの穴から出てくることは医学的に有り得ない。ピアスの危険性を誇張した大人が言った嘘が都市伝説として流布したというのが一つの見解。
なおピアス穴から白い糸のようなものが出ることは実際あり、その正体は再生上皮である(「脂肪」としている文献もあるようだが)。ピアス穴と同じ長さだが皮膚なので伸縮性がある。白いといっても剥けた皮程度の白さ。
まぁどっちにしても衛生的にあんまりよくないのでピアスの穴はしかるべきところで空けて貰った方がいい。

余談だが視神経は首にも通っていない。この人のせいでこっちもある意味では都市伝説になっている、かも。

「チョコレートを食べ過ぎると鼻血が出る」という有名な迷信。
しかし、これは医学的な根拠がなくガセ。食べ過ぎを防ぐため、チョコレートは栄養が豊富で行き場を失った栄養分が鼻血となって放出されると考えられていたなどの説がある。
なおチョコをたくさん食べた後に本当に鼻血が出たという経験をした人は単に栄養バランスが崩れていただけです。反省しましょう。

  • エイズ・メアリー
海外旅行が好きなとある男性が、バーで出会った一人の女性と意気投合した。
そしてその日の夜、男性は女性をホテルに連れ込み、共に一夜を明かす。
翌日、目が覚めた男性が部屋を見渡してみると、なぜか女性の姿はそこになかった。
ふと鏡を見てみると、そこには真っ赤な口紅で書かれた文字が。
「Welcome to the world of AIDS!(エイズの世界へようこそ!)」

更に男女が逆転した物語もある。こちらは「エイズ・ハリー」と呼ばれ、行きずりで一夜を共にした男性から渡された小箱を帰りの飛行機の中で開けたら、前述のメッセージが書かれた紙と棺桶型のブローチが入っていたというもの。
これらのエピソードはやや誇張が入っているものの、その多くが本当だとされる。
ちなみにイギリス、オーストラリア、カナダ、アメリカの一部、スウェーデン、ドイツ、バーレーン等では自身がエイズ感染者であることを隠してセックスした人間を性犯罪者として取り締まっている*1

エイズ(HIV)の感染を防ぐためには、不特定多数の人と性行為を行わないこと、また性行為に際はコンドームを着用することが重要である。
また、万が一エイズに感染しても、薬を服用し続ければ症状をコントロールできるようになっている。
ただし、現代の医療技術では完治させることは困難なので、きちんと予防することが好ましい。

  • I am AIDS!
とある商社に勤める男性が出張でニューヨークを訪れた時の話。
出発前に同僚から「ゲイにレイプされそうになったら『I am AIDS!(俺はエイズだ!)』と言え。そうすれば助かる」と教わった。
翌日、男性は実際にゲイにレイプされそうになる。とっさに「I am AIDS!」と叫んだものの、レイプ犯は途端に笑顔になり、耳元でこう囁いた。
「Me too.(俺もだよ)」

レイプ犯は黒人であるという設定がついている。黒人に同性愛者が多いという偏見が強かった時代に生まれたようだ。

  • 膝の中のフジツボ
ある時海岸の岩場で転び、膝をフジツボで切って怪我した男がいた。その時は絆創膏を貼るだけで済ませたが、後日膝に違和感を感じるようになり、やがて歩けなくなるほど痛くなった。
病院でレントゲン写真を撮り検査したところ、あの時フジツボの卵が傷口から体内に入ってしまい、そのまま膝の中で繁殖していたことが発覚した。
体内の塩分量と海水の塩分量ではあまりにも差がありすぎてそもそもフジツボが育たないためデマとされる。
なお、皮膚の内側で巻貝が育っていたという事例は実際にある。

  • 天然痘の予防接種を発明したエドワード・ジェンナー医師は、最初に自分の息子でワクチンの実験をした
ジェンナーが最初に牛痘を摂取して天然痘を防げないか試したのは、使用人の息子であるフィリップスという8歳の少年であり、最初に自分の息子で実験をしたのではない。
明治時代に日本に伝わった情報に誤りがあったそうだが、いかにも「美談」的な都市伝説である。まぁそれにしたって現代の価値観では自分の息子を実験台にするなよという話ではある
ちなみに牛痘による種痘以前に「本物の天然痘(人痘)をそのまま元気な時にわざとかかり、治るまで安静にする」という荒療治の免疫取得方があり、
「これをイギリスに伝えたメアリー・モンタギューが(情報源のトルコではすでに行われてた方法とはいえ)自分の娘を人痘接種の実験台にした」という記録はある(1721年)。
ジェンナー自身も牛痘を知る前に自分の子供に人痘接種の方をやっているが、もう人痘接種がイギリスにもたらされてから半世紀以上が立っていたので「実験台」ではない。

  • 赤玉
「男性は限界まで射精すると『打ち止め』の合図として尿道から赤色の玉が転がり落ち、以降一生涯に渡ってEDとなる」というもの。
精液に血液が混じる何等かの病気説やパチンコで打ち止めの合図として赤色のパチンコ玉が出た事に由来する説など、謂れは諸説あるが何にせよ俗説であり「赤玉」に医学的根拠は無い。

令和の現代で本気で赤玉を信じている人は少ないと思われるが、「射精量の極限」を象徴する例えや表現として定着した感があり、その手の作品のタイトルや謳い文句に使われる事も少なくない。
またこの赤玉説をモチーフとした『クピドの悪戯 虹玉』という漫画がある。


食品

某有名チェーン店のパティは食用ミミズを使っているという噂。
食用ミミズ自体は存在するが、生産から加工までの技術が確立された牛肉の方がコストがかからないため、ミミズでパティを作っているというのはデマである。
ある雑誌が誌上企画でミミズを使ってハンバーガーのパティを作ったものの、不味くてとても食えた代物にならなかったという話もあり、
ミミズを美味しく調理することは、難しく手間がかかる。
牛肉は高額という印象や、ひき肉の製造工程で、機械から細くニュルニュル出てくる様子がミミズのように見えたことから広まったのではないか、とも言われている。
別パターンとしてはネズミの肉とか。

これを題材にした、『ミミズバーガー』という映画が公開されたことも。

  • ファストフード店のハンバーガーは腐らない
「ハンバーガーは保存料を大量に使っているから腐らない」というものだが、これも少し考えたらおかしいことがわかる。
そもそもハンバーガーの材料は、工場で大量生産された後、即座に冷凍or無菌パックされて店に配達され、調理後はすぐに食べることが前提になっている。
というか日本の法律で外食店は食品衛生管理者が責任持って作った料理を完成してすぐに客が食べる前提になっているので消費期限を提示する義務はない。
レストランで出てきた料理に消費期限が書かれていた ことがある人はおそらくいないだろう。
テイクアウトもそこから長くて2、3時間で食べるのが大前提でそれを過ぎて腐らせてもそいつの自己責任。
数時間持てばいい食物に保存料を使用する理由が全くないのだ。
ファストフード店も営利企業なので、意味のない材料を入れて無意味にコストを引き上げるようなことをやるわけがない、というのは誰でもわかることだろう。

「長期間保存しても腐らなかった」というような実験結果もあるが、実際のところ、高温で加熱殺菌された後、乾燥された場所に置いておけばハンバーガーに限らず保存料なしでも割と腐らないものである。

  • マーガリンの危険性
「マーガリンが含むトランス脂肪酸と呼ばれる成分は人工物質であるため健康に悪い」
「マーガリンは言わば『食べるプラスチック』である」
「マーガリンは腐らない。腐らないのは危険な物質を使っているからだ」
……などと言われる。

まずトランス脂肪酸は全てが人工物質ではない
牛や羊などの体内でも生成されており、牛乳やバターにも含まれている。ただし含まれているトランス脂肪酸である共役リノール酸は心血管疾患のリスクにはならない。
それに対して工業生産された油脂の含まれる種類のトランス脂肪酸は心血管疾患のリスクになる。
人工物質であるためという理由ではないが、人工のトランス脂肪酸が健康に悪いのは事実なので、正しくはないが遠からずではある。
そのため2003年以降、WHOがトランス脂肪酸の摂取を控えるよう呼び掛けている。
そして当時は日本でも、毎日1食はファーストフードという食生活だと基準値をオーバーしやすかった。
しかし、日本国内の企業も2006年以降にトランス脂肪酸低減化に大きく取り組んでおり、マーガリンも昔に比べてトランス脂肪酸の含有量が減っている。(2006・2007年度調査:100g中8.7g)(2014・2015年度調査:100g中0.99g)
ちなみに、油脂含有率80%以上のマーガリン類がマーガリンであり、油脂含有率80%未満のマーガリン類はファストスプレッドに分類されており、家庭用のマーガリン類はほとんどマーガリンではなくファストスプレッドである。ファストスプレッドはマーガリンより油脂が少ないのでトランス脂肪酸も少ない。(2006・2007年度調査:100g中6.1g)(2014・2015年度調査:100g中0.69g)
なおトランス脂肪酸摂取量はマーガリンよりもパン・焼き菓子・揚げ物などに使われるショートニングの方が主になっている。
しかし、2006・2007年度調査:100g中12gだったのが、2014・2015年度調査:100g中1.0gに10分の1以下まで低減化され、さらにショートニング自体の使用をやめたり減らしたファーストフード店も多く、摂取量の様相はかなり変化している。
常識的な摂取範囲であれば健康にリスクを及ぼす様な事態にはなりにくい。
他の多くの添加物と同じく「そればかり毎日山の様に食べなければ問題ない」類である。

「マーガリンはプラスチックである」という主張は、 事実と言えば事実 である。
しかしここで言う「プラスチック」は、 「石油から作られる合成樹脂」を意味しない
そもそも「Plastic」の原義は「可塑性」、即ち 「熱や外力によって形を自在に変えられ、変わったら勝手に元に戻らない」 ことを指す。
例えばアメコミに『プラスチックマン』がいるが、これも身体に可塑性がある=伸縮変形自由自在のヒーローなんだよ、以上の意味はない。
なので、マーガリンのみならずバターも味覇も食べるプラスチックといえば食べるプラスチックという事になる*2

マーガリンが腐らないのは当然である。そもそも 油は腐らない
腐らないのはサラダ油もごま油もオリーブオイルも同じである。
酸化による劣化は起こるが、これもまたマーガリンに限った話ではなく油全般に言える事である。

総じて、マーガリンに格別の危険性は無いと言える。

  • 鰹節は世界一硬い食品としてギネスに登録されている
そもそも「世界一硬い食品」という項目自体がギネスブックに存在しない。また、モース硬度7〜8というもっともらしい数字も出回っているが、実際には特に硬いとされる本鰹節ですら2〜3。ちなみに一般的な鉄の硬度は焼き入れを入れた硬いもので5〜7程度なので、本当に7〜8だとしたら刃が鉄製の鰹節削り器で削れる時点でおかしいということになってしまう。


教育

  • 現代の小学校では円周率を3と教わる
ゆとり教育批判でよく使われる。「2002年以降、小学校では円周率を3として教育するようになった」というもの。
正しくは 「手計算の場合、簡略化のために時と場合によって近似値の3を用いても良いとする」 であり、「円周率を3と教育している」訳ではない。

このようなデマが広がったのは、1999年に大手学習塾「日能研」が、
ウッソー!? 円の面積を求める公式
半径×半径×3!?
2002年、小学5年生は円周率を3.14ではなく、「およそ3」として円の求積計算を行います。ホントです。
(中略)
新学習指導要領の問題点は、これだけに留まりません。 2002年以降、小学校に限らず中学校でも、子どもたちの基礎学力は確実にレベルダウンしています。
だからこそ、 我が子の将来につながる中学校を選び取るための学力をそなえること は、もはや時代の必然と言っても決して過言ではありません。
といった広告を打ち出し、マスコミもこれを取り上げたため。

科学計算であれ作図であれ、計算で円周率のような無限小数を扱う場合、
計算方法や必要な計算速度・精度に合わせて小数点以下何桁まで使うかを吟味しなければならないのが実態である。
そもそも円周率は「3.14」ではない以上、「素早く計算したい時・ざっくりで構わない時すらも円周率を3.14とする」のは、
「精度を求めていて偉い」というより寧ろ杓子定規というものである。
それを考慮すれば2002年以降の「状況に応じて円周率の近似値を使い分けよ」とする方針は、
従来のものよりもレベルダウンどころかレベルアップしているとも言える。
日能研の広告内容は普通に受け取って誇大広告、良く取ればミスリード、悪く取れば虚偽・詐欺である。

何にせよ、「円周率は3」はゆとり教育・ゆとり世代を批判する上で非常に使い勝手が良い事もあり、事実の訂正は中々広まっていない。

  • アメリカの一部の州では、聖書を根拠として円周率を3と教えている
「円周率は3」アメリカ版。非営利団体「New Mexicans for Science and Reason」が1998年4月1日に発行したニュースレターのエイプリルフール記事が元ネタであると判明している。
当時アラバマ州は進化論を学校で教えないとする州法案を議会で審議中であり、それに同団体のマーク・ボスローが反発して書いたネタだったのだが、ネットを回っているうちに事実だということにされてしまったようだ。

「円周率は3」の根拠になるであろう箇所は旧約聖書の「列王記上」第7章23節にある。
また海を鋳て造った。縁から縁まで十キュビトであって、周囲は円形をなし、高さ五キュビトで、その周囲は綱をもって測ると三十キュビトであった。
数学的には、文中に出てくる数値の有効数字が一桁であり、これらの数値から円周率を計算すると3にしかならないため、まさしく円周率を3で近似しても良い事例と扱われる。
しかし、そもそも聖書は教えや倫理について記載された本*3であって科学書ではないため、「聖書の数値から科学的な何かを算出する」という行為自体が不適切な目的外使用であるとする見方もある。

  • 手をつないでゴール
現代の小中学校の運動会では、ゆとり教育に因む「順位を付ける」事への忌避感や最下位になった子供への配慮から、
駆けっこに参加した子供たちを手をつないで同時にゴールさせ、「全員一位」とするのが全国的に一般的、というもの。
上記の円周率の件と同じく、ゆとり世代を批判する意味合いで多用される。

実のところ具体的な実施例や目撃情報に関する報告がほとんど無く、デマか、実際にあったとしても一部地域・一時的なものだったと考えられる。


妖怪・怪人

2000年代頃からネット上で囁かれ始めた都市伝説。
水田や海岸などで体を左右にくねらせるという、白または黒っぽい色をした人型の怪物。
これを見た者は精神が崩壊し、廃人になってしまうといわれている。

東北地方や北陸地方で目撃情報が報告されているが、いずれも真偽は不明。
一説には熱中症や精神病のために見る幻覚ではないかとする意見も。

人間の顔を持ち、人間の言葉を話す犬がいるという都市伝説。
話のバリエーションも様々で
  • 繁華街でゴミを漁っていたところに声を掛けると「ほっといてくれよ」「うるせえな」といった一言を残して立ち去る
  • 深夜の高速道路で猛スピードで疾走し、追い抜かれた車は事故を起こす
  • 人面犬に噛まれると犬になってしまう
などが語られる。

その発祥は
  • ティーンエージャー向けの雑誌編集部とジャーナリストが結託し、その雑誌に寄せられた読者投稿に尾ひれを加えて広めた
  • とある俳優の仲間内で冗談として話していた内容をあるラジオDJが耳にし放送で取り上げた
  • とある放送作家が以前お笑いコンビを組んでいた時の相方が広めた
などがある。
更に江戸時代にも、人の顔を持つ子犬が産まれたという話があったとか。
近年でも『妖怪ウォッチ』などに登場しアニメ版での扱いはお世辞にも良くはないが…、メディア媒体としての扱いは概ね近代妖怪の代表例である事が多い。

  • テケテケ
昔、真冬の鉄道事故で上半身と下半身が真っ二つになってしまった女性がいた。
しかし、寒さで出血が少なかったうえ、血管が寒さで収縮して出血が止まり、奇跡的に生き延びて上半身だけでしばらく這いずっていた。
やがてその女性は死亡し、誰にも助けてもらえなかった恨みから上半身だけの亡霊となり今も彷徨っているという有名な都市伝説。
発生場所は真冬の北海道・室蘭市だとする物が多い。
童謡「サッちゃん」の都市伝説にも、これに類似した展開がある。

これもほぼガセ。まず列車に跳ねられると高確率で内蔵損傷、全身粉砕骨折などで即死し、ひどい場合は全身がバラバラになる。
即死しなかったとしても意識があることはほぼありえない。

話を聞いた人の所に1週間以内に上半身だけの女性が現れ、決まった呪文を唱えないと恐ろしい目に合う。
…というこういった話ではお決まりの設定が付与される場合もある。

  • ターボばあちゃん
深夜の高速道路で、自動車を追い越す程の速度で走る謎の老婆。
話によっては「ターボババア」や「ダッシュババア」、「ジェットババア」と違う名で呼ばれる。
車の窓を叩き割り、乗っている人を棺桶に入れて墓へ連れ去るなど、話のバリエーションは豊かである。

似た妖怪に、道路を自転車で疾走する「高速サラリーマン」や、某県のトンネルに現れるという「ジェットジジイ」などがいる。

  • 首なしライダー
ある人が毎晩暴走族の暴走行為に頭を悩ませており、懲らしめる目的で道路を横断する形でピアノ線を張った*4
そこに猛スピードでバイクが突っ込んできて乗っていたライダーはピアノ線で首を切断されて死亡してしまう。
しかしバイクだけは首のない主を乗せたまま走り続けた。
そのライダーは首なしの亡霊となり、夜な夜な事件現場付近をさまよい続けている。

  • 赤マント
昭和15年頃に生まれたとされる都市伝説。
赤いマントを着た背の高い男が、道を歩いている少年少女をマントに包んでどこかへ連れ去ってしまうというもの。
「青マント」や「黒マント」といった、よく似た都市伝説も多数ある他、以下のようなバリエーションが存在する。
  • 「赤いマントはいらんかね?」と聞かれたときに、「いらない」と答えると、背中を刀で突き刺され、血を流しながら赤いマントを着ているようになって死亡する
  • 道を歩いている人に襲いかかり、首に噛みついて血を吸う
  • 「頭と腕と脚、どれがいい?」と聞かれ、答えてしまうと、その部位を切断されて死ぬ

明治39年に福井県で実際に発生した「青ゲットの殺人事件」が元ネタとされる。
また、陸軍将校の青年達のマント姿が、当時の子ども達の目に怪人として映ったのではとする考察も。

  • スプリング・ヒール・ジャック(バネ足ジャック)
1830年代頃からイギリスのロンドンで目撃され始めた怪人で、以下のような特徴がある。
  • コウモリのような羽のついたマントを着ている
  • 頭には角のような装飾が施されたヘルメットらしきものを被っている
  • 手の爪は鉤爪のように鋭い
  • 目は真っ赤
  • 口からは炎を吐き、甲高い声で笑う
  • 飛ぶように移動する

ジャンプ力が非常に高く、屋根から屋根へ飛び移って警察の追跡を振り切ったという目撃情報もある。
女性を誘拐して服を無理やり剥ぎ取ったり、口に炎を浴びせるといった変態チックけしからん行為を繰り返していたという。
1904年の目撃を最後に出現しておらず、正体については様々な説があるが真相は不明。

ちなみに、名前の「ジャック」とは本名ではなく、海外で姓名不明の男性につける俗称の一種。日本で言う「名無しの権兵衛」みたいなものである。
後にロンドンを震撼させることになる著名な殺人鬼にも「ジャック」の名がつけられている。

  • マッドガッサー
1933年の12月22日、アメリカのバージニア州・ヘイマーカータンで、街中に突然甘い臭いのするガスが充満するという出来事が発生した。
それを吸った人々はひどい喉の痛みやめまい、吐き気に襲われ、意識を失う者もいたという。
これと同時に、近隣では全身黒い服に身を包んだ謎の人物が目撃されていた。
同様の事件は数ヶ月に渡って発生し、「筋肉質の男が逃げ去るのが見えた」「女性物の靴の跡があった」などの情報が報告されたが犯人は特定されず、やがて事態は収束していった。

……かに思われた。
それから11年が経過した1944年の9月1日、今度はイリノイ州のマトゥーンでよく似た事件が起きた。
今回も、事件と同時に黒服の人物が目撃されており、ナチスの工作員の仕業だと騒ぎになった。
真相についてはアメリカ政府の人体実験、異次元から来た人物、集団ヒステリーなど様々な説がある。


怪談

  • NNN臨時放送
ある日の深夜、男性がテレビをつけると、国営放送の放送終了後に、なぜか廃墟の写真をバックに人名を列挙したテロップが流れた。
そして最後は暗い画面に
「明日の犠牲者はこの方です。おやすみなさい」という文字が表示された。

2ちゃんねる発祥のガセネタだが、1985年の日航機123便墜落事故の犠牲者の氏名読み上げ(1995年の阪神・淡路大震災の際にも類似の放送があったとされる)、1986年の伊豆大島三原山の噴火映像、クロージングで流れるイージーリスニング系の音楽などの記憶がごっちゃになって生まれたという説がある。

余談だが、「NNN」というのは日本テレビをキー局とした民放ニュースネットワークであり、国営放送ともNHKとも関係なかったりする。そもそもNHKを国営とするのかも微妙な位置付けだが、それについては本件と無関係なため書かない。

  • 白いソアラ
とある中古車販売店に白いソアラが数万円という破格の安値で売られていた。
有名な高級車がたった数万円+諸費用で手に入るということで早々に売れてしまった。しかし暫く経つとまた同じような値段でソアラが店頭に並ぶ、ということが繰り返されていた。
実はこのソアラ、乗った人全員が運転中の事故で首を切断され、死亡しているのである。
主人を失ったソアラはまた売りに出され、店先で新たなオーナーを待ち続けるのだ…。

現実的に考えて、ドライバーが物理的に首チョンパになるような事態が走行中に起きたら、車の方もただでは済まないだろう。
発祥は不明だが、海外には「呪われたポルシェ」が似たようなストーリーで存在するため、それが日本でローカライズされたものと思われる。舞台は多くが群馬県内の国道沿いであるとされる。
ちなみにソアラはトヨタが発売していたクーペモデル(1981~2005)。発売後、それまでの高級車を凌駕する性能と先進的装備から、ナンパ車として若者の間で大人気車種となっていた。

地獄先生ぬ~べ~』にはこれを元ネタにしたエピソードがある。

  • 犬鳴村
福岡県の犬鳴峠の近くにある「犬鳴村」という村に関する伝説。
  • 村の入口に「この先日本国憲法は通用しません」という立て看板がある
  • 日本の行政記録や地図から完全に抹消されている
  • 全ての携帯電話が圏外となる。村の近くのコンビニの公衆電話は警察へ通じない
  • 面白半分で村に立ち入った若いカップルが惨殺された
  • 江戸時代以前から激しい差別に晒された村人は外部との交流を一切拒み、近親交配で子孫を残し、完全自給自足の生活を送っている。

これらは全部ガセ。確かに犬鳴という村はあったが、1691年に福岡藩城下町から人が移り住んで成立した村であり、それ以前は無人。
また犬鳴村とされる場所は現在ダムの底に沈んでいる。

しかし、中には実際に犬鳴峠の付近で心霊現象を体験したという人もおり、真偽は不明。

  • 見たら死ぬ絵
特定の絵画作品に、見た者を殺す呪いがかかっているという都市伝説。
「絵の作者は自殺した」「所有者が次々に亡くなっている」などと説明されることもある。
こうした噂のほとんどは裏付けが無く、ガセと判明したものも多い。

中でも有名なのは、「3回見たら死ぬ」とされる、ポーランドの画家ズジスワフ・ベクシンスキーの「荒野に置かれた椅子の上に、女性の生首が乗っている絵」だろう。
これも根拠不明のガセネタ(発祥は恐らく日本)で、少なくとも2007年頃には広まっていた模様。

作品に退廃的で不気味なものが多いこと、絵の意味付けを極端に嫌った(タイトルすらつけなかった)ために憶測を呼びやすかったこと、ベクシンスキー自身が凄惨な最期を遂げたことなどが、伝説につながったのだと思われる。


犯罪・事件

  • 消えた我が子
遊園地にある親子が遊びに来ていた。
しかし子供が迷子になってしまい、あるトイレの前を探していたところ、一組の子供連れが出てきた。
髪の毛の色・長さに服装こそ違っていたもののその子供は自分の子供と同じ靴を履いており、まさかと思って声をかけてみたら探していた我が子だった。
我が子を連れていた大人は臓器売買目的の誘拐犯で、子供を遊園地内で攫ってトイレへ連れ込み、そこで染髪、散髪を行って違う服に着替えさせていたのである。
舞台の遊園地がディズニーランドとされるパターンもある。

  • 置き去りにされた子供
ノルウェー発祥とされる都市伝説。
幼い子供のいる夫婦が長期旅行に行くため、ベビーシッターに子供を預けることにした。
ところが旅行当日、シッターの車が故障してしまい到着が遅れるという連絡が入る。シッターの到着を待っていたら間に合わない。そう判断した夫婦は子供をベビーチェアに座らせ、裏口のドアを開けて出かけた。
その後シッターが家に到着した*5ものの、風によって裏口のドアが閉じてしまい、中に入れなかった。
夫婦が子供を連れて行ったと判断したシッターはそのまま帰ってしまう。
夫婦が旅行から帰ると、子供は息絶え、死体は腐敗が始まっていた。

ベビーシッター文化が発達している欧米では、このような「シッターが(直接あるいは間接的に)子供を死なせる」という伝説がいくつか流布している。

  • ベッドの下の男
ある男性がアパートの自室で友人と過ごしていた。
夜中、電気を消して眠りにつくが、なぜか友人は「コンビニでも行こう」と言い出す。
「嫌だ」と言っても、なぜかしきりに外へと出たがる。
仕方なく外へ出ると、友人は慌てた様子で「お前、気づかなかったのか?」と言う。
友人の話によると、自分が寝ていたベッドの下に見知らぬ男が潜んでいたのだという…。

アメリカ発祥とされる都市伝説だが、日本でも平安時代の説話集に似たような話*6が出てくるため、どうやら昔からよくあるタイプの怪談らしい。

  • ルームメイトの死
ルームメイトと2人暮らしの女性が夜遅くに帰宅し、ルームメイトを起こさないよう電気をつけずに寝た。
朝目覚めると、部屋には殺されたルームメイトの死体と、「電気をつけなくてよかったな」という血文字が残されていた。
女性が帰宅した時点でルームメイトは殺されており、犯人はまだ部屋に隠れていた。もし電気をつけていたら彼女も殺されていただろう…。

アメリカ発祥とされる都市伝説で、「忘れ物を取りに部屋を訪ね、後日警察から事件のことを聞く」というパターンも存在する。

  • 人間シチュー
風呂場で突然死した人間が、追い焚き機能で止まることなく煮られてしまい、シチュー状態になってしまうというグロい話。
昭和30年に長野県で起きた事件が元になっているという説がある。

ちなみに、古代アステカでは儀式的な意味を持つ「ポゾール」という人肉シチューがあったという。
また2008年のメキシコで、死体をドロドロに溶かして証拠隠滅する死体始末屋、通称「エル・ポゾレロ」(ポゾールを作る人、英語で言うとシチュー・メーカー)と呼ばれる人物が逮捕されるという事件も起きている。

  • オウム製アサルトライフル
オウム真理教の施設からAK-47アサルトライフルが押収されたというもの。
そもそもオウムはAK-47は密輸も製造もしていない。
ただしAK-74を密輸・製造しており、押収記録も残っている…が、記録を見る限りどうやら弾薬を製造できずにポシャってしまったようだ。*7
おそらくこの話がいつの間にか改変されてしまったのだろう。

  • 偽の警察官
マンションに住む女性が、自室から何気なく外を眺めていたところ、男が通行人を刺して逃亡するところを見てしまった。
翌日、女性のもとに警官が訪ねてきて、「昨日、この付近で殺人事件があったのですが、何か知っていることはありませんか?」と聞いてきた。
女性はあの男のことかと思ったが、見ていたテレビが気になったので、とりあえず「知りません」と答えてごまかした。
警官はなぜか安心した様子でその場を去った。
それから数日後、殺人事件の容疑者が逮捕されたというニュースが流れた。
その犯人は、なんとあの警官と同じ顔。
犯人は警官に変装して聞き込みを行い、事件について何か知っている人がいたら口封じに殺そうと考えていたのだ。

  • テロリストのお礼
ある人が困っている外国人を助けた。
その人は去り際に「しばらくの間、この飛行機には乗らないほうが良いですよ」という一言を残す。
後日、その告げられた飛行機でテロ事件が発生し、テロ実行の容疑者が助けた外国人だったというもの。
乗り物の他に施設名や地名の場合もある。

  • 当たり屋グループ
都市伝説と言うよりは不幸の手紙やチェーンメールに等しい性格のもの。
「当たり屋グループにご用心」という題のチラシが存在し、そこには車のナンバープレートが列挙され、これらの車と事故を起こした場合はすぐ警察に通報するようにと書かれている。
いくつかは実在する車両のナンバーだったが、大半は存在しなかったり既に廃車となった車のナンバーだったりという怪文書。

  • 訴訟大国アメリカ
確かにアメリカでは訴訟が日本に比べて多いのは事実。だが、その際引き合いに出されるエピソードには都市伝説めいたものも多い。

特によく語られるのは、
「電子レンジに猫を入れて温めたせいで猫を殺した飼い主がメーカーを訴えた」と
「マクドナルドのコーヒーをこぼして火傷して賠償金3億円」というエピソードだろう。
しかし、前者は完全な都市伝説であり、実際にそのような訴訟があった事実はない。

後者については概ね事実だが、被害者が皮膚移植を必要とするほど重度の火傷を負っていたこと、
マクドナルドの裁判での態度がかなり裁判官の心証を損ねたことなどの複合的な原因が重なっての判決であり、
決して「コーヒーをこぼしただけ」の事件ではない
また、最終的には和解しているため実際に3億円の賠償金が支払われたわけではないことにも留意。

  • 新日本プロレス練習生死亡事故の犯人は佐々木健介
1995年に起きた新日本プロレス練習生死亡事故の犯人は佐々木健介という噂。
クリス・ベノワの自伝における告発が根拠とされている。
しかし事故が起きた時にはベノワはカナダに帰国していた為信憑性は限りなく低い。


陰謀論

詳しくは個別項目を参照。

  • アポロやらせ説
アポロ11号に行っておらず、写真や映像はスタジオで撮ったやらせ、というもの。
反論が非常に多く存在し、多くの人にとっては与太話となっているが、これを真面目に支持する人もキリスト教の保守派に多い。

  • 9.11陰謀論
9.11アメリカ同時多発テロ事件はアルカイダのテロではなく、当時支持率が低迷していたブッシュ政権の支持率向上のためにアメリカが自作自演したというもの。陰謀論としては最もメジャー。

「パチンコは北朝鮮の資金源になっていて、打った分はミサイルになって返ってくる」というもの。パチンコの蔑称である「朝鮮玉入れ」はこれが語源。
実際にはほとんどのパチンコメーカーは日本企業。
仕事の一部を海外に発注していることはあるかもしれないが、北朝鮮の資金源になっているとまで断言するのは言い過ぎ。

地球上はもちろん光年単位の遠方まで一瞬で移動可能な、お馴染み『ドラえもん』のひみつ道具。
どこでもドアの基本技術は既に完成しており、作ろうと思えばいつでも作れるが、自動車などの移動手段を開発している企業が既得権益を失わない様、その一切を封印している……というもの。
この手の陰謀全般に言えるが、「一社でも裏切ってその技術を独占すれば競合他社を全て蹴落とせるのに、既得権益を守るためにそんな強固なカルテルを作り出せるか?」という点に極めて大きな疑問点が残る言説である。

  • 騒音おばさんの真実
00年代中期にお茶の間を騒がせた「奈良騒音傷害事件」の犯人である女性、通称「騒音おばさん」は実は被害者で、被害者夫婦とされていた側の方が実は加害者であったとする主張。
被害者夫婦は実は熱心な創価学会員で、おばさんを勧誘するも断られたためにその腹いせとして悪質な嫌がらせをするようになり、報道されたような騒音騒動はその報復であるというもの。にも関わらずおばさんが一方的に悪いかのように連日報道されていたのは創価学会の犬であるマスコミが学会員である被害者夫婦を庇うと共に勧誘を蹴ったおばさんに対する制裁であるとされていた。

結論から言えばこの話はほぼデマと言えるほど信憑性が極めて低く、最高裁まで三審争われた裁判においても裁判記録には創価の「そ」の字も出てこない。事件が起きた地域も創価や公明党との繋がりも特に強い訳ではなく、もちろん被害者夫婦が学会員であった根拠も証拠もない。前述の裁判においても三審全てでおばさん側が敗訴しており、創価学会が司法を捻じ曲げられるほどの権力を持っていると見るのはかなり怪しい。そんなことができるのなら公明党はとっくに第1党になっていてもおかしくないはずである。

こんな説が出回った背景には当時のマスコミに対する強烈なイメージの低さがあり、「マスゴミ」という言葉が流行ったのもこの時期。特に創価学会との癒着も強く疑われており、
「マスコミは創価学会の傀儡」とする風潮が当時のネットでは支配的であったことが強く影響している。


技術・科学

  • パトカーの廃車
役目を終えたパトカーは真っ黒に全塗装してから解体されるために他の一般車と見分けがつかなくなり、パトカーの解体作業を見かけることが少ない。
これもガセ。車の全塗装をやったことがある人は分かるかもしれないが、あれにも万単位のカネがかかる。
ただでさえ予算がそんなに多くない警察が解体されるだけの車両にそんな手間をかける必要がない。

  • 水洗トイレの水は北半球では左回り、南半球では右回りに流れる
慣性力の一種である「コリオリの力」によって、台風は北半球では左に、南半球では右に渦を巻く。
だから水洗トイレや風呂の水の流れも同じなのでは…という説。
映画『大脱出』の劇中で、主人公はこの説を基に自分の現在位置を推理した。

コリオリの力は非常に小さい慣性力なので、水洗トイレのような小さなレベルの渦にはほとんど影響しない。
トイレやバスタブにおける水の流れは、容器のデザインでほぼ左右されている。

  • 日本では特急事故をきっかけに客車が木造から鋼製に切り替わり、列車の重量増加で蒸気機関車のパワーアップのため3シリンダー機開発を始めた。
技術系は門外漢には分かりにくいうえ、大勢の人間で進める以上当事者でも真偽不詳なケースもままあるが、これはちょっと調べれば明確にガセと分かるケース。

日本の鋼製客車第一号のオハ31(当時はオハ44000)形は昭和2年(1927年)3月に試作が完成して量産が同年8月、そして該当の事故は前年の大正15年(1926年)9月23日に起きたものなのだが、
まず鉄道省の工作局長だった朝倉希一が随筆*8で「自分が車両課長になった大正13年から鋼製車両計画があった」と証言していること、
第二に、3シリンダー研究のために輸入したC52はアメリカの会社が大正14年11月に製造、日本到着でさえ大正15年2月であり、特急事故きっかけに輸入したなら注文した鉄道省に予知能力者がいなければいけないことになる。

そもそも日本でも鋼製車体の客車は狭義の機関車に引かれるもの(オハ31)は1927年製造開始だが、電動客車(電車)の鋼製車は関西私鉄では大正期にすでに広がり始め、鉄道省もモハ30を1926年中に出していることからもわかるように、時代がちょうど鋼製車体切り替え時期。
また、仮に事故をきっかけに鋼製客車を約半年の急ピッチで設計・製造するほど安全性を急ぐ必要があるなら、鋼製客車を量産できた時点ですぐに危険な木造客車の使用を停止、もしくは鋼体化改造しなければいけないはずであるが、実際は戦後まで既存の木造客車は使われ続けている。

  • ソニータイマー
SONYは製品の買い替えを促すべく、保証期限が切れた直後に壊れる様に寿命を設計している、というもの。
日本のみならず世界的に知られている話な様である。
SONY自身も把握している様だが勿論明確に否定している。
一般論的に考えても、買い替えペースを上げさせる事による利益向上よりも「すぐに壊れる」悪印象による客離れの方が心配され、このようなものを仕込んでいるとは考えにくい。
保証期限がとっくに切れた令和になった今でもプレステ2や3が現役というゲーマーは少なくないことだろう。
よってこの話は完全なガセネタと言える。

……のだが、2022年に島津メディカル(島津製作所の子会社)の営業社員が自社製品に時限装置を取り付け、故障に見せかけて修理代を稼ぐという不正を働いていた事が発覚している。
この事はソニータイマーに準え「島津タイマー」などと報道される事となった。

  • 飛行機の着陸は衝撃が強い方が良い
飛行機の着陸時の衝撃は優しいよりも、寧ろドスンと叩き付けられる様な所謂「ハードランディング」の方が良い着陸法であるというもの。

実際には勿論衝撃が少ない方が良いに越した事は無い。
冷静に考えてみれば「最大数百人もの人間を運ぶ空飛ぶ精密機器」(≒事故即ち犠牲者3桁人の大惨事となる)というデリケートな乗り物である航空機にあって、
衝撃が強い方が良いなんて事があるはずもなく、むしろ下手に衝撃を与えると故障や破損の原因となり得る。
この様なデマが広まったのは、「着陸時の衝撃について乗客から指摘が入った際にCAがその様に言い訳をした事が原因」とする説がある。
ハードランディングでも基本的な安全性には影響がない、というのがハードランディングの方が安全というのにすり替わっていったのかもしれない。

但し、路面降雪・凍結時、追い風時等の様な短い距離で停止させる必要がある場合はスポイラーを早めに起動させるべく強めの衝撃を与える事があるともされる。
或いはこの時ような特別な条件下での言い訳が伝言ゲーム的に変形して行った可能性もある。

  • 天日干しした布団から香る所謂「お日様の匂い」の正体はダニの死骸の匂い
具体的な起源ははっきりしないまでもかなり広くに浸透している「ショッキングな話」であるが、
2020年のデンマーク・コペンハーゲン大学の研究者が行った実験により、
「お日様の匂い」の正体は「香料等に含まれるアルデヒド・ケトン、カルダモンに含まれるペンタナール、花や果実の香りのオクタナール・ノナナール」と判明しており、
その原因は、布の成分と大気中のオゾン及び紫外線が反応する事で、匂いの原因物質が合成された事によるとの事である。

実はこの実験から遡る事19年、2001年の時点で既に日本の化粧品メーカー、カネボウも実験を行っており、
この時は「紫外線により綿の繊維に含まれるセルロースが分解され、アルデヒド等が合成されたため」と、やはりコペンハーゲン大学の実験と同じ結論が出ている。
また「ダニ(の死骸)が無い条件下の実験でも『お日様の匂い』は生じる」事も判明したため、総じて「お日様の匂いはダニの死骸の匂いではない」。


ファンタジー

非常にややこしい事情があり、デマとも真実とも言えないが、「『ドラクエ』が日本において弱いスライムのイメージを確立させた」という意味合いならほぼ事実。
最古のTRPGと言われる『ダンジョンズ&ドラゴンズ(D&D)』ではスライム系モンスターは「オーカー・ジェリー」や「グリーンスライム」などの種類があり、種によって弱かったり強かったりした。なので「本来のスライムは強い」というより、「強いスライムもいれば弱いスライムもいる」が正解。D&Dはバージョンを変えながら現在でも続いているが、最近のバージョンでは最弱の種でも2~3レベルの冒険者がそれなりに苦労して勝てるくらいの強さであり、作り立ての1レベル冒険者にとっては危険な相手である。なので、スライムが「最弱モンスター」にはなっていないのは確か。*9

しかし、ドラクエ以前でも、D&Dを電子化したような存在である「ウィザードリィ」の時点で最弱レベルのスライムは存在しており、「弱いスライムの元祖がドラクエ」という意味合いならばデマと断言していいだろう。
そして日本でスライム=雑魚を決定づけたのは『ドラクエ』ではなく『ドルアーガの塔』(ただ、同作のスライムは移動中完全無敵やスペルなどで弱いわけではない)とされる。
ドル塔開発者のエベゾーこと遠藤雅伸は「日本版スライムA級戦犯」と自虐的に名乗る事がある。
その後『ドラクエ』で「形がしっかりしているスライム=弱い」というのが定着したというのが真相。

むしろドラゴンにすら匹敵する様々な上位スライムが登場する『ドラクエ』はスライム優遇の作品である。

  • 日本刀は技術によって切断する武器だが、西洋のに術は存在せず、力で叩き斬る武器である
西洋剣にも刃は付いているし、「西洋剣術」を使って斬る。
というか「西洋の剣」の範囲は広くて色々ありすぎる。
その範囲内には確かに叩き斬るヘビー級の西洋剣も存在するが、マンガやゲームでもお馴染みの「細剣・レイピア」や「軍刀・サーベル」を見ればそれだけではないとすぐ分かると思うし、日本刀だって技術だけではなく力はいる(刀剣乱舞でもおなじみ、2mある熱田神宮の太郎太刀などの「そもそもサイズが大きい」ものはそれなりの重量があるため、当然自在に振るにはある程度の力がいる*10)。

因みに創作作品で良く見られる「身の程以上の刀身を持った剣を上段に構える」というのは重心と金属の重量の関係で人間には不可能。

  • 剣よりも鈍器は使いやすく常人でも戦いやすい
上記の都市伝説に関連した伝説。
西洋剣に西洋剣術があるのと同様、鈍器にも「鈍器術」があり、何も習得していない常人が殺人をするのが簡単なわけがない。
ビール瓶と包丁、どちらが殺傷力が高いか等考えるまでもなくわかる事である。
「腕力さえあれば扱える容易な武器」などと言われることもあるが、
術理を知らず力だけで容易に撲殺できるような怪力男はどう考えても常人ではない
詳しくないものを「ない」とか「簡単」と思ってしまうのは人間の悪い癖。
鈍器が強いなら世間の騎士や侍は剣や刀じゃなくて棒を腰に差してる。

一応資料によっては「騎馬兵はランス+剣を携帯しつつ、馬の方にメイスをストックしていて、下馬時にはメイスと剣を使い分けていた」というのもある。
なんで「常人でも戦いやすい」の部分は嘘でも、「使いやすい」の部分は正しい可能性がある。
というのもこの頃は金属鎧が発展していた時期であり、剣では関節部分などの金属が無い部分を狙う必要があるが、
鈍器で殴れば脳震盪を誘発できたので効果的という説があるため。
ただちゃんと鎧下を着るような、完全なプレートアーマーの場合鈍器で殴っても効果が無いという意見もあり、専門家間でも別れている模様。

その後銃の発展により重装鎧が無くなる→ならサブウェポンはメイスでなく剣の方が殺傷力が高いよねで廃れた模様。
いわゆるメタゲーム的サムシングである。

都市伝説上では、「常人が調達しやすい(≠強い、使いやすい)から使っていた『簡便な武器』としての鈍器」と
上記の「訓練を受けた者が重装鎧をメタるため、ランスや剣とは別にわざわざ持ち込んだ『特殊兵器』としての鈍器」が混同されて
誰でも使えて鎧を貫通する空想上の超兵器が完成しているところがある。

確かに調達という面ではそれこそバットやほうき、或いはその場にある重いモノを掴んで殴ればいいので手ごろではあるが、じゃあそれらに刃物や銃並みの殺傷力があるかと言うとまた別の話で……
日本では刀剣や銃類の所持携帯が厳しく規制されているので、結果論的に鈍器になりうる重量物の方が手ごろな武器として使えてしまうのでは?とイメージしやすいだけだろう。

実際に常人でもハードルが低かったのは鈍器ではなく槍と火縄銃で、それも「皆で並んで槍衾を作るだけでなんとかなるので、ガチで振れないと役に立たない日本刀よりはまあ…」「慣れはいる。ただ、弓よりはエイムしやすいので慣れやすい」程度のもんである。
一応日本でも南北朝時代には、剣ではなく棒で戦っていたという記述がある。
こちらも槍と銃によって駆逐されるわけだが。

  • 聖職者は血を流す武器が禁じられているので戦場では鈍器しか使用できない
モデルになった歴史上の事実はあるかもしれないが、全ての聖職者がそうしていたわけではないようだ。
(「歴史上の聖職者」という範囲が広すぎるので、無いと断言することもできないが)
ゲームでは回復魔法を持つ僧侶が剣で高い攻撃力を発揮できたら困るのでバランスの都合。

  • は両手でないと振れないほど重く、片手で扱っても斬れない
刀の種類にもよるが、標準的な日本刀は片手でも触れるし斬れる。
というか片手で斬れなかったら二天一流とかなんなんだという話である。
「両手で持った方がいい(繰り返しになるが、金属の棒である事や重心が体の外側に来る以上、日本刀に限らずあの手の長い刀剣は結構重いし実際の重量よりも重く感じる)」と「両手でないと使えない」は全く違う。
ゲームでも見るバックラーのようなを使った武術がある西洋剣術に対し、日本剣術で盾の存在感が薄いことから、「日本には盾がない→日本刀は片手では扱えない」というイメージで生まれた都市伝説だろうか。

  • 近接武器より飛び道具の方が威力が低い
これも恐らくゲームバランスから生まれたイメージ。
射程が長い攻撃が威力まで高かったらバランスが崩れるから、だろう。
特に銃弾は初速を上げないと射程が伸ばせない&ダメージソースが運動エネルギーなので「長射程=高い初速=高威力」になる。
飛び道具が近接武器より確実に低性能なのは「持ち運びやすさ」であり、同系統同士に限ってもナイフと槍、ダーツと長弓、
(口径が同じ程度の)迫撃砲と榴弾砲、拳銃と小銃ではいずれも長射程な後者の方が大型化して運搬が大変になるのは分かるはず。
もっともこれは「長射程攻撃の方が敵から反撃されにくい」ので、ある程度隙が生じても目をつぶれることもある。

  • 貴族の一つ「辺境伯」は名前から田舎貴族として思われているが実は偉い
ファンタジーに登場する辺境伯は辺境=国境を守る領主であり、外敵に対抗するための強力な軍備と高い独立性を持つ高位の貴族であるとされ、
小説家になろう作品やファイアーエムブレム 風花雪月などでも採用されている人気の爵位である。
だが現実でどうだったかというと、「辺境」にも時代や国家によって色々ある、辺境伯を含めた日本語の爵位は訳語の一つであり、海外の爵位に厳密に対応しているわけではないなど、解釈の幅が広く、決め付けるのには少し危険なライン。
広大なヨーロッパで数百数千年単位で使われていた色々な爵位の扱いをにわか知識で扱うのは難しい。
辺境伯を誤解するより「辺境伯は誤解されてるが実はすごいんだぞ」と知識自慢をしてる人を見る方が遥かに多い。


ドワーフの項目を読んで欲しいのだが、妖精的な存在だったドワーフは伝承では普通に女も存在し、
それをオッサンやヒゲしかいない種族に設定したのは後世の作家によるもの。
美女ドワーフはむしろ原点回帰。


歴史

  • 墾田永年私財法は現在でも有効
奈良時代に発布された、新しく開墾した土地の永久所有を認める法律についての噂。
明確に廃止にされたことがないため、半ばジョークとして「現在でも有効」と語られることがある。
実際には、明治維新に伴い旧体制の法律は否定されている、と解釈されるのが一般的。そもそも現行の法律では「誰のものでもない土地」は国有地になると定められているため、墾田永年私財法の対象となる「誰のものでもない(誰でも開墾可能な)未開地」そのものが存在しない。

  • 江戸の街は徳川家康が四神相応の土地として整備した霊的防御都市である
江戸から東京に至る街づくりに絡んで時折語られる伝説。これを計画したのが天海であると続くことも。
四神相応の土地というものに現実的な意味があるかは別として、徳川家康が本気でそれを気にして土地を整備したかというと限りなく疑わしい。
この伝説では、江戸城から見て西が東海道(白虎)、南が江戸湾(朱雀)、東が平川(青龍)に当てはめられており、ここまでは一見辻褄が合っているように見えるのだが、北の玄武に当てはめられているのがなんと富士山。当たり前だが江戸の北に富士山はない。
荒唐無稽な説であることを物語っている。

そもそも日本列島の形を考えると、太平洋側の開けた土地ならば大抵は南は海で北が山地、となれば道を伸ばしやすいのは東西方向で、北に山があれば大きな川も比較的近くにある…と、四神相応でない土地を探す方がむしろ難しかったりする。

また、北東の鬼門を寛永寺で、南西の裏鬼門を増上寺で封じた…という伝説もあるが、これもGoogleマップあたりで調べればすぐにわかるが、増上寺は江戸城(現在の皇居)のほぼ真南であり、どう見ても南西には対応していない。

また、そもそも初期の江戸幕府・徳川家がこの手の俗信を本気にしていたかといえば、これもかなり怪しい。
例えば家康には、江戸城の普請の際に、家臣に「この方角に門を作るのは風水的に縁起が悪い」と言われて、
「じゃあ、名前だけでも「筋違いの門」とでもしとけばいいんじゃないの?」と答えたという逸話が伝わっている。
同じく息子の二代目・秀忠にも、家臣に同様のことを言われた際に
「気にしない、気にしない。ウチに鬼門があるとすればそりゃ蝦夷地だよ」
と答えたという話が残っている。

  • 鉄道忌避伝説
  • 我田引鉄
どちらも鉄道と政治、特に鉄道路線の敷設にまつわる噂。
大まかに言うと、「あの鉄道が納得しがたいルートを通っているのは…鉄道忌避伝説→元々の計画線の沿線住民が反対運動をやったのが原因でその計画が中止されたせいだ/我田引鉄→元々計画になかったのに政治家が横やりを入れて無理矢理敷設計画を捻じ曲げたせいだ」という噂であり、時にはその噂が地方史研究や政治、学校教育などの場においてさも事実であるかのように流布されることもある。
交通インフラというのは規模の小さいものでは市区町村道の敷設から大きいものでは空港の建設に至るまで関係地域にとっては重大な関心事であり、往々にしてそれに基づく利害の対立や政争が勃発するため、鉄道に限らずこの手の政治介入の噂は交通政策においてしょっちゅうついてまわる。

一応日本にはJR東日本・大船渡線という我田引鉄の典型例が実存するため、個別の事例を見てそれぞれで判別する必要があるが、そういった鉄道のルートにまつわる政治介入の噂については、根拠の浅い俗説であることが往々にして存在する。

特に明治~戦前あたりの「鉄道忌避伝説」に関しては、実際には鉄道建設反対運動が起こるどころかむしろ激しい誘致合戦が繰り広げられていたとする史料が多数確認されており、鉄道黎明期において鉄道路線のルートが沿線の有力都市や市街地を避けたルートになる原因は、沿線住民の反対によるものよりも技術的・経済的制約や敷設者側による沿線の軽視が原因であることが圧倒的に多い。

  • アメリカ大統領のケネディとリンカーンには、不可解なほど多数の共通点がある
第16代大統領のエイブラハム・リンカーンと第35代大統領のジョン・F・ケネディには、「在任中に暗殺された」という共通点があるが、この2人にはそれ以外にも多数の共通点があり、単なる偶然とは考えられない。ケネディはリンカーンの生まれ変わりだったのではないか……というもの。

具体的には以下のような「共通点」、もしくは関連が挙げられている。

  • ケネディはリンカーンのちょうど100年後(1960年)に大統領に就任した
  • どちらの大統領も、後任はアメリカ南部出身の「ジョンソン」という人物
  • ケネディにはリンカーンという名前の秘書が、リンカーンにはケネディという名の秘書がいた
  • 金曜日に夫人の目の前で後頭部を銃で撃たれて死亡と、暗殺時の状況も酷似している

これについては、以下のような説明が可能である。

  • アメリカの大統領は、日本の首相などと違って必ず4年おきに選出されるので、ある大統領の就任の100年後に別の大統領が就任するのは当たり前
  • ジョンソンは、アメリカでは極めてありふれた名前。2人が南部出身なのは本当だが、リンカーンの後任のアンドリュー・ジョンソンはノースカロライナ州で、ケネディの後任のリンドン・ジョンソンはテキサス州と、場所が全く違う*11
  • ケネディにリンカーンという秘書がいたのは事実*12だが、リンカーンにケネディという秘書がいた記録は無い
  • 暗殺日がどちらも金曜なのは本当。しかし7分の1の確率で一致するので驚くにはあたらない。また大統領を暗殺するのなら、公式行事で市民の目の前に出てくる時を狙うのが自然であり、その場にはファーストレディー(妻)を伴っていることが多い。銃を使う場合、相手の死角から狙えて一撃で致命傷になる後頭部を狙うのも合理的である

このように、「そもそも事実ではない」「一致していても珍しくない」「くくりが大きすぎて一致しているように見えるだけ」といったものがほとんどである。

参考までに2人の相違点も挙げておく。

  • リンカーンの生没年は1809~1865年、ケネディの生没年は1917~1963年
  • リンカーンは陸軍出身で共和党所属。ケネディは海軍出身で民主党所属
  • リンカーンの前任大統領はジェームズ・ブキャナンで北部ペンシルバニア州出身。ケネディの前任大統領はドワイト・D・アイゼンハワーで南部テキサス州出身
  • リンカーンは至近距離から短銃で、ケネディは遠距離からライフルで撃たれている

このように正反対の要素もかなりあることがわかる。

  • テカムセの呪い(0の呪い)
1840年以降、20年おきに選出されるアメリカ大統領は在任中に不慮の死を遂げている。その原因は、18~19世紀のアメリカで起きた先住民と白人開拓者との戦いにある。
当時先住民たちのリーダーを務めていたのはテカムセという若者で、開拓者を率いる将校のウィリアム・ハリソンと敵対していた。
1813年のテムズ川の戦いでテカムセは戦死。敗北した先住民は強制移住を余儀なくされてしまう。
これに怒ったテカムセの弟のテンスクワタワが、アメリカ大統領を20年ごとに殺す呪いをかけた。
その結果、先の功績で第9代大統領となったハリソンは、1840年の就任後わずか1ヶ月で急死。

それ以降も、

  • エイブラハム・リンカーン(1860年就任)→暗殺
  • ジェームズ・ガーフィールド(1880年就任)→暗殺
  • ウィリアム・マッキンリー(1900年就任)→暗殺
  • ウォーレン・ハーティング(1920年就任)→心臓発作で急死
  • フランクリン・ルーズベルト(1940年就任)→脳出血で急死
  • ジョン・F・ケネディ(1960年就任)→暗殺

と7人連続で大統領が死んでいる。
これこそが恐るべき「テカムセの呪い」なのだ。

…という呪いの伝説。
暗殺された大統領4人全員が当てはまることもあり、本国では割と信じられているようである。
しかし以下の通り、呪いと呼ぶには不自然な点も多い。

  • テカムセの戦死は1813年で、ハリソンの死は1841年。実に28年も間がある
  • 第23代大統領のベンジャミン・ハリソンはウィリアム・ハリソンの孫であり、呪いの対象にされてもおかしくないが、在任中に亡くなることはなかった
  • 7人の内、リンカーンとマッキンリーは2期目、ルーズベルトは4期目、他4人は1期目に亡くなっており、大統領就任から死去までの間隔に一貫性がない
  • 2023年現在、呪いに当てはまる大統領はケネディ以降3人(ロナルド・レーガン、ジョージ・W・ブッシュ、ジョー・バイデン)いるが、いずれも在任中に亡くなってはいない
  • そもそも20年周期で殺す理由が謎。普通なら「就任するアメリカ大統領が皆死ぬ呪い」にするのではないだろうか?

これらを見る限り、大統領が20年ごとに亡くなったのは単なる偶然*13と考えて良さそうである。

  • 東郷ビール
「フィンランドは親日国であり、日露戦争で日本がロシアを破った記念に東郷平八郎提督の肖像をラベルにしたビールを販売した」というもの。

フィンランドのビール製造会社が、東郷をラベルに使ったビールを売り出したこと自体は本当。
しかし、これは全24種からなる「世界の提督」シリーズの一つだったにすぎない
要は、そういうコンセプトのシリーズを企画する時に、日本人代表として東郷(と山本五十六)が選ばれただけである。
実際にこのシリーズには、史上最も有名な提督であるホレーショ・ネルソンはもちろん、東郷のライバルであったロシアのロジェストヴェンスキー提督もラインナップに入っている
日本や東郷に対して、特に深い思い入れがあったわけではない証拠だろう。

また、このシリーズが売り出されたのは第二次世界大戦後であり、「日露戦争での日本の勝利を記念して」売られたというのも間違いである。

  • コロンブスは「地球は平らだから西廻りでインドに辿り着けるわけがない」と批判する人に「地球は丸いから辿り着ける」と反論した
「地動説」「天動説」と「地球球体説」「地球平面説」がごっちゃになって生まれた混乱の一つ。
実際のところ、コロンブス当時のヨーロッパの少なくとも知識人階級の間では「地球は丸い」は一般常識だった。というか、「地球が丸いこと」それ自体は古代ギリシャの時代に既に証明されている。
例えば水平線の向こうに進む船を、陸地に立つ男が見送っている所を想像してほしい。
男の身長が2mで、立つ高さが海面とほぼ同じであれば男から見た水平線までの距離は約4.8kmでその先に進んだ船は水平線から消える。
男が立っているのが海面から10m上の位置であれば水平線までの距離は約12.3kmである。
これは地球の丸みから計算できることであり、 帆船で長距離航海ができる技術があれば気づかないはずがない。
ではコロンブスは何を批判されていたかと言うと、前述の地球の大きさの推定値からして
「ポルトガルからアジアの東の玄関口である日本までは19000キロもあるのに、無補給で辿り着ける訳がない」ということである。
これに対するコロンブスの反論は「19000キロという計算が間違っていて実際には4800キロしかないはずだ」という理屈であった。
……世界地図で測ってみればわかるが、この指摘に関してはコロンブスの反論の方が明確に間違っており、どう考えても無謀無茶なのはコロンブスである。
要は、「計算間違いによる行き当たりばったりな航海で偶然アメリカ大陸に辿り着いた」というのがコロンブスの実態である。

  • 古代エジプトのピラミッド建設労働は、現在の日本よりもホワイトな職場だった
「二日酔い」「ヤギを獣医に見せるため」といった、ふざけたような理由で仕事を休んでいたことを示す文書が見つかったことから、日本人の間で広まっている話。
実際にこのような文書が発見されたのは本当であり、そのため「従来思われていたよりは」いい労働環境だったことは明らかになったのだが、現代日本よりもホワイトというのは明らかに言いすぎである。

というのも、この時代には「定休日」の概念が無い*14ため、いったん動員されたら原則休みなしで働かないといけなかったのだ。
そのため、上記のような理由を申し出ないと休ませてもらえなかった、というだけの話。
申し出れば休ませてもらえる時点でホワイトと感じる人もいるかもしれないが、それは比較対象が悪いだけである
そもそもピラミッド建設は、農閑期に農民になるべく平等に給与(食料)を分配するために行われた公共事業である(なのでもちろん、休んだらその日の分の給与は出ない)。
現代日本の労働環境と単純に比較すること自体無理があると言うべきだろう。
大体熱帯地域で重い石材を運ぶ仕事がホワイトと言えるのだろうか

逆の例として、「明治時代の製糸工場で働いていた女性(工女)は、毎日長時間、休日も無く、余程の大病でなければ休ませても貰えず、それでいて低賃金で働かされていた超絶ブラック環境だった」という話がよく語られる。
これも何から何まで間違いという訳ではないので都市伝説と言い放ってしまえるものではないのだが、「あまりに過酷だった話」ばかりが強調され過ぎている感がある。
例えば、少なくとも開業直後の富岡製糸場は「1日8時間労働」「週休1日」「夏冬に10日間の休暇」「食費・社宅家賃は会社負担」と、現代基準でも極端なブラック企業という訳ではなかった。*15
また低賃金とはいっても当時の貧農はそれ以上に貧しかった上に作物の出来不出来により収入が安定しない事から多少大変で低賃金でも安定している分まだマシと言える状況だった他、時期を経るごとに賃金は増して行き中には年収100円(当時の価値で家が一軒建つ金額)稼ぐ人もいたという。
「余程の大病でなければ休ませて貰えなかった」といっても農家は「余程の大病」でも休めないので、やはりどうしようも無い時は病欠できる分まだ楽と言える面はある。


軍事

  • 灯台と軍艦
アメリカ国籍の軍艦(空母とも)が進行方向に別の船を発見、「ただちに進路を変えるように」と警告するも「それは無理だ。そちらが進路を変えろ」と返されたため激高し、
「こっちはアメリカ合衆国の軍艦だぞ、わかってるのか!!」と恫喝したら、冷静に
「こっちは灯台です」
と返された、という話。
1990年代ごろから「実話」として広まったが、実際に起きたという根拠は見つかっていない。
また、軍人や船員からは、「いくらなんでも灯台と船を誤認することは無い」と疑問が寄せられている。

  • 軍事用語に「ゼロ距離射撃」と呼ばれるものは存在せず、正しくは「接射」と呼ぶ
接射の項目を参照。

何かとトンでもない米軍の攻撃機A-10と、輪をかけて超人的な対地エースであるルーデルの両者の凄さを強調する意味でよく語られるエピソードであるが、
実際には著書の記述を参考にした程度で、ルーデルがA-10の開発に直接口を出したとかルーデルに意見を募ったといった事実は無いとされ、おそらくこれに尾鰭が付いたのが上記の逸話と思われる。

  • ヘタレイタリア(ヘタリア)
近世に於けるイタリア軍は「弱い」という印象を受けるエピソードには枚挙に暇がなく、エスニックジョークではイタリアのイメージといえば「軍隊が弱い」が代表例の一つとなっている。
日本のネット上でも「ヘタレイタリア」、略して「ヘタリア」と呼ばれネタにされている*16が、このヘタリアエピソードには誇張やそもそもエピソードそのものがジョークであるものが多い。
例えば有名なものに「砂漠でパスタを茹でて貴重な水を浪費していた」というものがあるが、実際には「水不足でそもそも作れなかった」「物資に比較的余裕のある後方司令部ではスープごと食べる煮込みパスタを作っていた(ので水を無駄にはしていない)」が正しいとされる。

尚、これらのイメージの根強さから21世紀の現代のイタリア軍も軍事力が低いように思われがちだが、実際には現代のイタリア軍はヨーロッパ各国の軍の中でも特に精強で、2022年の軍事費は世界12位、ヨーロッパ6位である。

樹脂素材を多用した、いわゆるポリマーフレーム銃の傑作にして代表であるグロック17は、プラスチックが主であるため金属検査にもX線検査にも引っ掛からない、そのためハイジャック犯が飛行機内に持ち込み放題であるというもの。
ダイ・ハード2を始め創作でも時々そのような描写や言及があるが、実際には勿論そんな事は無く、銃身を始め金属パーツも含まれているため金属検査でしっかり反応する。
よしんばもし全身プラスチックであっても弾倉や弾丸が金属製であるためやはりそちらが反応するため、機内に易々と持ち込める銃というのは誤解である。
とはいえメーカー側もこのような評判を意識し、後にポリマー部分に造影剤を混ぜてX線検査にかけると一目で拳銃と分かるようにしている。

また、グロック17はポリマーフレーム拳銃の代表例という評判が高まりすぎて、まるでその元祖であるかのような印象を持たれがちであるが、実際には「全身ポリマーフレームとしては最初」というだけで、フレームに樹脂製パーツを組み込んだ銃としてはH&K VP70という先例が存在している。

  • フィンランドの海防戦艦ヴァイナモイネンはジョージ6世戴冠記念観艦式に参加した際、スウェーデン軍の海防戦艦に曳航してもらった
海防戦艦とはその名の通り自国の海岸線を防衛するための軍艦であり、その性質上長距離航海する必要がないため航続距離は概して短い。
フィンランドのイルマリネン級海防戦艦は殊更に航続距離が短く、同時期のデンマーク海軍の海防戦艦ヘアロフ・トロレ級海防戦艦の実に1/4弱という短さである。
それ故に自力ではフィンランドからイギリスまで行けず、外洋能力を持つスウェーデン軍の海防戦艦に曳航してもらったのだ……と語られるが、実際にはそのような記録は無い。
おそらく普通に道中の港に寄港しつつイギリス・フィンランドを往復したと思われる。


その他・ジョーク

  • カブトムシの電池を入れ替えようとする子供
子供が死んだカブトムシを「電池切れ」だと思い、電池を取り換えて動かそうとしていた……という話で、80年代頃から語られ出したとされる。
自然に触れる機会が減った近頃の子供を揶揄する、もしくは命の尊さと死の重大性の理解度が下がっている事を嘆く意味で用いられるが、いずれも「そういう事があったらしい」で止まっており、明確な起源やその正確性については不明。

似たような例に「魚に触れる機会が減ったため、『魚は切り身のままで泳いでいる』と勘違いしている子供がいる」という物がある*17

  • ドロップベア
オーストラリアに生息する、プランメタス種チラルクトス属の動物。
その姿はコアラに似ているが、身長は120cmとかなり大きい。
性格は凶暴で、樹上から外国人旅行者を待ち伏せる。
そして、そこを通りかかった人の頭上から飛びかかって、衝撃で倒れて気絶しているところを首に噛みついて仕留めるという。
防ぐには「ベジマイト」という野菜を発酵させたジャムを髪の毛などに塗るしかない。

…という都市伝説。
よくできた話だが、これらはすべてオーストラリア博物館がエイプリルフールの日に掲載したジョークである。

  • サッカーは元々捕虜の首を用いて行われていた
よくオカルトなどで語られるサッカーの起源の伝説。
信ぴょう性というと、捕虜の首でサッカーというのはあり得るものの起源と言うには根拠が弱い。
そもそも球をける遊びは世界各地に存在し、人の首をける行為が起源と言うのは無理があると言うのが大方の見解である。

そもそも人の頭というのは固い上に結構重いため、ボール代わりに使うのは中々しんどいと思われる。

  • 自転車の世界チャンピオンは翌年スランプに陥る。
「マイヨ・アルカンシェルの呪い」という名前で、その筋では非常に有名なネタ。
日本どころか英語版やフランス語版のwikipediaにすら掲載されている、都市伝説の中でも極めて範囲の広い代物。
実際には「世界チャンピオンは特別なジャージを着るので注目されやすく、1位を取れないというだけで目立ってしまう」「単なる成績の揺り戻し」等が挙げられている。
とはいえ何故か男子ロード・エリート部門のジャージだけ呪われたりだとか*18、2015年に男子ロード・エリート初優勝から怒涛の3連覇を達成したペテル・サガンなんかもいるので、呪いもかなり曖昧だったりする。

午前中に嘘をつき、午後にネタバラシをするのが本来の慣習だという都市伝説。
主に欧米圏で広まったとされる。
幾つかの説*19が存在し、「地域によっては~」とされる場合もあるが、実際の所ハッキリしておらず*20
誰かがエイプリルフールでついた嘘かもしれない」という見解が多数を占めている。







個別項目のある都市伝説



概要項目のある都市伝説



アニメ・漫画・特撮・ライトノベルなどの作中で広まっている都市伝説



最後に…信じるか信じないかはあなた次第。
だが信じたとて嘆いてはいけない。
なぜなら、都市伝説があるならば対抗神話もあるのだから。

怖くて眠れなくなった時は、寺生まれのTさんに「破ぁー!」と解決してもらいましょう。
「寺生まれってすげえ」、そう思えるはず。



追記・修正をするかしないかはあなた次第。

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最終更新:2024年04月19日 16:26

*1 日本においても傷害罪に問われる可能性がある。

*2 似た様な誤解をされているものにプラスチック爆弾ことC4がある。これも合成樹脂でできているのではなく、粘土の様に形を自在に変えられる特性から「プラスチック爆弾」と呼ばれているのだ

*3 テモテへの第二の手紙第3章16節「聖書は、すべて神の霊感を受けて書かれたものであって、人を教え、戒め、正しくし、義に導くのに有益である。」

*4 別の暴走族グループが、リーダーを殺されたことへの報復として行ったなどとするパターンも。

*5 家に着く前に交通事故で死亡するというパターンもある

*6 『今昔物語集』の「東国より上る人、鬼に値う語」。旅人の一行が空き家を見つけ、そこに泊まろうとするものの、室内に鬼がいることに気づき、「外につないである馬の様子を見てくるか」と言って逃げ出すという内容。

*7 銃に詳しい読者ならご存知だろうが、現代銃の「マトモに使用できる」ライフル弾を作るにはそれなりの技術能力が要求される。工場設備のないオウム拠点では難しかったのだろう。

*8 79年から80年まで『鉄道ファン』に掲載されていた「汽車の今昔」。これの第14章(80年1月号)に鋼体客車創製の話がある。

*9 ちなみに、D&Dでの最弱モンスターの代名詞はコボルドである。

*10 ただ、「極端に長い・大きい」ものは東西問わず実用するには重すぎるため「最初から奉納品として寺社教会に渡すためだけの非実用品ではないか」とする説もある。

*11 ちなみにノースカロライナ州とテキサス州は直線距離にして約2000キロも離れている。

*12 イヴリン・リンカーン。ケネディの個人秘書官を12年務め、彼の暗殺後には回顧録も出版している。

*13 ちなみに20年周期ではないが在任中に亡くなった大統領には、第12代のザカリ―・テイラー(1849年就任。1850年死去)がいる。

*14 安息日を定めたユダヤ教に始まる一神教が成立するのはずっと後の時代

*15 その後民営化されてからは労働時間は大幅に伸びてはいる。

*16 日丸屋秀和の国家擬人化漫画『Axis powersヘタリア』も元々はこのスラングとしての「ヘタリア」に由来している。

*17 お笑いコンビ・爆笑問題の田中裕二氏も、幼少期はそう思っていたという

*18 例えば男子トラックレースのスプリント部門で10連覇した中野選手や男子ロード・タイムトライアルで2連覇を2度達成しているファビアン・カンチェラーラがいる。

*19 「イギリスのオークアップルデー(王政復古の記念日で、午前中だけオークアップルの小枝を身に着ける風習がある)と混同された」という説が有名だが、これも確証はない。

*20 そもそもエイプリルフールの起源自体が諸説ある。